2024.05.29
中国の人気主要ECサイト売上ランキング!市場規模や成長の背景を解説
中国進出を検討している担当者の中には「中国のECサイト市場はどうなっているの?」といった疑問を抱いている方がいるかもしれません。また、「中国の代表的なECサイトとその特徴を知りたい」と考えている方もいるでしょう。
本記事では、中国の人気主要ECサイトを売上ランキングで紹介します。ほかにも、市場規模や成長の背景についても触れていきます。本記事を読むことで、中国のECサイト市場について理解できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 中国の人気主要ECサイト
- 市場規模
- 成長の背景
目次
中国の人気主要ECサイト売上ランキング
2021年に日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表した「中国EC市場と活用方法」によると、中国のECサイトの売上ランキングは以下の通りです。
出典:中国 EC 市場と活用方法|日本貿易振興機構(ジェトロ)
ここからは、中国の人気主要ECサイトをそれぞれ紹介していきます。
1位:天猫(Tmall)
出典:天猫
中国ECサイトランキング1位は天猫(Tmall)です。天猫は中国最大手のアリババグループが運営していて、経済産業省の調査結果によるとシェア率は42.7%を占めています。売上高は8,530億6,200万元(約16兆2,000億円)です。
天猫が1位にランクインしている理由は、偽物や模造品の排除をする取り組みを行ったからです。こうした徹底ぶりによってユーザーから信頼を獲得し、売上を伸ばすことができました。
2位:京東(JD.com)
出典:京東
中国ECサイトランキング2位は、京東(ジンドン)です。経済産業省の調査結果によるとシェア率は19.1%を占めています。売上高は8,663億元(約16兆1,847億円)です。
京東が上位にランクインしているのは、天猫と同様に偽物や模造品の排除をする取り組みが大きく関係しています。また、世界初のドローン配送に取り組むなど、新しい施策も積極的に取り入れているのが特徴です。
3位:拼多多(Pinduoduo)
出典:拼多多
中国ECサイトランキング3位は、拼多多(Pinduoduo)です。経済産業省の調査結果によるとシェア率は15.5%を占めています。売上高は355億元(約6,583億円)です。
拼多多の特徴は、中・低所得者をターゲットにしていることです。ランキング1位・2位の天猫や京東のターゲット層から外すことで、3位にランクインすることができています。
4位:蘇寧易購(Suning.com)
出典:蘇寧易購
中国ECサイトランキング4位は蘇寧易購(Suning.com)で、売上高は2,522億9,600万元(約4兆1,900億円)です。
蘇寧易購の特徴は、家電の販売に力を入れていることです。品質にこだわることで、模造品や粗悪品も多い中国国内でも信頼を得ることができました。
5位:唯品会(VIP)
出典:唯品会
中国ECサイトランキング5位は、唯品会(VIP)です。売上高は358億元(約5,800億円)です。
唯品会ではアパレルやジュエリーを扱い、女性をメインターゲットにしています。海外のアパレルブランドも出店していて、正規品を安く購入したいユーザーから支持を集めています。
中国のEC市場規模
中国のEC市場規模は、2023年の日本貿易振興機構(ジェトロ)の発表によると、2023年では3兆236億ドルだと推計されています。
この数字から、世界全体の半分以上を占め、EC市場が急激に拡大していることがわかります。ちなみに、2位はアメリカで1兆1,634億ドル、3位はイギリスで1,959億ドルです。日本は世界4位で1,934億ドルとなっています。
中国はEC化率が世界トップ
2023年の日本貿易振興機構(ジェトロ)の発表によると、中国のEC化率は世界トップです。EC化率とは、商取引全体に対してECの市場規模がどれくらい占めているのかを表す指標のことです。
中国のEC化率は、45%を超えています。世界全体で見ると平均は20.2%、日本では13.7%であるため、大きく上回っていることがわかります。
中国のEC市場が成長している理由
中国のEC市場が成長している理由として、以下の特徴が挙げられます。
- インターネット普及率の拡大
- 中間層や富裕層の増加
- キャッシュレス決済の浸透
