2023.09.14
ECサイトの成功は戦略がカギ!基本・成功事例・立案方法まで解説
EC業界は成長を続けており、市場で勝ち抜くためには、戦略が不可欠です。
自社や競合を分析し、市場におけるポジションやアプローチするターゲット、集客方法などを明確にする戦略によって、売上や認知度のアップを実現できます。
本記事ではECサイトの戦略について、基本的な考え方や具体的な施策を詳しく解説します。
他社の成功事例も紹介しますので、ぜひ自社ECに生かせるヒントを探してみてください。
この記事でわかること
- ECサイト戦略に関する基礎知識
- ECサイト戦略の立て方
- ECサイト戦略の具体例
目次
ECサイト戦略で押さえたい4つの基本
ECサイトの戦略を立てる上で、まず基本を押さえることが大切です。再現性の高い戦略を立案するためには、ECでの売上の考え方や主な手法などを理解した上で、自社に合わせて検討する必要があります。
4つの基本を解説しますので、EC戦略の土台としてしっかり理解していきましょう。
ECサイトをこれから担当する方や基本を見直したい方は、以下の内容をぜひ参考にしてみてください。
売上の考え方を正しく理解する
ECサイトでは、売上を以下の計算式で算出します。
売上=集客×購入率(CVR)×客単価 |
上記の計算式は、売上を伸ばすためには集客・購入率・客単価という3つの要素を伸ばす必要があることを示しています。
「ユーザー数が増えれば売上が上がる」「客単価が高くなれば売上アップできる」など独立して考えてしまうと、力を入れていない要素によって、売上が思うように伸びないでしょう。
3つの掛け合わせを意識して、戦略を組み立てることがポイントです。
競合サイトを細かく分析する
ECサイトの数は多く、自社が取り扱う商材を販売する競合も存在します。
自社の売上を伸ばすためには、競合の優位に立つ必要があるため、戦略立案において競合サイトの分析が欠かせません。
競合を利用しているユーザーの属性、販売している商品の特徴、マーケティング方法などを細かく分析することが大切です。
分析によってわかった自社ならではの商品やマーケティングは強みになるため、積極的に戦略に反映させると良いでしょう。
Web広告やメールマガジンを活用する
ECサイトはインターネット上の店舗であり、集客もWeb戦略がメインです。
Web広告はECサイトや商品の認知度アップに効果的であるため、積極的な活用を検討しましょう。
検索ページに表示されるリスティング広告、自社のECサイトを訪問したユーザーにアプローチするリターゲティング広告など、さまざまなWeb広告があります。
メリット・デメリットを理解した上で、自社に合ったWeb広告を運用しましょう。
またユーザーとの接点をつくる方法として、メールマーケティングも効果的です。
メールマガジンで商品情報やセール情報、クーポンなどの配信をすることによって購買を促進できます。
レビューを充実させる
ECサイトは実店舗と違い、商品を手に取れません。
商品への信頼を得るためには、ユーザーからのレビューを充実させることが得策です。
たとえばある商品に対して「サイズがちょうど良かった」「使いやすかった」など好意的なレビューが増えると、購入を迷っているユーザーへの後押しになります。
レビューを充実させるためには、ユーザーにとって良い商品やサービスを提供することが重要です。
良い商品を提供した上で、クーポンやポイントのプレゼントなどでレビュー投稿を促すと、ショップのレビューが充実していくでしょう。
ECサイトを成功に導く7つの戦略
ECサイト戦略は数多くありますが、中でも代表的な戦略を7つ解説します。
- 複数のモールに出店し売上を最大化する
- SNSや実店舗と組み合わせたオムニチャネル戦略を図る
- 越境ECで海外に向けてアプローチする
- 公式アプリで顧客を囲い込む
- SEOで顧客を自社ECに呼び込む
- MAツールでマーケティングを自動化する
- SNSで顧客とコミュニケーションを取る
戦略の特徴を理解し、自社ECサイトの方向性や課題との相性を考え、成功に近づく戦略を検討してみましょう。
複数のモールに出店し売上を最大化する
自社ECと並行して、Amazonや楽天市場などのECモールに出店することによって、顧客との接点を増やせます。
大手ECモールは認知度が高く、すでに集客力を持っているため、新規顧客に自社商品を知ってもらえるチャンスが広がるのがメリットです。
販売チャネルも増えるので、自社ECに加えてモールでの売上も得られ、売上の最大化も期待できます。
ただ、ECモールへの出店には初期費用や維持費用が必要です。運用を担当する人材も必要になるため、リソースを確保した上でモールの活用を検討しましょう。
SNSや実店舗と組み合わせたオムニチャネル戦略を図る
オムニチャネルとはECサイトや店舗、SNSなどを組み合わせ、どのチャネルからもスムーズにショッピングできる仕組みです。
たとえばECサイトで購入した商品を店舗で受け取れる、店舗で在庫がない商品をオンラインで注文できるなど、シームレスなサービスによって顧客満足度を高められます。
