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2024.01.04

NTPサーバーとは?Windows/Linuxでの構築方法も解説

NTPサーバーとは?Windows/Linuxでの構築方法も解説

NTPサーバーとは、さまざまなネットワークでつながっている機器同士の時刻情報を司るサーバーです。普段の仕事や生活のなかではあまり見聞きしないという方もいるかもしれませんが、自社のビジネスの信頼性を高めるためには構築することも考えなくてはなりません。


そこで今回は、NTPサーバーについて詳しく解説するとともに、構築方法やメリットをお伝えします。必要性の判断に迷う方はぜひ目を通してください。

この記事でわかること

  • NTPサーバーとはなにか
  • NTPサーバーの種類
  • NTPサーバーの構築方法とメリット

NTPサーバーとは

NTPサーバーとは

NTPサーバーとは、さまざまなネットワークでつながる機器の時刻情報を司るサーバーで、お互いの時刻を同期するためのプロトコルです。パソコンなどのコンピューターだけでなく、各種周辺機器、細かいところではさまざまなスイッチなどにも情報を取得し配信しています。


NTPサーバーの主な役割として、さまざまなタイミングで時刻を取得しようとする機器に対し、正確な時刻を配信することが挙げられます。このとき、お互いの通信に時間がかかりわずかなズレが生じた場合は、サーバー側でそれを調整して配信するため、ほぼズレのない正確な時刻を配信できることが特徴です。


時刻を取得する側をNTPクライアント、配信する側をNTPサーバーと呼ぶことが一般的です。

時刻同期とは

時刻同期とはNTPクライアントがNTPサーバーに時刻の問い合わせをしたときに、返答することを指します。このときの時間の基準になるのは協定世界時(UTC)で、日本では時差が生じることから、協定世界時の時間を9時間進めた日本標準時(JST)を採用しています。


協定世界時は、原子時計を使って地球の自転との関係を含めて1日の長さを調整してカウントする、世界共通の時間軸ともいえるものです。日本標準時は、この時間を時差の分だけすすめたもので、パソコンの時間の設定などではUTC+9:00などと表示されています。


一般にニュースなどでは日本標準時のことを「日本時間」と表現することが多いですが、その基準にもなっています。

時刻同期の重要性

ネットワーク上で時間に少しズレがあったとしても、数秒程度ならさほど大きな問題ではないように感じますが、長期的にズレが蓄積された場合は、数十秒や数分などのように、大きなズレになってしまいます。


個人用のパソコンと違って、インターネット上のサーバーとして活躍するコンピューターの場合は、こうした少しのズレが大きな混乱を招く恐れがあるのです。代表的なところではログ収集が挙げられます。たとえば、なんらかのトラブルが生じた際にログを収集して分析します。


このとき記録されるのはコンピューターに設定している時間ですが、その時間が協定世界時と大幅にズレていたとすれば大問題です。ズレそのものが常に基準から5分遅れているというならまだしも、日ごとにズレ幅が異なる場合は、業務に支障が出てしまいます。そのため時刻同期はとても重要だといえます。

NTPサーバーの種類

NTPサーバーの種類

NTPサーバーには大きく分けて2つの種類があります。ここではそれぞれについて解説するのでぜひチェックしてみてください。

公開NTPサーバー

公開NTPサーバー

公開NTPサーバーは、インターネット上で公開する無料ですぐ使えるNTPサーバーです。公開されている代表的なもののほとんどは、企業や団体、組織などで運営されていて、GoogleやAmazonなどでも公開しています。


利用の申し込みをするとサーバーへの接続確認が行われ、そのまま利用開始となる点が特徴です。主なメリットとしては利便性の高さ、登録料や手数料などがかからないこと、導入が簡単であることが挙げられます。


ただ、その一方で接続しているWi-Fiの質によっては時刻同期に影響が出る可能性や、ユーザーが多い場合は、ネットワークそのものに遅れが出る恐れがある、といったウィークポイントもあるので、その点は理解しておく必要があります。

内部NTPサーバー

内部NTPサーバー

内部NTPサーバーは、別名をローカルNTPサーバーともいいます。これは企業などが独自に開発したもので、NTPクライアントと自社のメインサーバー間の通信を行います。インターネットにつながっていなくても時刻同期ができることや、高品質なネットワークセキュリティを保てること、自社でシステムを管理できることなどがメリットです。


ただ、構築する際には時間や労力が必要になり、専門知識を持つ人材も必要です。そのほかメンテナンスなども定期かつ継続して行わなければならない点は理解しなければなりません。

