2023.10.02
CRM導入のメリット4選|成功の秘訣とデメリットや注意点を詳細解説
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客関係性の管理のことを指し、マーケティング戦略を立てる際に非常に重要なものとなっています。しかし、CRMのメリットについて適切に把握しないと、導入しても効果のない施策になる可能性もあるでしょう。
本記事では、CRMを導入するメリットやデメリットについて解説します。また、成功するポイントや注意点についても詳しく解説しています。CRMが自社の課題解決につながるかどうかを把握できる内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- CRMを導入するメリット・デメリット
- CRMで成功するためのポイント
- CRMを導入する際の注意点
目次
CRMを導入するメリット4選
CRMとは、簡単に言うと顧客と良好な関係を構築するマーケティング手法です。最近では顧客管理ツールを導入するなど、積極的にCRMを取り入れる企業が増えています。
多くの企業がCRMを取り入れている理由は、以下のようなメリットを得られるからです。
- 顧客情報を一元管理できる
- 顧客満足度を向上できる
- 在庫管理の改善につなげられる
- 根拠のある経営戦略を立てやすくなる
ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
なお、CRM施策の具体策や実施手順については下記の記事で解説しておりますので、あわせてお読みください。
顧客情報を一元管理できる
CRM施策によって、部門間にわたって顧客情報を共有できるようになります。近年では優れたCRMツールも多く、営業部から企画部などでリアルタイムな情報の閲覧ができます。
たとえば、CRMツールによって以下のような情報管理が可能です。
- 顧客の名前
- 年齢
- 購入商品
- 購入日
- 住所
- ネットショップへの流入ルート
顧客情報を一元管理できるようになると、部門間での認識のズレがなくなりプロジェクトチームでの業務をスムーズに進められるようになります。
また詳しい顧客情報によって顧客理解が深まり、さらに効果的なマーケティング立案ができるようになるでしょう。
顧客満足度を向上できる
CRM施策では顧客情報を詳しく把握できることから、顧客一人ひとりのに合ったアプローチが可能になります。
たとえば、顧客ごとにおすすめの商品を紹介すれば、自社に興味を持ちやすくなるでしょう。顧客が求めている情報を提供することにより、良好な関係を構築できます。
ほかにも、あらかじめ顧客情報を把握することでお問い合わせに対しても円滑に対応できることも大きな利点です。問い合わせがあった顧客の状況を理解した上で受け答えができるため、サービス品質が高まることにより、顧客満足度が向上します。
このように、顧客満足度を高めることでリピーターが増加すると、結果的に自社のファンが増えるようになるでしょう。
在庫管理の改善につなげられる
顧客情報をデータ分析することによって、消費者動向を予測できるため在庫管理の改善につなげられます。
CRMツールには、各ユーザーの購入履歴や閲覧履歴などをデータ管理する機能があります。顧客データを活用することにより、消費者動向が見えてくるため商品の需要がわかるようになるのです。
こうした情報を活用すれば、どの時期にどれくらい商品を入荷すればいいか、適正在庫数を判断できます。
さらに適正在庫によって、欠品や過剰在庫のリスクを防げることも大きな魅力です。最終的には、在庫管理コストを最適化できるでしょう。
根拠のある経営戦略を立てやすくなる
顧客情報を分析することで、今後の消費者ニーズを予測できるのでマーケティング戦略を立てやすくなることも大きなメリットです。
たとえば、「Aを買う人は、Bも買っている」という傾向があった場合、「Aを購入した人にBをおすすめすれば売上につながるのではないか」といった仮説が立てられるようになります。
このように、仮説を立てて検証するプロセスを繰り返すことで、より効果的な戦略を打ち出せるでしょう。上手くいけば、売上の拡大につながる可能性があります。
なお、CRM戦略の立て方については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
CRMを導入するデメリット3選
ここまでCRMのメリットを紹介しましたが、同時にデメリットもいくつか存在します。
- 導入や運用でコストがかかる
- 適切に取り組まないと定着しない
- 成果が出るまでに時間がかかりやすい
デメリットについて理解することで、自社でどのように取り入れればいいのか判断できるようになるでしょう。ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。
導入や運用でコストがかかる
CRMで成功するにはツールを導入することが大切ではあるものの、実際に導入したり運用したりすると多大なコストが発生することも事実です。初期費用と月額費用はもちろんのこと、導入までの社員研修やツールの使い方の教育などのコストも発生します。
こうした特徴から、CRMは費用対効果を考慮して費用対効果を考えて導入すべきかどうかを検討する必要があります。そしてCRMを導入することが決まった際は、自社の状況を踏まえてCRMツール選定し、できるだけ低コストで抑えるよう工夫することが重要です。
