2024.02.01
基幹システムとは?メリットや選定ポイントを解説
昨今は、さまざまな現場で従業員たちの作業効率を上げるための試みが行われています。新しい人材の採用、従業員のスキルや知識を上げるための教育の実施など、方法は複数ありますが、そのなかでも基幹システムの導入がおすすめです。
しかし、基幹システムという名前は知っているものの、具体的に何をどのようにするシステムなのかわからないという方も多いでしょう。
そこで、今回は基幹システムの概要について紹介します。また、業務に取り入れるメリットや種類、基幹システムの選び方なども取り上げるため、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 基幹システムの概要
- 業務で利用されている主な基幹システムの種類
- 基幹システムがもたらすメリット
- 基幹システムを選ぶ際のポイント
目次
基幹システムとは?
基幹システムとは、企業が事業運営するにあたって、要となる基幹業務のデータの一元管理、および業務効率化を実現するためのシステムです。基幹業務は販売管理をはじめ、在庫管理や生産管理など、企業の全業務のなかでも特に経営を支える屋台骨となる業務を指します。
利用目的はそれぞれの業務の効率化および標準化、業務フローやタスク状況を可視化し企業経営を支えるなどさまざまです。基幹系システムがストップすると、受注や料金計算をはじめとする各種業務も停止してしまうため、運用する際はセキュリティ環境の整備を徹底しなければなりません。
また、基幹システムは業務システムや情報システムとは運用目的がそれぞれ異なっているため、混同しないように注意してください。業務システム、および情報システムの概要は、以下のとおりです。
業務システムとの違い
業務システムとは、特定の業務の遂行に特化させることで、作業効率を向上させるのが目的のシステムです。基幹システムが複数の業務を同一のシステムで管理、対応しているのに対し、業務システムは該当する業務にのみ対応している個別のシステムを指します。また、扱っている業務も企業経営に直結する業務に限定されません。
両者の違いとして、システムが停止した際の企業活動への影響度の差も挙げられます。基幹業務がストップすると全体の作業フローが滞ってしまいますが、業務システムがストップしても業務の継続は可能です。もちろん、まったく業務に影響が出ないわけではないため、代替手段は必ず用意しなければなりません。
情報システムとの違い
情報システムとは、情報の記録や処理、伝達などを扱っているシステムの総称です。社内コミュニケーションや通常業務、バックオフィス業務の効率化などを実現するために運用されていますが、基幹システムと異なり必須の存在ではありません。
主な情報システムとしてチャットツールや社内SNS、グループウェアなどの名前が挙げられ、基幹システムと比較すると採用のハードルは低いです。また、取り入れることで作業の内容がデータ化され紙媒体を保管する場所や労力が不要になる、過去データの蓄積や検索が容易になるなどの利点があります。
基幹システムの主な種類
基幹システムは、どの業種で使用されているかによってシステムの種類や内容が異なっています。主な基幹システムの種類は、以下のとおりです。それぞれのシステムがどのような目的で使用されるのか、順番にチェックしていきましょう。
生産管理システム
生産管理システムとは、製造業における計画や販売、品質などを統合的に管理するシステムです。主に受注管理や生産計画など、製造工程に必要な管理業務を担っています。
製品の流れや情報の流れの管理に適しており、業務フローの最適化が期待できるでしょう。そのため、生産性の向上、および業務効率を改善したい企業はもちろん、DXを推進したい企業にとっても利点が大きいといえます。
販売管理システム
受注から納品、請求、代金回収までの一連のプロセスにおいて、商品やサービスとお金の流れを管理するシステムです。扱う商品やサービスの内容によっては、購買管理や在庫管理機能を含む場合もあります。
販売管理は販売活動に関連する一連の収支情報を正確に把握し、利益を確保するためにも重要です。販売システムによって集計されたデータを統合的に分析すれば、販売全体の状況を可視化できるため、経営戦略を考えるにあたって大きな助けとなるでしょう。
購買管理システム
見積りから検収処理までの購買業務フローの効率化を目的としたシステムです。
必要な資材を購入するための業務フローが複雑化した結果、発注ミスが多発する、適正価格での調達ができないなどの問題を抱える企業は、決して少なくありません。購買管理システムを導入すれば、オンライン上で見積りや発注作業を一括で実施できるため、コストカットや業務の効率化が実現できるでしょう。
在庫管理システム
読んで字のごとく、在庫情報を管理するシステムのことです。単純に在庫の数を把握するのみならず、製品に使用した原料の情報や製品の使用可能期限など、多種多様な情報を扱います。余剰在庫の削減や欠品による機会損失の防止、誤発注の防止などが主な強みです。
会計システム
会計業務をオートメーション化し、帳簿や決算書などの作成、および管理をサポートするためのシステムです。データを一元化することによって、会計業務を効率良く回せるようになるほか、経理作業の手間が大幅に削減できる、決算の早期化や経営判断の迅速化につながるなどの利点があります。
人事給与システム
人事関連と給与関連、2つの業務を効率的に管理することを目的に運用されているシステムです。採用管理や給与計算などの基本的な機能のみならず、最近では従業員のスキル管理や人材配置の最適化が図れる機能を備えたシステムも登場しています。適切なデータ運用によって、業務フローの改善や長期的な人材育成などが可能です。
労務管理システム
