2023.10.02
CRM・SFA・MAの違いとは?|それぞれの機能と導入の利点を解説
マーケティング業務や営業活動で顧客情報を管理するために、さまざまな企業がCRMやSFA、MAを導入しています。しかし、マーケティング部門や営業部門に配属されたばかりの人にとって、CRMやSFA、MAの違いがイマイチよくわからないという方もいるでしょう。
本記事ではCRM・SFA・MAの違いについて詳しく解説します。また、それぞれの導入目的や機能についても触れていきます。本記事を読むことで、メリットやデメリット、ツールの選び方についても把握できるでしょう。初心者の方は、ぜひ最後まで参考にしてみてください。
この記事でわかること
- CRM・SFA・MAの違い
- CRM・SFA・MAのメリット
- CRM・SFA・MAの選び方
目次
CRM・SFA・MAの違い
CRM・SFA・MAは混同されることがありますが、実際はそれぞれ以下のように異なっています。
CRM | SFA | MA | |
---|---|---|---|
概要 | 顧客関係を管理すること | 営業活動を自動化すること | マーケティングを自動化すること |
目的 | 戦略立案の判断材料 | 営業活動の効率化 | マーケティング業務の効率化 |
機能 | 顧客情報の管理機能 マーケティング支援機能 顧客分析機能 お問い合わせ内容の管理機能 |
見込み客の情報管理機能 案件の管理機能 営業スケジュール管理機能 |
LPやフォームの作成機能 リード管理機能 見込み客のスコアリング機能 メール送信機能 |
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係を管理することです。たとえばECサイトの場合は顧客名や住所、購入商品、購入金額などをデータ化して管理します。
SFAとは「Sales Force Automation」の略で、営業活動を自動化することです。主に営業担当者が利用するもので、顧客情報を活用して見込み顧客にアプローチします。
MAとは「Marketing Automation」の略で、マーケティングを自動化することです。基本的にはツールを用い、顧客情報によって見込み度合いを判断できるようになります。
このようにそれぞれ異なるCRM・SFA・MAですが、以下では目的や機能に関する違いを詳しく解説します。
なお、CRM戦略の立て方については以下の記事で解説しています。あわせてお読みください。
目的の違い
CRMの目的は、戦略立案の判断材料として使用することです。CRMツールによって顧客情報の収集や管理、分析を行えます。CRMによって顧客ニーズを把握できるようになるため、アプローチ方法を考え、経営戦略やマーケティング戦略に活かせるようになります。
SFAの目的は、営業活動を効率化することです。見込み客や顧客との商談情報や案件の情報を入力することにより、営業のノウハウが蓄積されるようになってより効果的な営業活動ができるようになります。こうした特徴から、SFAはあくまでも営業担当者向けの施策です。
そしてMAの目的は、マーケティング業務を効率化することです。MAツールは見込み客向けのツールで、これまで手動で行っていた作業が自動化できるようになり、リソースを有効活用できるようになります。
こうした違いから、段階としては以下のように使用します。
- MAツール…リード獲得や育成、商談獲得のフェーズで使用
- SFAツール…商談を開始してから受注獲得までに使用
- CRMツール…受注獲得から再購入(アップセル・クロスセル)を目指すために使用
機能の違い
CRMツールには、顧客情報を扱うための以下のような機能が備わっています。
- 顧客情報の管理機能
- マーケティング支援機能
- 顧客分析機能
- お問い合わせ内容の管理機能
たとえば、顧客からのお問い合わせ内容をデータ化することで、他部署との連携が可能です。
SFAツールには、営業活動に関する以下のような機能があります。
- 見込み客の情報管理機能
- 案件の管理機能
- 営業スケジュール管理機能
営業活動のひとつとして商談がありますが、営業スケジュール管理機能によってダブルブッキングを防ぐことが可能です。
そしてMAには、マーケティング業務に関する以下のような機能があります。
- LPやフォームの作成機能
- リード管理機能
- 見込み客のスコアリング機能
- メール送信機能
たとえば、見込み客をスコアリングすることでどの顧客に対してアプローチすればいいのかが判断できます。
ここまで基本的な機能を紹介しましたが、それぞれマーケティングや営業の段階によって、必要な機能が異なります。各部署でどのような戦略が必要なのかを考え、充分な機能が備わったツールを選ぶことが大切です。
また、ツールによっては、CRMとSFAが統合されているものもあります。統合されているツールが優れているというわけではなく、業務内容を考慮して選択する必要があります。
CRMを導入するメリット
CRMには、顧客との関係性を向上できるような以下のメリットがあります。
- 顧客満足度を向上できる
- 部署間で顧客情報をリアルタイムで共有できる
- 経営戦略に活用できる
これらのメリットを知ることで、自社の業務やプロジェクトにあわせて効率的に取り入れられるようになるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
