2023.10.24
ASPとは?メリット・デメリットを徹底比較(初心者から上級者まで)
サイトやアプリの構築方法に、ASPと呼ばれるものがあるのをご存じでしょうか。ASPを利用する際、メリットだけではなく、デメリットを理解することも大切です。
そこで本記事では、ASPとは何か、ASPサービスの具体例、ASPを利用するメリットやデメリットをご紹介します。そのほか、ISP・SaaS・クラウドとの違いをお伝えするので、類似語との違いがわからない方もぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- ASPとは何か
- ISP・SaaS・クラウドとの違い
- ASPのメリットやデメリット
目次
ASPとは
ASPとは、インターネットを通じてアプリケーションを提供するサービスです。アプリケーション・サービス・プロバイダ(Application Service Provider)の略称で、さまざまな分野の企業が利用しています。
ASPを利用して提供されているサービスを、ASPサービスと呼びます。ECサイトにおいては、ASP型ECやASPカート、ASP型ショッピングカートともよばれることもあるでしょう。
ASPの具体例
代表的なASPサービスには、Webメールやクラウドサービスなどがあります。Webメールやクラウドサービスは、個人や企業など幅広いユーザーに向けて提供されているサービスであり、さまざまな方が利用しています。
そのほか、財務会計や給与計算、在庫管理など企業向けに提供されているサービスも豊富です。なかでもASPを活用したECサイトは増えており、ECサイトの代表的な構築方法としても知られているでしょう。
また複数の店舗を展開している企業では、ASPを利用した店舗検索システムやメール配信システムなどを利用しています。学習塾や通信教材を提供する企業では、オンライン学習を行えるようにASPを活用しているところも見られます。
ASPと類義語との違い
ASPのほかに、ISPやSaaS、クラウドといった類似語が存在します。ここでは、ASPとISP・SaaS・クラウドとの違いを解説するので、類似語との違いがわからない方はぜひ参考にしてください。
ISP
ISPとは、インターネットへの接続ができるサービス提供者です。インターネット・サービス・プロバイダー(Internet Service Provider)の略称で、ASPとは頭文字しか違いがありません。
意味合いとしては、ASPがアプリケーションなどのサービス提供者、ISPがインターネットへの接続を可能にするサービス提供者の違いがあります。SaaSの具体的な提供サービスは、DSLや光ファイバーなどの固定回線、モバイルネットワーク、Wi-Fiホットスポットなどです。
SaaS
SaaSとは、インターネットを通じてクラウドサーバーにあるソフトウェアを利用できるサービスです。Software as a Serviceの略称であり、ASPやISPよりもあとに登場しています。
ASPとSaaSのそれぞれの意味合いは、ASPがアプリケーションなどのサービスを提供している側、SaaSが提供されているアプリケーションなどのサービスそのものです。さらに、ASPはシングルテナントで提供されている一方で、SaaSはマルチテナントで提供されています。
マルチテナントとは、ひとつの環境のなかで複数の利用者を管理することです。SaaSの具体的な提供サービスには、顧客情報や取引履歴の管理ツール、チャットやビデオ会議などの機能、eコマースプラットフォームなどが挙げられます。
クラウド
クラウドとは、ASPやSaaSを提供する方法や技術を指します。クラウドを利用したサービスをクラウドサービスといい、インターネットを通じて利用できるサービスを一般的にそう呼びます。
ASPとクラウドのそれぞれの意味合いは、ASPがアプリケーションなどのサービス提供者、クラウドがASPなどを提供するための方法や場所です。ASPよりもクラウドのほうが、包括的な意味合いで使われています。
またクラウド上で提供されているサービスは、メールやチャットサービス、サーバー、ストレージ、開発ツールなど幅広いです。このなかには、ASPやSaaSなどが含まれています。
ASPのメリット
ASPを利用して提供されているサービスが多数あるなか、ASPを利用すべきか迷っている方もいるでしょう。ここでは、ASPを利用するメリットを4つご紹介します。
インターネット環境があれば利用できる
ASPはインターネットを通じてサービスを提供するので、通信環境が整っていれば、場所やタイミングを選ばずに利用できます。顧客情報を管理できるシステムであれば、営業先などで個人のスマホやパソコンから確認することが可能です。
近年では、コンビニやカフェなどさまざまな場所でフリーWi-Fiが提供されているので、ASPサービスを利用できるエリアが広まっています。光回線の導入家庭も増えていることから、ASPサービスを利用した在宅ワークも実現できるでしょう。
コストを削減できる
ASPは、ミドルウェアやサーバーの購入など、初期にかかるコストを大幅に削減できます。大きな初期費用の投資をせずに、サービスの提供を実現できる点が大きなメリットです。