労働基準法に従い、従業員の労働時間や各種福利厚生の管理などの業務をサポートするためのシステムです。
現在はインターネットを介して利用するクラウド型が主流で、労務管理クラウドとも呼ばれています。ちなみに、労務管理と勤怠管理は混同されがちですが、勤怠管理は労務管理の一部であり、業務範囲の大きさが異なるため間違えないように注意してください。
基幹システムのメリット
基幹システムを導入するにあたって、企業はさまざまなコストを支払う必要がありますが、業務や経営において大きなメリットを享受できます。企業側が得られる具体的な利点については、以下のとおりです。
業務の効率化
基幹システムがもたらすメリットとして、業務の効率化が挙げられます。
基幹システムを取り入れることによって、それまで各部署でバラバラに管理されていたデータの一元管理が可能です。さまざまな領域のデータを1箇所に集約すれば、データ収集や整備の時間が短縮できます。
また、ヒューマンエラーの数を減らせる点も利点です。
たとえば、給与計算を行う場合、従業員の数が増えると給与計算の作業負荷は高まり、計算ミスも起きやすくなります。基幹システムがあれば、在庫計上と買掛金計上を自動かつ正確に行ってくれるため、作業品質と作業効率をまとめて向上させられるでしょう。
業務の標準化
業務の標準化も、基幹システムを取り入れる大きなメリットといえます。業務の標準化とは、作業方法を統一し、誰にでも理解できるようにすることです。
作業の手順が明確に定められていれば、抜けや漏れなどの各種人為的なミスが起こりにくくなります。また、品質も均一化するため、見直しや修正などの各種作業のやり直しの頻度も減少し、時間やコストの削減効果も期待できるでしょう。
ただし、システムを導入するだけで、どのような企業でも簡単に業務を標準化できるわけではありません。標準化を進める際は、業務フローの整理、システム操作の教育などの事前準備が重要です。
経営情報の可視化
基幹システムの導入によって、企業の経営情報を可視化できるようになります。
可視化とは目には見えないデータや情報を見える状態に整えること、そして見たいときに見られる状態にすることです。経営情報を可視化すれば、自社の事業活動の状況を一目で判断できるため、迅速な意思決定につながります。
また、経営や業務に関するデータを一元化すれば、自社の各部門の現状をリアルタイムかつ正確に把握することが可能です。具体的な数値としてまとめたデータを従業員たちと共有すれば、目標やビジョンに対する理解も深められるでしょう。
基幹システムの選定ポイント
昨今は、異なる特徴や機能を有した基幹システムが複数種類登場しています。そのため、どのシステムを採用すれば良いかわからないという方も少なくないでしょう。
基幹システムを選ぶ際は、以下のポイントに注目するのがおすすめです。
業務プロセスを明らかにし課題を特定
システムを選ぶ際は、最初に自社のどの業務に基幹システムを採用するか、そしてどのような課題を解決したいのか明確にしてください。スペックが高くても、自社業務に関係がない機能しか備えていないものを採用しても、業務効率は上がりません。
あらかじめ現在の業務フローを洗い出し、業務を滞らせている課題点を抽出しておくことで、目的に合ったシステムを見つけられるでしょう。
基幹システムの特徴を理解する
自社の目的に合ったシステムを採用するためには、利用を検討しているシステムの特徴や、得意分野を理解することも大切です。基幹システムを大きく分類すると、サーバー型とクラウド型の2種類に分けられます。
サーバー型は、カスタマイズ性が高く、業務フローごとに細かい調整がしやすいのが強みです。運用する際は、自社サーバーに任意の基幹システムをインストールします。ただし、最新技術と融和させるのが困難なほか、システム運用は自社ですべて行わなければなりません。
クラウド型は、オンライン上で提供されているサービスをインターネットを介して利用するシステムです。システムを採用するにあたって必要なコストがサーバー型よりも低く、自宅や海外などの社外エリアからでもリモートアクセスができるようになります。一方で、セキュリティ対策や安全性はベンダーに依存してしまう点が欠点です。
企業課題解決のために最適な基幹システムを選定する
自社が抱えている問題点を明確にし、問題を解決するために採用するシステムの種類や機能を決めたら、最適なシステムを探します。システム探しのポイントはさまざまですが、まずはシステムの運用や導入のサポート体制が整っているか否かを重視してください。カスタマーサービスは24時間対応してくれるか、定期的にメンテナンスを実施してくれるかなどをチェックします。
そのうえで、企業の業務内容を踏まえた適切なシステムを選択してください。選定に失敗すると業務効率が上がらず、ただ高額なシステムを取り入れただけで終わってしまう可能性が高いです。
次にこちらでは、オンプレについて、クラウドとの違いやメリット・デメリットを解説します。自社内でサーバーやソフトウェアを保有・運用を検討している方はぜひ参考にしてください。
まとめ
基幹システムの採用によって、各部署に分散したデータを1箇所にまとめることが可能です。結果、人員の削減や作業フローの短縮などを推進し、従業員が業務を効率的に進められるようになります。
ただし、基幹システムには多種多様なタイプが存在しており、単に取り入れただけでは本来の力を発揮してくれません。期待した効果を生むためには、事前に自社の課題を明確にすることが大切です。そのうえで、業務フローの効率を改善するために必要な機能を備えたシステムを採用してください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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