2023.10.25
インフラ構築とは?システム構築との違いやプロセス・注意点を解説
インフラ構築を自社で行えるか判断に迷ってはいませんか。実は、インフラ構築についての不明点が多いまま判断してしまうと、効果的なインフラ構築ができません。なぜなら、自社構築と外部委託には、それぞれメリットとデメリットがあるからです。
本記事では、自社構築と外部委託のどちらが現状に適しているか判断の助力となるよう、インフラについて解説します。現在、インフラ構築をご検討の方はぜひご覧ください。
この記事でわかること
- インフラエンジニアについて
- ITインフラ構築の手順、流れ
- ITインフラ構築を行う際の注意点
- 自社構築や外部委託のメリット・デメリット
目次
インフラエンジニアとシステムエンジニアの違い
エンジニアには、さまざまな種類がありますが、そのなかでも混同されやすいのが、インフラエンジニアとシステムエンジニアです。この2つの違いを説明するために、まずは、インフラやシステムについて解説します。
インフラとは
インフラとは、インフラストラクチャの略称で「基盤」という意味です。一般的には、国が管理している生活に欠かせないものをインフラといいます。たとえば以下のとおりです。
- 生活インフラ:水道、電気、ガス
- 交通インフラ:バス、電車、信号機
- 社会インフラ:病院、役所、港、学校、警察署
- 経済インフラ:空港、発電所、上下水道施設、通信設備
このように、インフラの種類はとても多いです。なお、本記事で紹介するインフラエンジニアのインフラは、ITインフラに分類されます。そこで次の節では、ITインフラについて解説します。
ITインフラとは
ITインフラとは、ITに関するものの基盤となる設備です。以下のように、ハードウェアとソフトウェアにわけられます。
- ハードウェア:物理サーバー、パソコン
- ソフトウェア:OS、ミドルウェア
企業のオフィスなどで用いられるインフラは、ITインフラのことを指していることがほとんどです。つまり、IT業界で「インフラを構築する」という言葉が出たら、ITインフラを導入するという意味になります。ITインフラ導入の例は、社内にネットワーク環境を整えることやサーバーの構築などです。
ITインフラは、目に見えるものではありません。しかし、ITを駆使した設備やサービスを成立させるためにはITインフラが必要不可欠です。そうしたITインフラを構築するエンジニアを、インフラエンジニアと呼びます。
システムとは
システムとは、以下のような仕組みの総称です。
- コンピューターなどの電子機器
- ソフトウェア
- 通信ネットワーク
- データ
つまり、システムエンジニアはこれらを開発・運営・保守するエンジニアのことです。結論、インフラエンジニアとは、開発するものに違いがあります。補足として、インフラエンジニアが基盤を作り、その基盤の上にシステムエンジニアがシステムを構築する、という説明をされることが多いです。
ITインフラ構築のプロセス
ITインフラ構築は以下のプロセスで行われます。
- 要件定義
- 全体設計と機能設計
- 構築
- テスト
- 運用
全体が把握しやすいように、それぞれ詳しく解説します。
要件定義
はじめに、必要な機能やユーザーの要望をまとめます。たとえば、導入するハードウェアやシステムの監視体制、セキュリティポリシーなどです。開発側と顧客側で意見をすり合わせておくと、開発がスムーズに進み、納品後にトラブルに発展することがなくなります。
要件定義をまとめたあとは、担当者全員で見直して、必要な機能や要望と不必要な機能や要望を分けていきます。この工程は、専門的な知識を持つ人が行うのが一般的です。
全体設計と機能設計
要件定義をもとに、ITインフラの設計を行います。手順としては、設計書を作成したあとに、アーキテクチャを決定します。アーキテクチャとは、ITインフラの構造のことです。
基本的には、全体設計を行ったあとに、より細かな部分を決める詳細設計を行います。
構築
設計書をもとに、実際にITインフラを構築します。ITインフラを導入したあと、不具合や事故を起こさないためには、この段階から導入後のことを考えなければいけません。たとえば、災害による非常事態への対応やセキュリティ対策などです。
テスト
続いて、要件定義や設計書のとおりにITインフラが動くかテストを行います。テストは3つの種類に分類されます。
テストの種類 | 概要 |
---|---|
単体テスト | それぞれの機能を単体で動かすテスト。要件定義を満たしているか確かめる。 |
総合テスト | 複数の機能を連携させて動かすテスト。機能は単体では動いても、連携させると動かなくなる場合がある。 |
システムテスト | ITインフラ全体を本番のように動かすテスト。処理速度や耐久値なども確認する。 |
問題が起きた場合は、その都度修正しつつ、再度テストを行います。
運用
テストで異常が確認されなかったら、実際に運用します。はじめは正常に動いていたとしても、時間が経つにつれ、なにかしらの要因で不具合が生じることもあるでしょう。正常に稼働させるためには、サーバーやネットワークの監視が必要です。
なお、ITインフラ構築の担当者と、運用の担当者は異なるケースがあります。その場合、運用担当者とできるだけ早い段階で関わっておくと、引き継ぎがスムーズになるでしょう。
ITインフラ構築における注意点
ITインフラを構築する際は、以下の3つに注意する必要があります。
- セキュリティ対策
- 可用性・快適性
- 耐障害性
トラブルを未然に防ぐためにも、ぜひ参考にしてください。
セキュリティ対策
外部からの不正アクセスや、情報漏洩といったトラブルからシステムを守るために、セキュリティ対策を行います。具体的には、以下のとおりです。
- アクセス制限をかける
- データの暗号化を行う
- 監視システムを導入して不正アクセスを検知する
セキュリティ対策は、ITインフラを構築するうえで避けては通れません。トラブルが発生したときの対応を学んだり、マニュアル化するのもセキュリティ対策の一種です。
可用性・快適性
ITインフラは、安定して運用できるように可用性や快適性が求められます。たとえば、通信の速度やボタンやスイッチの操作性です。
パソコンひとつにしても、通信の遅延が起こればユーザーのストレスや生産性の悪化の原因になります。このようなトラブルを起こさないためにも、可用性や快適性を重視しなくてはいけません。
耐障害性
ITインフラに障害が起きると、業務に支障をきたします。たとえば、通信障害やサービスの利用が不可能になるなどです。
最悪の場合、会社の利益に影響を及ぼすかもしれません。そのため、ITインフラでなんらかの障害が発生した際、迅速に対応できるように対策を整えておきましょう。
具体的な対策としては、マニュアル化が挙げられます。障害が発生した際の対応を記載したマニュアルがあれば、ITインフラの知識がない人でも安心です。
ITインフラ構築は自社構築・外部委託どちらにすべき?
