2023.10.25
システム開発の手法5選!メリット・デメリットと最適プロジェクトの見極め方
システム開発をしたい、しかし自社のシステム開発にどの手法が最適かわからないと悩まれてはいませんか。
こうした知識があいまいなまま開発手法を選んでしまうと、時間やコストがかかるだけではなく、業務のためにならないシステムが納品されるおそれがあります。なぜなら、各手法ごとにメリットやデメリット、向いているプロジェクトが異なるからです。
そこで本記事では、システム開発の手法を5種類ご紹介します。それぞれの特徴を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- システム開発の目的
- 開発手法のメリット
- 開発手法別の向いているプロジェクト
システム開発の目的
世の中にあるシステムには、さまざまな種類があります。しかし、システムを開発する目的のほとんどは、以下のようなビジネスにおける問題や課題を解決することです。
- システムの力を利用して新しい商品を開発
- 自動化システムを導入して業務の効率の悪さを改善
- 顧客情報を保存できるシステムを作ってマーケティングに活かす
そのため、システム開発を行う際は、目的を明確にすることが重要です。
ウォーターフォール型開発
最初の計画で開発の詳細まで決定し、その流れに沿って進める方法です。主な流れは以下のとおりです。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 開発
- テスト
- 導入
- 運用・保守
ひとつの工程を完全に終わらせてから、次に進むのが一般的です。なお、要件定義から詳細設計を上流工程、開発から運用、保守までを下流工程と呼びます。下流工程から上流工程に戻ることはありません。
ウォーターフォール型開発のメリット
ウォーターフォール型開発には、以下の3点のようなメリットがあります。
- スケジューリングや進捗管理がしやすい
- 汎用性が高く、さまざまな開発に採用できる
- システムの品質を一定に保てる
ウォーターフォール型開発では、最初の段階で、搭載する機能や工数などを詳細まで決めます。決めたことに沿って開発を進めるので、スケジュールが急遽変わる心配がありません。加えて、詳細な設計に沿って開発を行うので、全体から細部まで整合性が取れた高品質なシステムを構築できます。
ウォーターフォール型開発のデメリット
ウォーターフォール型開発には、以下の3点のようなデメリットがあります。
- 開発が長引くことがある
- 開発中の仕様変更への対応が難しい
- アクシデントなどが発生したときに弱い
ウォーターフォール型開発では、最初に細かな部分まで計画を決めておきます。この特徴には多くのメリットがありますが、かえってデメリットとなる部分もあります。たとえば、計画にかける時間が長くなるため、開発期間が伸びるという点です。
ウォーターフォール型開発が向いているプロジェクト
ウォーターフォール型開発は、以下のようなプロジェクトに向いています。
- 大規模開発
- 搭載したい機能が明確で仕様変更を行わない開発
ひとつの工程を完了してから次に進むという方法を採用すると、最終的なシステムの品質が上がります。そのため、大きい規模の開発といった、品質を重視するケースに向いているでしょう。
こちらの記事では、ウォーターフォール型開発のプロセスやより詳細なメリット・デメリットについて解説しています。ぜひあわせてお役立てください。
アジャイル型開発
アジャイル型開発では、計画段階では詳細まで決めずに、大まかな部分だけを決めて開発に進みます。
開発では短期間で機能を開発して、その機能をテスト、評価します。その結果を参考に、改善や機能の追加を行うのが一般的です。このように、機能ごとに「イテレーション」と呼ばれる一連の流れを繰り返します。
アジャイル型開発のメリット
アジャイル型開発には、以下の3つのメリットがあります。
- 開発中の仕様の変更に臨機応変に対応できる
- トラブルへの対応が早い
- 開発の効率がよい
アジャイルとは「俊敏な」「素早い」という意味です。そのため、全体的に開発スピードが早いという特徴があります。
たとえば、開発途中の仕様変更やトラブルへの迅速な対応が可能です。また、不必要な開発を削減できるため、開発の効率がよいという特徴もあります。
アジャイル型開発のデメリット
アジャイル型開発には、以下の2点のようなデメリットがあります。
- 進捗管理が難しい
- メンバーが入れ替わるとシステムの品質を維持できない
アジャイル型開発は、柔軟性が長所の開発方法です。しかし、そうした柔軟性がかえって悪い影響を与えることがあります。たとえば、いつ仕様変更が起こるかわからないため、スケジュールや進捗の管理が難しい点です。
また、開発が長期化するとメンバーが入れ替わることもあります。メンバーが入れ替わると、システムの品質が一定ではなくなるおそれがあるでしょう。
アジャイル型開発が向いているプロジェクト
アジャイル型開発は、以下のようなプロジェクトに向いています。
- 開発の全体像がはっきりしていないプロジェクト
- 顧客の要求が頻繁に変わるプロジェクト
- 顧客が開発チームにくわわるプロジェクト
アジャイル開発は、一つひとつの機能をその都度改善していく方法です。顧客の要求がすぐに反映できるため、顧客の要求が頻繁に変わるプロジェクトに向いています。
スパイラル型開発
機能ごとに設計、実装、テスト、リリースを繰り返しつつ開発を進める方法です。要件定義の段階でも大まかな部分しか決めないため、進め方としてはアジャイル開発と似ています。
異なる部分は、システムに対する考え方です。アジャイル型開発は、開発のスピードに重きを置いていました。一方、スパイラル型開発は、機能の品質に重きを置いています。
スパイラル型開発のメリット
