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システム開発

2023.12.27

オブジェクト指向とは?プログラミング初心者に向けて解説

オブジェクト指向とは?

プログラミングを勉強していると「オブジェクト指向」というワードを目にする機会があるのではないかと思います。調べてみても今ひとつ理解できず、素通りしている方も多いのではないでしょうか。


オブジェクト指向はプログラムの作成方法のひとつですが、理解するのが難しく、使いこなすまでに期間が必要です。しかし、改善点に気付きやすく複数人での同時作業もできるため、使いこなせれば作業効率を高められます。


そこで今回は、オブジェクト指向の基本的な概要やメリットについて紹介します。オブジェクト指向を理解するうえでの重要な用語や、三原則についても解説していますので参考にしてください。

この記事でわかること

  • オブジェクト指向とは何か
  • オブジェクト指向を理解するために重要な用語と三原則
  • オブジェクト指向のメリットとデメリット

オブジェクト指向とは

オブジェクト指向とは

オブジェクト指向とは、プログラムの作成方法のひとつです。処理を部品化してそれぞれを組み合わせ、ひとつのプログラムを作成します。

プログラム作成方法は、主に以下3つの表現方法があります。

オブジェクト指向プログラミング モノを組み立てるように表現して動作させる
関数型プログラミング データを処理し、答えを取得して動作させる
手続き型プログラミング 上から順に動作させる

オブジェクト指向は、この3つのなかでも主流になりつつあるプログラム作成方法です。

ひとつのプログラムを作成するには、多くのファイルが必要になります。それぞれのファイルをオブジェクト指向で作成する場合、共通の部品があればひとつの部品をそれぞれにあてはめ、独自の部品が必要な場合は個々に作り込んで実装します。

それぞれのファイルを都度ひとつずつ作成するのではなく、共通部分は使い回してプログラム作成の手間を最小限にし、独自処理が必要な部分は別途作り込む効率的な処理方法が、オブジェクト指向の特徴です。

オブジェクト指向の成り立ち

オブジェクト指向という言葉を最初に提唱したのは、オブジェクト指向環境である「Smalltalk」を発明したアラン・ケイ氏だと言われています。アラン・ケイ氏はパソコンの生みの親であり、ゼロから組み上げる開発手法であるスクラッチを作成した人物です。

オブジェクト指向は「子どもから老人まで、誰もが簡単に使えるコンピュータを創る」という考えのもとに作成されました。

オブジェクト指向が難しい理由

オブジェクト指向が難しいとされているのは、その概念自体の奥深さに加え、習得難易度の高さ、コードの複雑さにあります。

オブジェクト指向を完全に理解するには、数多くの専門用語などプログラミングに関する知識を要します。初心者がオブジェクト指向を学ぼうとするとき、次々と登場する専門用語に混乱を覚え、漠然と難しさを感じてしまうケースは少なくありません。

また、オブジェクト指向は、最も効率的な方法で処理する能力が求められます。そのため、システムの構成要素や工程などを理解できる経験値も必要です。

さらに、オブジェクト指向のコードは複雑化しやすく、慣れたプログラマーであってもゼロからの構築が非常に困難である点が、難易度を上げている理由と言えます。

オブジェクト指向を理解するうえで重要な用語

オブジェクト指向を理解するうえで重要な用語

オブジェクト指向ではさまざまな用語が使われます。そのなかでもよく使われる、クラス・インスタンス・メソッド・プロパティについて解説します。

クラス

クラスとは、これからつくるオブジェクトの設計図です。オブジェクトは直訳すると「モノ」や「対象」という意味になります。

オブジェクト指向では指示を出して作業を進めさせる、ロボットのような役割のものが必要です。例えば、ロボットは上物を設置するだけでは何も指示が出せません。指示を出せるようにするには、動くロボットが必要です。この動くロボットをつくるための設計図が、オブジェクト指向のクラスにあたります。

インスタンス

インスタンスとはクラスによって作成された「モノ」です。クラスは指示を出す設計図のため実態がありません。よって実際に稼働するオブジェクトの実体が必要ですが、この実体がインスタンスになります。

クラスによって生み出された指示通りに動くものがインスタンスです。この現象を「インスタンス化」と言います。

メソッド

メソッドとはプログラムの処理をまとめた、パッケージのようなものです。パッケージのようなメソッドに名前をつけて、後からパッケージを呼び出せるようにできます。メソッドは独立して使用することもできますが、クラス内で持つことも可能です。

プロパティ

プロパティとは、一部のデータのみを編集できるようにする機能です。プロパティを使用すると、不用意にデータを編集されるトラブルから守れます。カプセル化によって編集できなくなったデータでも、プロパティを使用すれば、部分的にアクセスすることが可能です。

オブジェクト指向の三原則

オブジェクト指向の三原則

オブジェクト指向をプログラムに落とし込むには、継承・ポリモーフィズム・カプセル化の「オブジェクト指向の三原則」を理解する必要があります。それぞれを詳しく解説します。

継承

継承とは、共通して使えるものを使い回せるようにする機能のことです。オブジェクト指向は部品にあたる「モノ」を組み立てて動作させます。

「モノ」はそれぞれ独立しているため、継承することで既存のクラスから変数や関数を引き継ぐことが可能です。同じような機能をもつクラスであれば、新たにコードを作成する必要はありません。

