2024.03.15
Visual Basicとは?特徴や継続使用のリスクについて解説
みなさんは、Visual Basicをご存知でしょうか。プログラミング言語のひとつですが、プログラミングの経験がほとんどない方にとってあまり身近ではない存在かもしれません。
本記事では、Visual Basicとは何か、そして成立までの歴史や特徴など基本的な情報について解説します。また、基礎知識のみならずVisual Basicで頻繁に使用される文法やリスクも一緒に取り上げるため、これからプログラミングを学びたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- Visual Basicの基本知識
- Visual Basicの個性
- Visual Basicの基本的な文法
- Visual Basicの抱えているリスク
目次
Visual Basic(VB)とは?
VBことVisual Basicは、アメリカのワシントン州に本部を持つ多国籍IT企業、マイクロソフト社が開発したプログラミング言語です。BASIC言語の文法をもとにWindowsアプリケーションを開発するための機能を搭載した言語で、現在までにいくつか派生言語が登場しています。
そんなVisual Basicの歴史やVBAことVisual Basic for Applicationsとの違いについて、もう少しだけ詳しくみていきましょう。
Visual Basicのバージョンの歴史
Visual Basicは1991年に初版となるVB1.0がリリースされましたが、日本では発売されませんでした。日本語版が登場するのは、翌年の1992年に発表されたVisual Basic for MS-DOSからで、日本国内でVisual Basicが普及し始めたのもこの頃からです。
Visual Basicが広く浸透し始めたのは、1995年にリリースされたVisual Basic 4.0以降のことでした。ちなみに、Visual Basicは1998年にリリースされたVisual Basic6.0を最後のバージョンとして、以降.NET Frameworkへと対応を実現し、一時的に名称をVB.NETに変更しています。その後、2005年版のVB 2005より名称が以前のものに戻り、国内外の多くのユーザーに好んで利用されるプログラミング言語となりました。
Visual Basic(VB)とVisual Basic for Applications(VBA)の違い
VBAことVisual Basic for Applicationsは、その名のとおりアプリケーション開発を目的としたVBの一形態です。主にExcelをはじめとする、マイクロソフト社のOffice製品向けのマクロを作成する際に使用します。
両者の大きな違いのひとつは、開発環境の違いです。Visual Basicを使用するためには、Visual Studioと呼ばれる開発ツールをインストールし、開発環境を整えなければなりません。一方のVBAは、Office製品が入っていればすぐに使用可能です。
また、アプリを作るときに画面を作るか否かの違いもあります。Visual Basicは入出力用の画面を最初に作る必要がありますが、VBAはExcelを画面として使えるため、別途画面を作る必要はありません。
Visual Basic(VB)の特徴
プログラミング言語にはそれぞれ個性がありますが、Visual Basicにも以下のような特徴があります。
- プログラミング初心者にも易しい
- 開発初心者でも始めやすい
- Windows上で完結できる
- RAD(Rapid Application Development)の先駆け
それぞれの特徴について、もう少しだけ詳しくみていきましょう。
プログラミング初心者にも易しい
Visual Basicは、プログラミング言語のなかでも学びやすい言語です。Visual Basicの原型となったBASICは初心者向けに作られており、Visual Basicも使いやすさを重視して開発されています。使用する文法もあまり複雑ではないため、プログラミングの経験がほとんどない方にとっても習得がしやすい言語といえるでしょう。
開発初心者でも始めやすい
Visual Basicは開発初心者にとっても始めやすい言語です。Visual Basicは1991年に登場して以来、国内外でさまざまなユーザーに利用されてきました。そのため関連書籍が多数出版されており、現在ではオンライン上にもわかりやすい学習サイトも登場しています。
コードを書くための支援機能も充実しており、これまでVisual Basicに触れてこなかった方も問題なく開発に取り組めるでしょう。
Windows上で完結できる
開発するプログラムによっては複数の開発環境やテスト環境を用意しなければなりませんが、Visual BasicはWindows上のみで開発のプロセスすべてを完結させることが可能です。使い慣れたOSのGUI環境でコードの作成ができるため、作業効率も自然に向上します。
Visual Basic(VB)におけるRADの利点
Visual Basicは、RADことRapid Application Developmentの先駆けです。RADとはプロトタイプ開発と反復型開発を組み合わせた開発手法のことで、高速アプリケーション開発とも訳されます。
少人数で仕様分析から設計、開発を進め試作品を繰り返し作成しながら評価、改良を行っていくのが基本の流れです。そのため、開発期間を短縮しつつ、早い段階で高品質のシステムを構築できます。
Visual Basicは直感的かつ迅速な操作が可能なため、RADの先駆者となりました。
Visual Basic(VB)でよく使われる文法例
