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システム開発

2024.01.30

リグレッションテストとは?実施しないリスクや自動化について解説

リグレッションテストとは?実施しないリスクや自動化について解説

ソフトウェア開発にバグはつきものです。一箇所修正すると新たなバグが発生した、これまで正常だったところに不具合が出てしまったなどのトラブルを経験した技術者の方も多いでしょう。
このようなトラブルを効率的に修正し、精度の高いソフトウェア開発を実施したいなら、リグレッションテストを取り入れることをおすすめします。

リグレッションテストを取り入れれば、技術者が把握しきれないほど複雑なシステムのデグレーションにも、的確に対応できます。

そこで今回は、リグレッションテストの必要性や、実施しない場合のリスクについて解説します。コスト削減や作業の効率化につながる、リグレッションテストの自動化についても確認することをおすすめします。

この記事でわかること

  • リグレッションテストとは何のためのテストか
  • デグレーションとの使い分け方
  • 実施しないことで考えられるリスク
  • 実施範囲やタイミング

リグレッションテストとは

リグレッションテストとは

リグレッションテストとはシステムの部分的な修正によって、別の箇所に不具合が発生していないかを確認するためのテストです。退行テスト・回帰テスト・ノンデグレードテストとも呼ばれています。

システムは複数の機能がさまざまな形で絡んでいるため、部分的に修正後に、ほかの箇所に想定しないトラブルが発生することも珍しくありません。正常に動作していたところが修正をきっかけに動作しなくなった、バグがほかに見つかったなどのケースはよくあります。

リグレッションテストは、システムの規模が大きくなればなるほど重要なテストです。いくらシステムの開発者であっても、複雑に絡み合ったシステムをすべて把握することは困難です。修正後にしっかりリグレッションテストを実施することで、想像できなかったバグにも的確に対応できます。

デグレーションとの違いは?

デグレーションとの違いは?

デグレーションとはリグレッションと同じような意味です。「退化」や「悪化」を意味します。バージョンアップによる機能の低下や、修正による新たなバグの発生をリグレッションともデグレーションともいいます。

しかし、業界では修正による不具合をデグレーション、デグレーションが起きていないかを確認することをリグレッションテストと使い分けられています。

リグレッションテストを実施しないリスク

リグレッションテストを実施しないと、顧客から信頼を失うほどの大きなトラブルにまで発展する場合もあります。

リグレッションテストを実施しないまま顧客に納品すると、顧客によって不具合が発見された、以前より精度が落ちたため使えず顧客が困る、などのトラブルを起こす可能性があります。確認しないまま納品したと判断され、顧客からの信頼を失うケースがあることも大げさではありません。

このような場合は、再度修正が必要ですが、さらに工程とコストが発生します。工程を減らすためにリグレッションテストを省くと、結果としてテスト実施以上の工程数になる場合もあります。

顧客からの信頼を失わないため、必要以上の工程やコストをかけないためにも、リグレッションテストはシステム開発に欠かせないテストです。

リグレッションテスト実施範囲の決め方とタイミング

リグレッションテスト実施範囲の決め方とタイミング

リグレッションテストは範囲を決めて実施できます。目的に合わせて実施範囲を決定しましょう。以下では、実施範囲を決めるポイントと、実施するタイミングを紹介します。

実施範囲を決めるポイント

リグレッションテストの実施範囲は、3つのポイントを踏まえて決定します。リグレッションテストには、実施範囲を絞らないフルリグレッションテストもあります。しかし、範囲を絞って感度の高いリグレッションテストを行うほうが、効果を最大限に発揮できます。

実施範囲を決めるための3つのポイントは、以下のとおりです。

  • 修正するプログラム部分が影響を与える範囲を明確にして決定する
  • デグレーションの発生リスクが高い箇所を優先する
  • 過去のデータを元に、優先度の高いテスト項目を実施する

まずはデグレーションによってどの箇所に不具合を与えるか、範囲を明確にするのが大前提です。しかし、システムは複雑に絡み合っているため、影響範囲の把握とあわせて、リスクの高い箇所から優先的に実施範囲に含めます。さらに、過去のデータによって必要箇所をチェックし、先の2つのポイントに含まれていない場合は、加えて範囲とすることをおすすめします。

デグレーションが発生する確率は、修正箇所のプログラム内での重要度によって変わります。数ある機能のうちのひとつを修正するのであれば、デグレーションが起こる確率は高くありません。

しかし、ソースコードの変更であれば、デグレーションが起こる確率は上がり、範囲も広くなります。実施範囲を決める場合は、修正部分がプログラム内でどれくらい重要な箇所かを確認しておきます。

また、リグレッションテストは数パターン実施するのがおすすめです。実施範囲の選択にミスがあった場合もカバーできます。

実施タイミング

リグレッションテストはすべてのテスト工程で実施するのがおすすめです。テスト工程は、

  1. 単体テスト
    プログラムを組んだモジュールやコンポーネントなど、機能単位で実施するテスト
  2. 結合テスト
    単体テストを終えたモジュールやコンポーネントを組み合わせて、動作が正常かを確認するテスト
  3. システムテスト
    開発したプログラムが実際の環境で正常に動作するかを確認するテスト