ポリモーフィズム

ポリモーフィズムは多態性のことで、同じ機能名で異なる動きをする処理を実装できます。継承したコードの一部を変更して利用するための仕組みです。ポリモーフィズムを実装するために、オーバーライドとオーバーロードの2つの機能が使用されています。

オーバーライド 継承したメソッドを同じ名称で別の処理として上書きできる機能
オーバーロード 同じ名称のメソッドを引数の型や数に応じて定義できる機能

ポリモーフィズムの使用で、同一のメソッドで異なる処理が可能です。

カプセル化

カプセル化とはオブジェクトのデータをカプセルに入れて、見えないようにする処理です。不要なアクセスを防いで、データを書き換えできないようにします。アクセスする場合は、外部から操作する必要があります。

カプセル化しておくと、知らない間にデータを書き換えられるトラブルを防げるため、共同開発する際におすすめです。カプセル化はプロパティと合わせて使用されることの多い処理です。

オブジェクト指向のメリット

オブジェクト指向のメリット

オブジェクト指向を理解するまでには勉強や経験が必要です。しかし、使いこなせるようになると、システム開発においてさまざまなメリットがあります。どのメリットも作業の効率化につながり、システム開発の負担を減らせます。

分かりやすく表現できる

オブジェクト指向のプログラムは、記述が短くそれぞれ独立しているため、機能を読み解きしやすいところがメリットです。

オブジェクト指向以外のプログラムの表現方法である手続き型プログラミングや関数型プログラミングは、ひとつのプログラムで繋がっているため、すべてを読み解かなければ処理が理解できません。

しかし、オブジェクト指向は部品化された処理が組み合わされているため、部品ごとに読み解けます。オブジェクト指向は、読み解きを苦手としている方でもわかりやすいプログラム作成方法です。

改善点に気付きやすい

オブジェクト指向は、プログラムごとに小さなまとまりになっています。改善点に気付きやすく部分的な改修で済むことから、改修後の不具合が起きにくいところがメリットです。

プログラムはそれぞれ独立していますが、ひとつのプログラムが機能や関数として複数の処理から作成されています。よって、ひとつのプログラムを改修することで、システム全体を改善に導けます。

作業効率が高い

オブジェクト指向は、

  • ひとつのプログラムを改修することでシステム全体を改善に導ける
  • 改善点に気付きやすいため修正時間を短縮できる
  • 読み解きの時間を短縮できる
  • 部品を組み合わせて作成するため手間を最小限にできる

など、作業効率が高いところが最大のメリットです。

とくに、改善に気付きやすい点は、ほかのプログラム方法よりも非常に作業時間を短縮できます。ほかのプログラム作成方法では、膨大なひとつのプログラムのなかからわずかなバグを探すだけで、相当の時間を必要とします。

オブジェクト指向であれば、どのまとまりのバグかを確認して対象のまとまりのみを調査すれば良いため、短時間でバグを発見できます。

また、オブジェクト指向は、特定のプロジェクトに依存しない機能は他プロジェクトでも再利用できる特徴があります。対象プロジェクト以外でも修正不要で再利用可能なほか、手を加えて適用させることも可能であり、開発作業全体の効率化が期待できます。

共同開発がしやすい

オブジェクト指向のプログラムは、機能ごとにソースが分かれているため、並行して作業できます。ほかのプログラム作成方法だと、ひとつのソースにまとまっているため、作業は並行できません。

しかし、オブジェクト指向であれば、ひとつの処理を複数人で進めることも、分散してそれぞれ開発することも可能です。

メモリの軽量化がしやすい

オブジェクト指向は、メモリ使用量を抑えられるところがメリットです。クラスを見直したりインスタンスの数をコントロールしたりすることで、メモリ使用量軽減による軽量化が可能です。

オブジェクト指向のデメリット

オブジェクト指向のデメリット

オブジェクト指向に大きなデメリットはありません。しかし、関数型プログラミングや手続き型プログラミングと比べて概念が難しいところや、システムのストーリーを追いかけにくい点があります。

オブジェクト指向は記述が短く、プログラムがそれぞれ独立しているため、個々の機能は読み解きやすいですが、プログラム全体を追うには複雑です。

オブジェクト指向プログラミングの構造を理解しやすく図解したものを、クラス図と呼びます。こちらの記事では、クラス図作成のメリットや作成方法を紹介しています。

まとめ

まとめ

オブジェクト指向とは処理を部品化して、それぞれを組み合わせてひとつのプログラムを作成する方法です。従来のプログラミング作成方法、関数型プログラミングや手続き型プログラミングと比べて使いこなせるようになるまでは難しく、システム全体を追うには複雑なところがあります。

しかし、しっかり理解できるとコードが短く読み解きやすい、個別で確認できるため改善点に気付きやすいなど、使いこなせればメリットの多いプログラミング作成方法です。また、オブジェクト指向の三原則のひとつであるカプセル化を使用すれば、複数人で並行処理できるため、作業の効率化が期待できます。

まずはオブジェクト指向の考え方や概念を具体的に捉えて、効率良くプロジェクトが進められるよう、システム開発に取り入れましょう。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。