【一覧表あり】Shopifyのストア分析(レポート機能)を徹底解説
この記事の所要時間:11分
ネットショップは構築して終わりではなく、その後もユーザーの行動を分析して、サイト改善を繰り返し行うことがとても重要です。
Shopifyにはデフォルト機能で高性能なストア分析機能があり、アクセス数や売上、リピート率など様々なデータを分析することができます。
ですが、分析項目は多く、また契約プランによって利用制限もあるため「どのプランで何を分析ができるのか詳しく知りたい!」という方も多くいると思います。
そこで今回は、そんなShopifyのストア分析について徹底的に解説します。
プラン別で利用できる分析機能の一覧表もあるので、ぜひ参考にしてください。
ストア分析について
Shopifyのストア分析には「ダッシュボード」「レポート」「ライブビュー」の3つの機能があります。
ダッシュボードでは、ネットショップ運営の重要な指標をまとめて確認することができ、レポートでは、さらに細かな指標を確認することができます。
ライブビューは、ストア上のユーザー行動をリアルタイムで表示することができ、これら3つの機能をうまく活用することで、様々な分析が可能になります。
プランによって利用できる分析機能に制限がありますが、途中からでもプランをアップグレードすると、Shopifyを契約した日まで遡ってデータを確認することが可能です。
プラン別で利用できる分析機能一覧
Shopifyの分析レポートは、契約プランによって利用できる項目が異なります。
まずは各プランの違いについて、以下の一覧表で確認してください。
スターター | ベーシック | スタンダード | プレミアム | Shopify Plus | ||
---|---|---|---|---|---|---|
ダッシュボード | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
レポート | 財務 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
集客 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
在庫 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
行動 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
マーケティング | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
注文管理 | × | × | ○ | ○ | ○ | |
売上 | × | × | ○ | ○ | ○ | |
小売販売 | × | × | ○ | ○ | ○ | |
利益率 | × | × | ○ | ○ | ○ | |
顧客管理 | × | × | ○ | ○ | ○ | |
カスタム | × | × | × | ○ | ○ | |
ライブビュー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
製品分析 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ダッシュボードや製品分析は全プランで利用することができます。ライブビューはスタータープランのみ利用することができません。
その他のレポートについては、プランによって利用できるものが大きく異なります。
次は、ストア分析機能(ダッシュボード、レポート、ライブビュー)について、順に詳しく解説します。
ダッシュボードについて
ダッシュボードには、ストアのアクセス数や販売額、CVR(購入率)など、ストア分析の重要な指標が表示され、1ページで様々なデータを確認することができます。
ダッシュボードの項目
ダッシュボードには16項目のデータが表示されます。(POSを連携している場合は18項目)
まずは、これから説明の中で度々でてくる「セッション」と「訪問者」の定義について簡単に説明します。
セッション:アクティビティがなくなった30分後、または夜12時に終了する
訪問者:ストアに訪問したユーザー
つまり、同じ訪問者が複数のセッションを持つことができるので、セッション数は訪問者数よりも多くなります。
では、ダッシュボードの項目について解説します。
■平均注文額
すべての注文の平均金額(ギフトカード以外)です。
売上を合計注文数で割った金額を表示します。こちらの金額には税金や配送料、ディスカウントも含まれます。
■オンラインストアのコンバージョン率
注文に繋がるセッション数の割合です。
オンラインストアの合計セッション数を元に「カートに追加済み」「チェックアウトに到達済み」「コンバージョンに結びついたセッション数」の割合を表示します。
■デバイスのタイプ別のオンラインストアのセッション
オンラインストアにアクセスするために使用されているデバイス別のセッション数です。
