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システム開発

2023.10.16

PoC開発とは?増加の背景やメリット、成功のために押さえておきたいポイント

PoC開発

システム開発には、ウォーターフォール型開発・アジャイル型開発・プロトタイピング型開発など、さまざまな方法が導入されています。なかでも、新システムの実現性や具体性を検証するPoC開発は、IT業界だけでなく、多くの分野でしばしば用いられる方法です。

PoC開発の基本的な流れを把握して、自社の開発現場に取り入れられると、コスト削減や実装時の具体的なイメージの提示もしやすくなります。

今回は、PoC開発の基本的な内容からメリットやデメリット、具体的な流れについて解説します。PoC開発を成功させるための3つのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • PoC開発とはどんな開発方法なのか
  • PoC開発の目的とメリット・デメリット
  • PoC開発のプロセス

PoC開発とは

PoC開発とは

PoCとは「Proof of Concept」の略で、コンセプト実証や概念検証という意味になります。よって、PoC開発とは新システムのアイデアに実現可能性があるのか、システムが完成できるのかを検証するプロセスです。

PoCは新しい概念やアイデアをつくる前に近いもので試し、実際につくれるのか、効果は得られるのかなどを確認します。

PoCでは、検証と改善による評価を繰り返すところが特徴であり、業務改善の用途で利用されるPDCAに似た開発方法です。

なぜ新しい技術を導入する際にPoCを行うのか、その具体的な目的と近年PoCを行うシステム開発が増えている背景を解説します。

PoCの目的

PoCの目的は技術的な実現性があるのか、費用対効果があるのか、具体性がともなっているのかを確認するために行います。

一般的なシステム開発の流れは、以下になります。

  1. 企画
  2. 要件定義
  3. 設計・実装
  4. テスト及び修正
  5. リリース

PoCのプロセスを導入する場合は、企画後にPoCを行います。要件定義は、具体的な開発予算や期間などを決めるもとになりますが、事前にPoCを行うことで、正確な要件定義の作成が可能です。

まずは、技術的に実現性があるのか確認するために、システムの試作品を作成します。実際の導入環境に近い環境で検証するのが特徴です。

また、PoCはユーザーに使用してもらうところもポイントです。費用対効果を確認するために使用したユーザーの声を集め、開発側の期待していた成果とユーザー評価とのズレを確認します。

最後に重要なのが、システムの具体性です。技術的に実現が可能で、費用対効果があったとしても、実際に利用する現場に支持されなくては意味がありません。現場の業務プロセスに組み込んでも操作性は悪くないか、作業効率は問題ないかなどの検証を行います。

PoC増加の背景

PoC増加の背景には、企業スタンスの変化が考えられます。これまで企業が求める新システム導入は、人が行っていたものを自動化したり、社内の課ごとに管理されていた情報を一元管理したりなど、人の手による作業を減らす、サービスの質の向上が目的でした。

近年はデジタル変革が求められるようになり、新規事業の立ち上げや売上拡大のための新システム開発が期待されています。しかし、新システム開発は新たな取り組みになることが多いため、計画通りに進まない、予想する効果が得られなかったなどのトラブルが起こる可能性もあります。

このような、新システム開発の不確実な要素を抑え、起こり得るリスクを設計前に改善できる特徴から、PoCの需要が高まっています。

PoC開発のメリット

PoC開発のメリット

PoC開発のメリットは、「システムの実現率が精査できる」、「コストパフォーマンスが実証できる」、「コストの適切な削減ができる」の3点です。PoCを取り入れることで、リリース前に導入後のイメージが具体的にでき、問題がある場合は事前に対策できます。

システムの実現率が精査できる

PoC開発の一番のメリットは、リリース前にシステムが完成できるか確認できるところです。実際のリリースと同様の環境で試作品を検証し、高い精度で実現率の可視化が可能です。

実現率があらかじめわかっていると、技術が追いつかずに計画通りのものが作れなかった、リリース後の現場で不都合が見つかったなどのトラブルが防げます。

コストパフォーマンスが実証できる

PoCによって実現性を検証できると、実際に着手可能なものに人員を配置できるため、不要な工程や人員コストを減らせます。また、事前に予定より工程が必要になる部分には、人員を増やし、作業の効率化を図ることも可能です。

PoC開発なら、無駄を省き必要なところを手厚くすることができ、コストパフォーマンスにも優れています。

コストの適切な削減ができる

PoC開発は、事前に費用対効果が確認できます。必要であればシステムの軌道修正を行い、無駄な費用を削減して、システム開発全体の効果を向上させられます。

PoCでは、試作品をユーザーにテストしてもらえるため、計画した効果とのギャップがわかります。実際に得られる利益を事前に計算でき、場合によっては予算を削ることも可能です。もしくは、利益を上げる対策が可能であれば、的確な投資もできます。

PoC開発のデメリット

PoC開発のデメリット

メリットが際立つPoC開発ですが、事前に把握が必要なデメリットもあります。PoC開発のリスクを踏まえたうえで、適切な導入を検討しましょう。

情報漏洩リスクがある

PoCは、リリース前に試作品を使って検証するため、開発中は情報漏洩のリスクがともないます。万が一、試作品のデータやそのものが競合相手に渡ってしまうと、開発費用がすべて無駄になります。

