2023.12.28
RFP(提案依頼書)とは?記載すべき内容と作成のメリット
RFPは依頼内容を記載するものですが、発注側が要望を整理して開発会社側に口頭で説明すれば「作成する手間を省けるのでは?」と思っていませんか?
実際は、RFPを作成していないと認識のズレや伝達漏れが起きやすく、トラブルのもとになるため、作成するのがおすすめです。
そこで今回は、RFP(提案依頼書)作成の目的や具体的な記載内容について紹介します。RFP作成でのメリットも解説していますので参考にしてください。
この記事でわかること
- RFP作成の重要性
- 具体的な記載内容
- RFPのメリットとデメリット
目次
RFP(提案依頼書)とは?
RFPとは、発注側が開発会社に対して、システム開発を依頼する際に提示する提案依頼書です。自社システムに必要な要件や、具体的な依頼内容を記載します。RFPは主に、発注側が依頼する開発会社を選ぶ際に、提示するために作成するものです。
RFP作成の目的
RFPを作成するのは、実現したいシステムを開発できる開発会社を見つけるためです。RFPにはシステムに必要な要件や依頼内容に加えて、発注側の現状や課題なども記載されているため、開発会社が明確な目的や今後の方向性を把握できます。よって、発注側と開発会社の認識を統一し、要望に合ったシステムの開発が可能です。
また、依頼する前に提案内容を伝えておくことで、両者間での認識のズレやトラブルを防げます。
事前にRFPを作成することによって、
- どんなシステムを
- どのように
- どれくらいかけて(費用など)
- いつまでに完成させるか
など、開発会社側と共通認識を持ち、依頼後の開発をスムーズに進められます。
RFIとの違い
システム開発に関わる用語として、RFPと似たRFIがあります。RFIとは情報提供依頼書のことで、発注側が開発会社に対して、会社の基本情報・実績・技術情報・製品情報など、開発会社のさまざまな情報の提示を求めるものです。
RFIはこれからビジネスパートナーとしての関係性を構築するのに必要なもので、自社情報を記載した上で、PFIを作成した目的や受注側に求める情報内容は何かなどを具体的に記載します。
RFIは発注側と開発会社のミスマッチを防ぐために必要で、RFPの前段階で作成するものです。RFIで情報提供を依頼する内容は、WEBサイトからでも得られるため、省略する企業もあります。
RFQとの違い
RFIと同じくRFPとよく似た用語で、RFQもあります。RFQとは見積もり依頼書のことです。PFQはRFPの後に作成するもので、RFPによって明確になったシステム要件に対して、必要となる費用情報を把握するために発注側が開発会社に依頼します。しかし、RFPにRFQの内容が含まれている場合もあります。
作成する順番は、RFI・RFP・RFQです。
RFPの記載内容
RFPに記載する具体的な項目は、
- プロジェクトの概要
- 会社の基本情報
- 現状の課題と目的
- プロジェクトのゴール
- 機能要件と非機能要件
- 予算とスケジュール
です。RFPを作成する際の参考にしましょう。
プロジェクトの概要
まずは発注側の現状や解決したい課題など、プロジェクトの概要を記載して、目指すべきゴールを明確に記載します。RFPの目的は、発注側の求めるシステムを開発してくれる開発会社を選ぶことです。最初に明確なプロジェクトの概要を記載することで、プロジェクトの成功率を高められます。
具体的内容は、プロジェクトの背景や現状の課題、システム化の目的です。単に依頼したいプロジェクトの内容を伝えるだけでなく、
- なぜプロジェクトを立ち上げることになったのか
- 浮き彫りになった課題に対してこれまでどんな取り組みを試してきたのか
- 取り組みの結果
などを記載すると、よりプロジェクトの目的が明確になります。
会社の基本情報
発注側の基本情報をまとめて記載します。具体的には、
- 会社名
- 代表者名
- 所在地
- 設立時期
- 資本金
- 売上高
- 事業内容
- 従業員数
- 組織図
などです。組織図には、ホームページのリンクを添付するとわかりやすくなります。
現状の課題と目的
プロジェクトの概要で触れた現状の課題と目的をさらに掘り下げて記載します。開発会社が最適なシステムを開発できるよう、解決しなければならない課題を細かく記載しましょう。
このとき、プロジェクトを立ち上げることになった背景とリンクさせるように記載すると、より開発会社に伝わりやすくなります。
課題を複数挙げる場合は、優先順位をつけて記載しましょう。重要度を明確にすることで、システム開発での構成が立てやすくなり、より発注側が求めるものに近づけます。
RFPには課題や目的と合わせて、システムの利用者情報を記載すると、より具体的な目的把握が可能です。システムが一部の部門のみで使われるのであれば、対象部門や人数などの詳細まで記載しましょう。
また、現在のシステム構成を図式化して記載しておくと、現状の課題がよりわかりやすくなります。
プロジェクトのゴール
発注側と開発会社の認識をしっかり合わせるために、プロジェクトのゴールはしっかり記載しておきます。ゴールは指標で示すことで具体化します。
