2023.12.04
AWSへ移行する手順を全6ステップで解説!移行する際の注意点は?
クラウドコンピューティングの普及にともない、AWSへの移行を検討する企業が増えています。AWSへの移行には、コスト削減や運用効率化などのメリットがありますが、移行作業を成功させるためには、事前の準備が重要です。
本記事では、AWSへの移行を成功させるための手順と注意点を解説します。AWSへの移行を検討している事業者の方は、ぜひ本記事を参考に、移行作業の成功にお役立てください。
この記事でわかること
- AWSへ移行する際の手順
- AWSへ移行した場合のメリット
- AWSへ移行する場合の注意点
AWSへ移行する手順
AWS(Amazon Web Services)とは、Amazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスです。ストレージやデータベースをはじめサーバなど、さまざまなサービスをネットワーク上でレンタルすることができます。
AWSに移行する際は、以下の手順に沿ってスムーズに移行を進めましょう。
手順1:移行目的の明確化
AWSへの移行を成功させるためには、移行の目的を明確にしましょう。移行の目的を明確にすることで、移行の方向性や方法を検討しやすくなり、移行後の運用体制の構築にも役立ちます。
移行の目的として挙げられるのは、コスト削減・業務効率化・セキュリティ強化・災害対策・新技術の活用などです。
移行の目的を明確にするためには、以下の項目を実行しましょう。
- 現行システムの課題を洗い出す
- クラウドサービスのメリットを理解する
- 移行によって実現したいことを検討する
移行目的を明確にすることは、AWSへの移行を成功させるための第一歩です。移行目的を明確にして、スムーズな移行を実現しましょう。
手順2:現行のシステム構成と機能の洗い出し
AWSへ移行する目的の明確化ができたら、次に実行するのは現状の把握です。現行のシステム構成と機能について洗い出しましょう。
システム構成と機能を把握することで、移行の範囲や方法を検討しやすくなります。システム構成と機能を洗い出すために実施することは、システムの全体像を把握する、システムの構成要素を洗い出す、システムの機能を洗い出すなどです。
システム構成と機能を洗い出す場合、以下の点に注意しましょう。
- システムのすべての構成要素と機能を漏れなく把握する
- システムの構成要素と機能の相互関係を把握する
システム構成と機能を正確に把握することは、AWSへの移行を成功させるための重要なポイントになります。
手順3:移行後のサービス構成の決定
移行後のサービス構成を決定することで、移行の具体的な方法やスケジュールを検討しやすくなります。
具体的には、移行の目的を達成するために必要なサービス構成を検討する、現行システムの構成と機能を踏まえて移行後のサービス構成を検討する、AWSのサービスの特徴やメリットを踏まえて移行後のサービス構成を検討するなどです。これらの点に注意して移行後のサービス構成を決定しましょう。
移行後のサービス構成を決定するには、以下の方法があります。
- 自社で検討する
- クラウド移行サービスを利用する
自社で検討する場合は、AWSの公式ドキュメントやホワイトペーパーを参考にするとよいでしょう。クラウド移行サービスを利用するのであれば、移行サービスを提供している会社に相談するという方法もあります。
手順4:費用の検討
移行にかかる費用を正確に把握することで、移行の計画や予算を立てやすくなります。
AWSへの移行にかかる主な費用、移行費用・運用費用・保守費用の3種について理解しておきましょう。
移行費用は、移行作業にかかる費用です。移行作業には、データ移行・システム設定・テストなどがあり、移行作業の規模や内容によって費用は異なります。
運用費用は、AWSのサービスを利用する際にかかる費用です。AWSのサービスの料金は、使用した分だけ支払う従量課金制が一般的ですが、運用費用は使用量によって変動する場合があります。
保守費用は、AWSのサービスの保守やサポートにかかる費用です。AWSでは有償の保守サービスも提供されており、保守費用は保守サービスの内容によって異なります。
費用の検討を行う際には、以下の点に注意しましょう。
- 移行作業の規模や内容を正確に把握する
- AWSのサービスの料金を理解する
- 移行後の運用体制を検討する
費用の検討は、AWSへの移行を成功させるための重要なポイントです。費用を事前によく調べて、スムーズな移行を実現しましょう。
手順5:移行作業の開始
ここまで述べた手順1から4まで進行したとき、移行作業の開始が可能になります。ただし、移行作業を開始する前に、移行計画書の作成・移行作業スケジュールの作成・移行作業要員の確保の3つを準備しましょう。
移行計画書の内容は、移行の目的、移行範囲、移行方法、移行スケジュール、移行リスク、移行後の運用体制などです。
移行作業のスケジュールには、移行作業の開始日、終了日、各作業の開始日、終了日などを記載します。また、移行作業に必要なスキルや経験を持つ移行作業の要員を確保しましょう。
移行作業の開始後は、以下の点に注意が必要です。
- 移行作業の進捗状況を定期的に確認する
- 移行作業のリスクを管理する
- 移行作業のトラブルが発生した場合に備える
これらを踏まえて、移行作業を安全に進めましょう。
手順6:移行後の運用体制の構築
運用体制が整っていない場合、システムの安定稼働やセキュリティの確保が難しくなる恐れがあります。移行のあとに運用体制を構築するには、システム運用に必要な人材の確保のほか、システム運用手順の策定とシステムの監視体制の構築が必要です。
これらの内容を構築し、移行してすぐのスムーズな運用を目指しましょう。移行のあとの運用体制を構築するには、以下の方法があります。
