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システム開発

2023.10.12

受託開発とは?自社開発との違いやオワコンといわれる理由は?

業務に便利なシステムを外注したいが、受託開発はオワコンと耳にしたことがあるのでなかなか踏み込めない、という悩みを抱えてはいないでしょうか。システム開発の費用面を考慮すると、判断ミスは避けたいものです。


そこで、本記事では受託開発について解説します。この記事を読むことで、以下のような知識が理解できます。

これから、受託開発を依頼するか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 受託開発について
  • 受託開発と自社開発、SESとの違い
  • 受託開発に依頼するメリットとデメリット
  • 受託開発がオワコンではない理由

受託開発とは

受託開発とは

受託開発とは、システムやソフトウェアを欲している企業からの依頼を受けて、システムやソフトウェアを開発することです。

企業は、必ずしもシステム開発ができるエンジニアを雇っているわけではありません。そのため、欲しいシステムがあったとしても、社内だけでは問題解決に至らない場合があります。


既存のシステムを購入するという方法もありますが、欲しい機能がついていないこともあるでしょう。そこで、システム開発が得意な会社に依頼することで、業務に必要なシステムを手に入れられます。なお、開発するシステムの例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 社員の稼働状況を一括管理できるシステム
  • 添付の予約ができるアプリケーション
  • 自社商品を販売できるWEBサイト

受託開発と自社開発、SESとの違い

受託開発と自社開発、SESとの違い

受託開発と自社開発、SESの違いを簡単にまとめると以下のとおりです。

開発の種類 概要 費用
受託開発 外部のエンジニアにシステム開発を依頼する システム完成後、報酬を支払う(成果物、完成品)
自社開発 自社でシステムを開発する 人件費、設備費など
SES 外部のエンジニアにシステム開発を依頼する エンジニアの労働時間に対して報酬を支払う(工数、能力、単価)

ここでは、受託開発と自社開発、SESの違いについて、さらに詳しく解説します。


自社開発との違い

自社開発とは、システムを欲している会社が自ら開発を行うことです。自社のエンジニアや設備を用いて、企画から開発、運用まですべて行います。受託開発と異なる部分は、依頼するエンジニアが社内か社外かの違いです。また、発生する費用に関しても以下のような違いがあります。

  • 自社開発の場合:社内エンジニアへの人件費や開発のための設備費
  • 受託開発の場合:納品されたシステムへの報酬

なお、自社開発のメリットは以下のとおりです。

  • 開発の現場が近いので、比較的すぐに意見を反映できる
  • エンジニアが社員なので、スケジュールの調整がしやすい
  • 外注の費用がかからない

SESとの違い

SESとは、外部エンジニアに自社オフィスに来てもらい、開発をしてもらう契約です。外部エンジニアに依頼するという点では、受託開発と変わりません。しかし、報酬の対象となる箇所が異なります。


SESの場合、エンジニアの労働時間や工数に対して報酬を支払います。つまり、システムが完成しなかったとしても報酬を支払わなければいけません。一方、受託開発の場合、完成したシステムに対して報酬を支払います。そのため、システムが完成するまで報酬を支払うことはありません。

このことから、SESは、以下のような作業が完結しない業務におすすめの契約です。

  • システムの運用
  • システムの保守

受託開発のメリット・デメリット

受託開発のメリット・デメリット

受託開発には、メリットもあればデメリットも存在します。そのため、ここでは受託開発のメリットとデメリットについて解説します。受託開発が自社に適しているのか否かがわかるので、ぜひ参考にしてください。

メリット

受託開発を依頼するメリットは、3つあります。

1点目は、開発の工数やコストを削減できる点です。自社開発をする場合、システム開発の工数に予想がつかず、社内エンジニアの過不足が生じます。必要以上のエンジニアがいる場合、余計な人件費が発生するケースも少なくありません。


その点、受託開発ではエンジニアの数を気にする必要がなく、余分なコストも発生しません。また、外部エンジニアに依頼するので、開発の工数も削減可能です。


2点目は、開発の知識やスキルを参考にできる点です。受託開発を依頼すると、最初に打ち合わせを行います。どのような手段や手順で開発するのか、どのような設備を使って開発するのかを知れるでしょう。

また、開発中は途中報告を受けるため、開発の経過も観察できます。これから自社開発を視野に入れている会社にとっては、魅力的なメリットです。


3点目は、予算の確定後に追加の予算が発生しない点です。受託開発は、打ち合わせの段階で予算を決めます。多くの場合は、システムの細部を変更しても、打ち合わせで決めた予算から増えることはありません。

なお、自社開発の場合は、思わぬトラブルが生じると、対応のために追加の費用が生じてしまいます。

デメリット

受託開発を依頼するデメリットは、2つあります。

1点目は、社内エンジニアが育たない点です。エンジニアはシステム開発によって経験や知識を取得し、その経験や知識をもとに成長します。受託開発を依頼すると、社内エンジニアはシステム開発ができません。つまり、実践及び成長の機会を失ってしまうというわけです。

