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DtoCとは?メリット・デメリット、成功事例と実施する際の重要ポイント5選

DtoCとは

ECサイトを運営しようと考えている方の中には、DtoCとは何か悩んでいる方もいるでしょう。DtoCとは、メーカーや製造者が店舗や仲介者を挟まず、直接ユーザーに販売することです。

本記事では、DtoCの概要を説明した上で、実施する際のメリット・デメリットを紹介します。DtoCを始める際のポイントや成功事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • DtoCとは何か
  • DtoCのメリット・デメリット
  • DtoCで成功するためのポイント

DtoCとは?直接ユーザーと取引を行うこと

DtoCとは?直接ユーザーと取引を行うこと

DtoCとは「Direct to Consumer」の略称で、「D2C」と表記されることもあります。より簡単に説明すると、事業者が自社で製造した商品を店舗や仲介業者を挟まず、直接ユーザーに販売することを指します。

以前からアパレルや美容、食品関係は実店舗を利用したDtoCを行うことが多くありました。しかし、近年のDtoCの傾向としてはECサイトを使って行う業者が増えており、実店舗よりもオンライン上での販売が一般的になってきています。

また、DtoCと類似する用語として「SPA」があります。SPAとの違いは、メインの販売方法が実店舗であるかECサイトであるかです。

SPAとは「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略であり、商品が製造したメーカーがユーザーに直売することを指します。

SPAを行っている企業には、ユニクロや無印良品などがあり、ECサイトも運営しているものの、実店舗での販売がメインとなっています。

それぞれ似ている部分はありますが、「ECサイトをメインとする業態はDtoC」「実店舗をメインとする業態はSPA」とポイントを抑えれば判断可能です。

DtoCを行うメリット

DtoCを行うメリット

DtoCを行うかどうか迷っている場合は、メリットがあるかどうかで判断してみましょう。企業がDtoCを行うことで、以下3つのメリットを得られます。

  • 利益を最大化できる
  • 顧客情報の収集と蓄積がしやすい
  • 顧客とのやり取りがしやすい

これらのメリットを理解することで、目的意識を持ちながらDtoCを行えるでしょう。効率的に進められるようになるので、必ずチェックしておいてください。ここからは、それぞれのメリットについて解説していきます。

利益を最大化できる

自社でECサイトを用いて販売を行えば、手数料や中間マージンを取られないため、利益の最大化が可能です。

ECモールを利用する方法もありますが、月額料金や販売手数料が発生することから、販売すればするほど手数料が取られてしまうのです。

たとえば、Amazonを利用する場合、大口出品プランを使うと毎月4,980円に加えて販売手数料と基本成約料が発生します。また、楽天市場では、月額料金が最低でも約19,000円発生するだけでなく、初期費用やシステム手数料などが発生し、利益が減ります。

そこで自社でECサイトを運営すれば販売手数料がなくなり、売上の全てを利益にすることが可能です。

なお、楽天市場の出店料については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【初心者向け】楽天市場の出店料はどのくらい?プランごとの初期費用や月額費用まとめ

顧客情報の収集と蓄積がしやすい

DtoCを行うと仲介業者を通さずに自社で直接販売ができるため、顧客情報の収集や蓄積がしやすいこともメリットのひとつです。たとえば、ECサイトを通じて以下のようなデータを収集できます。

  • 購入した商品履歴
  • ECサイトへのアクセス回数
  • 滞在時間
  • 離脱したページ

これらのデータをもとにECサイトの上の動きを分析すれば、ECサイトの改善につなげられます。またユーザーの属性ごとに施策を行えば、売り上げ拡大も実現できるでしょう。

顧客とのやり取りがしやすい

ECモールではなく、自社でECサイトを運営すると、コミュニケーションが取りやすくなることも大きなメリットです。

ECモールを使う場合は他のサイトへの誘導することを禁止されていますが、自社サイトでは問題ありません。そのため、アンケートフォームを作ったり、キャンペーンページに案内することも可能です。

またメルマガだけでなく、SNSを通じてユーザーと直接やり取りをすることも可能であり、ユーザーのニーズを直接把握できます。

DtoCを行うデメリットや注意点

DtoCを行うデメリットや注意点

ここまでDtoCを行うメリットについて解説しましたが、同時に以下のようなデメリットや注意点も存在します。

  • サイト構築時に多くの費用が発生する
  • 売上が安定するまで時間がかかる
  • 商品力やブランド力が必要になる

デメリットや注意点についても知っておくことで、リスクを回避しながら施策を立てられるようになるでしょう。はじめてDtoCを行う場合は、必ずチェックしておいてください。

