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2024.03.15

CDPとは?構築のメリットや注意点を解説

CDPとは?構築のメリットや注意点を解説

昨今はさまざまな企業で顧客データが扱われていますが、データ量が膨大なため管理方法に頭を悩ませている担当者も少なくありません。そんな顧客データの収集や管理をする際に役立つのが、CDPです。


しかし、名前は知っていても具体的にどのようなことができるのか、またどのような特徴があるのかわからないという方も多いでしょう。今回は、CDPとは何か、CDP構築のメリットやデメリットについて解説します。導入時の注意点も一緒に取り上げるため、検討中の方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • CDPの基本知識
  • CDP導入の必要性
  • CDPのメリット・デメリット
  • CDPを導入する際に押さえておきたいポイント

CDPとは?

CDPとは?

CDPとはCustomer Data Platformの略で、顧客一人ひとりの属性データや行動データを扱うデータプラットフォームのことです。CDPは顧客を深いレベルで理解するために行われるマーケティング活動において、必要不可欠な存在となっています。

CDPの概要について、もう少し詳しくみていきましょう。

CDPの意味

昨今はオンラインショッピングをはじめ、特定の個人に紐づいたデータを扱う場面が増加しています。顧客データは正確なマーケティングを行うためにも重視すべき存在ですが、データの一元的な管理、および連携ができていない企業は依然として多いでしょう。

そんなときに役立つのが、データの収集と統合、そして管理を行うCDPになります。CDPはMAをはじめ、CRMやWeb接客ツール、そして社内システムなど、多種多様なシステムとつながり、データを蓄積することが可能です。

収集したデータを外部へ連携できれば、顧客へさまざまなアクションが可能になり、データの可視化を簡単に行えるようになります。

CDPが必要な理由

CDPが必要な理由

各種データを扱うためのデータプラットフォームとして採用されているCDPですが、なぜ多くの業界で求められているのでしょうか。CDPが必要である理由を順番にチェックしていきましょう。

一人ひとりのニーズに合わせた施策

CDPの重要性が高まっている背景として、顧客ニーズの多様化が挙げられます。以前であれば、テレビCMに代表されるマスマーケティング中心のマーケティング施策が効果を発揮していました。

しかし、最近ではPCやスマートフォン、タブレットなど通信端末の複数所持が一般的になっており、商品やサービスに関する情報をInstagramやX(旧Twitter)などのSNSから入手するケースも珍しくありません。

その結果、顧客の購買行動が複雑化しており、マスマーケティング施策の効果は従来ほど期待できなくなっています。代わりに重視されるようになったのが、一人ひとりのニーズに合わせた施策、One to Oneマーケティングです。

CDPの導入によって顧客単位のデータ収集と分析が可能となり、顧客ニーズをより細かく、正確に汲み取れるようになるでしょう。

顧客の購買行動の複雑化

サービスの細分化が進むにつれて、顧客の購買行動も複雑化している点もCDPを導入する理由のひとつです。

たとえば、ネットショッピングで買い物をする場合、その起点がスマートフォンだったとしても途中でPCやタブレットに端末を切り替え、その後再びスマートフォンに戻って決済するという行動は決して珍しくありません。

この場合、本来1名と認識すべきデータですが、データ分析上は10人以上と認識してしまうこともあります。そのため、多様なタッチポイントから得られた顧客データを統合し、一元化して分析するためのツールとして、CDPの存在は重要といえるでしょう。

CDPを構築(導入)するメリット

CDPを構築(導入)するメリット

CDPの構築、または導入によって、以下のようなメリットが享受できます。

  • 顧客データを一元管理できる
  • 顧客ニーズを正確に理解できる
  • 一人ひとりに適したマーケティング施策ができる
  • 迅速にデータ分析ができる
  • 部署同士で分析結果を共有できる

それぞれのメリットについて、もう少し詳しく解説しましょう。

顧客データを一元管理できる

CDPの導入によって、顧客データの一元管理が可能です。データの一元化にはさまざまな利点が存在しますが、その代表として業務効率の向上が挙げられます。

業務に関連する情報や文書が複数の場所に散在している場合、データの収集や集計など、単純な作業でも相当な工数が必要です。また、それぞれの情報に対して情報管理者を任命する必要があるため、多くの人的リソースを確保しなければなりません。

データを更新する際も、すべての場所のデータを更新しなければならず、ひとつでも更新ミスが発生するとどれが最新の情報かわからなくなります。

データを一元管理できれば、まずデータ収集の時間短縮が可能です。データの重複や不整合の解消によって、整備にかかる時間も短縮され、あらゆる企業活動の効率化が期待できるでしょう。

顧客ニーズを正確に理解できる

CDPの導入によって、顧客ニーズも正確に理解できるようになります。マーケティングをするにあたって、最も重要なのは活用するデータの精度です。内容が正しくなければ、そもそも適切な分析結果を導き出せません。

不正確な分析をもとに新しい行動指針を決定してしまうと、利益どころか多大な損失を生み出すリスクもあるでしょう。しかし、CDPの活用によって分析対象となるデータが増えれば、より適切かつ正確な分析ができるようになります。

一人ひとりに適したマーケティング施策ができる

昨今は、顧客一人ひとりに適したマーケティングであるOne to Oneマーケティングがより重視されるようになっています。One to Oneマーケティングでは、最初から興味関心のある消費者にのみ広告を打つため、購買確率を高めることが可能です。

