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2024.03.18

VBAとは?活用できる業務や将来性を解説

VBAとは?活用できる業務や将来性を解説

突然ですが、みなさんはVBAをご存知でしょうか。Excelを触った経験があるなら名前は知っているかもしれませんが、具体的な動かし方はわからない、またはどのようなことができるのか知らないという方も少なくありません。


そこで、今回はそんなVBAの基本的な知識や、VBAでできる業務について解説します。また、VBAの将来性に関する話題もまとめて取り上げるため、VBAを含むプログラミング言語の学習を検討している方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

この記事でわかること

  • VBAの基本知識
  • VBAでできる業務
  • VBAの将来性

VBAとは

VBAとは

VBAことVisual Basic for Applicationsとは、Microsoft Officeに含まれるアプリケーションソフトの組み込みプログラミング環境のことです。Wordで用いられるVBAはWord VBA、Excelで用いられるVBAはExcel VBAのように、利用するMicrosoft製品によって呼び名が異なっています。VBAを使用すれば、データ集計の自動化やメールの一括送信、Microsoft Officeアプリケーション間の連携などが実現可能です。

VBAの歴史は、1991年にマイクロソフトが開発した汎用プログラミング言語、Microsoft Visual Basicを同社製品のMicrosoft Officeに搭載したところから始まります。ExcelにVBAが搭載されたことにより、Excelを利用して自動で業務を処理できるアプリケーションが誕生し、多くの企業で導入されるようになりました。

2006年には株式会社オデッセイコミュニケーションズによってVBAスキルを認定するVBAエキスパートという資格が誕生し、日本でも徐々に業務効率化プログラミング言語としてVBAが普及していき、現在にいたります。

VBAとマクロの違いは?

VBAとマクロの違いは?

VBAと混同されがちな存在として、マクロの名前が挙げられます。マクロとは、複数の操作を必要に応じて呼び出せるようにする機能のことで、単純なマクロはともかく、ある程度複雑なマクロを制作するためにはプログラミングが必須です。VBAは、そんな複雑なマクロを作成するための手段のひとつになります。

マクロを作成する際は、アプリケーションによって異なるプログラミング言語を使用しなければなりません。そして、Microsoft Officeのアプリケーションを動かすためのマクロを制作する際に使用するのがVBAです。

VBAを使ってExcelやWordのマクロを作成する場合は、開発タブからマクロのコードを編集します。ただし、開発タブは初期設定では非表示のため、まずは設定を変更して開発タブが表示されるようにしてください。

ちなみに、一度作成されたマクロは再利用が可能です。ひとつのボタンクリックやショートカットキーで実行できるため、全体の作業効率の向上も期待できます。

VBAを活用できる業務

VBAを活用できる業務

VBAが活用できる主な業務は、以下のとおりです。

  • 書類の自動作成
  • データ処理とグラフ作成
  • メールの一括送信
  • データやファイルの整理、および編集
  • ログの解析
  • 情報の一括取得

VBAを活用した場合、それぞれの業務がどのように実行できるのか順番にチェックしていきましょう。

書類の自動作成

VBAが活用できる代表的な業務のひとつが、書類の自動作成です。書類作成はさまざまな部署で行われていますが、手作業ですべての書類を作成するのは簡単ではありませんし、書類にミスが見つかった場合の修正作業も手間がかかります。

しかし、VBAによって書類の作成を自動化できれば、手作業での入力や計算を省略可能です。プログラムに処理を任せるため、ヒューマンエラーを減らしつつ、業務効率も向上します。また、テンプレートを使用するため、一貫性のある書類作成も可能です。

データ処理とグラフ作成

VBAを活用すれば、データ処理とグラフの作成が可能です。データの量が少なければ手作業でも問題なくデータの処理はできますが、量が増えれば作業の手間も時間もかかりますし、ミスが発生する可能性も高くなります。

しかし、VBAを使用すれば、データ集計などの四則計算の自動化が可能です。また、VBAの実行で集計されたデータを表として可視化、またはグラフ化もできるため、PowerPointやWordに挿入すれば見やすい資料を作成できます。

メールの一括送信

VBAはMicrosoft社が提供している多機能メールソフト、Outlookと連携することでメールの一斉送信も可能です。昨今はどの企業でもメールのやり取りは必ず行われていますが、メールをまとめて送信する際、送信先の抜けや漏れが発生することがあります。メールの誤送は場合によっては情報漏洩につながり、企業の信頼を失うきっかけとなる可能性もあるでしょう。

VBAでメールの一括送信をすれば、信先が多い場合でも宛先を間違えることはありません。また、必要な方にもれなく情報を伝えられるため、業務効率の面でも大きな恩恵を受けられるでしょう。

データ・ファイルの整理や編集

データやファイルの整理、および編集をする際にもVBAは活躍します。多数のデータやファイルの編集を手作業でこなすのは、効率的とはいえません。

しかし、VBAなら以下のような業務を効率的かつ正確に実行できます。

  • ファイル名の一括変更
  • ファイルの一括移動
  • ファイルやフォルダの一括削除
  • 何階層にもわたるフォルダを一度の操作で作成
  • ファイル情報の一覧の取得