- BtoC ECの利用が増加している
- OMO戦略の活発化
- 独身の日(ダブルイレブン)セールの認知拡大
- インフルエンサーマーケティングが盛んに
これらの理由について知ることで、中国のEC市場についてより詳しく理解できるでしょう。ここからは、それぞれの理由について解説します。
インターネット普及率の拡大
中国日本商会が発行した「中国経済と日本企業 2023年白書」によると、中国ではインターネット普及率が75.6%にまで達していると発表されています。
その背景には、「村村通」という施策が関係しています。村村通とは、農村部までインターネットサービスを提供させる政策です。これにより、2022年の中国インターネット利用者数は10億6,700万人を突破し、2021年より3,500万人以上も増加しました。
このように、インターネット普及率が急激に拡大していることも、中国のEC市場を成長させている理由のひとつです。同調査の「インターネットサービス利用状況」では、ECサイトの利用率が80%程度で推移しており、中国のECサイト利用率の高さがうかがえます。
中間層や富裕層の増加
中国では「中間層」や「富裕層」と呼ばれる、ECサイトでのショッピングに興味関心が高いユーザーが増えたことも市場拡大の要因の一つです。
中国国家統計局の基準によると、中間層とは3人家族で年間所得が10~50万元の層を指しています。中間層や富裕層は、高品質かつ低価格の商品を求める傾向です。
中間層が増加したことにより、年代や性別ごとに多様な購買行動を取るようになっています。商品によっては、海外から購入しようとするケースも珍しくありません。
キャッシュレス決済の浸透
中国のEC市場が成長している理由として、キャッシュレス決済が浸透していることも挙げられます。
中国では2015年3月に「互聯網+(インターネットプラス)行動計画」を発表しました。この政策は、国をあげてキャッシュレスを推進するものでした。中国ではスマートフォン普及率が高いため、QRコードや電子マネーでの決済が利用しやすい環境が整っていると考えられます。
また、天猫(Tmall)を運営するアリババグループが提供する「Alipay」があることも、キャッシュレス決済の浸透に拍車をかけています。その結果、チェーン店だけでなく個人経営の店や屋台でもキャッシュレス決済が利用可能な状態です。
BtoC ECの利用が増加している
かつて中国ではCtoC ECが盛んでした。CtoC ECは日本のサービスで言うと、「メルカリ」や「ヤフオク!」のようなサービスです。しかし現在では、BtoC ECの利用が増加していることも市場規模が拡大している一因です。
中国ではCtoC ECで家電や高級ブランド品、バイクなどが多く扱われていました。しかし偽物や模倣品がまぎれていることも多く、現在では信頼性の高い企業から購入したいというニーズが増えてきています。
こうした背景を踏まえ、「天猫(Tmall)」や「京東(JD.com)」は出店条件を厳しくし、偽物や模造品を排除するための取り組みを実施し、BtoC ECへの移行が進んでいると考えられます。
OMO戦略の活発化
中国では、OMO(Online Merges with Offline)戦略が活発になってきています。OMOとは、オンラインとオフラインを意識せず顧客体験を構築するマーケティング手法です。
たとえば、実店舗でもQRコードを設置することで、決済はECプラットフォームで行えるようになります。一方で、ECサイト上で実店舗の混雑状況や販売状況を確認できるなどの施策も例のひとつです。
実際に中国最大手であるアリババグループでは、OMO型小売店舗「盒馬鮮生(フーマーシェンシェン)」を運営しています。
独身の日(ダブルイレブン)セールの認知拡大
中国で独身の日(ダブルイレブン)セールの認知が拡大してきたことも、中国のEC市場を拡大させていることの一因です。
独身の日(ダブルイレブン)セールとは、中国で毎年11月11日に開催されるセールのことです。この日は「光棍節(こうこんせつ)」として、独身者の日が祝われます。
最初に始めたのはアリババグループで、今では多くのショップが大規模なセールを実施し、多くのユーザーがECサイトを利用するようになっています。
インフルエンサーマーケティングが盛んに
中国では「KOL(Key Opinion Leader)」や「網紅(ワンホン)」などと呼ばれるインフルエンサーによる、インフルエンサーマーケティングが盛んになっているという背景もあります。
