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システム開発

2024.01.30

スクラッチ開発とは?メリット・デメリットや比較ポイントを解説

スクラッチ開発とは?メリット・デメリットや比較ポイントを解説

自社システムを導入する際、独自性の強いシステムを構築できる開発方法を求めている企業もあるのではないでしょうか。
独自性を打ち出し、他者との差別化を目指したい場合は「スクラッチ開発」がおすすめです。

今回は、スクラッチ開発とパッケージ開発の違いやメリットデメリットなどについて詳しく解説します。
また、スクラッチ開発とパッケージ開発のいずれかを選ぶ際のポイントも紹介しますので、システム開発の導入を検討している方は最後までぜひご覧ください。

この記事でわかること

  • スクラッチ開発とパッケージ開発の違い
  • スクラッチ開発のメリット・デメリット
  • スクラッチ開発とパッケージ開発のいずれかを選ぶ際のポイント

スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、システム開発のテンプレートを使わずに1からシステムを開発する方法です。

オリジナルのシステムを開発するスクラッチ開発ですが、厳密にはテンプレートの一部を使用するケースもあります。テンプレートやフレームワークを一切使わないシステム開発を「フルスクラッチ開発」と呼びますが、通常のスクラッチ開発も独自性のある開発手法であるため、どちらも同義とされているケースがほとんどです。

スクラッチ開発が活用されている事例として、マイナンバーカードの基幹システムや鮮魚専門店を展開する角上魚類ホールディングスでのアプリ開発などが挙げられます。

パッケージ開発との違いは?

オリジナルのシステムを開発するスクラッチ開発とは反対に、パッケージ開発は既存のシステムやアプリケーションを自社に適応できるようカスタマイズする開発手法です。パッケージ開発にはクラウドのサーバーを構築する「クラウド型」と、自社にサーバーを構築する「オンプレミス型」といった種類があります。

パッケージ開発は自社にしかないシステムを構築する必要のない場合に適しており、コストや開発期間の削減が可能です。

開発の手間がかからない一方、業務の流れを既存のシステムに合わせる必要があります。システムを開発する際は、どのような機能を実装したいかを考え、パッケージ開発でも十分叶えられる場合に選択すると良いでしょう。

スクラッチ開発のメリットは?

スクラッチ開発のメリットは?

スクラッチ開発には、以下のメリットがあります。

システム開発は、どのようなことを実現したいかによって開発手法が変わります。ここでは、スクラッチ開発のメリットについて詳しく解説します。

独自性が高く他者との差別化が可能

スクラッチ開発は1からシステムを作るため独自性が高く自由度の高いシステムが開発できます。そのため、競合他社との差別化を図る際に適しており、他社にはない事業を始める場合に有効でしょう。

パッケージ開発でもカスタマイズはできるものの、テンプレートやフレームワークが出来上がっていることから、どうしても似たようなシステムになってしまいます。また、カスタマイズの範囲も限られているため、全体的にバランスの偏ったものになりやすく、システムの保守性も劣ってしまいます。

スクラッチ開発の活用で、自社のニーズに沿った機能も導入できるため、業務の効率化も期待できるでしょう。

費用対効果が高い

オリジナルのシステムを構築できるスクラッチ開発ですが、その分開発にかかるコストは高くなってしまいます。しかし、長期的な目線で考えた場合、不要なシステムを導入する分のコストを削減できます。

スクラッチ開発の特徴である自由度の高いカスタマイズを活用し、利用者の規模に合わせて機能の追加や削除といった柔軟性のある対応が可能です。利用者のニーズに沿ったシステムを作ることで利用者が増えていき、開発費用の回収へとつなげられます。

長期間使える

パッケージ開発を利用した場合、パッケージ提供元の倒産やサポートの打ち切りなどで利用ができなくなる可能性もあります。また、脆弱性への対応や打ち切りによる新たなパッケージへの切り替えなどで余分なコストが発生することも考えられます。

一方でスクラッチ開発の場合は、システムが一方的に終了するリスクがないため、長期的に利用したい場合におすすめです。自社にシステム開発を担当する部署を設けている場合や、システム開発会社との連携をしている状態であれば、システムの改修も問題なくできます。

メンテナンス性に優れており、システムの更新がしやすい点がスクラッチ開発の特徴です。

スクラッチ開発のデメリットは?

スクラッチ開発のデメリットは?