顧客満足度を向上できる
CRMによって顧客情報により属性を分析し、それぞれの属性に対して最適なアプローチができるようになることがメリットです。
たとえば、ECサイトの場合顧客が購入した商品をデータ化することで、どのようなニーズがあるのか把握できるようになります。こうしたデータを元におすすめの商品を表示することで、次回も購入してもらえる可能性があります。
さらに顧客から問い合わせがあった際、過去のお問い合わせ情報にアクセスすることでや顧客情報の確認が簡単になるでしょう。業務フローが最適化されるとスムーズな対応ができるため、顧客満足度が向上します。
部署間で顧客情報をリアルタイムで共有できる
あらゆる顧客情報を一元管理でき部署間でも共有できるようになることも大きなメリットです。関係者全員が同じ情報を参照できるため、マーケティングにおける認識のズレがなくなるでしょう。
たとえば、顧客情報をカスタマーサポートに共有することにより、お問い合わせ時に顧客のプランや利用状況をすぐに把握できます。
また営業部門やお問い合わせ部門、マーケティング部門など、各部門がそれぞれで入力・管理する必要がなくなることから、業務効率化にもつながります。
経営戦略に活用できる
データとして蓄積された顧客情報を分析することにより、顧客の属性やニーズ、課題を把握できるようになります。
もしある層にAという製品がヒットした場合、Aに対する補完材Bを販売することで売上を拡大できるかもしれません。このように、顧客情報の分析によって根拠を持って戦略を立てられるようになります。
さらにマネジメント層にとってもCMRは貴重なデータとなるでしょう。自社の規模を拡大するためにも経営戦略の判断材料として活用できます。
SFAを導入するメリット
SFAを導入することにより、営業活動を効率化させるような以下のメリットを得られます。
- 営業活動を可視化できる
- 定型業務を効率化できる
- 教育コストを削減できる
これらのメリットを知ることで、営業活動を行う上で目的意識を持ってSFAを導入できるようになるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
営業活動を可視化できる
SFAによって案件情報や商談情報をデータ化することで、案件ごとの進捗をリアルタイムで把握できるようになります。
ツールによってはステータスが一目で分かるデザインになっているので、営業マネージャーにとっては進捗管理が簡単になるでしょう。すると部下に対してタイミングに応じた最適なアドバイスができるようになります。
また案件管理が簡易化されることで、営業担当者にとっては、次のアクションがわかるようになることも大きなメリットです。案件の抜け漏れがなくなりトラブルが発生しにくくなるでしょう。
定型業務を効率化できる
スケジュール管理や見積書の作成など、定型業務にかかる工数を削減できるようになることも魅力です。
ツールによってはスマホからもアクセスできる場合があり、外回り営業の担当者にとっては空いた時間に情報入力ができて便利です。またツールで情報共有ができるようになるため、状況報告のために一度会社に戻る必要もありません。
そして業務効率化によって生まれた時間は時間に余裕ができた分、新規顧客の開拓や商談の準備に使えるようになるので、営業力強化につながるでしょう。
教育コストを削減できる
営業担当者が案件や商談情報を入力し続けることで、社内にノウハウが蓄積されることも大きな強みです。
過去の類似案件から顧客のパターンを把握できるようになり、営業担当者はどんなアクションを取るべきなのかが判断できるでしょう。
さらに新人社員の学習に活用したり、時間や場所を問わずSFAで営業の学習を進められることから、教育コストの削減にもつながります。
さらに担当者が入れ替わった際も情報を共有できるので、属人化の解消にもなります。
MAを導入するメリット
MAを導入することで、以下のようなメリットを得られます。
- 顧客育成を効率化できる
- 見込み客と良好な関係を築きやすくなる
MAは多くの見込み顧客を持つ担当者に重宝されているツールです。これらのメリットを知ることで、現在行っている業務がより効率的に進められるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
顧客育成を効率化できる
MAを導入することで事務作業を自動化できることが大きなメリットです。
本来顧客一人ひとりに対して最適なコミュニケーションが求められます。ただ見込み客が増えるほどメールやレポートの作成など、マーケティング業務の事務作業も増えるため、コミュニケーションを取るのが難しくなるといった問題があります。
そこでMAツールを導入することで自動化できるようになるので、一人のスタッフでも複数の相手に向けて1対1のコミュニケーションを取りやすくなるのです。
見込み客と良好な関係を築きやすくなる
見込み客の情報よりニーズや購入意欲を把握できるようになるため、一人ひとりに対して最適なアプローチ方法を打てることも魅力です。
たとえば、MAツールによってWebサイトでの顧客の動きを可視化できるようになります。こうしたデータを分析することで見込み客の購買意欲を予測しやすく、顧客の購買意欲順にアプローチできます。
また意欲の高い人だけの情報を抽出して営業部門に共有することで、商談に持ち運びやすくなるでしょう。質の高いナーチャリングを行えるので、受注率や案件化率が高くなります。
