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越境ECにおける物流の重要性|課題やおすすめの配送業者、選び方を紹介

越境ECを始める際に必要な準備の一つとして、物流網の構築があります。物流は自社の利益や顧客満足度にも大きく影響するため、自社の商品やサービス品質の方針に合わせて、最適な構築方法を選ぶことが重要です。


本記事では、越境ECにおける物流の重要性や課題、おすすめの配送業者を紹介します。選び方についても把握できますので、越境ECの参入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

なお、越境ECの概要については下記記事で解説しています。市場規模や成功するためのポイントについても触れていますので、ぜひ合わせてお読みください。


この記事でわかること

  • 越境ECにおける物流形態の種類
  • 越境ECの物流・配送業者を選ぶポイント
  • 越境ECに対応している物流・配送業者6選

越境ECにおける物流の重要性

越境ECにおける物流の重要性

越境ECにおいて物流が重要視されているのは、以下のような理由があるからです。

  • 物流コストが利益に大きく影響する
  • 配送品質が顧客満足度に直結する

ここからは、それぞれの理由について解説します。

もし越境ECの始め方が分からない方は、以下の記事を参考にしてみてください。出店方法の種類や必要な準備、注意点などについて解説しています。


物流コストが利益に大きく影響する

越境ECでは、物流コストが利益に大きく影響するため物流が重視されています。国内ECと比べると、越境ECにおける物流コストは高くなる傾向にあります。

単純に配送料が高くなるだけではなく、手続きのためのコストや、長距離輸送中の破損を防止するため梱包材のコストなどが発生することが主な原因です。

物流に多くの経費がかかってしまうと、当然利益が減少してしまいます。こうした特徴から、コスト最適化に向けた対策が必要です。

配送品質が顧客満足度に直結する

越境ECでは、スムーズに配送できるかどうかが顧客満足度に直結することも物流が重視される理由のひとつです。顧客が注文してから配送するまでの期間は、できるだけ短い方が望まれます。

特に越境ECでは、国内よりも長距離輸送になることから商品がお客様の元に届くまでに時間がかかるという問題があります。また梱包作業や出荷作業が滞ってしまうと、さらに長期化してしまうでしょう。


配送に関わる業務については、少しでも効率化することが重要です。また移動中に商品の品質の劣化がしないように工夫することで、顧客満足度の向上につながるでしょう。

越境ECにおける物流の課題

越境ECにおける物流の課題

越境ECを始めると、物流面において以下のような問題に直面することがあります。

  • 通関手続きに手間がかかる
  • 返品対応が難しい
  • 配送・在庫管理にかかるコストが高い
  • 厳重な梱包が求められる
  • 納期遅れが生じやすい

これらの問題を理解することで、より効率的に配送できるようになるでしょう。ここからは、それぞれの問題について解説していきます。

通関手続きに手間がかかる

海外に商品を発送することにより、通関手続きに手間がかかってしまうという問題が発生します。

たとえば、関税の手続きが必要だったり、海外の法律・規制に則った商品の通関の許可・申請が求められたりします。さらに取扱商品や発送する対象国によって法律や規制が異なるため、多品種を扱っている企業や複数の国をターゲットにしている企業ならますます複雑化するでしょう。


また、関税は基本的に顧客負担となるため、各商品の関税額を把握することも重要となります。ECサイトにも関税がかかることを記載しておかないと、トラブルに発展する可能性もあります。

返品対応が難しい

越境ECでは返品対応が難しいという問題があります。その理由は、多言語対応が求められることが関係しています。

返品対応が発生すると、仕入書や梱包明細書、船積依頼書などを購入者に発行してもらわなければなりません。また返品時は税関を通す必要があるため、さらに関税が発生します。こうした性質から、国内ECよりも返品対応が複雑化するという欠点があります。


また越境ECでは不良在庫のリスクを抱える可能性があるでしょう。その場合、処分方法として現地で破棄するという手段もあります。

このように、越境ECでは返品の代行サービスや返品・返金ポリシーを作成などの対応が必要になります。


配送・在庫管理にかかるコストが高い

配送料は日本国内よりも海外に送った方がコストが高くなるため、利益確保のために送料を意識した価格設定が必要になります。

たとえば、国内では定形外郵便物で500gの商品を送った場合390~510円程度で配送できます。ところが、EMS(国際スピード郵便)を利用した場合、1,450円はかかってしまうのです。


さらに在庫管理においても海外に物流拠点を置くことで、倉庫のレンタル代やスタッフの人員確保によってコストがかさんでしまいます。

厳重な梱包が求められる

海外に商品を発送すると雑に扱われる可能性があるため、しっかりとした梱包が求められます。日本の物流業者は世界的に見ても荷物の取り扱いが丁寧なので、国内と同じ梱包では商品が傷付く可能性があります。