NTPサーバーを構築するメリット

NTPサーバーを構築するメリット

自社でNTPサーバーを構築する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは自社で構築するメリットについて詳しく解説していきます。

セキュリティを強化できる

公開NTPサーバーを利用すれば時刻同期はいつでもできますが、セキュリティの面では不安がないわけではありません。その点、自社で構築すれば社内のコンピューターが信頼性の高い時刻情報を取得できるので、外部にアクセスしないという点ではセキュリティの強化につながります。


また、なんらかのトラブルが発生したときに信頼性の高いタイムスタンプを提供することができ、ログの精度を向上させられることもメリットです。トラブルが発生した時刻とログに誤差があれば、トラブルの原因特定にも影響がでる可能性もあり、調査時間も余分にかかります。


加えて、近年では公開サーバーを悪用したサイバー攻撃が増えているので、これらを回避する、攻撃を未然に防ぐといった観点からも自社で構築するほうが安全だといえます。

生産性や信頼性が向上する

正確性の高い時刻情報はビジネスにおける取引履歴にもポジティブな影響を与えます。たとえば、取り引きの際にお互いの時刻が異なる場合、受発注や決済のタイミングにズレが生じる可能性があります。


そのほか顧客に向けて案内などを送付する場合、システムの時刻が異なっていれば、間違った時刻情報を送付する可能性も出てくるのです。その点、自社で管理・運営できるNTPサーバーならこうしたトラブルを未然に防ぐことができます。


また、昨今の日本ではDX化を推進しており、ビジネスそのものを自動化して生産性を高める動きが活発です。大量のデータを扱うことが今後増えていくことが予想できますが、そのなかで重大な機密情報などをサーバーで扱う場合は、外部ネットワークを遮断するのが一般的です。


そうなると公開NTPサーバーにアクセスできなくなるため、一時的に時刻同期できない状況に陥ります。その点、自社で構築している場合は、セキュリティを確保したうえで、時刻の管理にかかる手間を省き、結果的に生産性を向上させることができます。

NTPサーバーの構築方法

NTPサーバーの構築方法

NTPサーバーを構築する場合、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。ここでは、WindowsとLinuxでの手順を解説していきます。構築したほうが良いか迷うときは一度試してみることをおすすめします。


Windowsで構築したい場合

Windowsのレジストリエディタで次のように設定していきます。

1 「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\W32Time\Parameters」Typeの「値のデータ」に「NTP」と設定
2 「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\W32Time\Config」AnnounceFlagsの「値のデータ」に「5」と設定
3 「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\W32Time\TimeProviders\NtpServer」Enabledの「値のデータ」に「1」と設定
4 「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\W32Time\Parameters」NtpServerの「値のデータ」に「Peers」と設定
5 「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\W32Time\Config」MaxNegPhaseCorrectionの「値のデータ」に「TimeInSeconds」と設定し、表記は「10進数」を選択
6 最後にWindows Timeサービスを再起動

Linuxで構築したい場合

Linuxでは「ntpd」を使って「/etc/ntpd.conf」を設定します。

2番目の「xxx.xxx.xxx.xxx」の部分には上位のNTPサーバーを設定し、5番目の「xxx.xxx」の部分にはアクセスを許可するクライアント範囲を指定してください。

1 # You do need to talk to an NTP server or two (or three).
2 #server ntp.your-provider.example
server xxx.xxx.xxx.xxx
3 # Clients from this (example!) subnet have unlimited access, but only if
4 # cryptographically authenticated.
5 # cryptographically authenticated. 
restrict 192.168.xxx.xxx mask 255.255.255.0 notrust(※2)
6 最後にntpdを再起動

まとめ

まとめ

NTPサーバーは、正確な時間をコンピューターに設定するための重要な役割を担うものです。時間の正確さはビジネスシーンのみならず、信頼や人間関係などにも影響を及ぼすものです。とくにDX化を推進する動きが活発な昨今では、コンピューターの時刻同期は事業を左右する可能性もあるため、できる限り正確かつ安全に行うことが重要になってきます。


公開NTPサーバーの利用でも時刻同期をすることはできますが、企業のセキュリティ面に考慮するなら自社で構築することをおすすめします。公開サーバーでもセキュリティ対策は行っていますが、これらを悪用したサイバー攻撃が増えており、被害を未然に防ぐためにも今から自社構築を検討することが必要です。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。