2024.02.01
Nginxとは?Apacheとの比較や将来性も解説
Nginx(エンジンエックス)というWebサーバーソフトがあります。少し前まではApache(アパッチ)がWebサーバーソフトの主流でしたが、近年では全世界でNginxのニーズが急激に高まっています。
コンテンツサービスを提供するには、Webサーバーの構築が必要不可欠です。この記事では、Webサーバーソフトで最近注目を集めているNginxについて解説していきます。
Webサーバーソフトを選ぶ際の一助になれると幸いです。
この記事でわかること
- Nginxの概要や現状、特徴
- Apacheの概要や現状、特徴
- NginxとApacheとの違い
- Nginxの今後の将来性
目次
Nginx(エンジンエックス)とは
Nginxは、Webサイトを公開・管理する際に利用されるWebサーバーソフトの1つです。サイバーエージェントやAdobeなどの有名企業が利用しており、現在注目を集めています。
Nginxは近ごろ急激にニーズが高まっており、名前を聞いたことがある方や、Nginxの概要や現状を知りたい各企業のIT担当者も多いでしょう。この項目では、概要や現状、特徴について解説していきます。
Nginxはシェア世界一位のWebサーバー
開発初版が2004年と新しいNginxは、ロシアのイゴール・シソーエフ氏によって「当時のWebサーバーソフトの主流であるApacheより優れたWebサーバーソフト」を目標に、開発が始められました。
開発当初はシソーエフ氏個人が開発していましたが、Nginx社が2011年に設立され、2019年にはF5ネットワーク社というアメリカの企業に買収されました。しかし、現在も引き続きNginxの提供はしており、オープンソースや商用版などさまざまなサービスを広めています。
これまでのWebサーバーソフトのシェアは長らくApacheが世界一位を誇っていましたが、近ごろではNginxが急激にシェアを伸ばし、2022年にトップとなりました。
Nginxの特徴
Nginxは、以下2つの特徴があげられます。
- オープンソースで、幅広いOSで利用可能
- 高性能な処理能力と幅広い機能
Nginxはプログラムコードが公開されているので、誰でも無料で利用ができます。また、Webサーバーとして利用頻度が高いLinuxから、macOSやWindowsといった幅広いOSで利用できるのが魅力的です。
メモリ消費量が抑えられ、リクエストや並行稼働といった各処理能力が高いのも特徴です。高性能がIT業界で評判を呼び、現在では世界トップシェアのWebサーバーソフトになりました。
また、ロードバランサやリバースプロキシとしての利用が可能で、幅広い機能があるのもポイントです。
Nginx(エンジンエックス)とApache(アパッチ)の比較
Webサーバーソフトで真っ先にApacheを思い浮かべる方が多いことでしょう。この項目では、Webサーバーソフトで代表的なApacheの概要、NginxとApacheを比較して、それぞれの違いについて解説していきます。
Apache(アパッチ)とは
Apacheは全世界でもっとも利用されている代表的なWebサーバーソフトのひとつです。Nginxと同じくプログラムコードが公開されていて、無料で利用でき、大規模な商用サイトから自宅サーバーまで幅広く利用されています。
最初のバージョンが公開されたのは1995年と古く、アップデートを繰り返しながら約20年以上の長きにわたって利用され続けているWebサーバーソフトです。
Apacheは、Apacheソフトウェア財団の「Apache HTTPサーバプロジェクト」の支援のもと、全世界のボランティアのエンジニアたちによって、現在も開発・保守が続けられています。Apache Licenseの元でプログラムコードが公開・配布されているので、誰でも簡単に利用できるのが魅力です。
ApacheはWebサーバーソフトの草分け的存在で、Apacheが登場する前に標準的に利用されていたNCSA HTTPDの不具合修正や新しい機能を追加するためのパッチ集として公開されていました。その後、単体のWebサーバーソフトとして提供されました。
また、Apacheソフトウェア財団では、Apache以外の色々なオープンソースを無償で開発していて、オープンソースの世界で有名なTomcatやStruts、Antといったソフトウェアを開発しています。
Apacheは、UNIX系のOS(UNIX、Linux、BSD)やWindows、NetWireといったたくさんのプラットフォーム向けに提供していて、全世界で利用されているWebサーバーの約半数以上で採用されています。
Webサーバーソフトを選ぶ上で、必ず選択肢の中に入る代表的なWebサーバーソフトといって良いでしょう。
NginxがApacheより優れているポイント
Apacheより優れているポイントとして、以下の2つがあげられます。
- 処理速度の高さ
- メモリ消費が抑えられ、大量の同時リクエスト処理への素早さ
