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アパレルECの現状と課題がわかる!成功させるポイントも解説

アパレル・ファッション業界ではEC化の動きが進んでいます。

ユニクロやドットエスティなど身近なアパレルECも増えていますが、すべてのECが成功しているわけではないため、現状と課題を知ることが大切です。

本記事ではアパレルECの現状と課題を詳しく解説します。代表的な成功事例や成功させるポイントにも触れますので、ぜひアパレルEC運営に役立ててみてください。

アパレルECとは?5つの種類を解説

アパレルECとは、衣類や服飾雑貨などを販売するファッション系のECサイトです。近年、ファッション・アパレルを取り扱うメーカーやブランドがECサイトに力を入れる事例が増えています。

アパレルECは形態がいくつかあり、特徴がさまざまです。下記の表を参考にして、アパレルECの種類について、特徴を理解しましょう。

種類 特徴
メーカー・ブランド直営 ・実店舗を持つメーカーやブランドが運営

・ブランド独自のキャンペーンやサービスを展開
・実店舗と連動したサービスがトレンド

ECモール ・さまざまなメーカーやブランドが出店
・モール自体に集客力がある
個人経営 ・ネットショップ作成サービスなどを活用し個人で運営
・マーケティングや品揃えの自由度が高い
ネットオークション・フリマアプリ ・出品者が価格を決められる
・簡単に商品を販売できる
サブスクリプション ・洋服やアクセサリーをレンタル ・レンタルして気に入ったものは購入可能

ECサイトの種類やモール型のECサイトについては以下の記事でも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

アパレルECの代表的な成功事例

アパレルECのイメージを膨らませるために、代表的な成功事例を5つチェックしていきましょう。

  • ユニクロ公式オンラインストア|UNIQLO(ユニクロ)
  • .st(ドットエスティ)|アダストリア
  • BAYCREW`S STORE|ベイクルーズ
  • ONWARD CROSSET|オンワードホールディングス
  • mix.TOKYO|TSIホールディングス

上記のECサイトは日本ネット経済新聞の調査において、2022年の売上高トップ5にランクインしました。

それぞれのECについて、これまでの取り組みや特徴を解説していきます。

ユニクロ公式オンラインストア|UNIQLO(ユニクロ)

引用:ユニクロ公式オンラインストア

ユニクロでは、ユニクロ公式オンラインストアを運営しています。デジタル広告やテレビCMに力を入れ、ECサイトに顧客を誘導しているのが特徴です。

販売チャネルを統合し、シームレスな購入体験を提供する「オムニチャネル」を推進し、実店舗とECサイトを連動させています。

アプリも効果的に活用し、カメラ機能でおすすめのサイズがわかる「MySize ASSIST」やアプリで注文して店舗で商品を受け取れる「ORDER&PICK」といった機能が評判です。

.st(ドットエスティ)|アダストリア

引用:.st(ドットエスティ)

アダストリアでは「niko and…」「RAGEBLUE」「STUDIO CLIP」など複数のアパレルブランドを取り扱うECサイト「.st(ドットエスティ)」を運営しています。

スタッフのコーディネート写真を投稿し、自分の好みや体型に合ったスタッフを参考にできるサービスが特徴です。

購入したことのあるアイテムデータが保存され、気になるアイテムと比較でき、オンラインでも着用イメージを膨らませやすくなっています。

BAYCREW`S STORE|ベイクルーズ

引用:BAYCREW`S STORE

BAYCREW`S STOREでは「JOURNAL STANDARD」「IENA」などのアパレルブランドを取り扱っています。

スタッフのスナップ写真や特集記事などを発信し、購入を検討しやすい環境を整えているのが魅力です。

より自分に合ったアイテムを選べるように、骨格診断×パーソナルカラー診断ができます。診断結果別におすすめのアイテムを紹介し、ユーザーをサポートしているのも特徴です。

ONWARD CROSSET|オンワードホールディングス

引用:ONWARD CROSSET

ONWARD CROSSETでは、23区や組曲などのアパレルブランドを展開しています。オンワードホールディングスは2030年度までにEC化率5割を目指し、ECサイト運営を推進している企業です。

