Shopify Marketplace Kitとは?機能やメリットを徹底解説!
この記事の所要時間:7分
Shopify Marketplace Kitは、開発者がShopifyアプリを介さずに、あらゆるプラットフォームから直接販売できるようにするEコマースツールです。
Shopifyと統合するAPI(Application Programming Interface)として機能し、あらゆる種類のプラットフォームが商品の掲載場所として機能することができます。
Shopify Marketplace Kitは、マーケットプレイスを利用するために必要なドキュメントやチュートリアル、実例を提供しています。
この記事では、Shopify Marketplace Kitとは何なのか、どのような機能を持つのか、そしてこのツールを活用するメリットについて解説します。
また誰でも理解できるように、Shopify Marketplace Kitが誕生した背景や歴史についてもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
Marketplace(マーケットプレイス)とは?
Marketplace(マーケットプレイス)とは、インターネット上で買い手と売り手の間で電子商取引を行う仮想オンラインマーケットのことを指します。
以前はBtoBでの取引向けに開発されていましたが、近年ではAmazonや楽天のようにBtoCの売買が普及しています。
ビジネスモデルに基づき、さまざまな種類のマーケットプレイスがあります。マーケットプレイスは独立した企業によって運営されるか、コンソーシアム(複数企業の共同企業体)によって運営されます。
マーケットプレイスでは、あらゆる種類の商品を販売することができ、世界中で有名なAmazonがこのマーケットプレイスに当てはまります。
マーケットプレイスの中には、特定の商品やブランドしか販売できないように、販売者の要件を課しているところもあります。このような要件を設ける場合は、特定の商品や業種に限定するのが一般的です。
Shopify Marketplace Kitとは?
Shopify Marketplace Kitは、あらゆるソーシャルメディアやコンテンツ作成ページをEコマースプラットフォームに変えるために設計されています。
Shopifyは、マーチャント(Shopifyで商品を販売する業者)がマーケットプレイスへ出品するために必要なすべてのツール、API、マニュアルを提供しています。
これには、商品リスト、ストアフロント、コンポーネントライブラリ、Shopifyの最先端のチェックアウトシステムが含まれます。
このShopify Marketplace Kitには、コンテンツに関するガイドラインも含まれています。
Shopify Marketplace Kitの機能
Shopify Marketplace Kitは、3つの目的のために開発されました。
- 効率的なストアフロント、商品リスト、チェックアウトプロセスを作成するために必要なAPIの開発をスピードアップする。
- より多くのプラットフォームやアプリとの統合を促進し、Shopifyのマーチャントにより多くの販売チャネルを提供する。
- ShopifyのPCI準拠のチェックアウトにより、すべてのEコマースサイトで決済を簡略化する。
そして、この目的のために用意されている機能が以下の通りです。
商品リスト
商品リストは、ユーザーが商品を見つけやすくなるようにショップのトップページにまとめて掲載されます。
ユーザーは商品リストから商品の詳細を簡単に閲覧することができるので、購入意欲を掻き立てることが可能です。
Shopify Marketplace Kitは、商品リストを設定するために必要なすべてのツールを提供します。
このプロセスはユーザーのニーズに合わせてカスタマイズすることができます。
例えば、あなたのサイトで出店しているすべてのマーチャントとその人気商品をトップページに表示するように設定することができます。
ストアフロント
ストアフロントとは、会員登録をして買い物ができるWebサイトのことを指します。
ストアフロントでは、一度に多くの情報を伝える必要がありますが、Shopifyのモダンなデザインは、情報過多を引き起こすことなく、ユーザーが必要とするすべての詳細を表示します。
Storefronts APIが含まれているので、あなたのプラットフォームで活動するマーチャントは、Shopifyのクラシックな外観の恩恵を受けることができます。
これは、ショップページ、商品カテゴリ、商品の並べ替えやフィルタリングなどに適用されます。
チェックアウト
Shopify Checkoutは、高度に最適化されたチェックアウトシステムを誇っています。
例えばローカライズ機能は、多くの言語や100以上の通貨、そしてほとんどすべての国の消費税、送料、関税に関する情報を含んでいます。