インフルエンサーたちはライブ配信をECと組み合わせた「ライブコマース」を取り入れていて、いわゆる実演販売を行っています。ユーザーのコメントにもリアクションすることで、双方向性のあるやり取りが可能です。
これまで中国ECでは偽物や不良品などの多さが課題でしたが、現在では信頼できるインフルエンサーのリアルな意見を参考にする傾向があります。
今後の中国のECサイト市場のトレンド予測
今後の中国のECサイト市場のトレンド予測として、以下の特徴が挙げられます。
ここからは、それぞれのトレンド予測について解説します。
AIチャットボットの拡大
今後の中国のEC市場では、AIチャットボットの利用が拡大していくでしょう。
スマートフォンの普及率が高い中国では、多くのユーザーがスマートフォンからECサイトにアクセスして買い物しています。こうした手軽さから問い合わせ件数が増大しており、カスタマサポートがひっ迫しています。
AIチャットボットがあれば処理速度が加速し、人件費削減にもつながるため、今後より一層利用されるでしょう。
ECサイトにおけるチャットボットの利用については、以下の記事で解説しています。
関連記事:ECサイトにチャットボットを導入する目的やメリットは?最適なチャットボット
スマートスピーカーがECサイトに対応
今後中国では、スマートスピーカーのECサイト対応がますます浸透していくと考えられています。
すでに、中国のスマートスピーカー「Tmall Genie」がECサイトの天猫(Tmall)での購入に対応していたり、「DingDong」が京東(JD.com)での購入に対応していたりします。こうした事情から、パソコンやスマートフォンを使用せず、スマートスピーカーに話し掛けて通販を利用することが増えるでしょう。
ライブコマースが活発に
中国のECサイト市場では、ライブコマースがトレンドとなっています。ライブコマースとは、ライブ配信を用いた販売手法です。ショップ店員やインフルエンサーがライブ配信を行い、視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介します。
実際に天猫が2022年の独身の日に行ったライブコマースでは、4時間で約2億円の売上を記録しました。
ライブコマースについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ライブコマースとは?市場や向いている商品、メリットデメリットを解説
ソーシャルコマースも注目されている
中国のECサイト市場では、SNSアプリにショッピング機能がついたソーシャルコマースも注目されています。
たとえば、InstagramやWeChat経由での購入が多く、「小紅書(RED)」という女性ユーザーが多いソーシャルコマースも盛んになっています。
実店舗連携が進む
日本のECサイトも実店舗との連携が進んでいますが、中国でも同様です。実際にアリババグループや京東は実店舗の展開を進めています。
アリババグループでは、スマートフォンで商品を読み取ることで、詳細情報を提供する機能を展開しています。一方で、京東では実店舗との連携によって、商品を手に取って確かめてから購入できるのが特徴的です。
ECサイトとリアル店舗の連携方法については、こちらの記事を参考にしてください。
日本から中国への越境ECの状況
日本からの越境ECの状況を、越境ECを行う日本企業の例や売れているジャンルなどに注目しながら紹介していきます。中国に越境ECをする際の注意点も紹介するので、中国への越境ECを考えている担当者はぜひ確認しましょう。
中国への越境ECを行う日本企業の例
中国への越境ECを行う日本企業の例として、以下の企業が挙げられます。
- SONY
- CASIO
- 花王
- ユニクロ
- 無印良品
- POLA化粧品
上記のように、知名度と質が高い商品を取り扱っている企業が多いです。中国の大手ECは出店条件が厳しいものの、出店できれば大きなビジネスチャンスにつながるでしょう。
中国へ越境ECを行う方法
中国へ越境ECを行う方法として、以下の方法が挙げられます。
出店方法 | 詳細 |
---|---|
中国ECモールへの出店 | 天猫など現地のECモールへ出店する |
海外ECモールへの出店 | 海外向けのECモールへ出店する |
事業者への業務委託 | 中国向けに越境ECを行う事業者に委託する |