ただチャネルの連携が重要になるため、オムニチャネルに適した体制を整えなければいけません。
ネットとリアルで相乗効果を得られるように、在庫管理や物流、マーケティングなどを慎重に検討する必要があります。
越境ECで海外に向けてアプローチする
ターゲットを広げる戦略として、ECサイトを越境化し、海外に向けて展開する方法があります。
実店舗を海外に出店するよりもコストやリスクが低く、海外へ販路を広げられる戦略です。
越境ECを運営するためには、越境対応のECサービスや現在のECサイトの改修などが必要になります。
海外でも需要のある商材を取り扱っている場合は、越境化を検討してみましょう。
公式アプリで顧客を囲い込む
スマホを持つのが当たり前になり、スマホでネットショッピングを楽しむユーザーが増えています。
スマホユーザーをターゲットに公式アプリをリリースする店舗も多いです。
アプリでショッピングできるだけではなく、セール情報やクーポンなどを発信しやすく、効果的な販売促進を実現できます。
ただしアプリ開発には、資金やノウハウが必要です。
リターンが大きい分コストはかかるので、慎重に検討した上でリソースを確保しなくてはいけません。
SEOで顧客を自社ECに呼び込む
検索エンジンでの上位表示を目指すSEOは、自社ECサイトに顧客を呼び込む役割を果たします。
商品に関係するキーワードで検索したユーザーに自社ECを見つけてもらうことで、訪問者数や売上のアップを期待できる戦略です。
SEOで成果を出すために、ユーザーにとって有益なコンテンツを継続的に制作する必要があります。
オムニチャネルやアプリ開発に比べてコストは低いですが、効果が出るまでの時間は長いです。
長期的な視点で、継続的にメディアを運営することが求められます。
MAツールでマーケティングを自動化する
ECサイトの売上を構成する集客は、マーケティングオートメーションというツールによって効率化できます。
見込み顧客の獲得から育成までのマーケティングを自動化・効率化できるのが特徴です。
ツールによって機能は異なりますが、メールマガジンの一斉配信やステップメールの送信などを自動で行います。
集客業務は質の高さを求められるとともに、リソースを必要とする業務です。
集客に課題を抱えている場合は、マーケティングオートメーションの導入を検討してみましょう。
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SNSで顧客とコミュニケーションを取る
スマホの普及とともに、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSも広く利用されています。
SNSは、顧客とつながるコミュニケーションツールのひとつです。
商品やセール、イベントなどの発信を続けることで、自社ECサイトの認知度を高められます。
また、SNSは拡散力のあるメディアです。
話題性のある発信はユーザーによって拡散されるため、思いがけない広がりを見せることもあります。
日常的な顧客とのコミュニケーションに加えて、いわゆる「バズる」発信によって拡散を狙うのがSNS活用のポイントです。
【業種別】ECサイト戦略の成功事例|自社に生かせるヒントを見つけよう
ECサイト戦略を練る上で、他社の成功事例は貴重なヒントです。他社で取り入れている戦略を自社に合わせて運用することによって、売上やアクセス数などの改善を期待できるでしょう。
異なる業種の5社をピックアップしましたので、成功事例から戦略立案の材料を見つけてみてください。
ユニクロ|アパレル
画像引用元:ユニクロ公式サイト
ユニクロは全国各地にある店舗やECサイト、アプリを組み合わせたオムニチャネル戦略に成功した事例です。
積極的なテレビCMやデジタル広告などでECサイトへ顧客を誘導しながら、アプリで顧客満足度を高めています。
ユニクロアプリは、アプリで注文した商品を最短1時間で店頭で受け取れたり、カメラ機能で自分に合うサイズを見つけられたりするなど機能が多彩です。
着こなし発見アプリ「StyleHint」では、コーディネート例を閲覧でき、購買を促進しています。
無印良品|日用品
画像引用元:無印良品公式サイト
無印良品は自社ECサイトに加えて、Amazonや楽天市場にもショップを出店しています。
TwitterやFacebook、Instagramなど各種SNSも駆使し、さまざまな方法で顧客との接点をつくっているのが特徴です。
また囲い込み戦略として、アプリ「MUJI passport」を提供しています。
ECサイトや店舗での買い物で「MUJI マイル」が貯まり、ショッピングに使える「MUJI ショッピングポイント」をもらえる機能が人気です。
アプリにはお知らせやセール、イベントなどの情報も届き、販売促進の役割も果たしています。
ニトリ|インテリア
画像引用元:ニトリ公式サイト
ニトリは、O2O(Online to Offline)施策に力を入れています。