CRM・SFA・MAを導入するデメリット
ここまでCRM・SFA・MAを導入するメリットについて解説しましたが、その一方で以下のようなデメリットが存在することも事実です。
- 導入や運用にコストが発生する
- 成果を出すには長期間の運用が必要となる
- データベースの構築に手間がかかる
これらのデメリットを理解することで、自社でCRM・SFA・MAが本当に必要なのかどうかを考慮できるようになるでしょう。ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。
導入や運用にコストが発生する
ツールの導入や運用でコストがかかるため、企業によっては費用対効果が見合わない可能性があります。
基本的には、機能が多いツールほど導入する費用が高くなる傾向です。もし不要な機能のあるツールを導入してしまった場合、コストがムダになってしまうでしょう。
そこで、ツールを導入する際はできるだけ費用対効果の高いツールを選ぶことが大切です。
そのためには、自社の課題を洗い出して、必要な機能を決めておきましょう。
成果を出すには長期間の運用が必要となる
顧客の育成は長期にわたるため、適切に運用できているかどうかを把握するのも時間がかかりやすいというデメリットがあります。顧客にアプローチをかけてもすぐにアクションを起こしてくれるとは限らず、成果が見えにくいのも事実です。
また最初はツールの使い方に慣れないことから、中には効果が得られないと感じる社員もいるでしょう。場合によってはトラブルが発展する可能性もあります。
こうした問題から、できるだけ効果を高めるためにも、社員にツールの使い方や効果を研修で伝えるなどフォローすることが大切です。社内全体で伝えることで、活用してもらえるようになるでしょう。
データベースの構築に手間がかかる
従来の顧客情報をデータベース化する際、一定の工数が必要となることも事実です。
たとえば、オフラインで手に入れた名刺の場合、自身でツールにデータを取り込む必要があります。必要な項目がない場合、その都度どのようにデータを登録するべきなのか考えなければなりません。
またフォーマットが異なると、より労力がかかってしまうこともあるでしょう。こうした問題から、ツールを導入する際はデータベースの構築に時間がかかることを考慮する必要があります。
CRM・SFA・MAの選び方
本記事ではCRM・SFA・MAの目的や機能について解説しましたが、それでもどれを選択すればいいか分からない場合は、以下のポイントを参考にしてみてください。
- 顧客ロイヤルティを向上させたい場合はCRM
- 営業力を強化したい場合はSFA
- 見込み客の育成に力を入れる場合はMA
ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
顧客ロイヤルティを向上させたい場合はCRM
新規顧客をリピーターにナーチャリングするには、CRMが最適です。
昨今では顧客ニーズが多様化しているため、最適なアプローチ方法を見つけることが困難です。そこで膨大な顧客情報からデータを抽出することで、顧客ごとにどのようにアプローチすればいいのかが見えてきます。
また顧客ロイヤルティを高めてリピーター化することにより、継続的に売り上げを獲得できるでしょう。競合に流れにくくなるため、事業の安定化を期待できます。
営業力を強化したい場合はSFA
自社の営業部門の負担が大きい場合や、コストの増加に悩みがある場合はSFAの利用がおすすめです。
SFAによって効率的に営業を進められるようになるため、リソースが足りていないときに役立つでしょう。またどの顧客を優先すべきかが分かるため、見込み客とのコミュニケーションに注力しやすくなります。
さらに、スケジュールの管理や引き継ぎも簡単に行えるようになるのも大きな利点です。情報共有によって属人化することなく営業活動できるようになります。
見込み客の育成に力を入れる場合はMA
そもそもリード客が少なくて悩んでいるという方は、MAツールを活用することをおすすめします。
よりリードを獲得するには、一人ひとりに対して適切なアプローチする必要があります。そこでMAツールで業務を自動化することにより、効率的かつ的確に顧客の求めている情報を提供できます。
またニーズの分析や顧客のセグメンテーションなどを行うことで、マーケティングのノウハウが身につくのもメリットです。ノウハウが蓄積され、将来的に商談数を獲得できるようになるでしょう。
CRM・SFA・MAの違いを把握してからツールを導入しよう
CRM・SFA・MAはそれぞれ目的や機能が異なるので、自社の事業プロセスや課題を踏まえてどれが必要なのか見極めることが大切です。ツールを用いることで顧客情報を蓄積できるようになり、より最適なマーケティング戦略を立案できるようになります。
ただし、これらの施策は導入してすぐに効果が出るわけではありません。顧客へアプローチしてもすぐにアクションを起こしてくれるとは限らないので、ある程度時間がかかることを考慮しておきましょう。
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投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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