VBAを用いて自動化すれば、事務業務の負担を軽減しつつ、ほかの業務により時間を割けるようになります。

効率的なログの解析

VBAが活用できる業務として、ログの解析も挙げられます。ログは監査やセキュリティ対策のシーンで必要になる、企業の重要なデータです。

もし使用しているサーバーやアプリケーションのログファイルの形式がテキストやCSVだった場合、VBAを使用してログを読み込めます。大量のログも効率的に解析ができるほか、インシデントが発生した際の調査やサイバー攻撃や内部不正の検知も素早く実行可能です。

情報の一括取得

VBAを活用すれば、ウェブスクレイピングもできます。ウェブスクレイピングとは、Webサイトから特定の情報を自動的に抽出するコンピューターソフトウェア技術のことです。

ウェブスクレイピングを使用すればオンライン上に存在するWebサイトやデータベースを探り、大量のデータのなかから特定のデータのみを抽出できます。収集した情報はExcelを使用して集計し、グラフやレポートにまとめることも可能です。

【VBA】将来性があるといわれる理由は?

【VBA】将来性があるといわれる理由は?

さまざまな業務に活用できる VBAは、将来性が高い存在ともいわれています。具体的にどのような点で将来性が高いと評価されているのか、順番にチェックしていきましょう。

VBAを使える人が少ないため

VBAの将来性が高いといわれる理由のひとつに、VBAに習熟している方が少ないことが挙げられます。会社員1000人に対してVBAを使用してマクロが組めるかアンケートを実施したところ、半数以上ができないと回答しており、ある程度自由に作成できると回答した方は全体の9.1%しかいませんでした。これは多くのエンジニアが、活用の範囲が限られているVBAよりも、汎用性の高いJavaやC#を優先的に学ぶためです。

そのため、VBAを使いこなせれば、多くの企業で重宝される人材になれるでしょう。

システム開発がしやすいため

VBAは、シンプルな構造のコードが使用されているため、プログラミングの経験が浅い方でも簡単にシステム開発ができます。また、Microsoft Officeのアプリケーションにはじめから備わっているため、特別な環境設定も不要な点もVBAの強みです。

Office製品を使っている企業が多いため

Excelをはじめ、Microsoft Officeのアプリケーションは、現在さまざまな企業で使用されており、VBAが必要になる場面も少なくありません。今後もExcelやWordなどの需要が無くならない限り、VBAの需要がなくなることはないでしょう。

資格でスキルを証明できるため

VBAには、VBAエキスパートと呼ばれる資格が存在します。VBAエキスパートは実技試験のため勉強した内容がそのまま実務に活かせますし、資格を取得できれば自身の客観的なスキルを証明できるため、企業からの評価を高めることもできるでしょう。

【VBA】将来性がないといわれる理由は?

【VBA】将来性がないといわれる理由は?

VBAは将来性が高いといわれる一方で、将来性が低いという意見もあります。なぜ将来性が低いといわれているのか、具体的な理由を順番にみていきましょう。

大量のデータの処理が不得意なため

VBAの将来性がない理由として、大量のデータ処理ができないことが挙げられます。VBA をExcelで利用する場合、Excelのワークシートの最大容量を超えるデータの処理は処理できません。

また、処理できるデータ量の上限を超えていなくても、上限に近づくほど処理速度は低下していきます。大量のデータを処理したい場合は、ほかのデータベースを利用した方が良いでしょう。

Office製品以外での活用ができないため

VBAは、Microsoft Officeのアプリケーション以外で活用できません。そのため、Microsoft Officeのシェアが下がってしまうと、一気に需要がなくなる可能性があります。

VBAに大幅なアップデートがないため

プログラミング言語や開発ツールは定期的にアップデートされていますが、VBAは大幅なアップデートがほとんどされていません。アップデートがされていないと、今後新しく登場するMicrosoft Officeのアプリケーションに対応できず、VBAが衰退するリスクが高まります。

ブラウザベースのサービスの普及が進んでいるため

ブラウザベースのサービスが普及している点も、VBAにとって逆風です。代表的なのがGoogleスプレッドシートですが、今後これらのサービスの人気が増していくとMicrosoft Officeのアプリケーションのシェアが下がり、結果的にVBAの使用頻度も下がってしまいます。

次の記事では、VBAの基盤であるVisual Basicの特徴や継続使用にともなうリスクについて解説します。合わせてご覧ください。

まとめ

まとめ

以上、VBAの基礎知識や活用できる業務、そして将来性について取り上げてきました。VBAはデータ処理に代表される一般的な事務仕事の効率を大幅に向上させてくれる存在です。習得難易度も比較的低いため、プログラミングの経験がない方でも学びやすいといえます。

ただし、需要はMicrosoft Officeのシェアに依存しているため、今後も安定して使用されるかはわかりません。VBAの習得を検討している方は、その点も踏まえてVBAを勉強するか考えてください。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。