「モバイル」「デスクトップ」「タブレット」など、デバイスタイプ別にセッション数を確認することができ、サイト改善の優先順位を考える際に役立ちます。
■ロケーション別のオンラインストアのセッション
オンラインストアのセッション数をロケーション別に分けて表示します。
国や地域、市町村別にセッション数を分析することができます。
■トラフィック元別のオンラインストアのセッション
オンラインストアのセッション数をユーザーのアクセス方法別に分けて表示します。
「検索」「ダイレクト」「ソーシャル」「メール」など、どこから多くのユーザーが流入しているのか分析することができます。
■ソーシャルソース別のオンラインストアのセッション数
SNSからアクセスしているユーザーの流入元別にセッション数を表示します。
FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSでマーケティングを行なっている場合、効果的なマーケティング施策を判断することができます。
■リピーター率
複数回商品を購入したユーザーの割合です。リピーター数を購入者数で割った数字を表示します。
リピーター率は、ブランドのファン数や満足度とも捉えることができるので、ネットショップ運営において重要な指標です。
■POSロケーション別の売上(POS利用者のみ)
Shopify POSを利用している場合に表示されるPOSロケーション別の売上金額です。
ロケーション別で売上を確認することができるので、実店舗販売を行なっているマーチャントにとっては、とても重要な指標です。
■ソーシャルソース別の売上
SNSからアクセスしているユーザーの売上金額をSNS別に表示します。
SNS広告を運用している場合は、ROAS(広告の費用対効果)の確認にも役立ちます。
■スタッフ別の売上(POS利用者のみ)
Shopify POSを利用している場合に表示される販売スタッフ別の売上金額です。
実店舗でどのスタッフがどれだけ売り上げたかを確認することができます。
■トラフィック元別の売上
オンラインストアの売上金額をユーザーのアクセス方法別に分けて表示します。
「検索」「ダイレクト」「ソーシャル」「メール」など、どこから流入したユーザーがどれだけの売上を生み出したのかを確認し、流入元別でユーザーの購買意欲などを分析することができます。
■上位のランディングページ
ユーザーが最初にアクセスしたサイト内のページを表示します。
SEO対策でブログ記事を公開している場合は、どのページからユーザーが流入しているのかを分析し、商品購入までの導線を考えることができます。
■販売単位別の上位商品
商品別の販売数や総売上高を表示し、ベストセラー商品を確認できます。
こちらのデータは商品の在庫管理やプロモーションに役立ちます。
■セッション別の上位参照元
他のウェブサイトから直接アクセスしたユーザーのセッション数と上位5つのウェブサイトを表示します。
こちらのデータには「検索」「ダイレクト」「ソーシャル」「メール」は含まれません。
■オンラインストアのセッションの合計
オンラインストアのセッション数や訪問者数の合計を表示します。
■総注文数
注文数や総売上高を表示します。
■販売合計
販売合計金額を表示します。
販売合計金額は「総売上高 – ディスカウント – 返品 + 配送料 + 税」で算出されます。
■マーケティングに起因する売上
マーケティングの成果である可能性があるアクセスによって生み出される注文数や販売合計金額を表示します。
ダッシュボードの使い方
ダッシュボードは、分析するデータの日付範囲や比較期間を指定することができます。
ダッシュボードのページ左上の「今日」と表示されている範囲指定ボタンをクリックして範囲を変更します。
日付範囲を指定したら「適用」をクリックします。
また、ダッシュボードにある各項目の「レポートを表示」をクリックして、データの詳細を確認することができます。
「レポートを表示」をクリックすると、次に紹介するレポートページに遷移します。
レポートについて
レポートでは、さらに細かくストアデータを分析することができます。
多くの指標を確認することができますが、プランによって利用できるレポート項目に制限があるので注意してください。
財務レポート
利用可能なプラン:全プラン
<レポート項目>
・財務サマリー
・販売合計
・税金
・ヒント
・決済
財務レポートは全プランで利用することができ、ストアでの売上、返品、税金など財務に関する情報を分析することが可能です。
集客レポート
利用可能なプラン:全プラン
<レポート項目>
・時間の経過によるセッション
・参照元別のセッション
・ロケーション別のセッション
集客レポートはベーシックプラン以上で利用ができ、時間別のセッション数やユーザーの流入元、ロケーションなどを分析することができます。
在庫レポート
利用可能なプラン:全プラン
<レポート項目>
・販売在庫率
・商品別のABC分析(スタンダードプラン以上)
・1日あたりの平均販売在庫
・月末の在庫スナップショット
・月末の在庫値
在庫レポートはベーシックプラン以上で利用ができ、商品の動きを追跡して効率的に在庫を管理することができます。
