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ライブコマースとは?市場や向いている商品、メリットデメリットを解説

ライブコマースとは?市場や向いている商品、メリットデメリットを解説

「ライブコマース」という言葉を聞いたことはあっても、その実態や市場についてはよく知らない方もいるのではないでしょうか。ほかにも、ライブコマースを検討していて「メリット・デメリットを把握しておきたい」と考えている方もいるかもしれません。


本記事では、ライブコマースについて向いている商品・業界や市場などについて解説します。ほかにも、メリットやデメリット、成功させるためのコツについて触れています。


本記事を読むことで、ライブコマースに関する基礎知識が身に付き、自社にライブコマースを導入するかどうかの判断材料を得られるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • ライブコマースについて向いている商品・業界
  • ライブコマースのメリットやデメリット
  • ライブコマースで成功させるためのコツ

ライブコマースとは

ライブコマースとは

ライブコマースとは、新しいeコマースとして知られているライブ配信を用いた販売方法です。ショップ店員やインフルエンサーがライブ配信を行い、視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介します。

従来のeコマースでは、ユーザーとコミュニケーションを取ることは難しいです。しかし、ライブコマースならユーザーのコメントにリアクションしながら商品紹介ができるため、店舗で買い物するときのような体験を提供できます。

ライブコマースに向いている商品・業界

ライブコマースに向いている商品や業界として、以下が挙げられます。

ライブコマースに向いている商品・業界 商品の例
アパレル
  • トップス
  • ボトムス
  • カバン
コスメ・化粧品
  • ファンデーション
  • アイシャドウ
  • リップ
百貨店・雑貨
  • お歳暮商品
  • グルメ
  • ギフト

アパレル業界やコスメ・化粧品業界で扱う商品は、使用感が分からないといった悩みがあります。そこでアパレル業界では、ライブコマースによって素材感・着用感をイメージできるため相性がよいです。また、コスメ・化粧品では使用感・テクスチャを確認できるため、購買意欲の促進が可能です。

百貨店・雑貨では、商品説明をしてもらうことで、機能やディテールを理解できるなどのメリットがあります。

ライブコマースに向いていない商品・業界

ライブコマースに向いていない商品や業界として、以下が挙げられます。

ライブコマースに向いていない商品・業界 商品の例
高齢者がターゲットとなる業界 伸縮ステッキ
補聴器
ペット業界 生体
(フードやおもちゃなどは可能)

高齢者がターゲットとなる業界は、ライブコマースが向いていません。高齢者のうちSNSを利用しているユーザーが少なく、集客が難しいからです。またライブコマースよりもテレビ通販の方が親しみやすいため、ほかの販売方法を検討する方がいいかもしれません。

また、多くのライブコマースサービスでは、生体の販売を禁止しています。ただし、ペットに関連するフードやおもちゃを販売することは可能です。

ライブコマースの状況

ライブコマースの状況

ライブコマースの市場は、日本より中国の方が浸透しています。その理由は、中国では商品への信頼度や安全性が低いという事情があるからです。そのため、中国企業ではライブコマースによって安心感を提供するような施策を行っています。

一方、日本では商品自体への信頼が高いことにより、かえって、ライブコマースのメリットを最大限享受できない可能性があります。

その事実として、日本でのライブコマースの認知度は低く、「全く知らない」という回答が56.8%を占めているのです。

出典:ライブコマースの認知・利用状況の調査|MMD研究所

こうした事実を踏まえて、ここからは中国や日本のライブコマースの市場規模を紹介していきます。

中国のライブコマースの市場規模

中国のライブコマースの市場規模は、2020年には1.5兆元を突破しています。Eコマース全体で見ると、占有率は8.6%1となります。

出典:第14次五カ年計画の各業界への影響|KPMG

この年は、中国全土で1,000万回行われました。ライブ配信で販売されている商品ジャンルもさまざまで、日用品や化粧品、農産品のような生活用品から、金融商品や旅行など、サービス類まで扱われています。

中国で市場規模が拡大している要因として、中国版TikTokが普及していることもあげられるでしょう。また、スマートフォン依存度が比較的高いZ世代(1996年~2000年代初頭の生まれ)との価値観が合致していて、今後もさらに伸びていくと考えられています。

日本のライブコマースの市場規模

日本のライブコマースの市場規模は、2027年には最大で3,000億円近くにまで成長すると考えられています。

出典:日本のライブコマース市場規模は5年後どうなる?|E-Commerce Magazine

ただし、上記の数値はあくまで予測であり、実際には下回る可能性もあります。ただ、日本ではEC市場規模が今でも拡大しているため、これからますますライブコマースへの関心が高まっていくと考えられるでしょう。

ライブコマースのメリット

ライブコマースのメリット

ライブコマースのメリットとして、以下が挙げられます。

  • インフルエンサーの影響力を活用できる
  • 場所を選ばず配信できる
  • 商品の魅力を動画で伝えやすい
  • 双方向性のあるコミュニケーションで購入前の不安を解消できる
  • 購入までの導線がスムーズ