Nginxは導入当初から処理性能が高い設計になっており、汎用性を犠牲にする代わりに、Apacheと比べて各プロセスを高速で処理するサービスを提供しています。
ユーザーからのリクエストに対するレスポンス処理は、ユーザビリティやSEOといったところで影響が出るため無視できません。Nginxを導入することで、現在提供しているコンテンツサービスが将来的に増えたとしても、処理速度を気にすることなくサービス提供が可能です。
また、Apacheは物理的な処理リソースを占有してしまう一方、NginxはWebサーバーの負荷を軽くできます。
インターネットを利用するユーザーが増えている現在では、Webサーバーがひっ迫することも珍しくありません。リソースを占有しやすいApacheは、Webサーバーがダウンしてしまうリスクが想定されます。
しかし、少ないメモリ消費量でユーザーからのリクエストを処理するNginxは、Apacheのサーバーがひっ迫するようなリスクを回避可能です。
NginxがApacheより苦手なポイント
Apacheより優れているポイントがある一方、苦手なポイントとして以下の3つがあげられます。
- 多くの動画を使ったコンテンツには向かない
- 機能追加がしづらい
- 初心者レベルの設定に関する情報が探しにくい
NginxがApacheより優れているポイントとして処理速度の高さを解説しましたが、処理速度が高いのは静的コンテンツに限った話です。メモリ消費量を抑えた設計になっていますが、CPUを大量に利用した動的なコンテンツ処理には適していません。
動的なコンテンツ処理というのは、たとえば以下のようなケースを指します。
- PHPを多く使ったWebサイト
- 動的コンテンツがメインのWebサイト
動的なコンテンツ処理が多いWebサイトでは、CPU処理を得意としているApacheが適しています。
インターネットを利用するユーザーが増えている現在、動的コンテンツのニーズは今後も増えていくと考えられます。WebサイトのコンセプトによってはApacheを選ぶ方が増えることで、再びApacheがトップに返り咲く日も来るでしょう。
また、さまざまな機能を一緒に運用するといったことがしづらいといったデメリットがあります。たとえば、Webサーバーとアプリケーションサーバーをひとつのサーバー内で共存させたい場合、Apacheは汎用型なので可能ですが、Nginxは用途ごとにそれぞれ構築する必要があります。
これまではApacheが普及していたことから、Apacheの設定情報であればネット上に多く存在している一方、Nginxは最近急激にニーズが高まってきたこともあり、初心者向けの設定情報が探しにくいといったデメリットがあります。
設定情報が少ない中で調べながら自力で構築した際、自力で解決できない問題に直面するケースもあるでしょう。その場合は、Nginx運用のノウハウがある業者へサポートを依頼することも有効です。
Nginxの将来性
NginxとApacheを比較した際の良い点と悪い点がわかったところで、Nginxのこれからの将来性について解説していきます。
Nginxの最高経営責任者(CEO)であるガス・ロバートソン氏が、とあるインタビューの中で、Apacheと比べた時に「Nginxはクラウド構成では有利である」といった趣旨についてコメントしました。
近年、クラウドやIoT、AI、ビッグデータなど新しいITの展開が急激に進んでいますが、Nginxも将来性を重視した技術をユーザーへ提供することが求められています。またAWSやGCPといったクラウドサービスでは、WebサーバーソフトとしてNginxが標準で利用可能です。
IT専門調査会社のIDC Japanが2022年に報告した中で、クラウド市場は今後も順調に成長を続けていくと予測しています。Nginxの処理速度の高さや、メモリ消費量の抑制と素早い処理性能といった特徴は、大規模なデータ分析や解析の利用に適しているので、将来に向けてニーズが見込まれるWebサーバーソフトと言えるでしょう。
次にこちらの記事では、主に文書の記述やデータの交換に使用されるXMLについて、HTML・CSVとの違いと一緒に解説します。ぜひご覧ください。
まとめ
この記事では、Nginxの概要や現状、特徴、Apacheと比較した際の良い点・悪い点、将来性について解説してきました。NginxとApacheでは、処理速度やメモリ消費量が異なってきます。現状のコンテンツサービスをベースに、Nginxの強みやApacheの強みを考慮してWebサーバーソフトを選定してみてください。
IoTやAI、ビッグデータといった将来の展開に向けて、Nginxのニーズは今後も増えていくことでしょう。この記事がWebサーバーソフトを選ぶ際の一助にしていただけると幸いです。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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