自社ECの構築 | 自社でECを構築して中国向けに販売する |
中国でECサイトを構築 | 中国に拠点を持ってECサイトを構築する |
上記のうち、比較的簡単に始められるのが中国ECモールや海外向けECモールへ出店する方法です。海外向けECモールなら中国以外の国もターゲットになりますが、中国向けECモールなら確実に中国のユーザーをターゲットにできます。
自社にノウハウがない場合は、中国向けに越境ECを行う事業者に委託するとよいでしょう。わからない点もサポートしてもらえます。
自社にノウハウがある場合は、国内でECを構築するか、中国に拠点を持ってECサイトを構築することで出店できます。
売れている日本の商品のジャンル
中国で売れている日本の商品のジャンルとして、以下が挙げられます。
- 衣類・ファッション(アパレル)
- 基礎化粧品
- メイクアップ化粧品
- フェイスケア用品
- 食品
- 漫画・アニメ
日本とは気候や文化などが違うものの、日本製の商品は品質が高く中国での越境ECでも人気です。
中国に越境ECする際の注意点
中国に越境ECする際の注意点として、以下3つの点が挙げられます。
- 発送方式や税金
- 法律
- ポジティブリスト
ここからは、それぞれの注意点について解説します。
発送方式や税金
中国に越境ECをする際には、発送方式に注意しましょう。発送方式には、「保税区モデル」と「直送モデル」の2つがあり、それぞれ以下のように異なります。
特徴 | 保税区モデル | 直送モデル |
---|---|---|
メリット | 配送日数が短い | 小ロットからスタートできる |
デメリット | 在庫リスクが高い | 配送日数が長い |
向いている企業 | 海外にビジネスパートナーを作れる企業 | 国内ECの延長で始めたい企業 |
保税区モデルとは、中国にある保税倉庫で商品を管理して注文が入ってから出庫する方法です。受注からすぐ配送できるため、配送日数が短くなることがメリットです。ただし、在庫リスクが高まるため、在庫管理が重要となります。
運用する上で現地の企業との取引が必要になるため、保税区モデルは海外にビジネスパートナーを作れる企業が向いているでしょう。
直送モデルとは、日本から中国へ直接商品を発送する方法です。商品管理や出荷準備が国内ECと大きく変わらず、小ロットからスタートできる点がメリットです。一方で、配送日数が長くなるため、ユーザーが不安にならないようメールなどでその都度状況を伝える必要があります。
こうした特徴から、直送モデルは国内ECの延長で始めたい企業に向いています。
法律
中国への越境ECをする際には、電子商務法(電商法)という法律にも注意しなければなりません。
電子商務法とは、消費者保護・知的財産保護を目的とした法律です。不当な競争を防止する目的があり、中国国外のEC事業者も対象となっています。罰則として、5万元以上20万元以下の罰金に処せられることがあるので要注意です。
ポジティブリスト
中国への越境ECをする際は、国務院が公開しているポジティブリスト(越境電子商務小売り輸入リスト)を、あらかじめ確認しておきましょう。ポジティブリストとは、優遇措置を受けられる商品一覧です。
ポジティブリストにある商品は、以下の条件を満たすと越境ECに関わる優遇措置(電商税)を受けられます。
- 中国国内の個人消費者が購入
- 中国で登記された会社の越境ECプラットフォームを利用
- 中国国外の販売業者から購入
- ポジティブリストに掲載されている商品を購入
- 個人目的であること
- 取引 / 支払 / 物流の電子情報を税関が監督管理できること
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
中国のEC市場規模は、世界的に見てもトップです。越境ECを検討している場合、中国ユーザーを取り込むことで、売上拡大のチャンスとなるでしょう。その場合は、中国の文化やニーズはもちろん、発送方式や法律を理解することが重要です。
中国への越境ECを検討している場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社では越境ECを目的としたEC構築や運用サポートを行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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