2023.09.14
ECマーケティングとは?おすすめの戦略や勉強方法を解説
こうした課題を抱えている方にむけて、本記事ではECサイトにおけるマーケティングについて、概要から具体的な戦略・施策まで詳しく解説します。
この記事でわかること
- ECマーケティングの基本的な知識
- ECマーケティング戦略の立て方
- ECマーケティングの勉強法
目次
ECマーケティングとは?
ECマーケティングとは、ECにおけるマーケティング全般を指す言葉です。
ECとは「Electronic Commerce」の略称であり、インターネット上で行われるさまざまな売買を指します。ECサイトとは、こうしたインターネット上での商品販売を行うWebサイトのことです。
ECサイトでの販売は実店舗での販売と比べるとさまざまな違いがあります。例えば、お客様はいつでもどこでも好きなタイミングで買い物ができる反面、実店舗と違って実際に商品を手に取って確かめることはできません。お客様がサイト(店舗)を訪れる行動経路も異なります。
ECマーケティングとは、こうしたECならではの特色を踏まえ、ECサイトに最適化したマーケティング施策全般を意味します。
ECマーケティングとマーケティングは違うのか
ECマーケティングと従来のマーケティングは「重なる部分もあるが、別物として考える」べきです。
公益社団法人 日本マーケティング協会によると、マーケティングは「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」と定義されています。
日本マーケティング協会
引用:公益社団法人日本マーケティング協会について
顧客やユーザーを理解し、あらゆる施策を策定・実行することで自社の売上を伸ばし、市場を活性化させる「商品が売れる仕組みを作る」ことがマーケティングの本質といえます。
これは、従来のマーケティングのみならず、ECマーケティングにも当てはまることです。ですので、従来のマーケティング施策でもECマーケティングにおいて効果を見込めるものはもちろんあります。
しかし、ECサイトと実店舗においてはさまざまな違いがあります。販売チャネルが限られ、非対面での販売であることは最たる違いでしょう。ECサイトで売上向上を実現するには、こうしたECの特徴を前提としたマーケティング施策を行う必要があるのです。
ECマーケティングには多数の施策・戦略がありますが、一般に以下の3つを重視するべきとされています。
- 集客
- コンバージョン率(CVR)向上
- リピーター獲得(再訪問)
本記事では、これら3つのフェーズそれぞれにおける具体的な施策を解説していきます。
ECマーケティングの戦略|集客編
ECサイトの売上は、「訪問ユーザー数」×「購入率(CVR)」×「客単価」×「購入回数」で算出されます。これら4つの数値を改善することがECマーケティングの短期ゴールです。
まずひとつ目の「訪問ユーザー数」を増やすには集客が大切です。集客向上の施策には、主に以下のようなものがあります。
- SEO対策
- アフィリエイト広告
- リスティング広告
- バナー広告
- SNS広告
それでは各施策を具体的に解説していきましょう。
SEO対策
SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略称です。
ユーザーがWeb上で購買行動を起こす際、その入口として検索は非常に多く使われます。一般に、ユーザーは検索結果の上位からページを閲覧していくため、検索結果の上位に表示されればサイトへの訪問数向上を期待できるでしょう。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで特定のキーワードが検索された際に、検索結果の上位にサイトを表示させるための対策全般をSEO対策と呼びます。
それでは具体的にどのような戦略・施策を立てるのがよいのでしょうか?