なかでも割れ物や精密機械は破損しやすい可能性があるため、傷がつかないように強固に梱包することが重要です。

商品のサイズや性質に合わせて緩衝材や強固なテープを使用するといいでしょう。また中身によっては木箱による梱包をすることが求められます。

納期遅れが生じやすい

税関による荷物検査や配送工程の多さによって、納期が遅れるなどのトラブルが起きやすい

ことも大きな問題です。配送プロセスについては自社でのコントロール下にないため、確実に納期までに届けられるわけではありません。

とはいえ、納期が遅れてしまうと顧客の信頼につながるため注意が必要です。そこで税関検査や配送トラブルも考えて、理論的に考えられる到着日時から2~3日ずらして納期を伝えるようにするなどの工夫が必要になります。

越境ECにおける物流形態の種類

越境ECにおける物流形態の種類

商品の発送方法には、以下のようにいくつか種類があります。

  • 自社から直接配送する
  • 現地の物流業者と提携する
  • 物流業務をアウトソーシングする

ここからは、それぞれの方法についてどのようなメリット・デメリットがあるかを紹介していきます。

なおこれから越境ECを始める方に向けて、出店方法の種類や必要な準備について下記の記事で解説していますので、合わせてお読みください。


自社から直接配送する

スモールスタートで越境ECを行う場合は、自社から発送することをおすすめします。

自社から直接配送することのメリットは、物流コストを低価格で抑えやすいことです。不良在庫のリスクが少なく、現地の業者と契約する必要がないためすぐに始められます。


その一方で、1回あたりの発送料金が高くなり、利益率が低くなる点がデメリットです。また発送の際の税関手続きは自社で行わなくてはならず、ある程度の知識が求められます。


こうした性質から、発送件数が多い場合はほかの方法を検討するといいでしょう。

現地の物流業者と提携する

越境ECには、現地に物流拠点を置いて現地から商品を発送するという方法があります。この場合、自社に発注が入ってから現地の物流拠点に連絡をし、発送してもらうというプロセスになります。


現地の物流業者と提携することのメリットは、配送スピードが速くなることです。一度に複数の商品を税関に通せるので、手続きの手間を省けます。注文からすぐに商品が届くようになれば、顧客満足度にもつながるでしょう。


ただし、倉庫のレンタル費やスタッフの人件費などコストがかかることがデメリットです。

物流業務をアウトソーシングする

物流業務をアウトソーシングし、国内倉庫から発送するのもひとつの方法です。たとえば、フルフィルメントサービスに登録したり、業者と提携したりする方法があります。ほかにも、越境ECに対応できるECモールに登録することも可能です。


アウトソーシングすることのメリットは、規制やルールを覚える必要がなくなることです。その分のリソースを自社の本業に充てられるため、商品開発などに集中できるようになるでしょう。


ただし、デメリットとしては代行費用がかかることが挙げられます。またイレギュラー対応に弱いため、場合によってはスピーディーに対応できないこともあるでしょう。

越境ECの物流・配送業者を選ぶポイント

越境ECの物流・配送業者を選ぶポイント

配送業者を選ぶ際は、以下のポイントに着目することが大切です。

  • 重量やサイズの上限で選ぶ
  • 配送期間で選ぶ
  • 補償内容で選ぶ
  • サービス内容で選ぶ

ここからは、物流業者(物流全般をアウトソーシングできる業者)、配送業者(商品の集荷と配送が可能な業者)の選び方を紹介していきます。

重量やサイズの上限で選ぶ

サービスごとに配送可能な大きさや重量が異なるため、自社の取扱商品に合わせて最適なサービスを選ぶことが大切です。

たとえば家具などの大きいサイズの商品は取り扱えないこともあるため、最大重量やサイズは必ず把握しておきましょう。

また重量やサイズ以外にも、生鮮食品やDVDなど商品の種類によっては取り扱えないこともあります。後から「配送できない!」ことにならないよう、あらかじめチェックしておくことが大切です。

配送期間で選ぶ

注文から配送までにどれくらいの期間がかかるのかを重視して選ぶことも大切です。

特に品質が劣化しやすい商品や緊急性の高いものなどを送る場合に役立ちます。また、ほかのサービスよりも早く配送できれば、競合他社と差を付けられるでしょう。


輸送手段としては、船便や航空便がありますが、配送スピードを重視するなら航空便がおすすめです。

ただし、配送期間を優先して選ぶと配送コストが高くなる場合があります。配送コストによって利益率が下回らないよう注意が必要です。

補償内容で選ぶ

配送業者の補償内容で選べば、万が一トラブルが発生した場合でも安心です。

というのも、配送時に破損や紛失があれば、自己負担になる可能性があります。また、越境ECにおいては盗難のリスクも無視できません。そこで補償金額の高い会社を選び、できるだけ自己負担額が減るように工夫することをおすすめします。


サービスによっては補償金額の上限があったり、保険加入のコストが発生したりすることもありますが、紛失したときの自己負担を最小限に抑えられます。

サービス内容で選ぶ

配送業者によっては独自のサービスを展開していることがあるため、顧客満足度を向上させたい場合に有効です。たとえば、受け取り時間や受け取り方法を変更できるなどさまざまなサービスがあります。


また、商品の配送状況を確認できるなど安心感を持って欲しいと考えているEC事業者は、追跡サービスのある業者を選ぶようにしましょう。配送状況を把握できれば、顧客に配達状況を聞かれたときにすぐに対応できるようになり、安心してもらえます。

