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2025.01.07

アジャイルとは何かわかりやすく解説!メリットや開発の流れは?

アジャイルとは何かわかりやすく解説!メリットや開発の流れは?

「アジャイル」という言葉をよく聞きますが、アジャイルって何?と思う方はいませんか。


本記事ではそもそも「アジャイル」とは何かを説明します。また、メリット・デメリットから代表的な手法まで詳しく紹介します。

アジャイルとは

アジャイルとは

アジャイル開発は、柔軟性と迅速性を重視したソフトウェア開発手法です。従来の一括型開発と異なり、開発プロセスを短い期間(通常2〜4週間)に分割し、各期間で機能の一部を完成させます。

顧客や市場の要求変化に素早く対応し、頻繁にフィードバックを取り入れることで、品質向上と顧客満足度の向上を図ります。チーム内のコミュニケーションを重視し、定期的な進捗確認と調整を行います。

アジャイル開発をする3つのメリット

アジャイル開発をする3つのメリット

アジャイル開発の3つのメリットは以下です。

  • 臨機応変にスピーディな対応ができる
  • ユーザーのニーズに寄り添う
  • リスクを避けられる

以下より、さらに詳細に説明します。

臨機応変にスピーディな対応ができる

アジャイル開発では、短期間のスプリントと呼ばれる開発サイクルを繰り返します。この方法により、プロジェクトの途中で要件変更や新たな優先事項が発生しても、次のスプリントで柔軟に対応できます。

従来の開発手法と比べ、市場動向や技術革新にも迅速に適応可能です。また、定期的なレビューと調整により、プロジェクトの方向性を常に最適化でき、競争の激しい環境下でも常に最新のニーズに応える製品開発が可能となります。

ユーザーのニーズに寄り添える

アジャイル開発の特徴として、頻繁なユーザーフィードバックの収集と反映があります。各スプリントの終わりに行われるデモンストレーションでは、実際のユーザーや顧客から直接意見を聞くことができます。

開発チームは製品の方向性が正しいかを常に確認し必要に応じて軌道修正できます。また、優先度の高い機能から順次リリースすることで、ユーザーは早い段階から製品の価値を実感できます。結果として、市場のニーズに密接に合致した製品開発が可能となります。

リスクを避けられる

アジャイル開発では、大規模なプロジェクトを小さな単位に分割して進めるため、各段階でのリスクが限定的です。短期間のスプリントごとに成果物を検証することで問題点や課題を早期に発見し、対処することができます。

また、優先度の高い機能から開発することで、プロジェクトの後半で重大な問題が発生するリスクを軽減できます。

アジャイル開発をする2つのデメリット

アジャイル開発をする2つのデメリット

アジャイル開発のデメリットは以下の2点があげられます。

  • 全体スケジュールの管理が難しい
  • 開発の目的を見失いやすい

全体スケジュールの管理が難しい

アジャイル開発では、短期的なスプリントを繰り返すため、細かな進捗管理は容易です。しかし、プロジェクト全体の長期的な見通しを立てることが難しくなります。

要件の変更や優先順位の変更が頻繁に行われるため、最終的な完成時期や必要な総工数を正確に予測することが困難です。このため、従来の開発手法と比べて、プロジェクトの完了時期や全体コストの見積もりが不確実になりやすい傾向があります。

開発の目的を見失いやすい

アジャイル開発では、短期的な目標に集中するためプロジェクト全体の大きな目的を見失う危険性があります。各スプリントで個別の機能開発に注力するあまり、製品全体の方向性や当初設定した目標から逸脱してしまうことがあります。

また、頻繁な要件変更により、優先順位が混乱し、重要度の低い機能に時間を割いてしまう可能性もあります。さらに、顧客やステークホルダーの意見を重視するあまり、本来のビジョンや戦略的な目標が曖昧になることもあります。これらの要因により、結果的に一貫性のない製品になってしまうリスクがあります。

