2024.01.31
【入門】Spring Frameworkとは?bootとの違いや機能まとめ
Spring Frameworkとは柔軟性や拡張性に優れたフレームワークで、2002年代にリリースされて以来、バージョンアップされ続けているほど人気があります。Javaの開発環境で使用されており、実際に使ったことがあるエンジニアもいるのではないでしょうか。
今回は、Spring Frameworkの特徴を紹介するとともに、Spring bootとの違いを解説します。これからプログラミングを学ぶ方はもちろん、使用経験がある方でも詳しい機能や最適な使用ケースを知りたい方は、ぜひ目を通してください。
この記事でわかること
- Spring Frameworkとは
- Spring FrameworkとSpring bootとの違い
- Spring Frameworkの主な機能と選ばれる理由
- Spring Frameworkが最適なケース
目次
Spring Frameworkとは
Spring Frameworkとは、Javaアプリケーションを開発するのに最適な環境で、軽量かつ効率的に進められることが特徴です。フレームワークとは、開発において基盤となるプログラムのことで、必要最低限の機能やツールが備わっているため、一からコードを記述しなくても済むなど、開発効率をあげることに貢献します。
また、ほかのサードパーティライブラリと統合できることから、さまざまなプロジェクト・技術面での連携しやすいことも特徴の1つです。企業によっては多くのフレームワークがあるなかで、使用頻度の高いSpring Frameworkを指定して使うことも珍しくありません。このようにJavaの開発環境では広く使用されているほか、不可欠といっても過言ではない存在です。
Spring FrameworkとSpring bootの違い
同じSpringがつくフレームワークとして、Spring bootがありますがどのような違いがあるのでしょうか。Spring bootは、Spring Frameworkをベースとして、プラスアルファの高効率を追求したフレームワークです。TomcatなどのWebサーバーが組み込まれており、必要なライブラリなどは自動で管理してくれることが特徴です。
両者の違いとして、Spring Frameworkは手動で設定することが多いのに対し、Spring bootは自動化されていることが挙げられます。また、前者に対するライブラリなどに対し、サポートするように依存性管理が可能です。
さらにSpring Frameworkは大規模開発に適していますが、後者は小規模から大規模まで小回りがきく点も異なるところです。
Spring Frameworkの主な機能
Spring Frameworkは小さなフレームワークの集合体ともいえる基盤であり、さまざまな機能を備えていることが特徴です。とはいえ、さまざまな種類があり混同する方もいるのではないでしょうか。ここでは主な機能を紹介していきます。
Spring AOP
フレームワークのコアに含まれる機能で、アスペクト指向プログラミング機能を提供します。具体的には複数のクラスに存在する共通処理などを集約して、もともとのクラスを変更せずに共通処理ができることが特徴です。その結果、不具合の特定や修正がしやすくなります。
Spring MVC
Webアプリの設計パターンの1つで、アプリケーションを効率的につくるための機能を提供しています。たとえば、入力されたデータの検証をはじめ、View機能との連携等が挙げられます。
Spring Batch
バッチアプリケーションに関与する機能です。入力や出力に関するさまざまなソースに対応しており、状態管理やリトライ処理、分散処理などを司ります。
こうした処理をバッチ処理といいますが、大量のバッチ処理になった場合でも最適化する強力な機能です。また、jBatchというJava仕様にも対応していることが強みです。
Spring Cloud
Spring Cloudは、クラウドネイティブなアプリをつくるときに必要な機能を備えており、分散システムのパターンの一部をスピーディーに構築するための機能を提供します。分散システムの調整により定型が生成されると、実装後の立ちあげが早くなるメリットがあります。
Spring Data
Spring Dataは、データベースやデータストアに関する機能を司るフレームワークです。製品ごとにさまざまなプロジェクトがあるのが特徴です。どこにデータアクセスするかにより種類が異なり、代表的なものではJPAを扱うライブラリやJDBCアクセス機能を持つライブラリなどが挙げられます。
Spring Security
Springを基盤とするアプリケーションに対し、認証などの機能を提供します。ログインなどの場合はとくにセキュリティ強化を担当し、外部からのアクセスに対するセキュリティ保護なども付与できます。また、標準認証ライブラリとして最低限の機能を実装できるほか、さまざまなプロジェクトに合わせてカスタマイズできることも特徴的です。
Spring Session
Spring Sessionは、ユーザーセッション情報を管理するためのAPIを提供する機能で、サーバーのなかに情報を保管して、異なるWebページの間で共有することができます。複数のコンピュータで構築されたシステムでセッション管理ができることや、特定のブラウザで複数のセッションができるなどの特徴があります。
Spring Social
ソーシャルサービスを利用するための機能で、主にログイン・SNSアカウントとの紐づけや解除などを行います。各種SNSとの連携などを担います。