ここからは、それぞれのメリットについて解説します。

インフルエンサーの影響力を活用できる

ライブコマースのメリットは、インフルエンサーの影響力を活用できることです。販売するブランドや商品と親和性の高いインフルエンサーに配信してもらうことで、インフルエンサーのリアルな意見や使用感が伝わり、視聴者の信頼を得られます。

こうした訴求力が購買につながりやすくなることが、インフルエンサーマーケティングの強みです。その結果、フォロワーやファンに商品が一気に拡散され、これまで接点がなかった新規顧客を囲い込める効果も期待できます。

場所を選ばず配信できる

ライブコマースのメリットとして、場所を選ばず配信できることが挙げられます。たとえば、店舗内や社内以外にも、海外や船上からのライブを行うことで、動きのある配信が可能です。

配信場所にこだわることで、実際にその場にいるような感覚で配信を楽しんでもらえる効果を期待できます。こうした購買体験はライブコマース特有のものとなり、強く印象に残るでしょう。

また、視聴者にとっても、視聴環境さえあればどこからでも参加できることがメリットです。こうした特徴を活かし、遠方の人や店に足を運びにくい人もターゲットにできるでしょう。

商品の魅力を動画で伝えやすい

ライブコマースには、商品の魅力を伝えやすいというメリットがあります。動画で配信することにより、テキストや写真だけでは伝えられない情報を発信できるからです。

たとえば、配信者が商品を手に取って紹介することにより、使い方やサイズ感、素材や着ごこちなどが分かります。

さらに、配信者の表情や声色、身振り手振り商品によって商品を使ったときの使用感を消費者目線でリアルに伝えられるでしょう。インフルエンサーが普段使用している商品なら、熱量も伝わるはずです。

双方向性のあるコミュニケーションで購入前の不安を解消できる

ライブコマースでは視聴者とコミュニケーションを取ることができるため、購入前の不安を解消できます。

たとえば、使用感やサイズ感についてコメントで質問があれば、その場で回答します。疑問をその場で解消できるため、不安がなくなり、購買促進につながるでしょう。

このように、視聴者は疑問に思ったことをコメントですぐ聞けるため、購入の判断材料になります。

購入までの導線がスムーズ

ライブコマース用のプラットフォームでは、配信画面にECサイトや該当商品の購入リンクを設置できます。そのため、ただ情報を発信するだけではなく、導線の設置が可能です。

購入方法は簡単で、基本的には視聴中に画面上のボタンやバナーをタップするだけで、該当商品の詳細ページやカートに移動できます。欲しいと思った瞬間からスムーズに購入できるようになるため、機会損失のリスクを回避できます。

ライブコマースのデメリット

ライブコマースのデメリット

ライブコマースのデメリットとして、以下の特徴が挙げられます。

  • 配信環境の整備やトラブル対応の手間がかかる
  • 配信内容によってはブランドイメージ低下につながる
  • 配信できる時間帯が限られる

ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。

配信環境の整備やトラブル対応の手間がかかる

ライブコマースのデメリットは、配信環境の整備やトラブル対応に関する手間がかかることです。具体的には、以下のものの整備が必要です。

  • 安定したインターネット回線
  • 高画質のカメラ
  • 音声機器
  • 照明機器

ほかにも、配信中に以下のような予期せぬトラブルが発生する可能性があります。

  • ネットワークの切断や配信画面の停止
  • 在庫切れ
  • 不適切なコメント

こうしたトラブルは外的要因によって発生することもあるため、完全に発生を防ぐことは難しいでしょう。そのため、事前に対策や対応マニュアルを作成して備えることが重要です。

配信内容によってはブランドイメージ低下につながる

ライブコマースのデメリットとして、配信内容によるブランドのイメージダウンが挙げられます。たとえば、インフルエンサーの言動が不適切だったり、配信者に悪いイメージがあったりすると、直接関係なくても印象が悪くなってしまうかもしれません。

こうしたトラブルを防ぐには、配信前に打ち合わせを実施しておくことが大切です。あらかじめ想定される質問への回答を準備したり、台本を用意してリハーサルを行ったりすることで、共有できるでしょう。

配信できる時間帯が限られる

ライブコマースはリアルタイムで行われるため、配信者と視聴者の時間帯が合わなければ効果を期待できません。

そこで、配信時間はターゲットユーザーがSNSを利用する時間に合わせて決めましょう。配信時間の長さは、30分から1時間程度が目安です。また配信頻度については、週に1~2回程度が一般的です。

配信頻度が多すぎると特別感がなくなり、かえって見てくれないこともあります。配信頻度はほどほどに、配信時間はターゲットが一番見ている時間帯を考えて配信しましょう。

ライブコマースを成功させるためのコツ

ライブコマースを成功させるためのコツ

ライブコマースを成功させるためのコツとして、以下の方法が挙げられます。

  • 配信者を工夫する
  • 集客を工夫する

ここからは、それぞれの方法について解説します。

配信者を工夫する

ライブコマースを成功させるためには、配信者をよく考えて決めましょう。配信者は商品やブランドの顔であり、配信者の印象によって売れ行きが左右されます。

そこで、インフルエンサーやライバーを起用する際は、信頼性があるかどうかを基準に考えることが重要です。

また、商品に対する知識があるかどうかも欠かせないポイントです。ライブ配信では商品を訴求するのはもちろん、リアルタイムでコメントに対応しなければなりません。そのため、普段その商品を使用していたり、該当ジャンルでノウハウ・スキルを持った人材を起用しましょう。