メンバーズ会員へのアンケート調査を実施し、より良いサイトづくりを続けているのが特徴です。

商品を店頭に取り寄せて試着できるサービス、定期的に配信しているライブコマースなど、実店舗との連携やマーケティングにも力を入れています。

mix.TOKYO|TSIホールディングス

引用:mix.TOKYO

mix.TOKYOは「NANO universe」「JILL STUART」などを展開するECサイトです。

スタッフのコーディネートコンテンツに力を入れ、おすすめコーデや新着コーデなどを投稿しています。

スタッフごとのページにてコーディネートをまとめてチェックできるようにしており、この工夫がファン獲得に繋がっている点も特徴です。

アプリでは、ダウンロード特典として最大1,500円のクーポンをプレゼントしています。プッシュ通知で新作情報やセール情報を届け、リピートを促しているのは参考になるポイントです。

アパレルECの現状

アパレルECをスタートさせる前に、業界の現状を知る必要があります。

伸びるチャンスがあるのか、競合はどのくらいいるのか、何がトレンドなのかを理解すれば、取り組むべきことが見えてくるはずです。

アパレルECの現状を3つのポイントで解説します。

  • 市場規模・EC化率は拡大を続けている
  • サステナブルファッションがトレンドになっている
  • オンライン接客の強化が進んでいる

市場規模・EC化率は拡大を続けている

経済産業省が発表した「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、アパレルのEC市場は拡大を続けています。

2019年から2021年の市場規模とEC化率は、以下の通りです。

2019年 2020年 2021年
市場規模(億円) 19,100 22,203 24,279
EC化率 13.87% 19.44% 21.15%

引用:経済産業省|電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

市場規模と同様に、EC化率も伸び続けているため、ECサイトに力を入れるアパレルメーカー・ブランドが多いことがわかります。

拡大の理由のひとつは、新型コロナウイルス感染症の影響です。外出自粛や来店控えによって実店舗がダメージを受け、ECサイトに転換する事業者が増えました。オムニチャネルやオンライン接客などに力を入れた結果、市場全体が成長しています。

EC市場については以下の記事でも解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

サステナブルファッションがトレンドになっている

世界的にSDGsや持続可能性といったキーワードが注目され、サステナブルが重視されています。

ファッション・アパレル業界にも変化があり、大量生産によって安く購入できるファストファッションは持続可能性の観点から転換を求められました。

古着をリサイクルしてつくったり、1着を長く着たりするなどのサステナブルファッションがトレンドになりつつあります。

サステナブルファッションが定着すれば、環境に配慮したアイテムづくりや購入頻度が少なくなることが考えられるので、アパレルEC運営にも工夫を求められるでしょう。

オンライン接客の強化が進んでいる

アパレルECでは、実店舗のように商品を手に取れず、着用イメージを膨らませにくいのが課題です。課題を解決するために、アパレルECの多くがオンライン接客に力を入れています。

コーディネートを気軽に相談できるチャットサポートやVRを活用したバーチャル試着、ファッションのイメージが湧くスナップ写真の投稿など、オンラインでも購入しやすいように顧客をサポートするのがトレンドです。


アパレルECでぶつかりやすい課題と解決策

アパレルECは伸びている市場ですが、気を付けたい課題も多くあります。主な課題は、以下の5つです。

  • EC化に活路を見出すライバル・競合が多い
  • 小売店の数が多くまだまだECは定着していない
  • 商品を着用するイメージを膨らませにくい
  • 自社ECの集客が難しい
  • モールと自社ECの併用では在庫管理に工夫が必要になる

上記の課題に加えて、解決策も解説しますので、あらかじめ対策を練っていきましょう。

EC化に活路を見出すライバル・競合が多い

アパレル市場のEC化率は近年伸びているため、EC化に力を入れるメーカーやブランドが増えています。

市場にチャンスがある一方で、競合が多いため、ECサイトを開設するだけでは埋もれてしまうリスクが高いです。

競合の多い市場で戦うためには、差別化が重要になります。他社にはないアイテムを取り揃えたり、独自のコンテンツを配信したりするなど、自社だけの強みを押し出しましょう。

