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【徹底解説】越境ECとは?市場規模やメリット、成功するためのポイントを詳しく紹介

人口減少によって国内市場の縮小が予測されている中でEC事業者が売上を獲得するには、越境ECを視野に入れることが大切です。越境ECを活用することによりインターネットで日本の商品を海外に販売できるため、商圏を拡大できます。

ただし、越境ECについて適切に理解していないと、利益を得られにくくなる可能性があるため注意が必要です。

本記事では、越境ECの種類やメリット、始め方、成功するためのポイントを紹介します。越境ECをはじめたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 越境ECの基本情報
  • メリット・デメリット
  • 始める手順
  • 成功するためのポイント

越境ECとは?

越境ECとは?

越境ECとは、ECサイトによって国内から世界に向けて商品を販売する手法のことです。グローバルサイトとして自社サイトを構築したり、海外出品に対応しているECモールに出店したりすることで越境ECを始められます。

越境ECの大きな特徴は、世界中の人をターゲットにできるため売上の拡大を見込めることです。そのためには国や地域を絞り込み、現地の言語やニーズ、システムなどを取り込む必要があります。

もし国内で一定の売上を出していて目標に達成しているなら、越境ECに取り組む必要はありません。しかし事業拡大を考えている場合は、越境ECが有効な手段となるでしょう。

越境ECの市場規模

越境ECの市場規模

近年の越境ECの市場規模は拡大傾向にあります。

経済産業省が実施した2022年の調査によると、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆1,382億円で、前年より9.7%増加していました。また米国事業者からの越境EC購入額は2兆5,783億円であり、前年比べて11.5%増加していることが分かっています。

参考:経済産業省| 電子商取引に関する市場調査の結果

上記の調査結果から、今後も海外ユーザーからの需要は高まると考えられます。

さらに、2021年にはスマホの利用者数が世界で40億人を超えていることが明らかになりました。

参考:Strategy Analytics|Four Billion People Use a Smartphone

こうした情勢から、今後もスマホ利用者数の普及に伴い、世界中で日本の商品を購入する海外ユーザーが増えると考えられます。

EC市場の詳細については、下記記事にて解説しております。

越境ECの種類

越境ECの種類

越境ECには大きく分けて4つの種類があります。

  • ECモールによる越境EC
  • 自社サイトによる越境EC
  • 保税区を活用した越境EC
  • 販売代行サービスを利用した越境EC

それぞれの種類を知ることで、自社でどのような方法で越境ECに取り組むかが判断できるようになるでしょう。ここからは、それぞれの方法について解説します。

なお、ECサイトの種類など詳細については下記記事にて記載しておりますので、合わせてお読みください。

ECモールによる越境EC

近年よく利用されている方法が、ECモールによる越境ECです。海外への出店が可能なECモールや、海外のECモールを利用して出店することで商品を販売できます。

たとえば、海外への出店が可能なECモールの中でも有名なのがAmazonです。Amazonは国内販売で利用したことがある人も多く、国内ECモールと同じような方法で出店できるためスムーズに出品できるでしょう。

海外のECモールの例としては、中国のサイト「Tmall Global」や欧米のサイト「eBay」などがあります。

ECモールによる越境ECのメリットは出品方法が難しくないことです。ただし、海外に出品するため、通常よりも販売手数料が多くなり、利益率が下がる可能性があります。

自社サイトによる越境EC

外部のECサイトを利用せず、自社でECサイトを構築して海外に商品を販売する方法もあります。構築方法もさまざまで、完全オリジナルで作成するフルパッケージや、テンプレートを活用するASP型などがあります。

自社でECサイトを構築するメリットは、ECモールとは違って販売手数料がかからないことです。そのためECモールに出店する場合に比べてコストパフォーマンスが高い場合もあるでしょう。

その一方で、ECモールに比べて集客が難しいといったデメリットもあります。Web広告やSNS広告を出稿すればアクセス数も集められますが、その分出稿費が発生するためコスト管理が必要です。

保税区を活用した越境EC

中国向けに販売する方法としてよく用いられるのが、保税区を活用した越境ECです。

保税区とは、国内にある貨物を外国貨物として保管する場所のこと指しています。海外の保税区に自社商品を保管し、ECサイトから注文が発生したら発送するといった仕組みが採用されています。

保税区を活用した越境ECのメリットは、配送リードタイムを短縮できることです。注文からすぐに発送できるため、顧客満足度向上につながります。

さらに商品を一括運送すれば輸送コストを削減できるため、コストパフォーマンスが高くなります。

販売代行サービスを利用した越境EC

4つの方法のうち、最も簡単に利用できるのが販売代行サービスを利用した越境ECです。ECサイトのプロに依頼することで、出店や出品の準備、出店後の運営を全て任せられます。