ここからは、それぞれのデメリットや注意点について解説していきます。

サイト構築時に多くの費用が発生する

DtoCを行うために自社でECサイトを作成して環境を構築するには、多くの費用が発生することを理解しておきましょう。

特にECサイトはショッピングカートや決済システムなどの導入が必要になり、工程が複雑です。ECサイトを最初から構築する場合、最低でも100万円以上、細かくこだわれば1,000万円以上の費用が発生してしまいます。

こうした性質から、DtoCを行う際にはどの程度の費用をかけられるか、どこまで細かくこだわるかを明確にしましょう。

売上が安定するまで時間がかかる

DtoCを行う場合、最初から売上が安定するわけではないので、成果が出るまでは時間がかかってしまいます。

ECサイトを開設しても認知されていなければ顧客が集まりません。売上につなげるには、ブランド認知を上げながらファンを育てる必要があります。

ブランド認知が高い企業でない限り、DtoCを行ってもすぐに売上が伸びることはほとんどありません。これから始める場合には、売上が安定するまで時間がかかることを理解しておきましょう。

商品力やブランド力が必要になる

DtoCでは、取り扱い商品に魅力がなければ売れないため注意が必要です。たとえ商品ジャンル自体に需要があったとしても、商品自体に魅力がなければより安い類似商品にユーザーが流れてしまいます。

売上に繋げるには、「この商品が欲しい」と思わせられるような商品が必要です。自社商品のファンを育てるためにも、商品力やブランド力の訴求が必要になります。

競合にユーザーが取られないためにも、魅力的な商品を取り扱いましょう。

DtoCを行う際のポイント5選

DtoCを行う際のポイント5選

DtoCを行う際は、以下5つのポイントを意識しましょう。

  • 1.DtoCに適した商品を選ぶ
  • 2.ファンを作るための施策を行う
  • 3.競合との差別化を行う
  • 4.サブスクリプションを行う
  • 5.顧客満足度を意識して運営する

これらのポイントを取り入れることで、より効率的に売上につながるDtoCを行えるようになります。これからDtoCを始める方は、ぜひ参考にしてみてください。

ここからは、それぞれのポイントについて解説していきます。

1.DtoCに適した商品を選ぶ

DtoCを行う場合、DtoCに適した商品を選ぶと売上を伸ばしやすいためおすすめです。

経済産業省が実施した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、以下の商品はEC化率が高いです。

  • 生活家電、AV機器、PC・周辺機器等
  • 書籍、映像・音楽ソフト
  • 旅行サービス
  • チケット販売

生活家電は店頭で購入しても自宅に持ち帰るのに労力がかかります。そのため、ECサイトで購入してそのまま自宅に届けてもらうという人も多いです。

また、書籍やチケットのような内容が分かっているものについてもECサイトで購入される傾向にあります。

上記のように、ECサイトで購入することが当たり前になっている商品を扱うと売上に繋がりやすくなります。

2.ファンを作るための施策を行う

DtoCを始めただけでは顧客は集まらないため、ファンを作るための施策が重要です。そこで、ECサイトのブランド力を高めることはもちろん、ユーザーが喜ぶ情報を提供することも大切です。

具体的な施策として、オウンドメディアやメルマガ、SNSの活用などが挙げられます。ECサイトのターゲットの悩みをリサーチし、ECサイトにてどのように解決できるのかをオウンドメディアやSNSで提示します。すると、ECサイトに興味を持ってもらえるようになります。

たとえば、化粧品を扱っている場合は、自分に合う化粧品の選び方について発信すると興味を持ってもらえるでしょう。

このように、ECサイトだけで施策を行うのではなく、オウンドメディアやメルマガ、SNSなどほかのチャネルをかけ合わせると効果的です。

3.競合との差別化を行う

DtoCでは、ターゲットユーザーが競合に流れないように、差別化を行う必要があります。さまざまな商品が存在するなかで、金額や商品数だけでは差別化が難しいです。差別化が上手くいかないと、固定のファンが増えにくくなってしまうでしょう。

もちろん、金額や機能が魅力的であることは重要ですが、競合では得られない体験や世界観が作れているとリピーターを増やしやすいです。そこで、差別化を行うためには、自社の世界観や独自のストーリーなどを明確にすることが大切です。

とはいえ、ECサイトのみでブランディングを行うのは難しいです。そこで最も簡単にブランディングを始められるのが、SNSです。SNSは無料で始められるだけでなく、Googleとは違うアルゴリズムで拡散されるため、より多くのユーザーに認知されることを期待できます。