アジャイル開発とウォーターフォール開発の比較

アジャイル開発とウォーターフォール開発の比較

アジャイル開発とウォーターフォール開発は、ソフトウェア開発の代表的な手法ですが、その特徴と進め方が大きく異なります。

ウォーターフォール開発は、要件定義、設計、実装、テスト、運用の各フェーズを順序通りに進める直線的な手法です。計画が立てやすく、進捗管理が明確ですが、途中での変更に弱く、最終段階まで成果物が見えにくいという特徴があります。

一方、アジャイル開発は、短い期間(スプリント)で計画、設計、開発、テストを繰り返し行う反復的な手法です。柔軟な変更対応が可能で、早期から動く製品を提供できますが、全体の見通しが立てにくいという課題があります。

アジャイルは変化への適応性に優れ、ウォーターフォールは安定性と予測可能性に強みがあります。プロジェクトの性質や要件の明確さによって、適切な手法を選択することが重要です。

アジャイルの代表的な手法

アジャイルの代表的な手法
  • スクラム
  • エクストリーム・プログラミング
  • ユーザー機能駆動開発

スクラム

スクラムは、アジャイル開発の中で最も広く採用されている手法です。2〜4週間のスプリントと呼ばれる短期開発サイクルを繰り返し、各スプリントで機能の一部を完成させます。スクラムマスター、プロダクトオーナー、開発チームという明確な役割分担があり、デイリースクラム(毎日の短い会議)、スプリントプランニング、スプリントレビューなどの定期的なイベントを通じて、進捗管理と課題解決を行います。チームの自己組織化を重視し、柔軟性と生産性の向上を図ります。

エクストリーム・プログラミング

エクストリーム・プログラミング(XP)は、高品質なソフトウェア開発を目指す手法です。ペアプログラミング(2人で1台のコンピュータを使用)、テスト駆動開発(テストを先に書いてから実装)、継続的インテグレーション(頻繁なコード統合)などの実践を重視します。また、シンプルな設計、頻繁なリファクタリング、小さなリリースを繰り返すことで、変更に強い柔軟なコードベースを維持します。顧客との密接なコミュニケーションも重視し、要求の変化に迅速に対応できる開発プロセスを実現します。

ユーザー機能駆動開発

ユーザー機能駆動開発(FDD)は、ユーザーにとって価値のある機能を中心に開発を進める手法です。プロジェクトの全体モデルを作成した後、ユーザーストーリーと呼ばれる機能単位のリストを作成します。各機能は2週間以内で完成可能な小さな単位に分割され、優先順位に従って順次開発されます。設計と実装を繰り返し行い、定期的に進捗を確認します。機能単位で管理するため、進捗の可視化が容易で、大規模プロジェクトにも適用しやすい特徴があります。

アジャイル開発の流れ

アジャイル開発の流れについて簡潔に説明します。

  1. リリース計画
  2. チームビルディングを行う
  3. 全体スケジュールを決める
  4. イテレーション
  5. 次の開発のテーマを考える

①リリース計画

アジャイル開発におけるリリース計画では、プロジェクトの全体像を把握し、主要な機能や目標を設定します。顧客やステークホルダーとの対話を通じて、優先順位の高い機能を特定し、おおよその完成時期を見積もります。この段階で、プロダクトバックログを作成し、開発チームと共有します。リリース計画は柔軟性を持たせ、開発の進行に応じて適宜調整することが重要です。

②チームビルディングを行う

チームビルディングは、効果的なアジャイル開発の基盤となります。多様なスキルを持つメンバーを集め、互いの強みを理解し合います。チーム内のコミュニケーションを促進し、信頼関係を構築することが重要です。役割分担を明確にし、自己組織化を促進します。また、アジャイルの価値観や原則を共有し、チームの目標を明確にします。定期的なチームビルディング活動を通じて、継続的に関係性を強化します。

③全体スケジュールを決める

全体スケジュールの決定では、リリース計画を基に、プロジェクト全体の大まかなタイムラインを設定します。各イテレーションの期間(通常1〜4週間)を決め、主要なマイルストーンを特定します。ただし、アジャイルの特性上、詳細な長期計画は避け、柔軟性を保ちます。スプリントの回数や期間、重要なイベントの日程を決定し、チーム全体で共有します。定期的な見直しと調整を前提としたスケジュールを作成します。