小売店の数が多くまだまだECは定着していない

日本にはアパレルの小売店が多いため、実店舗で衣類を購入するユーザーが多いです。EC化率は上昇しているものの、まだECが定着しているとは言えません。

ただ、コロナ禍の巣ごもり需要によってECを利用する層が増えたため、今後ECが定着していくと予想されます。

アパレルECが飽和する前にタイミングを逃さず参入し、需要をしっかり捉えることが重要です。

商品を着用するイメージを膨らませにくい

アパレルECでは、商品を実際に着用できないので、試着できる実店舗よりも購入までのハードルが高いです。

着用イメージが湧く工夫がなければ、アイテムの販売が難しく、売上が伸び悩むでしょう。

アパレルECならではの課題を解決するためには、コンテンツの充実が鍵です。

コーディネート写真の投稿、実演で商品をアピールするライブコマースなど、オンラインでもイメージを膨らませやすい環境を整えましょう。

自社ECの集客が難しい

自社ECは独自の品揃えやマーケティングを実施しやすいものの、ゼロから集客するのは簡単ではありません。

実店舗のようにふとしたときに目に入る機会は少なく、自ら顧客を獲得する必要があります。

自社ECの多くが集客に力を入れているため、競合との差別化も重要です。

集客方法にはSNSや広告、SEOなどさまざま手法がありますが、やみくもに実施しても効果は期待できません。

ターゲットにすべき顧客像、競合が発信しているコンテンツなどを分析した上で、効果的な集客を実践しましょう。

モールと自社ECの併用では在庫管理に工夫が必要になる

集客力のあるECモールと自社ECを併用する場合は、在庫管理に注意が必要です。

たとえば、自社ECにユーザーが訪問したものの在庫がなく、ECモールには在庫があった場合に販売機会を逃してしまいます。

販売機会を逃さないためには、それぞれの在庫をしっかり確保することはもちろん、一元管理サービスに対応したモールを利用するのがおすすめです。

納品した在庫をモールと自社ECに振り分けられるため、有効に活用してみましょう。

アパレルECを成功させるポイント

アパレルECを成功させるためには、ぶつかりやすい課題を適切に解決する必要があります。

特に重要なポイントは、以下の3つです。

  • 実店舗に近い購入体験を提供する
  • モールと自社ECを併用し流動的に集客を図る
  • 実店舗と連携させたオムニチャネルを実施する

自社ECに合った対策を実施し、アパレルECを効率よく伸ばしていきましょう。

実店舗に近い購入体験を提供する

実店舗で確認できるサイズや素材、コーディネートなどをイメージしやすいように、オンライン接客に力を入れましょう。

たとえば、ユニクロのアプリで利用できる「SizeASSIST」はサイズ確認がしやすく、.stではコーディネート写真で着用イメージが湧きやすくなっています。

他にも、商品紹介にライブ配信やSNSを使ったり、チャットサポートを用意したりするなど、さまざまな方法で実店舗に近い購入体験を提供しましょう。

モールと自社ECを併用し流動的に集客を図る

ECモールと自社ECは、どちらかに特化するよりも併用するのがおすすめです。

ECモールは集客力が魅力ですが、出店している他のメーカーやブランドとの価格競争に巻き込まれるリスクがあります。

自社ECは集客は難しいものの、独自の販売戦略を打ち出せるのが特徴です。

ECモールでメーカー・ブランドの認知度を高め、自社ECへ顧客を効果的に誘導できれば、両者の強みを生かせます。

集客のハードルを越えられてから、独自性を出しやすい自社ECに特化すると良いでしょう。SNSやアプリなどで顧客を囲い込み、新規顧客やリピーターを獲得することが重要です。

実店舗と連携させたオムニチャネルを実施する

実店舗を展開している場合は、ECサイトと連動させたオムニチャネルに力を入れましょう。

店舗で在庫がなかった商品をECで案内したり、ECで購入した商品を店舗で受け取れたりするシステムによって、店舗とECにこだわらず快適なショッピングを提供できます。

店舗とECに限らず、SNSやアプリなどさまざまなチャネルを連携し、顧客の満足度を高めましょう。

アパレルECを理解し自社ECを成功させよう

アパレルのEC市場は、規模とEC化率がどちらも成長しています。コロナ禍をきっかけにECに力を入れるメーカーやブランドが増え、オンライン接客の強化によって拡大を続けている市場です。

EC化する競合の多さや集客の難しさといった課題を差別化やECモールとの併用などの対策でクリアできれば、大きく成長させられるチャンスがあります。

当社では、事業支援やマーケティングなどのコンサルティングサービスを提供しています。企画段階から運営までサポートしていますので、まずはお気軽にご相談ください。


投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。