発注側がゴールを設定する際に気をつけることは、達成可能な内容にすることと、達成度がわかるように測定できる内容にすることです。
機能要件と非機能要件
RFPに記載する実現してほしい要件には、機能要件と非機能要件があります。機能要件とはシステムに求める機能です。必要な機能・デザイン・データ連携・画面構成・管理機能などがあたります。
一方、非機能要件とはシステムの利用環境や性能に関するものです。セキュリティ・運用保守性・サーバの性能やOS・処理スピードなどの環境が挙げられます。
要件は機能要件と非機能要件以外にも、体制や作業報告方法などのシステム導入作業に関する導入要件、データの種類や構築体制などシステム間のデータインターフェース構築に関するインターフェース要件などもあります。
予算とスケジュール
プロジェクトにかけられる予算や期間が決まっているなら、RFPに記載しましょう。細かいスケジュールはなくても、想定している納品時期があるなら、大まかでも記載しておくと開発会社もスケジュールを組みやすくなります。
システム開発はリスクや体制によって費用が大幅に変わるため、予算が組まれていなくても概算を設定しておくのがおすすめです。予算を明確にすることで、品質を補う提案を受けられたり、費用対効果を考えた設計にしたりできます。
予算は初期費用や導入費用のイニシャルコストと、システム運用中にかかるランニングコストに分けて、内訳がわかるように記載しましょう。
RFPを作成するメリット
RFPは発注側と開発会社間のトラブルを防げる、発注側の要望を正確に伝えられるなど、作成するとプロジェクトをスムーズに完成させられるところがメリットです。また、課題を洗い出してRFPに記載することによって、自社の現状を見直せるきっかけにもなります。
トラブル防止につながる
プロジェクトに関する情報をRFPに記載することで、伝達漏れや導入後のシステムエラーなど、トラブルを防げます。希望する機能を伝え漏れていたため装備されていない、導入後に現行のシステムと連携できないなど、大幅な修正が必要となるトラブルは発生しません。
また、発注側と開発会社間のトラブルでよくある見積もりや納期トラブルも、RFPを作成していれば発生しないところもメリットです。このようなトラブルは、途中でシステム開発が停止したり、プロジェクト自体が白紙になったりなど、両者の関係性も崩れます。
要望を正確に伝達できる
RFPを作成することで、発注側の要望を正確に開発会社に伝えられます。RFPを用意しておくことで、発注側と開発会社間の認識のズレや目的の違いなどを防げるところが最大のメリットです。
RFPはプロジェクトの概要や現状の課題や目的、プロジェクトのゴールまでを細かく記載します。予算やスケジュールなども記載しておくと、事前に開発会社が発注側の都合を確認できます。
RFPは発注側の要望・現状・目的など、システムを開発するために必要な情報のすべてを開発会社に伝えられるところがメリットです。
自社の現状を見直せる
RFPには発注側の現状や抱えている課題を記載することで、自社の現況を細かく見直せるところもメリットのひとつです。プロジェクトを成功させるためには、課題を徹底的に洗い出すため、RFPをきっかけに新たな課題に気づけます。
また、課題を洗い出すことによって、今後の理想像が見えてきたり新たな目標ができたりするため、プロジェクトの成功以上の効果が得られる可能性もあります。
RFPを作成するデメリット
トラブルを防げたり要望を正確に伝えられたりとメリットの多いRFPですが、唯一のデメリットは、作成するための時間と手間がかかるところです。
RFPを作成せずに作業に入り、認識のズレが発生したり開発が要望通りに進んでいなかったりすれば、修正が必要になります。納期が大幅に遅れたり追加予算が必要になったりする場合もあるため、時間や手間がかかったとしても、システム開発にRFP作成は必要です。
次にコスト削減・グローバル人材の活用を目的とした外部開発という選択肢も考えましょう。こちらでは、オフショア開発のメリットやデメリット、失敗しないためのポイントも解説しますので合わせてご覧ください。
まとめ
RFPとは、実現したいシステムを開発できる開発会社を見つけるために作成する提案依頼書です。開発会社と「どんなシステムを・どのように・どれくらいかけて・いつまでに完成させるか」など、発注側の抱えている課題や目的を共通認識してもらうために作成します。
RFPには要望通りのシステムを開発するために、プロジェクトの概要から予算やスケジュールなどの細かなところまで記載します。要望を正確に伝えられるため、起こりやすいトラブルを防げるのがメリットです。また、RFPを作成するには課題を細かく洗い出すため、自社の現状を見直せるメリットもあります。
RFPを作成するには時間と手間がかかるため、省略を考える企業もありますが、目的に合ったシステムをスムーズに完成させるにはとても重要です。
外注先にシステム開発を依頼する際は、RFPを積極的に作成してプロジェクトの完成度を上げましょう。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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