2023.10.25
システム開発見積もり|方法、内訳、コツからチェックポイントまで徹底解説
システム開発において、余計なコストを避けるためには、妥当性の高い見積もりを見分ける力が必要です。見積もりの妥当性を見極められないと、不必要なコストを支払うというトラブルに陥るでしょう。
そこで本記事では、システム開発の見積もり算出方法や内訳、妥当性を確認するポイントについて解説します。
この記事でわかること
- システム開発における見積もり算出方法
- システム開発の見積もりの内訳10個
- システム開発の見積もりでチェックすべき3つのポイント
目次
システム開発の見積もり算出方法
システム開発の見積もりを算出する方法は、以下の4つが代表的です。
- トップダウン
- パラメトリック
- ボトムアップ
- プライスツーウィン法
ひとつずつ解説します。
トップダウン
トップダウンは、過去の見積もりを参考に算出する方法です。その特徴により、過去の事例がない場合は採用できません。仮に採用したとしても、エンジニアの経験を頼りにするため、担当者によって精度が左右される点がデメリットです。
しかし、参考データさえあれば見積もりのイメージがしやすいので、算出までのスピードが早いというメリットもあります。これまで数々のシステムを開発してきた会社に依頼する際に、とくにおすすめです。
パラメトリック
システム開発の各工程を数値化して、見積もりを算出する方法です。
たとえば、機能Aと機能Bが搭載されたシステムCを開発するとします。過去のデータを見ると、機能Aの開発にかかるコストは10万円、機能Bの開発にかかるコストは50万円です。この場合、システムCの開発には60万円のコストがかかるという見積もりが算出できます。
機械的な算出になるため、柔軟な対応ができないうえに、過去のデータが不十分だと正確な見積もりが算出できません。とはいえ、数値化して算出するので、ユーザー側に納得してもらいやすく、誰が見積もりを算出しても同じ結果になるのが良い点です。
したがって、データサンプル数が豊富な状況で、適正な見積もりを行いたい場合におすすめです。
ボトムアップ
ボトムアップでは、システムの完成系をイメージし、必要な機能ごとに見積もりを出します。そのため、時間がかかるうえに、システム完成までの工数が想定しにくいような大きなプロジェクトには向いていません。
しかし、一つひとつのタスクごとに計算するので、精度の高い見積もりができます。システムに搭載したい機能がはっきりしている場合におすすめです。
プライスツーウィン法
プライスツーウィン法は、ユーザーの予算をもとに見積もりを出す方法です。
予算に縛られるため、欲しい機能をすべて追加できないおそれがあるといったデメリットを持つ一方で、予算不足のトラブルを極力防げる、予算オーバーしにくいという点がメリットです。したがって、予算が限られている会社におすすめです。
システム開発の見積もりの内訳
システム開発の見積もりの内訳は、以下のとおりです。
- 要件定義費用
- 設計費用
- 開発費用
- デザイン費用
- 進行管理費用
- テスト費用
- 導入費用
- 導入支援費用
- 運用・保守費用
- その他必要経費
ひとつずつ解説します。
要件定義費用
1点目は、要件定義にかかる費用です。要件定義では、ヒアリングや機能の精査をもとに、以下のことを決定します。
- システムにどのような機能を搭載したいか
- システム開発の仕様や方針
ユーザーの要求に確実に応えるために行い、担当者が最終的に文書にまとめます。そのため、費用としては、打ち合わせ担当者や文書をまとめる係の人件費がメインです。
なお、要件定義は、システム開発を正式に依頼したあとに行われるのが一般的です。そのため、要件定義の段階で開発を止めても、要件定義費用は請求されることがあります。請求額は満額の場合もあれば、一部だけの場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
設計費用
2点目は、設計にかかる費用です。設計では、要件定義の内容をもとに、システムに搭載する機能を明確にします。設計には種類があり、基本的には以下の2種類です。
- 予備知識を必要としない基本設計
- エンジニア向けの専門的な詳細設計
しかし、ケースによっては以下のように、機能ごとに設計が用意されていることもあります。
- UI設計
- インフラ設計
- データベース設計
費用としては、設計担当者の打ち合わせの時間や作業時間に対する人件費がメインです。
開発費用
3点目は開発にかかる費用で、システム開発費用のなかの大部分を占めている費用です。開発では、設計をもとに実際にシステム開発を行います。費用としてはエンジニアの人件費や技術費がメインです。
計算式は「エンジニアの人数×人月の単価×開発期間」で表せます。人月とは、1人のエンジニアが1か月でこなせる業務量です。
つまり、5人月の場合は、1人のエンジニアが5か月で行う作業量、または5人のエンジニアが1か月で行う作業量となります。人月の単価とは、1人月に対する単価ということです。なお、人月の単位はエンジニアのスキルや経験によって変動します。
デザイン費用
4点目はデザインにかかる費用です。主にUIデザインを決めるときに発生します。
UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーが実際に操作する部分や見た目です。ボタンやスライド、フォントが該当します。
費用としては、エンジニアやデザイナーの人件費がメインです。また、以下の項目などもデザイン費として挙げられます。
- UI修正
- ロゴ、アイコンの制作
- ワイヤーフレームの制作
- デザインカンプ(完成イメージ)の制作
進行管理費用