適切に取り組まないと定着しない
CRMツールを導入しても、CRMの業務プロセスが決まっていなかったり、CRMツールの操作が難しかったりする場合は、うまく運用できない可能性があります。
それはCRM施策ではとくに初期段階でデータベースの構築が必要になっており、かなり労力を要するからです。この工程がうまくできないと、施策自体が難航してしまうかもしれません。
そこで社内でCRM運用が円滑にできるよう、事前に業務フローの作成やマニュアルの作成をする必要があります。また社内の担当者が簡単に操作できるツールを選ぶことも大切です。
成果が出るまでに時間がかかりやすい
CRMには、効果が数字で現れるまでに時間がかかるというデメリットがあります。その理由は、そもそも短時間で顧客との信頼関係を築くことが難しいからです。
こうした性質から、CRMで効果が出るまでは辛抱強く施策を行う必要があります。そこでCRMを導入する際は、ある程度時間がかかることを考慮して導入しましょう。もしCRM施策にリソースを費やすことでほかの業務に支障が出てしまう場合は、業務全体の優先順位を見直す必要があります。
CRMで成功するためのポイント
CRMで成功するには、以下のポイントを取り入れると効果的です。
- 目的や目標を明確にする
- CRMのプロジェクトチームを結成する
- 目標に向けて最適な戦略を構築する
- KPIを適切に設定する
- 自社に合ったツールを導入する
これらのポイントを意識することで、効率的にCRM施策に取り組めるようになるでしょう。ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
目的や目標を明確にする
CRMは目的によって導入すべき施策やツールが異なるため、なぜ自社でCRMが必要なのかどうかを明確にしなければなりません。
もし目的があいまいなままCRM施策を始めても、方向性がわからず施策がうまく進まないことがあるでしょう。場合によっては、見当違いなツールを導入してしまうかもしれません。
そこで、CRMを始める際は「メルマガでの集客数を伸ばしたい」「営業担当者の業務を効率化したい」など自社の課題を洗い出して具体的な目標を決めましょう。
CRMのプロジェクトチームを結成する
CRMは導入や運用に慣れるまでに時間のかかる施策であるため、安定した運用できるようになるまでチームを結成することをおすすめします。
具体的には、各部門で担当者を決めてCRMの定着を促進するという方法が効果的です。CRM施策の強みはそれぞれの部門で情報を共有できることにあり、部門ごとの代表者に部門内の意識を高めてもらうことができます。
そこで運用ルールの作成や業務プロセスの見直し、お問い合わせの担当を割り振ることが必要です。このように割り振っておくことで、CRM導入前や運用開始後にもスムーズに運用できるようになります。
目標に向けて最適な戦略を構築する
目的・目標が決定できたら、それを達成するためにどのような戦略を立てればいいのか考えていきましょう。
戦略を立てる際のポイントは、情報収集することです。自社の強みや製品の特徴、既存顧客のイメージなどさまざまな角度からデータを集めましょう。
情報収集してデータを参考にすることで、CRMで実施すべき対策が具体的に考えられるようになります。
KPIを適切に設定する
CRM施策においては、KPIを適切に設定することが大切です。KPIとは「重要業績評価指標」とも呼ばれ、目標達成の中間指標となるものです。
KPIを設定する際に大切なのが、プロジェクトで発生するフェーズごとに指標を決めていくことです。CRM運用後は、各フェーズにおいてKPIの達成度合いを把握できるようにしましょう。
なお、KPIは指標は数値化できて効果測定しやすいものがおすすめです。たとえば、「メールの開封率」「サイトへのアクセス数」「サイトの会員数」などが効果的です。
自社に合ったツールを導入する
CRMツールを導入する際は、自社に必要な機能が揃っているものを選ぶことが大切です。そのためには、自社の業務に必要な機能を洗い出しておきましょう。
たとえば、外部ツールと連携できる機能があるツールが存在します。自社ですでに利用しているツールがあるなら、連携させることで業務効率化につながります。
さらに、自社の担当者がスムーズにツールを使えるよう、視認性・操作性に優れたものを選ぶこともポイントです。CRMツールによっては大企業向けの製品や中小企業向けのがあるので、企業の成長段階にあわせて選びましょう。
ほかにも導入実績や料金、セキュリティなどの観点から選ぶこともおすすめです。優先順位を整理し、信頼できるツールを導入しましょう。
CRMを導入する際の注意点
CRMを導入する際は、以下のような注意点があります。
- 最初はスモールスタートで運用する
- ツールの導入のみで効果が出るわけではないことを理解する
- 施策について社内に周知しておく
これらの注意点を知っておくことで、CRMでよくある失敗やリスクを避けられるでしょう。ここからは、それぞれの注意点について解説します。
最初はスモールスタートで運用する
CRMは初めから本格的に始めようとするよりも、小規模で運用することをすすめします。いきなり社内全体で運用しようとするとトラブルが起きる可能性があるからです。
そこで1つの部門だけで運用するなど、スモールスタートで導入することで問題が業務に影響しにくく、改善点も探りやすくなります。また徐々に規模を大きくすることにより、トラブルを最小限に抑えられます。