集客を工夫する

ライブコマースの効果を最大化させるためには、事前に集客を行うことが重要です。

日本ではライブコマースの認知度が低いため、集客するには配信前に告知する必要があります。告知方法としては、配信の日時や内容などの詳細をSNSで発信したり、Web広告に出したりする方法があります。

また、残せる配信はアーカイブに残しておきましょう。アーカイブがあれば、リアルタイムで視聴ができなかったユーザーに向けて訴求できるため、売上アップにつながります。

ライブコマースにおすすめのサービス

ライブコマースにおすすめのサービス

ライブコマース配信におすすめのサービスや配信媒体は、以下の通りです。

  • Instagram
  • YouTube
  • 楽天市場ショッピングチャンネル
  • ライブTV
  • SHOPROOM
  • HandsUP

ここからは、それぞれのサービスについて解説します。

Instagram

Instagram

出典:Instagram

Instagramでは、アカウントを取得するだけで誰でもライブコマースを始められます。Instagramの特徴は、コスメ・アパレルと相性がいいことです。

ブランドの世界観を投稿に反映させて統一することで、ファンを育成することもできるでしょう。

YouTube

YouTube

出典:YouTube

YouTubeは世界的にも有名な動画配信プラットフォームで、YouTube Liveを活用すればすぐにライブ配信ができます。

YouTubeの特徴は、ライブ配信の告知をチャンネル登録者に通知できることです。また、配信中も登録者に通知されます。

楽天市場ショッピングチャンネル

楽天市場ショッピングチャンネル

出典:楽天市場ショッピングチャンネル

楽天市場ショッピングチャンネルは、国内大手ECモールである楽天市場が提供しているサービスです。

このサービスの強みは、楽天市場のイベントと連動できることです。「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」は注目度の高いイベントなので、高い集客力を期待できるでしょう。

ライブTV

ライブTV

出典:ライブTV

ライブTVは、「au PAY マーケット」アプリのサービスです。ライブTVは商品ジャンルが多岐にわたっていて、以下のようなジャンルで配信が可能です。

  • グルメ
  • メンズファッション
  • レディースファッション
  • コスメ
  • 生活家電
  • 雑貨

こちらはアプリに対応していて、iOSとAndroidどちらも利用できます。

SHOPROOM

SHOPROOM

出典:SHOPROOM

SHOPROOMは、ライブショッピングを目的としたアプリです。SHOPROOMでは、以下のようにさまざまなジャンルのタレントが配信しています。

  • アイドル
  • アーティスト
  • モデル
  • 声優
  • お笑い

こうした特徴から、自社商品と親和性の高いタレントを見つけられるでしょう。

HandsUP

HandsUP

出典:HandsUP

HandsUPは、配信アプリ「17LIVE」が提供しているライブコマースサービスです。

「伴走型コンサルティング」では、ライブコマース運用をサポートしてくれます。ライブ配信のノウハウを活かして分析や提案をしてくれるため、初回から本格的な運用ができるでしょう。

ライブコマースの成功事例

ライブコマースの成功事例

ライブコマースの成功事例として、以下の企業の取り組みが挙げられます。

  • ユニクロ
  • 三越伊勢丹

ここからは、それぞれの成功事例について解説します。

ユニクロ

ユニクロ

出典:ユニクロ LIVE STATION

取り組み コーディネートについて解説
公式サイト ユニクロ LIVE STATION

ユニクロでは、ライブ配信メディア「UNIQLO LIVE STATION」を立ち上げライブ配信を行っています。

ただ商品について紹介するのではなく、実際に商品を着用して特徴や着こなしを解説することで、商品ページでは伝わりにくい特徴も分かりやすくなります。

また、地域密着型配信により、気候や特定に合わせて商品を紹介しているのも特徴です。

三越伊勢丹

三越伊勢丹

出典:三越伊勢丹ライブショッピング

取り組み お歳暮商品の販売
公式サイト 三越伊勢丹

三越伊勢丹では、「三越伊勢丹ライブショッピング」にて歳暮商品の販売を行っています。

パッケージの華やかさについて紹介したり、商品の開発ストーリーを取り上げたりすることで、大きな反響を呼びました。そして現在では、お中元・お歳暮のタイミングに合わせてライブ配信を行っています。

ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください

ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください

日本ではまだ認知度の低いライブコマースですが、EC事業の市場が拡大していることを考慮すると、これから伸びる施策だと考えられています。

ライブコマースを成功させるには、商品との親和性の高い配信者を選ぶことです。そして、より多くのユーザーに知ってもらえるよう、SNSを使った告知も行いましょう。

もしライブコマースについてお悩みがあれば、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではEC事業に関して幅広くサポートを行っています。ぜひお気軽にご連絡ください。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。