2024.05.21
ユニファイドコマースとは?オムニチャネルやOMOとの違い・成功事例
ECサイト担当者の中には「ユニファイドコマースって何?」といった疑問がある方もいるのではないでしょうか。ほかにも「ユニファイドコマースの成功事例を知りたい」と考えている方もいるかもしれません。
本記事では、ユニファイドコマースについて解説します。ほかにも、オムニチャネルやOMOとの違いや、成功事例についても触れていきます。本記事を読むことでユニファイドコマースについて理解でき、成功させるためのポイントについて理解できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ユニファイドコマースとは何か
- オムニチャネルやOMOとの違い
- ユニファイドコマースの成功事例
目次
ユニファイドコマースとは?
ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、顧客一人ひとりに対して最適化したサービスや体験を提供するマーケティング手法のことです。
「Unified」には「統一された」という意味があり、ユニファイドコマースではECサイトや実店舗で取得した以下のような顧客データを統合します。
- 顧客情報
- 検索履歴
- 行動履歴
- 購入履歴
- ポイント情報
- アプリ利用情報
こうしたデータを活用することで、個別に最適なアプローチが可能です。たとえば、実店舗で購入した商品をもとに、顧客がどんな商品やジャンルに興味があるのかを分析し、ECサイト上で関連商品をおすすめとして表示できます。
ユニファイドコマースのメリットは、One-to-Oneの接客を実現できることです。顧客満足度向上を期待できるため、購入率・リピート率の向上にもつながります。
ユニファイドコマースとOMOの違い
ユニファイドコマースとOMOの違いは、目的にあります。ユニファイドコマースの目的は、顧客体験を充実させることですが、OMOの目的は、ユーザーの利便性や売上向上を達成することです。
OMOとは「Online Merges with Offline」を略した言葉です。日本語では「オンラインとオフラインの統合」という意味で利用されます。
どちらもオンラインとオフラインを繋ぐ施策で類似する点もありますが、ユニファイドコマースの方がパーソナライズを行う踏み込んだ施策です。
OMOについては以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてお読みください。
ユニファイドコマースとオムニチャネルの違い
ユニファイドコマースとオムニチャネルの違いは、パーソナライゼーションを含めるかどうかにあります。
ユニファイドコマースは顧客データを統合し、顧客一人ひとりに対して最適なアプローチをする施策です。一方で、オムニチャネルはECサイトや実店舗などのチャネルを統合することを目的としています。
オムニチャネルについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
ユニファイドコマースとO2Oの違い
ユニファイドコマースとO2Oの違いは、最終的な目的にあります。
ユニファイドコマースはオンラインとオフラインから顧客データを獲得し、統合することによって顧客一人ひとりに対して最適なアプローチを行います。一方で、O2Oの目的はオンラインとオフラインを統合して実店舗への来店を促すことです。
O2Oは「Online to Offline」の略で、メルマガや情報発信によって実店舗へ来店してもらう施策です。どちらもオンラインとオフラインをまたぐ施策ですが、目的が異なります。
ユニファイドコマースが注目される背景
ユニファイドコマースが注目される背景は、以下の通りです。
- パーソナライズ化されたOne-to-Oneマーケティングが重要になっている
- EC市場が拡大し、競合も増えている
- チャネル間の連携が必要になっている
ここからは、それぞれの背景について解説します。
パーソナライズ化されたOne-to-Oneマーケティングが重要になっている
ユニファイドコマースが注目される背景として、One-to-Oneマーケティングが重要視されていることが挙げられます。One-to-Oneマーケティングとは、顧客一人ひとりのニーズを読み取り、個別にコミュニケーションを取る施策のことです。
One-to-Oneマーケティングが重要視されている理由は、スマートフォンやSNSの普及によってカスタマージャーニーが複雑化しているからです。
従来のマーケティング手法ではアプローチの効率が悪くなり、EC業界ではオムニチャネル化やマルチチャネル化が進みました。そのため顧客一人ひとりのニーズを満たすために、One-to-Oneマーケティングが求められるようになったのです。
こうした背景から、顧客データを統合して分析し、複雑化するカスタマージャーニーに適応する施策を打つためのユニファイドコマースが注目されています。
EC市場が拡大し、競合も増えている
新型コロナウイルスの影響によって年々EC市場の成長が拡大しており、競合サイトが増加していることも理由の一つです。
ECサイト運営では、競合差別化が特に重要な施策です。競合と差別化ができていないと、価格競争に陥って利益を獲得しにくくなります。
選ばれるECサイトになるためには、顧客体験の向上が必須となっているのが現状です。
チャネル間の連携が必要になっている
近年では実店舗をメインとしていた大手メーカーやブランドもEC市場に参入していることも背景のひとつです。そのため、激化する競争を避けるために、実店舗とECサイトの連携の重要性が高まっています。
こうした背景から、ユニファイドコマースによってチャネル同士の顧客情報を連携し、顧客体験の向上を実現しようとする動きが見られます。
その施策の一つが、オンラインとオフラインにおける接客体験の最適化です。顧客にとって本当に必要な情報や新しい情報を提供することで、新規顧客やリピーター獲得につながります。
ユニファイドコマースを成功させるためのポイント
ユニファイドコマースを成功させるためのポイントは、以下の通りです。
- オムニチャネル化を進め顧客情報の収集をする
- ECと実店舗のリアルタイムなデータ統合を進める
- セグメント化してパーソナライズ化した接客を実現する