ここからは、Visual Basicで頻繁に使用される文法について解説します。実際のサンプルコードも一緒に紹介するため、これからプログラミングを学ぶ方はぜひ参考にしてください。
変数
変数とは、数値や文字などの値を入れられる領域のことです。変数を上手く活用できればコードの可読性が上がり、プログラムの制作効率も向上します。ちなみに、変数を使用する際、変数の名前は自由に決められますが、コードを読む方のためにも何を代入するのかわかりやすい名前をつけるようにしてください。
以下、Visual Basicにおける変数の書き方になります。
Dim x As Integer Dim y As String |
こちらのサンプルコードではxを数値型、yを文字列型で宣言しています。
演算子
演算子とは、数値や文字列などのデータを扱う際に使用される記号や記述方法のことです。演算子を使用すると四則演算や値の比較、変数に対する任意の値の代入などができます。
演算子を実際に使用したサンプルコードは、以下のとおりです。
Dim x As Integer Dim y As Integer x = 20 y = 10 x + y x – y x * y x / y |
上記のプログラムを実行すると、以下のような結果になります。
30 10 200 2 |
演算子のメリットは、コードの簡潔化や計算処理の高速化が期待できる点です。ただし、複雑すぎる式は逆にプログラムの処理スピードの低下の原因になってしまいます。また、データの形によって期待とは違う計算結果が出る場合もあるため、動作チェックは必ず行いましょう。
条件判定
条件判定とは、その名のとおり設定した条件によって処理方法を変化させること、およびそのコードのことです。Visual Basicの場合、条件分岐はIfとSelect Caseの2種類が頻繁に使用されます。
条件判定を使用したサンプルコードは、以下のとおりです。
Dim x As Integer = 2 Dim msg As String = “” If x > 0 Then msg = “0より大きい” Else msg = “0より小さい” End If |
条件分岐はコードの効率化、そしてプログラムの柔軟性の向上に役立つ存在です。ただし、多用すると可読性が下がってしまいプログラムの保守性に影響を与えるため、複雑にならない程度に使用してください。
繰り返し処理
プログラムに何度も同じ処理を実行させる制御構文が繰り返し処理です。VBの場合はDo〜 LoopやFor〜 Nextを使用して繰り返し処理を実行しますが、実際にコードを書くと以下のようになります。
Dim x As Long For x = 0 To 5 MsgBox(“今” & x & “周目”) Next |
For〜 Nextは処理の繰り返し数を指定したいとき、Do〜 Loopは終了条件、または継続条件を指定したいときに使用します。繰り返し処理は終了条件がない場合、無限ループしてしまい処理が終了しなくなるため、必ず終了条件を記載するようにしてください。
Visual Basic 6.0(VB6)の継続リスクについて
Visual Basic 6.0は、1998年に登場した、Visual Basicの最後のバージョンです。VB6で開発されたビジネス用アプリケーションを利用している企業も依然多く存在します。しかし、Visual Basic 6.0で開発された業務システムは開発環境、および実行環境の両面でリスクを抱えているため、継続使用はあまりおすすめできません。
具体的にどのようなリスクがあるのか、順番に解説します。
開発環境でリスクとなる理由
Visual Basic 6.0統合開発環境は、2008年4月8日でマイクロソフト社の延長サポートが終了しているため、機能改修や追加には相応のリスクがともないます。Visual Basic 6.0に対応している最新のソフトも減少傾向にあるため、満足のいくシステム活用は今後困難になるでしょう。
そして、古いシステムを何年も維持し続けるのは、維持管理のコストを増大させる原因にもなります。従業員たちの業務効率も低い状態から抜け出せなくなり、悪循環に陥るリスクも高まるでしょう。
また、Visual Basic 6.0を使用できる技術者の数は現在減少しているため、保守要因の確保も困難になることが予想されます。
実行環境でリスクとなる理由
Visual Basic 6.0で開発されたアプリケーションは、現状Windows 10でも動作します。そのため、一旦Visual Basic 6.0からの脱却を見送った企業も多いですが、動作させるためにはOSに標準では入っていないランタイムライブラリのインストールが必須ですし、今後Windows 10以降のOSで動作する保証もありません。
新しく登場するOSがVisual Basic 6.0に対応していない場合、新しいシステムを導入しなければなりませんが、その間の業務は滞ってしまいます。このような実行環境のリスクを回避するためにも、Visual Basic 6.0から早い段階で脱却するのが望ましいといえるでしょう。
次にこちらでは、VSCodeの基本的な使い方と便利な拡張機能を紹介します。ぜひご覧ください。
まとめ
以上、Visual Basicの基礎知識や特徴、継続利用のリスクなどについて取り上げてきました。Visual Basicは初心者向けに開発された言語のため、文法がわかりやすく直感的な操作も可能です。そのため、アプリやシステムの制作経験が浅い方も安心して学べます。
ただし、マイクロソフト社によるサポートはすでに終了しているため、新しいアプリやシステムの開発を検討している方にはあまりおすすめできません。現在でもVisual Basicを使用している場合は、段階的にほかのシステムに移行した方が良いでしょう。
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