しかし、データが散在している状態では、同じ内容のコンテンツを繰り返し配信してしまったり、また顧客が興味関心を持っていないコンテンツを流してしまったりと、顧客離れを招く可能性が高まるでしょう。

効果的なOne to Oneマーケティングを実施するためには、データを一元管理し、顧客をデータにもとづいて把握しなければなりません。適切なマーケティング施策が実施できれば顧客との信頼関係を構築できるため、既存顧客をリピート顧客や主要顧客にすることもできます。

迅速にデータ分析ができる

データを一元管理できれば、データ収集の手間がなくなり、素早いデータ分析が実現できます。データ分析のスピードは、ビジネスにおける意思決定のスピードにも直結する重要な要素です。

意思決定が遅いと、悩んでいる間にほかの企業に仕事を奪われてしまい、大きな損失を生み出す可能性が高まります。とくに日本は意思決定までのプロセスが長いため、データ分析のスピードは重要な課題です。

また、素早いデータ分析が実現できれば、課題解決のヒントを早い段階で得られます。スムーズに問題点を解決できれば、それだけ業務効率の向上も望めるでしょう。

部署同士で分析結果を共有できる

CDPの構築によって、分析結果をほかの部署とも共有できるようになります。データが一元管理できていない企業では、複数の部署でデータを管理しなければなりません。

そのなかに共有すべきデータがある場合、管理が煩雑になってしまい、正しいデータが把握できなくなります。結果、情報共有が滞ってしまい、全体の業務効率が落ち込んでしまう可能性も高くなるでしょう。

しかし、CDPによってすべてのデータを共有できるようになれば、これらの問題を解決できます。業務効率が向上すれば、従業員のストレスも減り、離職率が下がる効果も期待できるでしょう。

CDPを構築(導入)するデメリット

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企業にさまざまな利点をもたらすCDPですが、もちろんメリットのみならずデメリットも存在します。具体的にどのような欠点があるのか、ひとつずつチェックしていきましょう。

個人情報の漏洩リスク

CDPのデメリットとして、個人情報の漏洩リスクが高まる点が挙げられます。CDPは、大量のデータをひとつにまとめられるのが利点です。

しかし、セキュリティ対策が甘い場合、不正アクセスによって顧客の個人情報が一気に漏洩する可能性があります。個人情報が漏洩すると企業は顧客からの信頼を失い、状況によっては損害賠償責任が生じるケースもあるでしょう。CDPを採用するのであれば、各種セキュリティ対策は必須です。

機能が複雑で使いこなせない可能性

データの管理をサポートしてくれるCDPですが、採用したツールによっては使いこなせない可能性があります。CDPは膨大かつ精度の高い顧客データを収集しているため、ツールや情報が複雑です。

なかには直感的な操作ができるCDPもありますが、基本的なITスキルやマーケティングの知識は必要不可欠といえます。CDPを取り入れる際は操作性の確認、そして担当者の事前教育をしっかり行いましょう。

CDPを導入する際の注意点

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最後に、CDPを取り入れる際に押さえておきたい注意点について解説します。CDPの採用を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

導入の目的を明確にしておく

まずは、自社に新しいツールを取り入れる目的を明確にしておきましょう。目的が曖昧なまま導入してしまうと、本来のスペックを十分に発揮できない可能性があります。

CDPは、多目的に活躍できるデータプラットフォームです。コストを払って導入し、社員教育したにもかかわらず、ただデータを保管するだけのツールとして利用するのは勿体ないものです。

コストを無駄にしないためにも、ツールありきで導入を進めるのではなく、データをどのように活用するのか事前に具体的なイメージを持つようにしてください。

関係者の理解を得る

CDPを採用する際は、必ず関係者のコンセンサスを得ましょう。同じ企業でも、部署によってデータの扱いや使用しているツールは異なります。

そのため、規格を統一する際に従業員から反発されるおそれがあるほか、トラブルが発生して業務に支障が出る可能性も否定できません。スムーズにCDPを導入するためにも、関係者に対する新しいツールを取り入れる目的やメリットについて、しっかり話して理解を得ておきましょう。

最初から完璧な運用を目指さない

CDPは、最初から完璧な運用を目指さないことが大切です。CDPで扱うデータの量は膨大なため、最初はどうしても設計や構築の難易度が高くなってしまいます。収集すべき情報に優先順位をつけながら、設計や構築に時間をかけすぎないようにしてください。

CDP構築の際は、目的を実現するためにはどういった分析項目が必要か、具体的に要件定義することが重要です。こちらの記事では、要件定義の流れや求められるスキルを解説します。

まとめ

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昨今はデータの種類も量も膨大になっており、データの管理や収集方法を工夫しなければ正確なマーケティングができなくなっています。CDPを導入すれば、取得したデータから顧客のニーズを分析し、的確な施策を実施することが可能です。

一方で、データを一元化する関係上どうしても情報漏洩の危険がつきまとうほか、ツールによっては機能が複雑すぎて使いこなすのに時間がかかる場合があります。

メリットのみならず、デメリットにもしっかり目を向け、スムーズにCDPを導入するためにはどうすれば良いか、事前にしっかり考えておきましょう。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。