越境ECに対応している物流・配送業者6選

越境ECに対応している物流・配送業者6選

最後に越境ECに対応している物流・配送業者をご紹介します。本記事でご紹介するのは以下の業者です。

  • 日本郵便
  • ヤマト運輸
  • 佐川急便
  • FedEx
  • UPS
  • DHL

上記は物流業務全般や配送業務のみなどに対応できる企業です。各業者の特徴を知ることで、自社に最適な業者を選べるようになるでしょう。ここからは、それぞれの業者の特徴について解説していきます。

日本郵便

日本郵便

出典:日本郵便

日本郵便では国内の配送だけでなく、海外への配送も行っています。日本郵便で利用できる配達サービスは以下の通りです。

サービス 重さ・サイズ 追跡 送り方
UGX ~50kg 航空便
EMS ~30kg EMS
国際eパケット ~2kg 航空便

「EMS」とは国際郵便のサービスのなかでも最速で配達できるサービスで、世界120以上の国や地域に配送できます。ほかにも法人向けの「UGX」や「国際eパケット」などがあり、それぞれ扱える重量・サイズが異なります。

ヤマト運輸

ヤマト運輸

出典:ヤマト運輸

ヤマト運輸は「宅急便」のサービスで知られる宅配業者ですが、海外へ発送できる以下のようなサービスがあります。

サービス 送り方 特徴
国際宅急便 航空貨物輸送 ドア・ツー・ドアで配送できる
国際貨物輸送 航空貨物輸送
海上貨物輸送
ニーズ・シーンに合わせた最適な提案を受けられる

「国際宅急便」はドア・ツー・ドアで配送できるサービスです。自社から配送でき、送り状や支払い手続きがスマホでできます。

国際貨物輸送はニーズ・シーンに合わせた最適な提案を受けられるサービスです。二国間・三国間での回収物流などにも対応しているので、事業に合わせて相談できます。

佐川急便

出典:佐川急便

佐川急便には「飛脚国際便宅配便」という配送サービスがあります。世界220以上の国・地域を対象としていて、ドア・ツー・ドアでの配送が可能です。飛脚国際便宅配便の特徴は以下の通りです。

お取り扱いサイズ 1梱包3辺合計260cm以内・重量50kg以内
料金のお支払い方法 元払い(売掛)

利用方法は簡単で、飛脚国際宅配便出荷システムを使って送り状を発行し、集荷依頼をするだけです。営業所に連絡すれば担当セールスドライバーが集荷してくれます。

FedEx

FedEx

出典:FedEx

FedExはアメリカ発の輸送会社です。220カ国以上の地域に対応していて、対象国によっては1~3日程度でスピーディーに届けられます。

FedExの特徴は、専用アプリから以下のような機能を利用できることです。

  • 貨物の追跡
  • 料金と配達所要時間のお見積り
  • 国際貨物の出荷手配
  • 集荷予約と管理
  • FedEx営業所の検索
  • ヘルプアイコンとカスタマーサービスからのサポート

スマホから簡単に集荷予約や配送状況の確認ができるため、大変便利です。

UPS

UPS

出典:UPS

UPSはアメリカの貨物運送会社です。平均すると1日におよそ2,470万個の小口貨物を輸送することで知られていて、世界的に有名な宅配サービスでもあります。

UPSの特徴は、「UPSワールドワイド・エコノミー」という中小企業向けのサービスがあることです。配達日時は保証対象ではないものの、平均して5〜8営業日ほどで荷物を届けられます。

日本からアメリカ向けに発送される商品がターゲットとなっていて、以下の重量制限があります。

最⻑辺 122cmまで
最⻑辺と胴回り
(最⻑辺+(縦 x 2+高さx2))
330cmまで
最大重量 30kgまで

DHL

DHL

出典:DHL

DHLはドイツの大手国際配送会社です。世界220カ国異常の地域を対象としていて、比較的短時間で配送できます。地域によって異なるものの、基本的には2~5日ほどで配達が可能です。

DHLの特徴は、追跡機能があることです。「運送状番号」または「リファレンス番号」により、ホームページから荷物の追跡や輸送状況の通知メール設定、配達確認ができます。

また日本国内にも店舗があり、一部の店舗では24時間荷物の受付が可能です。

越境ECで利益を獲得するために物流網を最適化しよう

越境ECで利益を獲得するために物流網を最適化しよう

越境ECでは物流網を最適化することで顧客満足度の向上に繋がります。注文から到着までの時間を短くし、配送状況をメールでお知らせするなどの工夫によって安心して利用してもらえるでしょう。

物流形態にはいくつか種類があり、自社の成長段階や顧客のニーズに合わせて選ぶことが大切です。サービスも業者によって異なるため、メリットの大きい業者を選ぶと効果的です。その際、配送コストを把握して利益率が下がらないよう注意しましょう。

もし越境ECに関してお悩みや課題がある場合は、ぜひテクノデジタルにご連絡ください。弊社ではECサイト制作からマーケティング戦略立案まで行っています。お客様の事業に合わせた提案をいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。