基本的な考え方としては、「検索アルゴリズムに『よい』と評価されるECサイトにする」です。
Googleなどの検索エンジンは、それぞれ独自の検索アルゴリズムを持っています。検索アルゴリズムとはサイトやページの価値・よしあしを評価する基準のことで、この基準によってあらゆるサイトが評価され、その結果に基づいた検索結果がユーザーに表示されるのです。
検索アルゴリズムの詳細は公開されていませんが、検索アルゴリズムによって「特定の検索に対して有益な情報を与えられる」と判断されれば、検索結果の上位に表示されるといわれています。
ユーザーが検索するキーワードには、ユーザーのニーズや悩み、隠れた欲望などが詰まっています。これらのユーザーのニーズに応えられるように、商品ページの改善やコンテンツの充実などを行えば、検索結果の上位表示が期待できるでしょう。
これらの改善には一定のコストがかかりますが、検索結果の上位に表示されるようになれば、有料の広告に頼らなくても流入数を増やすことができます。ECサイトの集客において必須といえる施策です。
アフィリエイト広告
ここからは広告による集客施策を説明します。
まずひとつ目のアフィリエイト広告とは、個人ブログやサイトなどに広告を掲載してもらい、サイトへの流入を促す施策です。
アフィリエイト広告では、サイトへの広告掲載のみではコストは発生しません。掲載されている広告をユーザーがクリックしてECサイトを訪問し、サイト内で商品を購入することではじめて広告費が発生します。「成果報酬型広告」とも呼ばれることもあります。
商品が購入されなければコストが生じないローリスクの施策のため、施策導入のハードルは低いです。ただし実際にコンバージョンするかどうかは、広告が掲載されるサイトの特性に左右され、こちらでコントロールできるものではないため、必ずしも効果が確約される施策ではありません。
リスティング広告
リスティング広告とは検索結果画面に表示される広告のことで、「検索連動型広告」とも呼ばれます。
リスティング広告を導入すると、Googleなどの検索エンジンで検索をかけた際に、検索結果画面の最上部・上部にサイトが表示されるようになります。
リスティング広告はクリック数(サイトへの訪問数)を獲得しやすく、コストに対して比較的結果が出やすい広告といわれています。予算をとって初めて有料広告を出稿する際には、リスティング広告の導入から始めることをおすすめします。
リスティング広告の運用にはある程度の知識が必要です。自分で運用するのが不安な場合は、広告代理店やマーケティング支援会社などにリスティング広告の運用を委託するのもよいでしょう。ただしその分コストが増えてしまうため、予算を抑えたい場合には外注せずに自社で運用することをおすすめします。
バナー広告
「バナー(Banner)」とは旗やのぼり、横断幕を意味する言葉です。さまざまなサイト内においてバナー状の画像で表示される広告をバナー広告(ディスプレイ広告)と呼びます。
画像で広告を見せるため印象に残りやすく、ECサイトやブランドの認知度を上げるのにも効果が期待できる施策です。
しかし、ユーザーの目を引くバナーの作成には、デザインや写真のクオリティを上げるなど一定のコストが必要になります。バナー広告のみの出稿で集客するよりも、ほかの施策と併用することが一般的です。
SNS広告
SNS広告とはその名の通り、SNS(Social Networking Service)を利用した広告です。
ソーシャルネットワーキングサービスには、現在では主にLINE・Instagram・TikTok・Twitter・Facebookなどが挙げられます。これらのサービスを利用するユーザー数は非常に多くユーザーの生活の中で頻繁に使用されるため、広告効果が期待できます。
また、SNS広告の強みはボリュームだけではありません。これらのSNSでは、ユーザーは年齢や性別、居住地域や嗜好など、さまざまなプロフィールを登録します。SNS広告ではこれらのデータを元に、広告を表示するユーザーを細かく設定できるため、自社商品やサービスに親和性の高いユーザーに絞って広告を出稿できる効率的な施策といえます。
リスティング広告同様に運用の知識が必要ですが、見合った効果が見込める施策です。
ECマーケティングの戦略|購入編
次に解説するのは「CVR(Conversion Rate。購入率)」を向上するための施策です。多くのユーザーがサイトを訪れても、購入率が低いままでは売上は伸びません。サイトを訪問したユーザーの購入を促進するにはさまざまな施策が考えられますが、基本的な考え方としては以下の施策がベースになります。