受託開発をする場合でも、社内エンジニアに関わってもらうなどして、対策をする必要があります。


2点目は、システム開発会社に依存してしまう点です。システムは、納品後も運用や保守、メンテナンスが必要になります。ですが、そのシステムに関する知識がないとできません。

つまり、運用や保守、メンテナンスが必要な場合は、システム開発会社に再度依頼することになります。追加でコストがかかることもあるので、システム開発会社に依存してしまう点はデメリットだといえます。

受託開発がオワコンといわれる理由

受託開発がオワコンといわれる理由

受託開発がオワコンとされるのには、3つの理由があります。

それぞれ、詳しく解説します。

市場が縮小すると考えられているため

昨今、3つの理由から、受託開発の市場規模は縮小すると考えられています。

1点目は、海外への発注が増えていることです。システム開発を外注する場合、国内の企業よりも海外の企業に依頼した方が、コストを抑えられます。これは、海外の方が人件費が安いことが原因で、このような開発を「オフショア開発」と呼びます。


2点目は、自社でシステム開発を行う企業が増えていることです。最近ではエンジニアの数も増えており、多くの企業がエンジニアを採用しています。

そのため、受託開発を依頼せずに、自社でシステム制作が可能な環境整備が進んでいる企業も増加傾向にあります。融通がきくほか、情報漏洩を防げる分、受託開発を依頼するメリットがなくなってきています。


3点目は、コードを必要としないシステム開発が可能になっていることです。本来、システム開発はプログラミングコードを用いて行うものでした。プログラミングコードは誰でも扱えるものではないので、外注に価値が生まれます。

しかし、コードを必要としないシステム開発ができたことにより、誰でもシステム開発ができるようになりました。このような背景から、受託開発はオワコンだといわれることが増えています。


クラウド化が進んでいるため

昨今、システム開発をする際、クラウドサービスが多く採用されています。クラウドサービスとは、あるサービスをインターネットを経由して使用することです。身近なものでは、GmailやGoogleスプレッドシートが挙げられます。

システム開発にクラウドを採用するメリットは、以下のとおりです。

  • 大掛かりなインフラ構築が不要
  • すでに必要な機能が揃っている
  • システム規模の拡大が比較的簡単

このメリットによって、受託開発を行う必要性が減っています。

働き方改革に逆行するイメージがあるため

受託開発では、発注側と受注側との間で打ち合わせが行われ、納期が定められます。納期はある程度余裕を持って定められることが多いですが、余裕を持ちすぎると、発注側に不満を持たれてしまいます。

できるだけ早く納品しようと考えると、作業時間が延びて残業になることもあるでしょう。このような働き方が、昨今の情勢に逆行していると指摘されているようです。とはいえ、最近では、エンジニアの負担になるような働き方は改善されつつあります。

受託開発が今後も残り続ける理由

受託開発が今後も残り続ける理由

受託開発が今後も残り続ける理由は、以下の2点です。

それでは、ひとつずつ解説します。

ITの重要性が増しているため

近年、さまざまな業界でITの重要性が増しています。システムの自動化、機能の充実など、それぞれの業界が発展していくためにITを導入しています。


たとえば、病院の電子カルテです。今までは紙とバインダーで行っていた問診を、タブレットを使った問診に変更している病院も存在します。


また、業務だけではなく、製品にもITは導入されています。たとえば、電子レンジです。献立を自動出力してくれる機能や、自動で時間を調整してくれる機能、スマートフォンとの接続によって遠隔操作できる機能は、すべてITによるものです。


これらの機能を導入するためには、システム開発をしなければいけません。したがって、IT化を効率的に進めていくためには、受託開発も必要です。

内製化にはまだ時間がかかるため

昨今、社内エンジニアを抱える企業が増えているため、受託開発の必要性が減っているといわれています。とはいえ、すべての企業が自社で開発を行うようになるには、時間がかかるでしょう。その証拠に、自社開発の環境が整っているのは、リソースが豊富にある企業に限られています。


採用から研修、実業務と、エンジニア一人ひとりにかかる育成コストは安くありません。そのため、大企業であっても、優秀なエンジニアを何人も抱えるのには相応の時間が必要です。リソースの限られた中小企業では、さらに時間がかかるでしょう。


そうなれば、自社開発の環境が整うまで、受託開発を利用していくのが現実的な方法といえます。このような背景から、受託開発は今後も残り続けるでしょう。

優良な受託開発会社を見極めよう

優良な受託開発会社を見極めよう

企業は業務の効率化、業績アップのために、便利なシステムを求めています。そんな企業の依頼を受けて、目的のシステムを開発して納品するのが受託開発です。


受託開発を依頼すると、開発の工数やコストを削減できる、開発の知識やスキルを参考にできるなどのメリットがあります。一方で、社内エンジニアが育たない、システム開発会社へ依存してしまうというデメリットもあります。


また、開発コストとクオリティに優れたシステムを手に入れるためには、どの受託開発会社が優秀か見極めなければいけません。

受託開発をご検討中であれば、ぜひテクノデジタルにお問い合わせください。システム開発、運用、保守だけではなく、コンサルティングやエンジニアリング支援も行っています。お客様のビジネスを最良のものにするために、私たちが全力でサポートいたします。



投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。