- 自社で構築する
- クラウド移行サービスを利用する
自社で構築する場合は、運用体制を自社で設計・構築しなくてはなりません。クラウド移行サービスを利用する場合は、サービスの提供会社に運用体制を構築してもらうことも可能です。
AWSへ移行するメリット
AWSへ移行することで、自社でクラウド運用する場合とは違うメリットが生まれます。
運用コストを削減できる
AWSへ移行した場合、運用コストを削減できます。AWSは従量課金制を採用しているため、システムの利用状況に合わせて必要なリソースを必要なだけ利用することで運用コストを削減できます。
たとえば、自社で運用していたシステムをAWSに移行した場合は、サーバーやストレージなどのハードウェアの購入費や保守費、データセンターの賃料や電気代などの運用費、システム管理者の人件費などを削減可能です。
また、AWSではさまざまなリソースを組み合わせて利用することで、システムの運用効率を高めることが可能です。これにより、人件費や運用費を削減できます。
信頼性やパフォーマンスが向上する
AWSへの移行は、信頼性やパフォーマンスの向上にもつながります。AWSは世界中にデータセンターを展開しているシステムのため、災害や障害が発生した場合でも、システムを継続的に稼働させることができます。
また、AWSでは、さまざまなリソースを組み合わせて利用することで、システムのパフォーマンス向上が可能です。スケーラブルなリソースを活用することで、システムの負荷に応じてリソースを自動的に増減させることができるため、システムのパフォーマンスを常に最適な状態に保つことが可能です。
ダウンタイムを削減できる
AWSへの移行は、ダウンタイムを削減する効果も期待できます。AWSでは、さまざまなリソースを組み合わせて利用することで、システムの可用性を高めることが可能です。
たとえば、余裕のあるシステム構成を採用することで、ひとつのリソースに障害が発生した場合でも、システムを継続的に稼働させることができます。
また、AWSでは自動化されたツールやサービスを利用することで、システムの運用を効率化することが可能です。これにより、運用ミスによるダウンタイムの発生を抑えることができます。生産性の向上やコスト削減を検討している企業には、有益な選択肢といえます。
AWSへ移行する際の注意点
AWSへ移行する際は、移行後に問題が発生しないよう、事前に注意点を理解しておく必要があります。
本当にAWSへ移行して問題ないのか確認する
AWSへの移行には、メリットだけでなくデメリットも存在します。そのため、本当にAWSへ移行して問題ないのかを、事前に確認しておくことが重要です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
- 移行にかかる費用
- 移行にかかる時間
- 移行後の運用体制
- 移行後のセキュリティ
AWSへの移行は、決して簡単な作業ではありません。コストパフォーマンスなどを慎重に検討した上で、本当に移行する必要があるかどうかを判断しましょう。
移行後すぐに旧環境を廃棄しないようにする
AWSへの移行は、システムの運用環境を大きく変更する作業です。そのため、移行後のシステムに問題が発生した場合、旧環境を参照して原因を特定する場合があります。
そのため、AWSへの移行後は旧環境をすぐに廃棄せず、一定期間保管しておくことが重要です。旧環境を保管するメリットは、以下のとおりです。
- 移行後のシステムに問題が発生した場合、原因を特定しやすくなる
- 移行後のシステムを改善する際に、旧環境を参照できる
- 移行後のシステムに問題がある場合、移行前のシステムに戻すことができる
関係者との連携を密にする
移行作業を円滑に進めるためには、関係者との連携を密にしなくてはなりません。AWSへの移行は、これまでとは違う新しいシステムを運用することになるからです。
関係者とは、システムの開発・運用に携わる社員や、AWSの導入・運用を支援するパートナー企業などになります。これらの関係者との間では、移行の目的やスケジュール、移行対象のシステムやデータ、移行方法やリスクなどについて、十分なコミュニケーションをとらなくてはなりません。
関係者との連携を密にすることで、以下のメリットがあります。
- 移行作業の進捗状況を把握しやすくなる
- 移行作業における課題を早期に発見・解決しやすくなる
- 移行作業のトラブル発生時の対応がスムーズになる
移行ツールを有効活用する
移行作業を円滑に進めるためには、移行ツールを有効活用することが重要です。移行ツールは、データの移行やシステム構成の変更を自動化することで、移行作業の効率化やミスの防止に役立ちます。
移行対象のシステムやデータの規模や複雑度に合わせて、適切なツールを選ぶことが重要です。AWSでは、さまざまな移行ツールが提供されています。
移行ツールを利用する際は、以下の点に注意しましょう。
- ツールの機能や仕様を十分に理解する
- 移行対象のシステムやデータとの互換性を確認する
- テスト環境でツールを事前に検証する
移行ツールを有効活用することで、移行作業の工数やコストを削減し、移行の成功率を高めることが可能です。
AWSへの移行は慎重に
AWSへの移行は決して簡単ではなく、移行作業を成功させるためには、慎重な検討と準備が必要です。AWSへの移行は、システムの運用環境を大きく変更する作業になります。慎重に検討し準備を進めることで、成功率を高めることができるでしょう。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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