Shopify Marketplace Kitは、Shopify Checkoutのすべての利点をあらゆるプラットフォームで提供できます。これには2つの特徴があります。
- マーケットプレイスレベルのカートは、異なるショップによって提供される製品を含むことができます。
- マルチショップカートページは、カート内の異なる販売者からの商品と、商品の合計金額、配送などを表示します。
Shopify Marketplace Kitは、非ECサイトへEコマース機能を追加するために設計されています。
TikTokやInstagramを利用しているとき、ユーザーの主な目的は商品の購入ではなく、コンテンツを閲覧することです。
ブラウジング中にそれらの動画や画像で見たものをすべて「カートに入れる」ことができるようにすれば、閲覧中のコンテンツを中断させることなく、購入へのプロセスをスムーズに完了することができます。
つまり、動画や画像を見ながら気軽に商品を追加し、ショッピングを済ませてからスマホを閉じるように誘導することが可能になります。
ショッピングのプロセスが合理化されればされるほど、利用頻度が高まります。
Channels UI ライブラリ
Channels UIは、Reactコンポーネントライブラリで、開発者がマーチャント向けにUIを最適化したマーケットプレイス体験を作成できるように設計されています。
エクスペリエンスの原則
Shopifyはすべてのユーザーを念頭に置いて、設計、構築、作成、公開を行います。この一連の原則の目的は、誰にとっても最高の体験を作り出すことです。
Shopify Marketplace Kitは、同じ設立理念に基づいて構築されており、開発者が独自の価値観、特に効率、信頼、一貫性に支えられたマーケットプレイスを作成することを奨励します。
コンテンツガイドライン
Shopifyは自社アプリだけでなく、パートナー企業のマーケットプレイス内でも明確でオープンなコミュニケーションを重要視しています。
これは、Shopifyと関連するすべてのプラットフォームのユーザーに、定期的なメンテナンス、検証されていないサイトへのアウトバウンドリンクなどについて、常に情報を提供できるようにするためです。
Shopify Marketplace Kitの現場での使い方
Shopify Marketplace Kitは、多くのEコマース企業が取り組むマーケットプレイス構築をより効果的かつ簡単にするための一連のツールとガイドラインを提供します。しかし、その真の価値は、実際の現場での適用によって明らかとなります。
Shopifyにおける高度なプロダクトの内容設計
Shopifyは、独自のプロダクトやサービスを提供することで知られていますが、その背後には緻密な内容設計が存在します。特に「高度なプロダクト」に関しては、その内容設計がユーザーエクスペリエンスの向上を目指しています。
Shopify Marketplace Kitも、その例外ではありません。ユーザーが直面する問題を解決するための内容設計が施され、それによってユーザーの期待に応えるソリューションが提供されています。
実際の構築ステップ解説
Shopify Marketplace Kitを実際の現場で使用する際のステップは以下のとおりです。
1. 目的の明確化
まず、マーケットプレイスを構築する目的を明確にします。これによって、後のステップでの方向性が定まります。
2. Kitの適用
Shopify Marketplace Kitの中から、自分の目的に合ったツールやガイドラインを選択し適用します。
3. テストとフィードバック
実際にマーケットプレイスを運用し、ユーザーからのフィードバックを収集します。このフィードバックに基づき、改善点を特定し、必要に応じて再度Kitを適用することで、最適なマーケットプレイスを構築します。
このように、Shopify Marketplace Kitは現場での使用においても、高度なプロダクトの内容設計と実際の構築ステップを通じて、効果的なマーケットプレイス構築をサポートしています。
Shopify Marketplace Kitの具体的な機能解説
Shopify Marketplace Kitは、マーケットプレイスの構築と運用を効率的にサポートするための多様な機能を持っています。このセクションでは、その中でも主要な機能に焦点を当て、具体的な内容と利用方法について詳しく解説します。
ベンダー専用ログインインターフェース
この機能は、ベンダーや出品者が専用のログイン画面からマーケットプレイスにアクセスするためのものです。一般の消費者とは異なる専用のインターフェースを通じて、出品者は商品の追加、編集、在庫管理などの操作を行うことができます。
ベンダー向けの注文詳細ビュー
出品者が自身の商品に対する注文の詳細情報を一覧で確認することができる機能です。注文日、購入者情報、商品詳細、発送状況など、必要な情報が一目でわかるデザインとなっています。