販売代行サービスによる越境ECのメリットは、自社での出店の手間を省けることです。その分のリソースを商品開発などの本業に割けるため、業務効率が向上します。

その一方で、代行費用がかかるので売上額によっては赤字になる可能性もあります。また業務を委託するので、自社で出店する場合に比べて顧客情報が得にくいことも難点です。

越境ECのメリット

越境ECのメリット

越境ECには、以下のような3つのメリットがあります。

  • 販路を拡大できる
  • 実店舗よりもコストがかかりにくい
  • 競合との市場争いから抜け出せる可能性がある

これらのメリットを理解することで、目的意識を持って越境ECに取り組めるでしょう。また自社の課題解決につながるかもしれません。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。

販路を拡大できる

国内だけでなく海外に販売することでターゲット層が増えるため、売上の向上を期待できます。

近年の日本では少子高齢化が進み、人口が減少しています。今後はさらに国内マーケットが収縮する可能性があるため、売上の獲得がますます難しくなることが考えられるでしょう。

そこで越境ECによって販路を拡大することにより、世界中の人に商品を売れるようになります。特に日本の商品は海外から高い人気や信頼があるため、購入してくれる人が一定数いると考えられます。

実店舗よりもコストがかかりにくい

海外に店舗を出店するよりも、ECサイトで出品した方が低コストで商品を販売できるのが越境ECの大きなメリットです。

実店舗の場合、店舗の家賃や現地スタッフの人件費、店舗の立地の調査にかかる費用などさまざまなコストがかかります。一方越境ECの場合、受注管理やお問い合わせ対応を国内で集約できるため、経費削減が可能です。

こうした特徴から、越境ECは予算を抑えながら海外進出を行いたい企業に向いていると言えます。ECサイト制作に関する費用については、下記記事をご参照ください。

競合との市場争いから抜け出せる可能性がある

越境ECによって、競合との市場争いから抜け出せる可能性を見込めます。それは、国内では競合他社が多くいたとしても、海外に出品することで競合が少なくなる可能性があるからです。

海外では「日本の商品は品質が良い」と評価されているため、他国の競合他社よりやや高額で販売していたとしても、購入してもらえることも珍しくありません。

このように、国内では価格競争に困っていたとしても、海外で競合がいないことにより商品を高く売ることができるため、利益を獲得しやすくなります。

越境ECのデメリット

越境ECのデメリット

越境ECにはメリットがある一方で、経営において難しい点もいくつかあります。具体的には、以下のようなデメリットが存在します。

  • 配送料が高くリードタイムが長くなりやすい
  • 国や地域ごとに異なる対応が求められる
  • 為替変動によって利益が左右される

あらかじめデメリットを理解しておくことで、リスク回避をしながら運営できるようになるでしょう。ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。

配送料が高くリードタイムが長くなりやすい

越境ECは国内配送とは違ったプロセスを含むため、配送料が高くリードタイムが長くなりやすいといったデメリットがあります。

たとえば、商品を配送する際は貨物船や航空機を利用するので、輸送コストが高額になりやすいです。その際関税もかかるため、商品の価格を高くして売らなければなりません。

さらに配送時間も国内配送よりも時間がかかったり、経路が複雑化したりするため、輸送中に故障や紛失のリスクもあります。配送時間が長いと顧客満足度の低下にもつながるため、配送プロセスを工夫する必要があります。

国や地域ごとに異なる対応が求められる

国によって貿易に関する法律や規制、手続きが異なるため、各国に応じた対応が求められます。商品によっては、輸出の許可が必要な場合もあるので注意が必要です。

たとえば、アメリカに以下のような商品を輸出する場合は許可が必要です。

  • 食品(乳製品、食肉など)
  • アルコール飲料
  • タバコ製品
  • 銃器
  • 放射性物質
  • 生物学的薬剤
  • 野生動物
  • 自動車
  • ボート

参考:JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ)|貿易管理制度

またある商品を複数の国で販売する場合、各国のルールを把握しなければなりません。手続きや配送プロセスを確立するのにも、国内販売に比べて大きな手間がかかるでしょう。

為替変動によって利益が左右される

越境ECは日本円でなく各国の通貨で取引されるため、常に為替相場によって利益が左右されるのも大きなデメリットです。

たとえば円高になった際、換金したときに入金される金額が元の金額よりも小さくなることがあります。ただし、円安の影響によって売上が上がることもあるため、一概に損するとは言えません。

このような為替の変動により、商品の価格も変動させる必要があります。為替変動によって商品の価格も変動するとなると、低価格を売りにするのは難しいといった側面があります。