- LP(ランディングページ)の最適化
- レコメンド機能
- カゴ落ち対策
- UI(ユーザーインターフェース)の改善
これらは、ユーザーがサイトに流入して商品を購入するまでの道のり(カスタマージャーニー)の各フェーズを改善するという考え方に基づいています。ひとつずつ見ていきましょう。
LP(ランディングページ)の最適化
LPとは「Landing Page(ランディングページ)」の略称で、ユーザーがサイトを訪問した時に最初に表示されるページを指します。
トップページがLPとなることもあれば、商品購入ページやコンテンツがLPとなることもあります。広告施策では、広告の内容に合わせてLPを指定することもできます。
サイトを訪れて最初に目にするページで魅力が感じられなければ、ユーザーは離脱してしまいます。ページの内容のみならず、使いやすさや読みやすさなども重要です。
商品購入やサイト内の回遊を促すために、LPの充実を図るさまざまな施策がLPの最適化です。ECサイトの運営において必須の施策です。LPの最適化はLPO(Landing Page Optimization)と呼ばれることもあります。
ページ内検索の充実化
サイトを訪れたユーザーが、自分のニーズに見合う商品やサービスを求めて検索機能を使うことは非常によく起こります。
ユーザーの興味をひく商品があっても、適切な表示ができなければ購入機会を逃すことになってしまいます。こうした機会損失を防ぐためには、サイト内での検索機能を充実させることが必要です。
検索窓を使った検索機能のほか、ジャンルや利用シーン、価格帯など適したカテゴリーの設置も大切です。ユーザーの視点に立ち、分かりやすくてニーズに適した構造を意識して設計するようにしましょう。
レコメンド機能をつける
レコメンド機能とは、特定の商品を閲覧したりカートに入れたユーザーに対し、商品ページやカートにおいて、その商品と関連性の高い商品をおすすめ商品として表示させる機能のことです。
レコメンドがうまく機能すれば、クロスセル(組み合わせの購入)やアップセル(客単価の向上)を促すことができます。
この施策においても、ユーザーの目線で本当に価値のある商品をレコメンドできるように設計することが大切です。
カゴ落ちの対策をする
カゴ落ちとは、カート(カゴ)に商品を入れたユーザーが購入完了まで進めずにやめてしまう事象を指します。カゴ落ちを防ぐ施策を策定・実行することで、CVRを上げることができます。
カゴ落ちが生じる原因はさまざまなものが考えられますが、基本的には購入フォームでなんらかの問題が生じていると考えられます。
フォームの入力が煩雑であったり、希望の支払い方法が使えないことが分かったり、送料が高額であったり、配送に日数がかかりすぎていたり……。購入フォームでの離脱を防ぐために、ユーザーの視点で使いやすさや分かりやすさ、利便性を追求する必要があります。
ユーザーインターフェースの見直しをする
ユーザーインターフェースとはユーザーとサイトの接点(インターフェース)のことで、具体的にはサイトのデザインや体裁、商品の情報など、ユーザーから見える見た目全体を指します。ユーザーインターフェースはUIとも呼ばれます。
ユーザーにとって見やすくて分かりやすいUIにすることで、ユーザーの利便性が上がり購入率の向上につながります。前項で説明したカゴ落ち対策も、購入フォームのUI改善といえるでしょう。
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ECマーケティングの戦略|再訪編
売上を伸ばすには、「訪問ユーザー数」×「購入率(CVR)」×「客単価」×「購入回数」のいずれかを改善する必要があります。ユーザーの再訪を促すことで、購入回数が増えて長期的な売り上げを確保することができます。また、訪問を繰り返しサイトのリピーターやファンになってもらえれば、CVRや単価の向上も期待できます。
本項では、以下のような代表的な再訪施策を解説します。
- クーポンの発行
- 会員ポイントの付与
- メールマガジンの配信
- リマーケティング広告
クーポンの発行
再訪対策のうち取り入れやすいのが、金銭的なメリットを与えて再訪問を促す施策です。クーポンを発行することで、同じ商品を扱う他サイトへの流出を防ぐ効果も見込めます。
ただし、クーポンを発行する施策はさまざまなサイトで行われているので、ユーザーが慣れてしまっていて“お得感”を感じてもらいにくいことがあります。むやみにクーポンを発行するのではなく、効果的なタイミングや内容を考えることが必要です。