④イテレーション

イテレーション(またはスプリント)は、アジャイル開発の核心部分です。通常1〜4週間の固定期間で、その間にチームは機能の設計、開発、テスト、レビューを行います。各イテレーションの始めにはプランニングを行い、終わりにはレビューとレトロスペクティブを実施します。イテレーションを通じて、継続的に動作するソフトウェアを提供し、フィードバックを得ます。この繰り返しにより、製品を徐々に改善し、変化に迅速に対応します。

⑤次の開発のテーマを考える

次の開発テーマを考える際は、現在のイテレーションの成果と学びを反映させます。プロダクトバックログを見直し、優先順位の高いアイテムを特定します。顧客フィードバックや市場動向を考慮し、最も価値のある機能や改善点を選びます。チーム全体で議論を行い、技術的な課題や新しい機会を探ります。また、長期的なプロダクトビジョンとの整合性を確認し、次のイテレーションで取り組むべきテーマを決定します。

アジャイル開発の成功事例

アジャイル開発の成功事例
  • Payどん
  • 釣りドコ
  • Spotify(スポティファイ)
  • Tesla(テスラ)

Payどん

Payどん

引用:https://paydon.jp/

メルカリグループが開発した決済アプリPayどんは、アジャイル開発手法を採用しています。短いイテレーションサイクルを通じて、ユーザーフィードバックを迅速に反映し、機能の改善や新機能の追加を行っています。

また、セキュリティ対策やUI/UXの改善も継続的に行われており、アジャイル開発の特徴である柔軟性と迅速な対応が、競争の激しい決済アプリ市場での成長に貢献しています。

釣りドコ

釣りドコ

引用:https://turidoco.com/

釣り場情報アプリ「釣りドコ」は、アジャイル開発手法を活用して、ユーザーのニーズに合わせた機能開発を行っています。短期間のスプリントを繰り返し、釣り場の情報更新、天気予報連携、釣果情報の共有機能など、釣り人にとって有用な機能を次々と実装しています。ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、UIの改善や新機能の追加を迅速に行うことで、アプリの使用体験を継続的に向上させています。この柔軟な開発アプローチにより、釣りドコは釣り愛好家から高い支持を得ています。

Spotify(スポティファイ)

Spotify(スポティファイ)

引用:https://open.spotify.com/intl-ja

音楽ストリーミングサービスのSpotifyは、アジャイル開発手法を効果的に活用している代表例です。Spotifyは「Spotify Model」と呼ばれる独自のアジャイルフレームワークを開発し、大規模な組織でもアジャイルの原則を維持できるようにしました。

このモデルでは、小規模で自律的なチーム(スクワッド)が協力して働き、迅速な意思決定と継続的なデリバリーを実現しています。

Tesla(テスラ)

Tesla(テスラ)

引用:https://www.tesla.com/ja_jp

電気自動車メーカーのTeslaは、ハードウェアとソフトウェアの両面でアジャイル開発手法を採用しています。特に車載ソフトウェアの開発では、短いイテレーションサイクルを用いて、頻繁なアップデートを行っています。

この手法により、自動運転機能の改善、バッテリー管理システムの最適化、インフォテインメントシステムの機能拡張などを迅速に実施しています。また、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、OTA(Over-The-Air)アップデートを通じて、既に販売された車両の性能や機能を継続的に向上させています。この柔軟で迅速な開発アプローチが、Teslaの技術革新と市場での競争力の維持に大きく貢献しています。

まとめ

まとめ

アジャイル開発は、柔軟性と迅速性を重視したソフトウェア開発手法で、短期間の開発サイクルを繰り返し、顧客フィードバックを素早く反映させるものです。

臨機応変な対応、ユーザーニーズへの適応、リスク軽減がメリットですが、全体スケジュール管理の難しさや目的を見失うリスクもあります。

代表的な手法にスクラム、エクストリーム・プログラミング、ユーザー機能駆動開発があります。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。