越境ECを始める手順

越境ECを始める手順

越境ECを始める際は、大きく分けて3つの手順が発生します。

  1. 商品を準備する
  2. ターゲットを設定する
  3. 出店方法を決める

これらの手順を理解することで、スムーズに進められるようになるでしょう。ここからは、越境ECをどのように始めればいいか大まかな流れを解説します。

詳細について知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

商品を準備する

はじめに、越境ECで取り扱う商品を準備します。

日本の商品は品質の高さや安全性から人気がありますが、必ずしも海外で売れるとは限りません。そこで販売したい国を絞り込む必要があります。

商品を準備する際の注意点は、その国の法律や規制を確認することです。商品によっては輸送できないものもあるため、事前確認が必須です。

また、配送が可能でも現地でよく販売されているものであれば収益になりません。利益が剥込めない場合は別の商品を販売できないか再検討しましょう。

ターゲットを設定する

販売する商品が決定したら、集客や販売方法の戦略を立案するために、ターゲットを決めます。ターゲット選定においては、以下のような属性を明らかにしましょう。

  • 地域
  • 年齢
  • 性別
  • 家族構成
  • 年収
  • 趣味・関心

上記の属性を細かく設定することで、ターゲット像がよりクリアになります。

またターゲット設定の段階で、ECサイトを利用する際どのような決済方法を利用しているのか確認することも重要です。国や地域によって異なるため、ターゲットの購入方法はリサーチしておきましょう。

出店方法を決める

上記で紹介したように越境ECにはいくつか出店方法があるため、どの方法を採用するのか具体的に決めていきます。

社内にノウハウが無い場合は、販売代行サービスを活用したり、ECモールに出店したりする方法が向いています。一方、社内にノウハウがある場合は自社でオリジナルのECサイトを構築することも可能です。

出店方法を決める際は自社の予算に合わせることはもちろん、語学スキルや外国や貿易に関する知識レベルを考慮することも重要です。無理に事業を拡大しようとするのではなく、現実的な方法を選びましょう。

越境ECで成功するためのポイント

越境ECで成功するためのポイント

越境ECで成功するためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • 越境ECに向かない商品を避ける
  • 多言語に対応できるようにする
  • ターゲットの国の文化や習慣からニーズを把握する

これらのポイントを意識することで、失敗を避けながら効率的な運営ができるようになるでしょう。ここからは、それぞれのポイントについて解説します。

越境ECに向かない商品を避ける

越境ECを始める際は、越境ECに向かない商品は避けるようにしましょう。商品によっては輸出入に規制がかかることがあります。特に、以下のような商品は要注意です。

一例
輸出規制のある商品 全ての固体廃棄物
麻薬
動物の死体
武器
虎の骨
サイの角
国際輸送(EMS)で輸送できない商品 スプレー缶
香水
花火・クラッカー
日焼け止め
マニキュア
ヘアトニック
アルコール飲料
電子タバコ
モバイルバッテリー
関税が高い商品 繊維製のコート
ジャケット
ズボン
スカート
シャツ、肌着
水着
ネクタイ(織物)
マフラー類

参考:JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ)|貿易管理制度

参考:郵便局|国際郵便として送れないもの

参考:税関|1204 主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー)

これらの商品は輸送できなかったり、利益を獲得するのが難しかったりするため、注意が必要です。

多言語に対応できるようにする

ECサイトを制作する際は、ターゲットの地域の言語に対応して制作しましょう。安易に英語対応するのではなく、地域の言語に根ざした対応が必要です。

ECサイトやECモールによっては、多言語対応できることもあります。多言語対応すればその分だけ市場が拡大します。

また単にサイトの言語を多言語対応するだけでなく、カスタマーセンターも各言語に対応するのが理想的です。各言語でサポートできる体制があれば、ユーザーが安心して利用できます。

ターゲットの国の文化や習慣からニーズを把握する

越境ECにおいては、ターゲットの文化や習慣からニーズを把握して商品を出品することが大切です。ただ人口が多いからという理由で商品を売ったとしても、その商品のニーズがなければ売上につながりません。

海外市場において売上を安定させるには、文化や習慣を把握してどんな商品が必要なのか、どのような販売方法が利用されているのかなど、ニーズに基づいた戦略を立てることが大切です。

そのためには、各国の決済方法を把握し、安心して購入できるサイトを構築するよう心がけましょう。

自社商品の海外ニーズを把握して越境ECを始めよう

自社商品の海外ニーズを把握して越境ECを始めよう

少子高齢化が進む日本では、今後ますます国内市場が縮小する懸念があります。越境ECによって市場を拡大することにより、売上の向上や競合との市場争いを抜け出せるといった効果を得られるでしょう。

ただし各国の規制を守るなど、異なる対応を行う必要はあります。配送プロセスを確立するなど、国内販売に比べて準備が必要です。越境ECを始める担当者の方は、ぜひこの記事でご紹介したポイントを参考にしてみてください。

もし越境ECに関して不安や疑問がある方は、テクノデジタルにご相談ください。ECサイトの制作から事業支援、マーケティングを行っています。弊社では常に最新の技術を研究し、お客様に最適な提案が行えるようにしています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。