スクラッチ開発には、以下のようなデメリットもあります。

ここでは、上記のデメリットについて詳しく解説します。

開発期間が長くなる

スクラッチ開発において一番のデメリットは、開発期間が長くなってしまうことです。1からシステム開発を進める必要があるため、半年から数年程度の期間が必要となります。

開発期間が長くなるとビジネス環境が変わってしまい、業務のプロセスやニーズが変化してしまうことも懸念されます。その場合、開発当初の要件定義から外れてしまうといったリスクもあるでしょう。

変化の激しい現代において開発が長期化しやすいスクラッチ開発は、利用目的によっては足を引っ張ってしまう可能性もあります。そのため、開発期間を考慮したスケジュール管理が大切です。

コストが増加しやすい

開発が長期化しやすいスクラッチ開発では、人件費などの開発コストが高くなってしまいます。当初の予定よりも開発が長引くとコストも増えていくため、予算が圧迫されてしまう事態も考えられます。

スクラッチ開発では豊富な知識やノウハウを持ったエンジニアの確保が必要となるため、単価が高くなりがちです。また、単価が上がるだけでなく、システムが納品された後の初期費用もパッケージ開発と比較して高額になる場合もあります。

コストが上がる原因はほかにもあります。新しい事業や経営改善などに関連するシステム開発の場合、ビジネスコンサルティングにも対応した人材が配置された際も単価が高くなります。しかし、適切に人員を配置できれば費用対効果に優れた成果を出すことも可能です。

開発ベンダーの選定が難しい

スクラッチ開発は、独自性に優れたシステムを開発できる点が特徴です。しかし、システムのクオリティは、自社で開発を担当する社員や外注先のベンダーの手腕によって決まるといっても良いでしょう。

システムの要件定義は自社がメインとなって決めていきますが、要件定義をシステムに落とし込む仕事はベンダーが担当します。イメージどおりのシステムを構築するためには、ベンダーが要件を正確に把握し、システムに落とし込むスキルが重要です。

開発ベンダーを選定する際は、自社と開発会社とのコミュニケーションが大切です。ベンダー選定を怠ると、開発の長期化や要件どおりのシステムにならないといった事態となります。

どのようなシステムを構築したいかを綿密に話し合い、適切な人材を確保することでシステム開発をスムーズに進められるでしょう。

スクラッチ開発とパッケージ開発の比較ポイント

スクラッチ開発とパッケージ開発の比較ポイント

スクラッチ開発とパッケージ開発どちらかを選ぶ際、比較すべきポイントに沿って適切な開発方法を選ぶ必要があります。比較を怠ったまま選んでしまった場合、開発方法の選定から始めなければならないだけでなく、システム開発会社へ迷惑をかけてしまう事態にもなります。

開発方法を適切に選択できるよう、以下のポイントについて解説します。

スクラッチ開発とパッケージ開発は特徴が大きく異なるため、以下の解説を詳しく見ていきましょう。

独自のシステムが必要かよく検討する

システム開発を始める際は、本当に独自のシステムが必要であるかを検討しましょう。リサーチ不足の場合、自社独自のシステムだと思い込んで開発をしても、実はすでにパッケージ化されていたケースも想定されます。そのため、パッケージに含まれている内容を十分に調べたうえで開発を進めることが大切です。

リサーチを進めたうえで、これから開発を予定しているシステムがパッケージに含まれていないと確認できた場合は、スクラッチ開発を選ぶと良いでしょう。

当初はパッケージ開発を検討していても、複数のパッケージを組み合わせる必要がある場合や大幅なカスタマイズが必要な場合、スクラッチ開発よりもコストがかかってしまいます。

独自のシステムが必要な場合は、自由にカスタマイズができるスクラッチ開発を選ぶことで自社のニーズに適したシステムを導入できます。

業務の優先度で検討する

スクラッチ開発かパッケージ開発を選ぶ際、業務の優先度も関係します。たとえば、数ヶ月後にシステムの利用が必要な業務が始まるなど、スピードが求められる場合はパッケージ開発が適しています。競合他社に差をつけられないよう、まずはパッケージ開発で迅速に導入し、その後本格的なシステム開発をスクラッチ開発で行うことも可能です。

一方で、自社の重要なシステムを構築する場合はスクラッチ開発を取り入れて差別化を図ります。スクラッチ開発を取り入れることで自社が優位になれるほか、他社にはない独自性を打ち出すこともできるでしょう。

業務以外にも、優先すべき条件を洗い出したうえで開発方法を選ぶことも大切です。独自性や時間の制約、機能面の過不足などシステム開発に必要な条件の比較検討もあわせて行いましょう。

スクラッチ開発のメリット・デメリットを解説しましたが、システム開発には品質保証への理解も重要です。こちらの記事では、品質管理との違いも解説しますので、合わせてご覧ください。

まとめ

まとめ

スクラッチ開発とは、テンプレートやフレームワークを使わずに1からシステム開発を行うことを指します。他社にはない自社オリジナルのシステムが開発できるだけでなく、カスタマイズも柔軟にできる点が特徴です。

スクラッチ開発のほかにパッケージ開発があり、既存のシステムやアプリケーションを自社に合うようカスタマイズする点がスクラッチ開発と異なります。開発の手間がかからず、コストも抑えられる点がパッケージ開発の特徴です。

スクラッチ開発を取り入れることで独自性のあるシステムが開発でき、他者との差別化を図れます。また、不要なシステムを導入する必要がないことから、長期的な目線で見た場合費用対効果が高くなります。

パッケージ開発よりも柔軟性のあるシステム開発が実現できるため、スクラッチ開発を採用して他者との差をつけましょう。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。