2023.12.04
オフショア開発とは?メリットやデメリット・失敗しないためのポイント
「新規のプロジェクトに人員を割きたいけど、人が足りなくて困っている」とお悩みの人もいるのではないでしょうか。人員が不足してしまうと、本来予定している業務の遂行も難しくなってしまうでしょう。
人材不足を解消するために有効な手段として、オフショア開発があります。オフショア開発を導入することで、優秀な人材を確保して業務をスムーズに進められる効果も期待できます。
本記事では、オフショア開発のメリットや導入が進んでいる背景、導入の際の注意点について解説します。人材不足の解消やコストの削減を目指したい事業者の方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
この記事でわかること
- オフショア開発の活用が進んでいる理由
- オフショア開発のメリット・デメリット
- オフショア開発導入時の注意点
目次
オフショア開発とは
オフショア開発(offshore development)については専門サイトのオフショア開発.comが最適な説明を行っていたので以下、引用いたします。
オフショア開発(offshore development)とは、コスト削減やグローバル人材の活用を目的とし、海外の企業や現地法人にソフトウェア、アプリ、WEBシステムの開発や、それらの運用・保守業務を委託する開発手法です。
引用:オフショア開発.com|オフショア開発とは?意味やメリット、成功の秘訣を解説
類似の内容として、電化製品などはコストの低い海外で生産し、日本で販売するケースが多いですが、オフショア開発も同じような形態の受託方法となっています。
主な目的
オフショア開発を取り入れる目的には、主に以下の2つが挙げられます。
- 開発コストの削減
- 開発リソースの確保
開発コストの削減については、日本国内でエンジニアを採用すると人件費などのコストが高くなってしまうといった問題があります。国内のエンジニアの採用にこだわると、単価の高騰が続いてしまい、開発スピードが上がらないといったことにもつながりかねません。
そのため、コストの低い国からエンジニアを採用することで、人件費の削減を実現しながら開発が進められます。
2つ目の開発リソースの確保は、少子高齢化による労働人口の減少に伴い、人材の確保が喫緊の課題に挙げられている点が要因です。そのため、海外に拠点を構えているIT企業や優秀な人材とつながることで、人材不足の解消が期待できます。
活用が進んでいる理由
オフショア開発の活用が進んでいる理由としては先述したとおり、日本国内のエンジニアが不足していることやコストが高騰していることが挙げられます。
また、これまで海外へ進出する際は大がかりな投資が必要であったことから、大企業でなければ困難な状況でした。しかし、現在はインターネットの普及により中小企業でも海外への展開が可能になったことから、オフショア開発が活発になっています。
日本国内では、ビジネスにおいてDX化が叫ばれている状況にあり、日常生活においてもITの活用はごく当たり前の状況です。一方で、国内だけではリソースの供給が難しくなっていることから、優秀なIT人材を抱えている海外へのオフショア開発が進んでいることも理由の一つです。
オフショア開発とニアショア開発の違い
オフショア開発と似たようなものに「ニアショア開発」と呼ばれるものがあります。ニアショア開発とは、近隣の企業や地方の企業へ開発を依頼することを指します。
海外の企業へ委託を行うオフショア開発とは異なり、ニアショア開発は国内の企業とのつながりが得られるため、エンジニアとの意思疎通がしやすい点が特徴です。一方でオフショア開発は、ニアショア開発よりもエンジニアの確保が容易なほか、開発コストが抑えやすいといった点がメリットです。
エンジニアとの意思疎通のしやすさやコスト面など、オフショア開発とニアショア開発それぞれにメリットやデメリットがあります。そのため、状況によってそれぞれを使い分けるか、自社開発で進めていくかを決めていくと良いでしょう。
オフショア開発のメリット
オフショア開発を利用することで、以下のようなメリットが得られます。
上記のメリットについて詳しく解説しますので、オフショア開発の導入を検討する際の参考にしてください。
開発にかかるコストを削減できる
オフショア開発を導入する一番のメリットは、コストの削減です。先述したように、日本国内のエンジニアを確保すると人件費などのコストが高くなります。一方で、海外在住の優秀なエンジニアを採用すると、開発コストを削減しながら品質の高いシステムの構築が可能です。
現在、アジア諸国を中心にオフショア開発が広がっています。限られた予算内で業務を進める場合、できるだけコストを抑えて人材を確保するためにも、オフショア開発の導入を検討する必要があるでしょう。
優秀な人材を確保できる
日本では、現在グローバル化が急激に進んでいることから、ソフトウェアやITシステムの開発に必要な人材が求められています。経済産業省のレポートでは、2030年までに約79万人のIT人材が不足するといった予測も立てられているため、エンジニアの確保は課題の一つです。
人材不足を解消し、IT開発を滞りなく進めるためにも海外から優秀なエンジニアを確保することが必要です。そのため、オフショア開発を活用して海外のIT企業やエンジニアとつながりを持つことで、人材の確保につながります。
開発リソースを柔軟に調整できる
オフショア開発の活用により、開発リソースの調整が柔軟に行える点もメリットの一つです。オフショア開発を利用して業務を進める場合、クラウドシステムを通して行われるため、遠方のエンジニアとも同時進行で作業が進められ、納期までの時間を短縮できる効果も得られます。