5点目は進行管理にかかる費用です。プロジェクト進行費用やスケジュール管理費用、ディレクション費用と呼ばれることも少なくありません。システム開発には、以下のイベントを調整するディレクターやプロジェクトマネージャーがいます。
- 開発期間
- テストの時間や場所
- 打ち合わせや定期的なミーティング
進行管理費用は、これらを調整する担当者の人件費です。なお、大規模な開発など、調整するものが多いほど人件費は上がります。
テスト費用
6点目はテストにかかる費用です。システム開発後、またはシステム開発の途中で、システムが正常に動作するか確かめるためにテストを行います。
実際にテストを行ったり、仕様書を書いたりする担当者の人件費として発生するのがテスト費用です。なお、テストはほとんどのシステム開発で行われます。
導入費用
7点目はシステムの導入にかかる費用です。開発されたシステムを導入する際、使う準備を整えるために初期設定が発生します。初期設定を行わないと、システムが使えるようになりません。
また、古いシステムがある場合は、旧システムへの連携作業や移行作業も必要です。このような作業を行う担当者の人件費として、導入費用が発生します。
導入支援費用
8点目は導入支援にかかる費用です。システムの扱いに慣れていないユーザーや、新システムを導入するユーザーは、導入されたシステムの使い方がわかりません。
そのようなユーザーに向けて、導入後も支援をしてくれるケースがあります。たとえば、以下のとおりです。
- 新システムの操作説明
- 新システムのマニュアル作成
ほかにも、会社独自の導入支援がある場合があります。しかし、その分必要な費用が多くなるので、あらかじめ確認するようにしてください。
運用・保守費用
9点目は運用・保守にかかる費用です。システムは導入しただけで終わりではありません。開発会社は、ユーザーに安全に使ってもらうために、運用や保守を行います。
運用とは、システムを導入したあとに管理や監視、メンテナンスを行うことです。使い方がわからなくなったユーザーからのお問い合わせに応える、といったアフターフォローも含まれます。
保守とは、トラブルへの対応や改善策の提案、不具合の修正といった業務です。このように、運用や保守の担当者の人件費やツール費として運用・保守費用が発生します。
その他必要経費
最後の10点目は、その他必要経費です。システム開発には、これまで紹介してきた費用以外にも、さまざまな費用がかかります。例を挙げると以下のとおりです。
- 光熱費
- 出張先での宿泊費
- 各種業務を行うためのツール費
- ユーザーのもとまで行くための交通費
システム開発には直接的には関係のないところでも費用は発生します。とはいえ、システム開発にかかる費用のなかでもっともコスト削減ができる部分です。見積もりを出してもらう際は、この部分にまで目を通すようにしてください。
システム開発の見積もりでチェックすべきポイント
システム開発の見積もりでチェックすべきポイントは、以下の3点です。
- 前提条件に誤りや不足はないか
- 作業工数は妥当か
- 算出根拠は明確か
それぞれ詳しく解説します。
前提条件に誤りや不足はないか
見積もりを行う際は、開発側と顧客側の間で、前提条件の決定が必要です。簡単に説明すると「言わなくてもわかるはず」ということをなくすことです。前提条件のすり合わせが不十分だと、認識のズレが生じて、開発のなかで思っていたものとは違う機能をつけられたというトラブルが発生してしまいます。
とはいえ、仮に前提条件を決定したとしても、見積もりを進めていくなかで、どうしても条件からはみ出すことがあるかもしれません。そうしたトラブルを早期発見するためにも、決定した前提条件に誤りや不足がないか確認してください。
作業工数は妥当か
作業工数が妥当か確かめましょう。場合によっては、見積もりに必要のない作業が含まれていたり、必要な作業が含まれていなかったりします。
前者の場合、不必要な作業に対して余計なコストを払わなければいけません。後者の場合、完成したシステムに、欲しい機能が搭載されていないおそれがあります。このようなトラブルを未然に防ぐためにも、作業工数は妥当か確かめてください。
算出根拠は明確か
見積もりの結果をどのように計算したのか、明確にしてください。本記事の前半で解説したとおり、システム開発の見積もりの算出方法には、さまざまな方法があります。種類ごとに特徴が異なるため、同じシステムの見積もりでも結果はさまざまです。
そのため、まずはどの方法で算出したのかを確かめましょう。その後、見積もりで提示された金額やシステムの内容、計算方法などを照らし合わせて、妥当性を確認してください。
社内システムの開発を検討する際、内製と外注のどちらを選択するべきか判断に迷うこともあるのではないでしょうか。こちらの記事では、内製・外注それぞれの利点と欠点を解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ
システム開発の見積もり算出方法にはトップダウン、パラメトリック、ボトムアップ、プライスツーウィン法という種類があります。種類ごとに特徴が異なり、向いているケースもさまざまです。
また、システム開発の見積もりには10個の内訳があります。それぞれ丁寧に確認することで、妥当性の高い見積もりを出してもらえます。実際に見積もりを出してもらったら、前提条件に誤りや不足はないか、作業工数は妥当か、算出根拠は明確かというポイントに気をつけましょう。
なお、システム開発をご検討の方はテクノデジタルまでお問い合わせください。豊富な情報を下に、お客様に納得いただけるお見積もりをさせていただきます。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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