と、小さく簡単なテストから範囲の広い複雑なテストへと移行します。リグレッションテストは、これらのテストの工程ごとに実施するのがおすすめです。

とくに単体テストの段階でしっかりリグレッションテストを実施していると、結合テストやシステムテストでデグレーションが発生した場合でも、修正の手間が少なくなります。

リグレッションテストの自動化について

リグレッションテストの自動化について

リグレッションテストは自動化できます。変更が加えられるたびに、修正箇所以外の部分に影響が出ていないか都度テストする必要がありますが、手動で行うには時間と手間がかかります。しかし、リグレッションテストはとても重要な作業ですので、省略せず自動化し、手間を少なく的確に実施するのが一般的です。

リグレッションテストの自動化はメリットが豊富にあります。しかし、注意しておきたい点もあるため、それぞれを事前に確認するのがおすすめです。

自動化のメリット

リグレッションテストの自動化によるメリットは次の4点です。

  • 手動で実施するよりも手間が少なく、作業を効率化できる
  • 時間を問わずに実施できる
  • テストごとの実施や数パターンのリグレッションテストを行うなど、回数を増やすことも容易にできる
  • リグレッションテストにかかる人員や時間を減らせるため、コスト削減につながる

手動で行う場合は、技術者が勤務中に行います。リグレッションテスト中は関係するシステム開発は停止しなければいけません。テストの都度開発が止まるのはとても非効率です。しかし、自動化すると深夜や休業日など、開発が行われていない時間帯に実施できるため、日中のシステム開発を停止する必要はありません。

また、リグレッションテストの回数を増やすのが容易にできると、納期やコストのためにテストを省くなどの考えがなくなります。そのため、精度の高いシステムが完成します。

さらに、自動化は人的ミスを防げて、問題を早期に発見できるところもメリットです。

自動化の注意点は?

次に、把握しておかなければいけないリグレッションテストの注意点を5点紹介します。

  • 初期投資は必要
  • ランニングコストがかかる
  • 自動化スクリプト(起動ポイント・変数と対応するバインディング値・ソース・コードから構成されている)の保守が必要
  • 人の手によるテストの代替にはならない
  • テストカバレッジ(網羅できているかを示す指標)が不十分になる可能性がある

自動化は導入後の保守運用が重要です。アップデートがあった場合は、テストコードを修正する必要があります。また、機能が追加された場合は、テストコードの追加も必要です。リグレッションテストの自動化は、完全に人手を省けるわけではなく、継続的に人の手で保守していかなければいけません。

すべてのテストが自動化できるわけではないため、あくまで補完的なものと考えましょう。自動化でカバーしきれないところは手動で行います。自動化でカバーできない部分のひとつは、確認対象として認識されていない部分です。自動で行うリグレッションテストは、書かれたテストコードどおりにしか行われません。

たとえ、仕様と異なる項目が表示されたりレイアウトが崩れていたりしても、確認対象として認識されなければ、デグレーションとみなされません。手動では確認できるデグレーションであっても、自動化では見過ごしてしまうこともある場合を押さえておきます。

テスト種別ごとに自動化が必要か判断する

注意点でも解説したとおり、リグレッションテストの自動化は、初期投資やランニングコストが手動よりもかかります。自動化を取り入れる場合は、自動化すべきテスト種別かを判断しましょう。一般的には、3回〜5回以上行う場合は、自動化する価値があります。

自動化に適しているリグレッションテストは単体テストです。のちに行う複雑なテストの、修正時間がかかるデグレーションを防ぐためには、機能単位ごとの確認は重要です。機能数が多いほど工程が多くなるため、単体テストは自動化して作業を効率化させます。

また、数パターン実施が必要な場合も自動化しておくのがおすすめです。

次にこちらでは、ホワイトボックステストについて、ブラックボックステストとの違いや必要性について解説します。合わせてご覧ください。

まとめ

まとめ

リグレッションテストとは、プログラムの部分的な修正によって、ほかの箇所に不具合が発生していないかを確認するテストです。プログラムはいくつもの機能が複雑に絡み合っているため、想定していないデグレーションも多く発生します。

リグレッションテストを実施することで、納品してから顧客がデグレーションに気づく、使えない機能があり顧客の損失につながってしまったなどのトラブルを未然に防げるため、ぜひ積極的に取り入れるのがおすすめです。

リグレッションテストの実施範囲は、紹介した3つのポイントを押さえて決定します。過去のデータを参考に、影響を与えると考える範囲や優先度の高い項目を範囲に含めます。

リグレッションテストは細かく実施することで、精度の高いプログラムが完成します。よって、テスト項目ごとに行うのが的確です。ただし、手動で行うには手間がかかるため、単体テストなど必要と判断したテストは、作業を効率化できる自動化を導入することをおすすめします。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。