Spring Frameworkが選ばれる理由
Javaフレームワークのなかでも、Spring Frameworkは広く使われていますが、具体的にはどのような魅力があるのでしょうか。ここでは、Springが選ばれる理由にスポットをあてて解説します。
幅広い開発に適しているため
Spring Frameworkは、リリースされて以来長きにわたりアップデートを重ね、現在もサポートが行われています。そのため、小規模から大規模のさまざまな開発で起こりうる問題に対し、多角的に対応できるほど成長しています。
こうしたサポートが行われることで、Frameworkとして成熟していき、幅広い開発に対応できる柔軟性も備えているためです。効率アップなどの観点からいえば、単に作業効率があがるだけでなく幅広い開発をスピーディーに進められるともいえるのです。
プログラムの拡張性が高いため
プログラムの拡張性が高いことも選ばれる大きなポイントです。Spring Frameworkは、Webアプリケーション開発のみならず、データベース関連やクラウド関連のサービスへの活用も行われています。
さらに各種バッチ開発やセキュリティ強化にも用いられ、必要なこと・やりたいことの実現性が高いともいえます。しかもこれらの操作が比較的簡単であることも人気を高めている理由の1つです。
プログラムを変更しやすいため
Javaを使った開発は比較的規模が大きくなりがちで、仕様が途中変更もしくは修正になることもあります。Spring Frameworkには、DI(Dependency Injection)という仕組みがあり、依存性のあるプログラムを外部から取り入れることができます。
また、一つひとつのプログラムを独立させやすいことから、変更が生じても最小限の部分的な操作で済むといったメリットがあるのです。これは日本語では依存性の注入といいますが、本来プログラムの変更などには膨大な時間を費やすことが多いため、開発者にとっては大きな負担となる部分を軽減できる、まさに歓迎すべき特徴といえます。
保守性が高いため
Spring FrameworkはAOPを使うことにより、クラスが異なる場合でも共通する処理を抽出して、必要となる処理とそうではない処理を分けてシンプルにわかりやすく整理できます。その結果、不具合やバグの特定もしやすくなり、対応しやすくなります。
こうしたことから保守性が高まり、開発者にとっても快適さがアップする意味からも多くの現場で選ばれているのです。
簡単にテストできるため
プログラムを開発するうえではテストが欠かせませんが、Springでは専用の「Spring MVC Test」を利用できます。これにより統合テストを簡単に行うことができ、安全な開発を進められる要素の1つとなっているのです。
本来、テストは部分的なプログラムの単体テストを行い、段階を経て統合テストに進みますが、これらの手間を省き、バグなどの混入を最小限にできるといった点も、多くの開発者から支持を集める部分です。
多くのサービスと連携できるため
Springは多くのモジュールや機能を持ち、クラウドやバッチ処理、セキュリティ強化、セッション情報の管理などさまざまなサービスとの連携が可能です。使用する際はプロジェクトに必要なものを選択できることや、状況に応じて使い分けることもできます。
このように多くのサービスと連携できることは、より良い開発を進められるとともに、利便性や操作性を向上させることにもなります。
Spring Frameworkが向いているケース
Webアプリを開発する際に、Spring Frameworkの利用が適しているケースとして、次のようなものが挙げられます。
- 多機能なフレームワークを使って作業効率を高めたい場合
- 複数のアプリケーションによる複雑な作業を改善・効率化したい場合
- 仕様変更などの際に工数とコストを抑えたい場合
- 汎用性の高い開発をしたい場合
- 高セキュリティな開発をしたい場合
- 保守性やテストの際の生産性を高めたい場合
もちろん、このほかにもJavaでの開発の現場では、さまざまな目的で用いられていますし、開発者が扱いなれているといった場合もあります。
こちらの記事では、フロントエンドとバックエンドの役割や開発の流れを詳しく解説します。それぞれのエンジニアに求められるスキルや役割を理解し、Webアプリケーションの開発における全体像を把握しましょう。
Spring Frameworkは機能が豊富
今回紹介したSpring Frameworkは、国内でも大手企業が採用している代表的なフレームワークです。Javaの主要なフレームワークとしても知られ、海外のエンジニアでも用いられるケースが多いです。
作業効率や生産性の向上、さまざまなサービスとの連携によりより良い開発ができる、拡張性や保守性も高いため、開発現場においてはマストな存在といっても過言ではありません。しかし、学習するうえではややハードルが高く、時間やコストがかかりがちです。というのは、日本語での情報がまだ少ないためにどうしても言葉の壁にぶつかるからです。
こうした気になる点はあるものの、Spring Frameworkは優れたフレームワークであり、使いこなせるようになればスキルアップはもちろん、活躍の場を増やし、自社の開発事業にも貢献します。
今後、Spring Frameworkの導入を検討している方や、習得したいと思っている方は、この機会にぜひ一歩踏み出すことをおすすめします。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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