商品別のABC分析は、あなたのショップで販売している商品を売上ベースでABCランクに分け、こちらの分析をもとにAランク商品の在庫を切らさないように管理することができます。
行動レポート
利用可能なプラン:全プラン
<レポート項目>
・時間の経過によるオンラインストアのコンバージョン
・上位オンラインストア検索
・結果の得られない上位オンラインストア検索
・時間の経過に伴うおすすめ商品の変遷
・ランディングページ別のセッション数
・デバイス別のセッション
・オンラインストアカート分析(スタンダードプラン以上)
・オンラインストアの速度
行動レポートは、ベーシックプラン以上で利用ができ、サイト内検索のキーワードやカート内の情報などユーザーの行動を分析することができます。
こちらのデータをもとに、多くのユーザーが求めている商品への導線を改善することができます。
マーケティングレポート
利用可能なプラン:全プラン
<レポート項目>
・マーケティングに起因するセッション数
・マーケティングに起因する売上(スタンダードプラン以上)
・最初のインタラクション別のコンバージョン(スタンダードプラン以上)
・最後のインタラクション別のコンバージョン(スタンダードプラン以上)
・アトリビューションモデルの比較(スタンダードプラン以上)
マーケティングレポートは、ベーシックプランでも利用ができますが、セッション数以外の分析は、スタンダードプラン以上にアップグレードする必要があります。
こちらのレポートでは、広告などユーザーがどこから流入し、購入に至っているのかを分析することができます。
注文管理レポート
利用可能なプラン:スタンダードプラン以上
<レポート項目>
・時間の経過による注文
・商品の注文と返品
・時間の経過によるフルフィルメント
・フルフィルメント、配送、配達所要時間
注文管理レポートは、スタンダードプラン以上で利用ができ、注文量や配送フローなどのパフォーマンスを分析することができます。
売上レポート
利用可能なプラン:スタンダードプラン以上
<レポート項目>
・時間の経過による売上
・商品別の売上
・商品バリエーションSKU別の売上
・商品販売元別の売上
・ディスカウント別の売上
・トラフィックの参照元別の売上
・請求先ロケーション別の売上
・チャネル別売上
・お客様名別の売上
・時間の経過による平均注文金額
売上レポートは、スタンダードプラン以上で利用ができ、売上を様々なセグメント別に分析することができます。
小売販売(POS)レポート
利用可能なプラン:スタンダードプラン以上
<レポート項目>
・商品別の小売販売
・商品バリエーションSKU別の小売販売
・商品の販売元別の小売販売
・商品タイプ別の小売販売
・POSロケーション別の小売販売
・レジスターのスタッフ別の小売販売
・レジスターのスタッフ別の小売販売(毎日)
・販売をサポートしたスタッフ別の小売販売
小売販売レポートは、スタンダードプラン以上を契約し、「Point of Sale」の販売チャネルを追加することで利用が可能になります。
POSを利用しているロケーションで販売した商品やSKU、販売員ごとの販売情報などを分析することができます。
利益率レポート
利用可能なプラン:スタンダードプラン以上
<レポート項目>
・商品別の利益
・商品バリエーションSKU別の利益
・POSロケーション別の利益
利益率レポートは、スタンダードプラン以上で利用ができ、商品ページで登録した商品の仕入れ値を元に、様々なセグメント別で利益率のパフォーマンスを分析することができます。
顧客管理レポート
利用可能なプラン:スタンダードプラン以上
<レポート項目>
・時間の経過によるお客様数
・新規のお客様とリピーターへの販売の比較
・ロケーション別のお客様
・リピーター
・一度限りのお客様
・リスクのあるお客様(プレミアムプラン以上)
・ロイヤルカスタマー(プレミアムプラン以上)
顧客管理レポートは、スタンダードプラン以上で利用ができ、ユーザーあたりの平均注文数や平均注文金額、リピーターなど、ネットショップ運営にとても重要な指標の分析が可能です。
カスタムレポート
利用可能なプラン:プレミアムプラン、Shopify Plus
Shopifyのレポートでは、データの日付範囲指定や表示するデータ項目などを選択することができます。
そのようにカスタマイズしたレポートを保存し、いつでも確認できる機能が「カスタムレポート」です。
カスタムレポートはプレミアムプラン以上で利用することができます。カスタムレポートの作成方法については、後ほど解説します。
製品分析
利用可能なプラン:全プラン
製品分析は、商品管理ページで確認することができるレポート機能です。商品ごとに過去90日間のデータを分析することができます。
まずは、Shopifyの管理画面から「商品管理 > すべての商品」をクリックし、対象の商品を選択します。
商品の編集ページのインサイトで「詳細を見る」をクリックします。
製品分析で確認することができる項目は以下のとおりです。