従来のオンプレミスのシステムとは異なり、メンテナンスやアップデートにかかるコストも削減が可能です。初期費用だけではなく運用コストも抑えられるので、運用後のコストを考えると、リリースのハードルが下がることでしょう。
また基本的にメンテナンスが不要なので、専門スタッフを雇用する費用も削減できます。オンプレミスのシステムと比べると、ITスタッフの雇用や研修に関するコストも大幅に抑えられるでしょう。
素早く導入できる
ASPサービスのほとんどは、基本設定やカスタマイズがシンプルです。そのためスムーズに導入でき、ビジネスニーズに合わせて利用を開始できます。ソフトウェアをインストールする必要もなく、パソコンを買い替えた場合でも再度インストールする手間もなくなります。
また、オンプレミスのシステムのようなハードウェアの互換性や要件を気にする必要がありません。ハードウェアの調整やアップグレードなどの手間が大幅に省けるので、より導入をスピーディに行えます。
管理の手間を省ける
ASPサービスは、メンテナンスやアップデートをプロバイダー側が行ってくれるので、管理の手間を省ける点がメリットです。自然と専門家にメンテナンスなどを任せる形となるので、メンテナンスやアップデートに関する知識がない場合でも安心です。
また多くのASPサービスでは、メンテナンスやアップデートなどを自動的に行ってくれます。そのため、特別な管理や操作をせずに、常に最新の状態で利用できます。
ASPのデメリット
ASPを利用してサービスを提供する際、メリットだけではなく、デメリットも理解したうえで利用しましょう。ここでは、ASPのデメリットを3つご紹介します。
カスタマイズが難しくなる
ASPは、簡単に設定ができてスムーズに導入できる点がメリットですが、カスタマイズに向いていない点がデメリットです。他社にはない業務があったり、特殊な業務があったりする場合は、使いづらいと感じる可能性があります。
またASPは、さまざまな企業やユーザーが利用できるように設計しています。幅広いユーザー向けに対応しているため、特定の業務や目的に沿ったサービス提供には向いていません。カスタマイズ性や機能拡張性が高くないので、機能性の高いサービス提供ならほかの構築方法がおすすめです。
共有サーバーならではのリスクがある
セキュリティ対策が万全に行われているとはいえ、共有サーバーならではのリスクがあります。共有サーバーとは、ASPサービスのユーザー同士で利用できるサーバーを指します。
ほかのユーザーも同じサーバーにアクセスできるので、自社で管理している個人情報や機密情報が外部に漏れてしまうリスクはゼロではありません。そのため、特に個人情報を扱うシステムや金融系のシステムを提供する企業にとっては、大損害につながるおそれがあります。
ASPを利用するうえで、共有サーバーのリスクを心配している場合、専用サーバーでの提供をしているASPを探すとよいでしょう。一般的には専用サーバープランのほうがコストがかかりますが、安全面を重視したい場合におすすめです。
また多数のユーザーが同じサーバーを利用していると、負荷が高まってほかのサービスにまで影響してしまうおそれがあります。その結果、パフォーマンスの低下にもつながってしまい、顧客満足度が低下する可能性もあるでしょう。
ASPが終了する可能性がある
ASPは、自社開発するシステムとは異なり、インターネットを通じて提供できるものです。そのため、ベンダーが倒産・赤字などの理由で急に提供が終了してしまうおそれがあります。
ASPが終了すると、ASPサービスやASP内で管理していたデータにアクセスできなくなってしまいます。そのようなリスクに備えて、定期的にデータをバックアップしておくことがポイントです。
またサーバーが停止するなどのトラブルが発生した際、ベンダー側による改善が行われなければ、提供しているサービスが正常に作動しません。自社の専門スタッフで対応するなど行動ができないので、回復するまで待つしかないでしょう。
総合的に判断して利用するか決めよう
ASPを活用すると、インターネット環境さえあればいつでも利用できます。導入にかかる時間やコストも抑えられるので、急いでサービスを提供したい場合や予算が少ない場合におすすめです。
ただし、カスタマイズ性が低かったり、共有サーバーのリスクがあったりします。倒産や赤字などの理由で、急にASPのサービス提供が終了してしまうおそれもあるでしょう。
このようにメリットだけではなくデメリットもありますが、共有サーバーではなく専用サーバーでの提供を行うASPを探す、提供終了のリスクに備えてデータをバックアップしておく、などの対策を行っておくと安心です。
メリットやデメリット、その対策方法を把握したうえで、ASPを利用するか判断するとよいでしょう。株式会社テクノデジタルでは、システムやアプリ開発などのサポートをしています。最新技術を駆使したビジネスサポートのご利用を検討の際は、ぜひご相談ください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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