公式アプリは施策の中心であり、自宅でのショッピングはもちろん、お店でも使える便利なアプリです。
撮影した写真でサイズ計測できる「サイズwithメモ」、気になるインテリアの写真に似ているニトリ商品を見つけられる「カメラdeサーチ」などによって、情報収集がしやすい環境を整えています。
アプリを「店内モード」に切り替えれば、ニトリネットでお気に入り登録した商品の場所や在庫がわかるなど、店内での買い物をサポートしているのが特徴です。
ヨドバシカメラ|家電
画像引用元:ヨドバシカメラ公式サイト
ヨドバシカメラでは、ECサイト「ヨドバシ.com」を運営しています。
家電以外の品目も幅広く取り扱い、生活必需品も揃えられる充実の商品ラインナップです。
ヨドバシカメラのECサイト戦略は、物流改善でした。
配送サービス「ヨドバシエクストリーム」によって、最短2時間半での配送を実現しています。
利用料金や配送料金が無料というお得さも特徴です。
欲しいものがすぐに届いて追加料金もかからない点で、顧客の支持を獲得しています。
資生堂|化粧品
画像引用元:資生堂公式サイト
化粧品メーカーの資生堂では「watashi+」というECサイトを運営しています。
コスメ業界でいち早くWebマーケティングに注力したことで知られ、現在は中国の大手ECモールに出店するなど、越境に力を入れているのも特徴です。
また、ECサイト内には、さまざまなコンテンツがあります。
ケアの基本の解説や、簡単な診断ができるビューティーチェックなど、ユーザーの悩みに寄り添ったコンテンツが支持されています。
ECサイト戦略の立て方・手順
ECサイト戦略の具体的な手法や成功事例の特徴を押さえたら、いよいよ自社で戦略を立てるステップです。
戦略は、一般的に以下のような手順で立てていきます。
ステップごとのポイントを理解し、丁寧に戦略を練り、施策の実行まで進めていきましょう。
1.自社ECと競合を分析する
まず自社ECの現状を把握しましょう。
売上やアクセス数、コンバージョン率、客単価などKPIで数値を分析し、目標に達している項目、達していない項目を洗い出します。
目標に達していない項目については、特に戦略に力を入れるべきポイントです。
自社の現状を把握したら、競合分析に移りましょう。
取り扱っている商材やジャンルが似ているECサイトをピックアップし、商材の種類やサイトの特徴などを分析します。
自社よりも優れている取り組みは戦略の参考にし、自社ECの課題解決や強みのさらなる強化に生かしましょう。
2.ターゲット・ペルソナを設定する
次に、自社ECがアプローチしたいターゲット・ペルソナを設定します。
ターゲットは年齢や性別、職業など大まかな情報、ペルソナはより詳細な人物像です。
ペルソナを丁寧に想定することで、アプローチすべきユーザーを鮮明にイメージできます。
3.マーケティング戦略を選定する
ターゲット・ペルソナが決定したら、アプローチする戦略を検討します。
たとえば、SNSを多く利用する若者にアプローチするなら、TwitterやInstagramなどでの発信が効果的です。
また戦略を決める際は、自社ECの課題解決につながるかが重要です。
集客に課題を抱えている場合は、SNSのほかに、ECモールへの出店やWeb広告の出稿なども効果を期待できます。
ターゲットや自社ECの現状に合わせて、慎重に戦略を練りましょう。
4.KPIを設定する
戦略の成果を測定するために、KPIを設定しましょう。
KPIとは成果を評価する指標のことで、ECサイトにおいては以下のようなKPIを設定することが多いです。
- 売上高
- 訪問者数
- 購入率(CVR)
- 客単価
たとえば、SNS発信を戦略として実施するなら、投稿から自社ECにアクセスした数がKPIになるでしょう。
戦略の成果を誰が見てもわかるKPIを設定することがポイントです。
5.施策を実行し効果を計測する
戦略を実行して放置するのではなく、定期的に効果を計測する必要があります。
たとえば、SNS発信で訪問者数アップを目指している場合、思うように訪問者数が増えていなければ、投稿の内容や頻度など何らかの原因があるはずです。
効果測定の結果に基づいて、戦略の内容を再度練り直し、KPIを達成できるようにブラッシュアップしましょう。
戦略の再検討も一度で終わらせず、効果測定・見直し・実行のサイクルを回すことが重要です。
緻密な戦略でECサイトを成功に導こう
ECサイトを成功に導くためには、緻密な戦略が鍵になります。
自社・他社をよく理解し、ターゲットを明確にした上で集客や販売の戦略を立てることによって、売上や訪問者数などの目標を達成しやすくなります。
戦略を立案するにあたって、成功しているECサイトを参考にすることも重要です。
基本や具体的な手法、手順を押さえた上で、自社ECサイトに合った戦略を立てましょう。
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投稿者
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