また、顧客からのニーズやプロジェクトの規模によって柔軟な対応も可能です。業務量が多くなるケースではリソースを追加できるほか、プロジェクトの進捗によって規模の縮小もできます。
オフショア開発のデメリット
オフショア開発を活用する際に注意するべきデメリットは、以下の通りです。
海外のIT企業やエンジニアへ委託することになるため、日本の企業へ委託する場合とは異なるケースが発生します。どのようなデメリットが考えられるのか把握したうえで、導入を検討しましょう。
コミュニケーションに問題がある
オフショア開発を活用する際、言語の違いがコミュニケーションの妨げになることが考えられます。うまくコミュニケーションがとれない場合、誤解が生まれてしまってプロジェクトが計画通りに進まないほか、品質が低下する恐れもあります。
IT関連の人材は英語が使えることが多いため、お互いが英語でのコミュニケーションが可能であれば問題ないでしょう。日本語でのコミュニケーションを求める場合、ミーティングを定期的に行うほか、日本語でのコミュニケーションが可能な委託先を選ぶといった対応が必要です。
価値観や文化の違いによるトラブルが発生する
海外の企業に委託する場合、日本で常識と考えられていることが通用しないケースもあります。納期や残業に対する考え方も日本と異なるため、業務の進行や成果物のクオリティに関するトラブルに見舞われる可能性もあります。
委託を検討する場合、業務内容のすり合わせを徹底するほか、納期に遅れた場合の対応などを明確にすることが大切です。また、ある程度のIT知識を持っているほか、日本と現地の文化に精通している人材を用意することで、トラブルの予防につなげられます。
オフショア開発の委託先となる主な国
オフショア開発は、ITに関する知識を持った人材が多く、かつ人件費の安いインドに委託を行ったことが始まりとされています。その後、同じように人件費の安い中国もオフショア開発の主な委託先となりました。
しかし、インドや中国の人件費が高騰していることから、現在はベトナムやフィリピン、バングラデシュといった東南アジアが主な委託先となっています。とくにベトナムは、人件費が安いだけでなく、IT人材の育成に力を入れていることから、優秀な人材が多い点が特徴です。
実際にベトナムではAIやIoT、ブロックチェーンといった先端技術を開発した事例も増えており、欧米を対象としたソリューションの提供を行っている企業もあります。また、ベトナムの優秀なエンジニアは、英語が使用できるケースが多い点も注目を集めている要因です。
オフショア開発で失敗しないために
オフショア開発を成功させるためには、以下の3点に気をつける必要があります。
海外の企業やエンジニアに依頼する形となるため、上記の点に注意しながらオフショア開発を取り入れることをおすすめします。
発注前の準備を綿密に行う
海外の企業に委託するため、言葉や文化、仕事に対する考え方が異なる点を把握する必要があります。そのため、発注前の準備を綿密に行うことが重要です。
委託する企業がどこの国にあるのかはもちろん、言語や時差といった業務に影響を及ぼす部分は確認が必要です。また、契約書や仕様書に記載されている業務以外は行わないケースもあります。日本では書類に記載されていなくても、状況に応じて臨機応変に対応する場合もありますが、海外は同じような認識ではありません。
そのため、必要なものは漏れなく明記し、認識のズレが発生しないよう注意が必要です。
コミュニケーションを細かく取る
オフショア開発では、綿密なコミュニケーションが業務をスムーズに進めるための重要な要素となります。委託先のエンジニアと日常的にコミュニケーションを取ることで、トラブルが発生した際でも迅速な復旧が可能です。
業務を円滑に進めるために、ブリッジSEと呼ばれる人を配置することも検討するとよいでしょう。日本語が扱える人を橋渡し役としてメンバーに入れることで、発注側と委託先との良好な関係を構築しやすくなります。
言語や文化の違いはどうしても避けては通れない部分ですが、いかにうまくコミュニケーションをとって影響を小さくできるか考えることが大切です。
時差に注意してスケジュールを管理する
オフショア開発を導入した場合、時差による納期の管理に気をつける必要があります。委託先との時差が数時間程度でも、納期に大きな影響を与える場合もあるため、こまめにスケジュールの管理を行うことが重要です。
国によって納期や進捗管理がゆるい場合もあり、国内で業務を行った時と同じ感覚でいた場合、納期に間に合わないといった事態になりかねません。そのため、オフショア開発を導入している間は、スケジュールを細かく管理しながら業務を進める必要があります。
自社に最適な開発方法を見極めよう
オフショア開発は、システム開発やインフラの構築といった業務を海外の企業へ委託することを指します。オフショア開発を行う目的は、主に開発コストの削減や開発リソースの確保です。
国内のエンジニアへ委託した場合、人件費などのコストが高くなってしまうものの、海外の企業へ委託することで、開発コストの削減が可能です。また、国内では労働人口の減少が進んでいることから、海外のエンジニアを活用することで、人材不足の解消が期待できます。
オフショア開発を導入して海外の企業とつながりを持つことで、さまざまなメリットが得られます。コストの削減や人材不足の解消は多くの企業が抱える問題であるため、オフショア開発をうまく利用して円滑な業務遂行を目指しましょう。
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