こうした特徴から、CRMは業務フローや運用ルールを見直していき、最終的に全社で運用できるようにすることがポイントです。
ツールの導入のみで効果が出るわけではないことを理解する
CRMツールを導入したからと言って、必ずしも課題が解決できるわけではなことを知っておきましょう。それは、あくまでもツールはCRMの運用をサポートするためのシステムであるからです。
ただツールを導入しただけで業務フローや意識を変えないままでは、ツールをうまく活用できずに終わってしまう可能性があります。場合によっては、コストだけが無駄になってしまうでしょう。
CRM施策で成功するためにも、そもそも課題の解決方法としてCRMが適切であるかを判断する必要があります。CRM施策を始めることになった場合は、課題に合ったツールを導入しましょう。
施策について社内に周知しておく
CRM施策は複数の部門に関わる手法であるため、情報を共有して理解してもらうことが大切です。もしCRM施策についてなにも周知しないまま始めてしまうと、他部署の人から理解を得られず、協力してもらえないかもしれません。
そこで納得してもらうためには、顧客満足度の向上や業務効率化など、目的や導入すると得られる効果などを共有すると効果的です。
さらに経費にも大きく関わるため、経営層や管理職に説明して同意を得るようにしておきましょう。
CRMを活用したマーケティング事例
最後に、CRMを活用したマーケティング事例を3つご紹介します。これらの事例を参考にすることで、自社でどのように取り入れたらよいのかイメージしやすくなるでしょう。
なお、以下の記事ではCRMの成功事例10選を紹介しています。また実施するポイントや効果についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
日本ピザハット・コーポレーション株式会社
日本ピザハット・コーポレーション株式会社は、ピザの宅配サービス「ピザハット」で知られている企業です。
課題 | 自社ブランドを想起してもらうのが難しい |
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施策 | 「Salesforce Marketing Cloud」の導入 アプリのプッシュ通知 |
効果 | CV数が1.4倍に増加 |
同社には数ある宅配サービスから自社ブランドを想起してもらうのが難しいという課題がありました。
そこでCRMツール「Salesforce Marketing Cloud」を導入することで、アプリの活用状況データを一元化できるようになったそうです。またメールや電話よりもアプリからの注文が多いことが判明し、プッシュ通知を活用したところCV数が1.4倍に増加しました。
ミズノ株式会社
出典:ミズノ株式会社
ミズノ株式会社はスポーツブランド「ミズノ」で知られる企業です。
課題 | 会員メール作成に時間がかかっていた メルマガの成果を把握しにくい |
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施策 | 「カスタマーリングス」導入 |
効果 | メルマガ経由の売上向上 |
同社には会員メール作成に時間がかかっているという課題がありました。また部門間でメルマガの成果を把握しにくいことも指摘されていたそうです。
そこでCRMツール「カスタマーリングス」を導入したことにより、メルマガによる顧客の行動がデータ化され、分析結果に応じたコンテンツをツール上で作成できるようになりました。その結果、メルマガ経由の売上が向上しました。
レバレジーズ株式会社
出典:レバレジーズ株式会社
レバレジーズ株式会社は、主に人材紹介サービスを行っているベンチャー企業です。
課題 | 顧客情報を共有できない コミュニケーションミスが発生 |
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施策 | 「HubSpot」の導入 |
効果 | 顧客との関係構築 |
同社には顧客情報を共有ができないことからコミュニケーションミスが発生していたという課題がありました。
そこでCRMツール「HubSpot」を導入したことにより、複数の事業部で顧客情報を共有できるようになり、タスクの引き継ぎがスムーズになったそうです。また、顧客とのより良い関係を築ける環境が整えました。
CRMのメリットを把握して導入を検討しよう
CRM施策を始めることで、顧客と良好な関係を構築できるようになります。CRMツールで顧客情報を収集し、データ化することでよりユーザーニーズを満たしたサービスを提供できるようになるでしょう。
ただし、CRM施策は他部署の協力を得られないと効果が出にくいです。CRMを成功させるには、CRMツールの効果や各業務においてどのようなメリットを得られるのか周知しておきましょう。
もしCRM施策について疑問やお悩みがある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではお客様企業の事業にあわせたコンサルティングを行っています。アプリやWebサイト制作はもちろん、事業支援も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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