会員ポイントの付与
前項で説明したクーポン同様、自社サイトでの買い物にのみ使える会員ポイントの付与も、再訪問の促進につながります。金銭的なメリットを感じてもらえるほか、ポイントを貯める行為には一種のゲーム性があります。「貯める」こと自体が楽しくなるような工夫をすることで、再訪問や再購入につなげることができます。
メールマガジンの配信
定期的なメールマガジンの配信もまた、有効な再訪問対策になります。
メールマガジンの活用は、お知らせの送信によるサイト想起だけではありません。クーポン発行やポイント付与の施策を組み合わせたり、対象ユーザーを絞り込んでメールの内容を変えることで、より効果的な配信の仕方を模索することができます。
メールマガジンの内容でも、さまざまなチャレンジができます。季節商品を紹介したり、ユーザーが興味を持ちそうな読み物コンテンツの一部を載せ、続きをサイトで読めるようにしたり……。「このような内容だとユーザーが興味を持つのではないか?」という仮説を立て試してみることがメールマガジンでは行いやすいため、企画の試金石にも使えます。
リマーケティング広告
リマーケティング広告とは、一度サイトを訪れたのちに離脱したユーザーに対して広告を表示させる施策のことです。ユーザーが過去に閲覧した商品や関連する商品などを表示するため、ユーザーが興味を持つ可能性も高く、再訪が期待できます。
なお、「リターゲティング広告」という言葉もありますが、この2つは内容としてはほぼ同じです。広告の掲載される母体によって呼称が異なり、Google広告においては「リマーケティング」、Yahoo!広告やInstagram広告などでは「リターゲティング」と呼ばれます。
ECマーケティングのおすすめ勉強方法
ここまで、ECマーケティングの基本的な考え方と施策を紹介してきました。ほかにも実に多くの施策事例や戦略の立て方、フレームワークがあります。おもな勉強方法としては以下の通りです。
- 本で勉強する
- インターネット上のブログやコラムで勉強する
- ECコンサルタントから学ぶ
本で勉強をする
ECマーケティングを学べる書籍は数多くあります。初心者にむけた網羅的なものから、特定の分野を深堀りしたもの、中長期の戦略立案など中上級者むけのものまで、自分が今どういうことを知りたいのかを整理したうえでいくつかの本を比較するのがよいでしょう。
ECマーケティングの分野は情報のアップデートが早いため、ここ2~3年以内に出版されたものを読むのがおすすめです。
インターネット上のブログやコラムで勉強をする
さまざまやサイトやブログ、SNSでもECマーケティングに関する情報が発信されています。書籍を購入して勉強するより手軽でコストがかからない点が利点ですが、情報の信憑性には注意が必要です。ECマーケティングの経験がある人など、信頼に足る背景を持った人が発信している情報を取り入れるようにしましょう。
ECコンサルタントから学ぶ
最も安心できるのが、ECマーケティングのプロから学ぶことです。日々アップデートされるECマーケティングのトレンドをキャッチして運用しているECコンサルタントは、書籍やWebを使った独学の勉強では得ることのできない、質の高い知見を持っています。
ECマーケティングについて不安がある方はぜひご相談ください
本記事では、ECマーケティングを行ううえで必要な基本的な考え方と、その具体的な施策を解説してきました。
ECマーケティングにおいては第一に、自社サイトの現状を正しく把握して課題を洗い出し、その課題解決に適した戦略・施策を策定することが必要です。そして施策を実行するのみならず、効果を正しく測定し、事前に設定した仮説や目標と照らし合わせて分析・改善を行い、次の施策へと生かす…この一連の流れを繰り返すことがECマーケティング活動の根幹となります。
しかし、これらを一から効果的に行うのは中々容易ではありません。時間やコストが限られている中で結果を出す必要がある場合、無理に自社だけで運用せず、プロに相談することをおすすめします。
テクノデジタルでは、ECサイトの現状把握・数値分析から、施策立案のサポート、ECサイトの開発・運用代行まで、幅広くご相談を承っています。ECサイトの運用・改善に課題を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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