上記のポイントについて、ECサイトでよくある課題とともに解説していきます。
なお、ECサイトとリアル店舗の連携方法については以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてお読みください。
オムニチャネル化を進め顧客情報の収集をする
ユニファイドコマースを成功させるためには、まずオムニチャネル化を進める必要があります。オムニチャネルとは、販売経路や企業とユーザーの接点となるチャネルを連携させ、効果的にユーザーにアプローチする施策のことです。
オムニチャネル化を進めるには、オンラインとオフラインのデータ統合が必要になります。十分な顧客データを集められるように、顧客の行動履歴を追跡できるような体制を作ることも重要です。
ECと実店舗のリアルタイムなデータ統合を進める
ECと実店舗でリアルタイムにデータを統合するために、アプリで購入履歴を確認できるような基盤を作ったり、会員データ基盤を整備したりする必要があります。
データ統合の際は、ほかにも以下のようなことを行いましょう。
- 現状のデータを評価する
- データを整形する
- データをまとめる
ただし、実店舗とECサイト上でのデータ統合はコストがかかることが難点です。既存のデータベースの構造から統合するのは難しいため、データサイエンスに詳しい会社に委託するのもひとつの方法です。
セグメント化してパーソナライズ化した接客を実現する
顧客情報を収集して統合したら、セグメント化してマーケティング施策に活用する必要があります。
セグメント化して活用するためには、セグメント化したり分析結果をビジュアル化できるCRMやBIツールの導入が必須です。ツールを導入する際は、既存のツールと連携できるものを選ぶといいでしょう。
顧客データを分析しても活用できなかったり、それを活かすマーケティング手法やコンテンツがなかったりすると、ユニファイドコマースは失敗しやすいので注意が必要です。
成功させるには、メルマガや広告、ECサイト内でのレコメンドなど、あらかじめ顧客情報をどのように活用するのか、どのようなデータが必要なのかを確認しておくとスムーズです。
ユニファイドコマースの成功事例
ユニファイドコマースの成功事例を残している企業は、以下の通りです。
- TSIホールディングス
- トーキョーバイク
- ベイクルーズ
- 三越伊勢丹ホールディングス
- インターメスティック
- ワコール
ここからは、それぞれの企業の成功事例について解説します。
TSIホールディングス
出典:TSIホールディングス
TSIホールディングスは、50以上のブランドを展開しているアパレル企業です。ユニファイドコマースとして気になる商品を試着予約するサービスを展開しています。試着後の購入率は高く、80%に達していると報告されています。
ほかにも、ECサイト利用中に販売スタッフを指名することが可能です。対話アプリで直接在庫を確認したり、店員にコーディネートの相談をしたりできます。
このように、アパレルにおいて悩みやすい洋服の着用感やコーディネートに関する疑問などを解消しています。
トーキョーバイク
出典:トーキョーバイク
トーキョーバイクは、ファッショナブルな自転車を販売している中小企業です。
自転車は1台当たりの値段が比較的高い傾向にあり、即決する人は少ないです。また、購入しても店舗から自宅までに距離があることも、購入ハードルを上げていました。
そこで来店客のオンラインアカウントやカート情報を活用する施策を取り入れました。店舗で購入しなくても、後日メールを配信して店舗で選んだ商品がカートに入っている状態になっています。
こうした取り組みによって、オンラインでの購入がスムーズになり、売上を前年比で100%向上を達成しました。
ベイクルーズ
出典:ベイクルーズ
ベイクルーズは、輸入衣料品やオリジナル衣料品、雑貨などを販売している企業です。ユニファイドコマースとして、会員情報や在庫データを統合しました。
たとえば、Webサービス「Syte」では欲しい服のイメージを画像で読み込ませると、対応する洋服をストア内から検索できます。
こうした取り組みにより、自分が求めている商品を見つけやすくなる仕組みを構築できました。
三越伊勢丹ホールディングス
三越伊勢丹ホールディングスは、大手百貨店として知られる企業です。当初は実店舗の補佐的な位置にあったECサイトですが、今では実店舗と同じ体験を提供するサイトとして運営されています。
たとえば、「三越伊勢丹ライブショッピング」では歳暮商品の販売を行っていて、パッケージの華やかさについて紹介したり、商品の開発ストーリーを取り上げたりしています
インターメスティック
出典:インターメスティック
インターメスティックはメガネブランド「Zoff」を展開している企業です。メガネは実物を見て購入する人が多いため、ECサイトでの販売が難しいという課題がありました。
そこで、スマートフォンから顔写真を撮影することで、さまざまなメガネを試着できるようなシステムを導入しました。気に入った商品があれば、そのまま購入できます。
ワコール
出典:ワコール
ワコールは、女性用下着を販売している企業です。下着は試着しないとフィット感がわからない商品です。そこでECサイトに3Dボディスキャナーを取り入れることで、ECサイトでもフィット感が可視化できるようになりました。さらにAIによって提案までしてくれるため、商品選びのヒントになります。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
ユニファイドコマースを導入することで、顧客一人ひとりに対して最適化したサービスや体験を提供できます。競争が激化している現代において、価格競争を避けるためにも欠かせない施策です。
ユニファイドコマースの導入を検討している方は、ぜひ本記事でご紹介したポイントを参考にしてみてください。
ユニファイドコマースについて疑問や悩みがある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイトの構築から運営サポートまで行っています。マーケティング施策の立案も致しますので、お気軽にご連絡ください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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