スパイラル型開発には、以下の3点のようなメリットがあります。
- 品質を高められる
- スケジュールの調整が容易
- 開発中の仕様の変更に臨機応変に対応できる
スパイラル型開発は、品質を重視しているため、必然的にシステムの質が上がります。その証拠に、1回のサイクルでリリースする機能は、完成系に近いような試作品です。顧客は、完成系をイメージしつつ評価できます。
スパイラル型開発のデメリット
スパイラル型開発には、以下の3点のようなデメリットがあります。
- プロジェクトの全体がイメージしにくい
- プロジェクトが長引く恐れがある
- 開発のコストが高い
スパイラル型開発は、状況によって開発の方向性が変わります。そのため、開発の全体がイメージできなかったり、開発が長引いたりするケースがあります。開発が長引くと、その分コストも増えるでしょう。
スパイラル型開発が向いているプロジェクト
スパイラル型開発は、以下のようなプロジェクトに向いています。
- コストの低さよりも品質の高さを重視するプロジェクト
- 最新技術を採用するプロジェクト
- 顧客がシステム開発に関する知識を持っていないプロジェクト
- 開発中に仕様の変更が予想されるプロジェクト
スパイラル型開発で重視しているのは、システムの品質です。そのため、コストよりも品質を重視するプロジェクトには適しています。
プロトタイプ型開発
本格的に開発に進む前に、プロトタイプ(試作品)を作って顧客に体験してもらう方法です。プロトタイプを体験した顧客からの評価を参考に、実際に納品するシステムを開発していきます。流れとしては以下のとおりです。
- 要件定義
- 設計
- プロトタイプ開発
- プロトタイプの評価
- プロトタイプの修正
- 実際に納品するシステムの開発
- リリース
なお、プロトタイプ開発は2種類にわけられます。
種類 | 概要 |
---|---|
ラピッドプロトタイピング | プロトタイプを活用せずに、実際に納品するシステムを開発する。 |
ブレッドボード・プロトタイピング | プロトタイプを活用して、実際に納品するシステムを開発する。 |
プロトタイプ型開発のメリット
プロトタイプ型開発には、以下の3点のようなメリットがあります。
- プロジェクトの開始が早い
- 開発側と顧客側との認識の差を減らせる
- システムの品質が上がる
実際に納品するシステムに近いプロトタイプを体験してもらうため、開発側と顧客側との認識の差を減らせます。納品した際に、顧客がイメージしていたものと違うというトラブルを防げるでしょう。
プロトタイプ型開発のデメリット
プロトタイプ型開発には、以下の3点のようなデメリットがあります。
- 開発期間が長引く
- エンジニアの負担が大きくなる
- 開発コストが高くなる傾向にある
プロトタイプを参考に開発するとはいえ、修正や改善などを何度も行うとそれだけ開発期間は長期化します。開発期間が長期化すると、エンジニアの負担になったり、コストが増えたりするでしょう。
プロトタイプ型開発が向いているプロジェクト
プロトタイプ型開発は、以下のプロジェクトに向いています。
- 顧客側がシステムの開発を依頼したことがないプロジェクト
- 初めてのシステムを開発するプロジェクト
- UIを重視するプロジェクト
顧客が一度もシステム開発を依頼したことがない場合、どんなシステムを納品してもらいたいのか、具体的なイメージを持つのは難しいでしょう。
そのため、プロトタイプを体験してもらうことで、具体的なイメージがつきやすくなります。結果、ほかにどんな機能が欲しいのか、どんな点を修正して欲しいのかなど、具体的な意見が出てきます。
DevOps
開発の際に運用側の意見を取り入れ、連携して開発を進める方法です。システム開発において、開発担当者と運用担当者は異なるケースが多いものです。
そのため、双方の意見がぶつかることも珍しくありません。そこで、開発段階から運営段階の意見を取り入れることで、開発がスムーズに進行します。
DevOpsのメリット
DevOpsには、以下の2点のようなメリットがあります。
- システムの安定性が向上する
- 開発のスピードや効率が上がり生産性を向上できる
運用側の意見である、安定して運用したいという点を尊重するため、開発されるシステムは安定性が高いです。また、開発側と運営側とで連携し合うという相乗効果で開発のスピードが上がります。ユーザーの細かな要求にも、臨機応変に対応可能です。
DevOpsのデメリット
DevOpsには、以下の2点のようなメリットがあります。
- 開発側と運営側の連携が乱れると開発に影響が出る
- スケジュールの調整がしづらい
開発側と運営側の連携が重要なので、連携が乱れると開発に影響が出ます。たとえば、開発がストップしたり認識のズレが生まれたりするなどです。
DevOpsが向いているプロジェクト
結論としては、どんな種類のプロジェクトにも向いています。なぜなら、DevOpsは開発手法よりも概念として扱われるからです。
そのため、今回紹介したさまざまな開発手法と組み合わせて使われます。したがって、組み合わせる開発手法によって、向いているプロジェクトが変わるでしょう。
まとめ
システム開発には、基本的な手法として有名なウォータフォール型開発をはじめとした、5つの開発手法があります。それぞれメリットやデメリット、向いているプロジェクトが異なるため、システム開発を行う際は、自社のシステムに適したものを選びましょう。
なお、テクノデジタルでは、ウォーターフォール型開発やアジャイル型開発を採用しています。経験豊富なエンジニアが担当するので、ご検討中の方はぜひお問い合わせください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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