ベンダーのための商品ダッシュボード
商品の管理を効率的に行うためのダッシュボード機能です。在庫状況、売上データ、レビュー情報など、商品の運用に関わる多様な情報が一元的に管理され、出品者がスムーズにビジネスを運営するためのサポートを提供します。
このように、Shopify Marketplace Kitは出品者の視点を重視し、様々な機能を提供してマーケットプレイスの運営を助けています。これらの機能を活用することで、出品者は商品の管理から注文処理まで、より効率的にビジネスを展開することが可能となります。
Shopify Marketplace Kitの歴史
2020年10月、ShopifyはTikTokとパートナーシップを結びました。この提携の目的は、Shopifyのマーチャントと若いTikTokのユーザーを繋げることでした。
この提携はTikTokに新しい販売チャネルを提供し、ネットワークをマネタイズする新しい手段となりました。
2021年夏、TikTokがShopifyと新たに統合契約を結び、メディアサイトを総合的なEコマースプラットフォームとして確立したことを受け、この提携は拡大しました。
その結果、TikTokのユーザーは、Shopifyの完全な販売体験のあらゆる利点を活用して、TikTok上で直接商品を販売することができるようになりました。
ShopifyはTikTokとのパートナーシップの大きな成功に続き、Facebook、Pinterest、Google、Spotifyなどの大手企業とのマーケットプレイス統合を拡大しています。
この拡大を受けてShopify Marketplaceが必要なコードスニペット、API、チュートリアルなどをShopify Marketplace Kitで完備し、どのマーケットプレイスでも使用できるようになりました。
Shopify Marketplace Kitを使用するメリット
マーチャントにとってのメリット
Shopify Marketplace Kitは、ストアの集客が少なく購入に繋がらない、そんなマーチャントに対してマーケットプレイスを提供する目的があります。
チャネルアプリを使用して複数のプラットフォームにアクセスし、収益を拡大することができます。
Shopify Marketplace Kitを使用することで、以下のメリットが考えられます。
- 商品と在庫を管理するための使いやすい管理画面
- Shopify Secure Webチェックアウトで顧客のための安全な支払手段
- 365日24時間のカスタマーサポート
- 商品詳細と在庫を表示するストアフロント
開発者のメリット
Shopify Marketplace Kitを使用することで、開発者はShopifyで簡単にマーケットプレイスを構築することができます。
コンポーネントライブラリ、コンテンツガイドライン、コマース用APIが利用できるため、マーケットプレイス全体の開発ペースを上げることができます。
Shopify Marketplace Kitは開発者向けに以下3つを用意しています。
- マーケットプレイス開発のための事前構築されたコンポーネントライブラリ
- マーケットプレイスソリューション開発のためのUI原則
- マーケットプレイスを作成するためのコンテンツガイドライン
マーケットプレイスオーナーのメリット
マーケットプレイスのオーナーは、信頼できる数百のマーチャントにアクセスすることができます。
マーケットプレイスは、マーチャントや商品を掲載するために比較用のウェブページを用意する必要がありません。
Shopify Marketplace Kitを使用することで以下のメリットが考えられます。
- プラットフォーム上でコマースを開発、維持、成長させるためのAPI
- 開発のペースアップに役立つコードスニペット
- ガイドラインに従うだけで、必要な機能を簡単に追加
- Shopifyマーチャントからの製品へのアクセス
まとめ
Shopify Marketplace Kitを使用することで、マーチャントや開発者、マーケットプレイスのオーナー、それぞれにメリットがあることがわかりました。
色々な商品の中から、好みの物を選ぶことができるマーケットプレイスは、買い物目的のユーザーにとっても利用価値の高いサービスです。
つまり、マーケットプレイスに出店することは売上アップにも繋がるということです。
Shopify Marketplace Kitによって、マーケットプレイスの利用ハードルが大きく下がったので「Shopifyのマーチャント=マーケットプレイスの利用」というような構図が出来上がる可能性が高いです。
しかし、Shopify Marketplace Kitを使用するためにはプログラミングのスキルが必要になります。
すべてのツールやマニュアルが提供されていると紹介しましたが、これらは日本語に対応していないため、初心者が正しく使いこなすには少しハードルが高いかもしれません。