総売上高:「販売総数 × 商品単価 – ディスカウント – 返品」で算出されます
売上の内訳:売上高に係るすべての値の内訳を表示します
チャネル別総売上高:販売チャネル別で対象商品の売上高を表示します
トラフィック元別での正味販売数:アクセス元別で対象商品の販売数を表示します
顧客:初めて商品を購入した顧客の数を表示します
ライブビューについて
ライブビューでは、オンラインストアへのアクセスやユーザーの行動をリアルタイムで確認することができます。
画面右側では、リアルタイムアクセス数や顧客情報、ユーザー行動などを確認することができ、画面中央にはユーザーのロケーションが地球儀で表示されます。
ライブビューで確認することができる項目は以下のとおりです。
現在の訪問者:過去5分間にアクティブになった訪問者数
販売合計:本日の販売金額を「総売上高 – ディスカウント – 返品 + 配送料 + 税」で算出
総セッション数:オンラインストアの本日の合計セッション数
注文総数:本日の注文数
上位のロケーション:本日オンラインストアへの訪問者が最も多い地域
顧客管理:以前にオンラインストアで注文したことがあるユーザーと注文したことがないユーザー
上位の商品:本日オンラインストアで最も購入されている商品
お客様の行動:過去10分間の「カートに商品が追加されたセッション数」「チェックアウトに進み、氏名や住所を送信したセッション数」「チェックアウトを完了したセッション数」
レポート機能の使い方
ここまでで「ダッシュボード」「レポート」「ライブビュー」の見方や項目について解説しました。
次は、表示する項目をカスタマイズしたり日付範囲を指定することができるレポート機能の操作方法について説明します。
レポートの日付範囲指定
ほとんどのレポートは、表示するデータの日付範囲を指定することができます。また、データをグループ化する単位を変更することも可能です。
対象のレポートをクリックし、レポート画面上部にある「日付範囲」や「グループ別」で変更することができます。
例えば、日付範囲では「過去30日間」のように表示するデータの期間を指定します。グループ別では「日」「時間」「時間帯」など、表示するデータの単位を変更します。
レポートの絞り込みと編集
ベーシックプラン以上を利用している場合は、レポートで表示するデータを条件で絞り込むことができます。
対象のレポートをクリックし、レポート画面で「絞り込みを管理」をクリックします。
ポップアップが表示されるので、「デバイスタイプがDesktopである」のように、3つの項目で絞り込み条件を作成します。
グレーのタグが画面に追加されるので、「絞り込みを適用」をクリックして完了です。
条件をさらに追加したい場合は、先ほどのポップアップ上で「絞り込みを追加」をクリックすると、さらに条件を設定することができます。
また、レポートでは表示するデータ項目を編集することも可能です。
レポート画面の「列を編集」をクリックすると、レポート画面下部に表示されるデータ項目を追加したり、いらないものを削除することができます。
エクスポートとカスタムレポート
標準のレポートや上記の方法で編集したレポートはCSVファイルでエクスポートすることができます。
エクスポートする対象のレポート画面右上にある「エクスポート」をクリックして完了です。
また、プレミアムプラン以上ではカスタムレポートとして、編集したレポートを保存することができます。
編集したレポート画面の右上にある「名前を付けて保存」をクリックする、あるいはレポート画面トップにある「カスタムレポートを作成」をクリックして作成することができます。
保存したカスタムレポートは、レポート画面トップのカスタムレポート欄に追加され、いつでも確認することができます。
ストア分析の注意点
ストア分析は複雑で、分析ツールによって取得するデータも異なるため、データが一致しないことが多々あります。
データの不一致について、主に以下の原因が挙げられます。
- ページの再読み込みとユニークユーザーのカウント方法の違い
- セッションの定義の違い
- Googleでは、JavaScriptとCookieを有効にしているユーザーのみカウントする
- ユーザーはブラウザの拡張機能を使用することで、Google Analyticsの追跡をブロックすることが可能
- レポートのタイムゾーンが異なり、セッション数などが一致しない
- 取得するデータが異なる(ShopifyアプリはShopifyのAPIからデータを取得する)
使用する全ての分析ツールのデータを一致させることは困難なため、データ分析をする際には、数字に対してある程度の許容が必要です。
【最後に】他の分析ツールも合わせて活用しよう!
今回はShopifyのデフォルト機能「ストア分析」について解説しました。
Shopifyでは、その他にもヒートマップツールや、Google Analyticsなどを活用することができます。
これらの分析ツールも活用することで、あなたのショップに訪れているユーザーの購買行動やインサイトをさらに細かく把握することができるので、ぜひ活用してみてください。