それだけでなく、クライアントに納品できずに、賠償金の支払いも避けられません。また、会社の情報管理能力が問われて信用を失うなど、被害が拡大する恐れもあります。

PoC実施前に、社内での情報保護に関するルールを定め、周知と順守の徹底が必要です。

検証内容次第ではコストが高くなる

試作品の検証規模や回数によっては、かえってコストが増えてしまう可能性があります。試作品検証でのポイントは、小規模な検証にとどめることです。規模が大きいほど、検証コストがかかります。

PoC開発を取り入れる場合は、メリットとデメリットの両方を知ったうえで、導入するかを検討しましょう。

PoC開発の流れ

PoC開発の流れ

PoC開発は、以下の流れで行います。

  1. 目的の設定
  2. デモンストレーション
  3. データの検証

それぞれ順番に解説します。

目的の設定

まずは、PoCの目的を設定します。企画後に行うPoCにおいて、基準となる目的や指針の設定はとても重要です。

PoCのどの工程においても、目的や指針を主軸に置くことで、最後までブレずに業務を実行できます。さらに、数値目標を設定すると目的がより具体化し、細かな実現率を割り出せます。

デモンストレーション

明確な目的が設定されたら、次はデモンストレーションに移ります。デモンストレーションは、試作品を実際の導入に近い環境でユーザーに使用してもらい、意見をもらう場です。

デモンストレーションによって実現率の精査ができたり、計画との相違を発見できたりするため、とても重要なポイントになります。

PoCは、検証の規模によってはコストがかかるため、注意が必要です。しかし、検証対象のユーザーは幅広い方が、さまざまな角度からの意見を得られます。検証の規模は抑える必要がありますが、なるべく多くの分野ユーザーからの意見を取り入れましょう。

データの検証

最後に、デモンストレーションによって得たデータの検証を行います。ここでは、具体的に計画していた効果と実際の成果にズレがないか、実現性・費用対効果・具体性がともなっているかの確認が主な内容です。

検証の結果、改善点をクリアする必要がある場合は、システムの修正と再検証を繰り返します。

修正と再検証を繰り返すとコストも増えていくため、最初の目的設定からデータ検証までの流れがとても重要です。

検証の結果が納得のいくものに仕上がれば、あとは本格的な導入に進みます。システム概要をまとめた要件定義を作成し、設計と実装を経て、最終のテストへ移るのが流れです。

PoC開発を成功させるには

PoC開発を成功させるには

PoC開発を成功させるためには、スモールスタート・検証の条件を揃える・粘り強い対処の3つがポイントです。それぞれのポイントを詳しく解説します。

スモールスタートを意識する

PoC開発で意識するポイントのひとつは、スモールスタートです。PoC開発はデモンストレーションと検証を繰り返し、実現性・費用対効果・具体性のあるシステム構築を目指します。

PoCのスタートがビッグスタートの場合、改善点が見つかれば関連箇所の修正が膨大な量になり、結果的に時間もコストもかかります。

一見、スモールスタートは工程数が増えると感じられますが、短時間での検証を重ねて徐々に検証範囲を広げる方が、トータルの検証時間もコストもかかりません。

検証時の条件を揃える

正確な検証を行うため、システムを実際に導入する環境と同条件で実施するのが適切です。環境が異なると、検証段階では問題なくても、リリース後に不具合が生じる場合も出てきます。

課題に対して粘り強く対処する

PoC開発では、思いもよらない課題や問題点にぶつかることも多くあります。そんなときでも、妥協せずに最後まで追求する粘り強さが必要です。

PoC開発は、事前に考慮しにくいトラブルを把握するために行います。そのため、妥協していては本来の目的を果たせず、システム開発は失敗に終わります。

課題や問題点は、成功に導くための重要な要素のため、正面からぶつかっていきましょう。

PoC開発と相性のいい開発手法に、アジャイル開発があります。こちらの記事では、アジャイル開発の手法や採用メリットなどを解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

まとめ

PoC開発とは、新システムのアイデアに実行性があるのか、システムが完成できるのかを検証するプロセスのことです。PoC開発には、システムの実現率が精査できる・コストパフォーマンスが検証できる・コストが適切に削減できる、などのメリットがあります。

システム開発が失敗に終わらないよう、企画後にPoCで検証を行い、リリースをスムーズに完成させましょう。

しかし、自社でのPoC導入に不安がある場合は、株式会社テクノデジタルにお任せください。当社ではアプリ・Webシステム開発を承っています。お客様の要望をお伺いし、開発から運用までのトータルサポートが可能です。

また、システム構築が終了した後も、サーバ保守・自動監視・定期更新作業を引き続き行います。自社でシステム開発を行う場合は、弊社エンジニアスタッフがお客様のプロジェクトをアドバイスします。

そのほか、社内エンジニアのサポートやバックアップ業務を行うエンジニアリング支援も可能です。ぜひ、システム開発でお困りなら、株式会社 テクノデジタルにご相談ください。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。