ITインフラを構築する手段には、自社構築と外部委託が挙げられます。では、実際にITインフラを構築する際、どちらを選ぶべきなのでしょうか。結論は、自社の状況に適した方です。
とはいえ、判断材料がないことには、どちらが適しているかわからないものです。そこでこの章では、自社構築と外部委託のそれぞれのメリットとデメリットを解説します。自社構築、外部委託どちらにすべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
自社構築のメリット
自社構築のメリットは以下の3点です。
- スケジュールが柔軟に調整できる
- 自社内にノウハウが蓄積される
- コストを抑えられる
- 自社の情報が外部に共有する必要がない
自社のエンジニアを使って自社の設備で構築するので、スケジュールの柔軟な調整が可能です。また、ITインフラ構築を繰り返すことで、社内にノウハウが蓄積します。結果、ITインフラ構築を行うたびに、構築の質が上がっていくでしょう。
なお、自社内の情報や業務に精通しているエンジニアが構築するので、より現場のためになるITインフラが構築できます。そのため、自社構築は、高いスキルを持ったインフラエンジニアが社内にいる会社におすすめです。
自社構築のデメリット
自社構築のデメリットは以下の2点です。
- 高いスキルを持ったスタッフが必要
- 場合によってはコストが高くなる
ITインフラ構築には、高いスキルを持ったインフラエンジニアが必要です。
エンジニアになって日が浅い人が構築すると、ITインフラの構築まで辿り着けないおそれがあります。仮に構築できたとしても、不具合やトラブルが頻発するでしょう。そのため、自社構築を採用する場合は、高いスキルを持ったエンジニアを新たに採用しなければいけません。
外部委託のメリット
外部委託のメリットは以下の3点です。
- 高い技術を持ったエンジニアが対応してくれる
- クオリティの高いITインフラを納品してもらえる
- 保守などのアフターケアまで行ってくれることがある
インフラ構築会社は、インフラ構築のノウハウやスキルを持ったエンジニアが在籍しています。そうした会社に外注すると、ヒアリングや要件定義の段階から、優秀なエンジニアが対応してくれます。したがって、安定してクオリティの高いITインフラを納品してもらえるでしょう。
なお、インフラ構築会社によっては、保守やメンテナンスといったアフターケアも行うこともあります。
外部委託のデメリット
外部委託のデメリットは以下の2点です。
- 外注のための費用がかかる
- 社内情報を外部に共有しなければいけない
インフラ構築会社のエンジニアと社内の情報共有が必要です。共有が不足していると、エンジニアは要求どおりのITインフラを構築できません。
また、機密情報や個人情報を扱うため、なかにはセキュリティ面を懸念される人もいるでしょう。情報漏洩などを避けるためにも、外注先は慎重に選び、リーガルチェックを挟んだ契約を取り交わす必要があります。
ITインフラ構築に含まれる作業として、サーバー構築があります。こちらの記事では、サーバー構築における基礎知識をはじめ、目的に応じたサーバー選びを解説しています。
まとめ
インフラエンジニアとは、ITインフラを構築するエンジニアです。ITインフラには、物理サーバーやパソコン、OS、ミドルウェアがあります。ITインフラを構築する際は、要件定義、設計、構築、テスト、運用という手順で行うのが一般的です。
また、セキュリティ対策や耐障害性、可用性、快適性にも注意を払う必要があります。ITインフラを構築する方法としては、自社構築か外部委託が挙げられます。
どちらにもメリットとデメリットがありますが、おすすめは外部委託です。理由は、自社構築のデメリットの方が大きいためです。
なお、テクノデジタルではインフラ構築を承っております。高いスキルと豊富な経験を持ったスタッフが、ヒアリングから運用、保守まで対応いたしますので、ぜひお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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