4.サブスクリプションを行う

サブスクリプションサービスを行うことで、中長期的な売上の確保を期待できます。サブスクリプションとは、月単位や年単位で料金を支払う定額サービスのことです。契約解除されるまではユーザーの支払いが継続します。

サブスクリプションといってもサービスはさまざまで、消耗品を定期的に届ける「消耗型サブスクリプション」や、毎回違う商品が届く「サプライズ型サブスクリプション」などがあります。商品やユーザーのタイプにあわせながら提供することが大切です。

サブスクリプションサービスがあれば、ユーザーにとってその都度購入する手間がなくなります。また他社の商品を購入するきっかけがなくなるので、自社商品の使用が定着するでしょう。

5.顧客満足度を意識して運営する

DtoCでは、ユーザーの満足度が重要となるため、顧客満足度を意識した運営が大切です。

たとえば、決済方法を複数用意することで顧客満足度の向上に期待ができます。クレジットカードだけでなく、電子マネーやコンビニ決済、銀行振込やネットバンキングの利用など、決済方法の種類は多い方がいいです。

また、商品の注文が入ったら、なるべく早く発送することも重要なポイントです。

商品の到着が遅いと不満に繋がってしまい、リピートしてくれなくなる恐れがあります。

できる限りスムーズに発送を行いつつ、状況を逐一伝えるとより顧客満足度が高まります。万が一発送が遅れる場合は、メールなどで連絡することで安心してもらえるでしょう。

このように、DtoCには顧客満足度が高まるような取り組みを行うことが必要です。

DtoCに成功している企業例

DtoCに成功している企業例

最後に、DtoCに成功している企業の事例を3つ紹介していきます。

  • Glossier
  • ボタニスト
  • バルクオム

これらの企業の成功事例を参考にすることで、自社がどのようにDtoCに取り組めばいいのかイメージしやすくなるでしょう。自社の商品や事業の取り組みを念頭に置きつつ、DtoCによってどんな風に売上を拡大できるのか、考える判断材料のひとつにしてみてください。

ここからは、それぞれの事例について解説していきます。

Glossier

Glossier

出典:Glossier

ニューヨークを拠点とするコスメブランドであるGlossierは、DtoCを成功させた企業として有名です。創業者は世界的なファッション雑誌であるVOGUEで働いた経験を活かし、月間140万人が訪れるファッションブログを運営しました。

このファッションブログを通してユーザーの声を取り入れたコスメブランドを立ち上げた結果、ファンの多いブランドとなっています。

ユーザーの声を聴きながらコンテンツを作り続けていることに加え、Instagramとの連携行ってファンを作り続け、売上を伸ばしています。

ボタニスト

ボタニスト

出典:ボタニスト

シャンプーやヘアケア商品のブランドとして有名なボタニストも、DtoCを成功させています。ボタニストはテレビCMを使わず、Instagramを始めとしたSNSによるブランディングを行いました。

成功したポイントは、ブランドの世界観を崩さないように運営を行ったことです。自社内にクリエイティブチームを設け、世界観を維持つつも様々な施策を行っています。

こうしたブランディングの結果、多くのファンを獲得し、現在でも人気ブランドのひとつとして店頭に並んでいます。

バルクオム

出典:バルクオム

バルクオムは男性向けのスキンケアという新たなブランドで人気を誇るコスメブランドです。

バルクオムがDtoCにおいて成功したのは、コンテンツ性が高いSNSの投稿や人気のインフルエンサーを活用したWebマーケティング戦略を行ったことがポイントです。SNSによってブランド認知が高まり、ファンを獲得することに成功しました。

初回購入時に割引を行い、試しやすい環境を作りながら、定期コースへ促して長期的な売上を確保しています。

メリット・デメリットを理解しDtoCで売上を伸ばそう

メリット・デメリットを理解しDtoCで売上を伸ばそう

DtoCは直接ユーザーと取引を行うマーケティング戦略で、ECサイトとの相性が良いです。大手ECモールに頼るのではなく、自社ECサイトから売り込めば、手数料がかからない分売上として利益を確保できます。

DtoCを成功させるポイントは、ファンを作り顧客満足度を高めてリピーターに育てることです。そのためにはユーザーニーズを把握し、次回の購入に繋がる施策を行いましょう。

もしDtoCを始めるにあたり悩みや疑問がある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイト制作を始め、ECマーケティングのコンサルティングも行っています。クライアント様の事業に合わせてソリューション提案いたしますので、是非お気軽にご連絡ください。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。