2024.04.08
Pythonをexe化するメリット・デメリットは?方法も解説
Pythonは、1991年に開発されたオープンソースのプログラミング言語です。開発できる分野の幅の広さ、そして構文のわかりやすさから、プログラミング初心者をはじめ、多くのユーザーに選ばれています。
そんなPythonはexe化が可能ですが、exe化によってどのような利点があり、また欠点があるのかご存知でしょうか。
そこで、今回はPythonをexe化する利点、そして欠点について解説します。Pythonをexe化する際に活用できるツールもまとめて取り上げるため、プログラミングを学んでいる人はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- Pythonをexe化するメリット・デメリット
- Pythonのexe化におすすめツール
Pythonをexe化するメリット
exeとは、Windowsシステムの実行可能ファイル形式のことです。以下は、Pythonをexe化する利点の一覧になります。
PythonをインストールしていないPCでも実行できる
主なメリットとして、環境が整っていない状態でもプログラムを動かせる点が挙げられます。Pythonは初心者向けのプログラミング言語ではありますが、環境構築は決して簡単ではありません。人によっては、Pythonのインストールだけでも手間取ってしまう可能性も考えられます。
しかし、exe化したファイルを利用者に配布すれば、Pythonやライブラリをわざわざインストールする必要はありません。手間も時間もかからないため、プログラミングの経験がほとんどない人が多い職場でも有効に活用できます。
Pythonコマンドではなくダブルクリックで起動できる
ダブルクリックでプログラムを起動できるようになる点も、exe化するメリットです。Pythonで作成したプログラムを起動する方法として、コマンドプロンプトから命令を入力するやり方があります。しかし、パソコン自体の操作に慣れていない人にとって、コマンドプロンプトから直接動かす方法は、決して簡単とはいえません。
exeファイルであれば、ダブルクリックするだけでプログラムが起動するため、パソコンの操作経験が浅い方でも簡単に扱えます。
アイコンを設定できるようになる
アイコンを設定できるようになるのも、exe化する利点です。アイコンの設定によって、機能をはじめとするプログラムに関する情報を素早く、そして正確に伝えられます。
ただし、分かりにくいアイコンや複数の解釈ができるアイコンを用いると、情報を素早く伝える役割が果たせません。設定するアイコンは、慎重に選んでください。
ソースコードの流出を防止できる
プログラムを構成しているソースコードの流出を防止できるのも、exe化の利点です。Pythonはコンパイルを必要としないインタプリタ言語のため、ファイルの中身を見るだけでプログラムの構造がわかってしまいます。
しかし、exeファイルの実体はコンピューターが理解できる機械語で構成されており、人間には読めません。そのため、第三者にソースコードを知られたくない場合、exe化は有効な手段といえます。
Pythonをexe化するデメリット
Pythonのexe化にはさまざまな利点がありますが、もちろん欠点もあります。exe化にはどのような欠点があるのか、順番にチェックしていきましょう。
OSやCPUアーキテクチャによって互換性が制限される
exe化したファイルは、作成環境によって実行環境が固定されてしまいます。たとえば、Windows環境で作成したexeはWindows環境でしか実行できませんし、macOS環境で作成したexeはmacOS環境でしか実行できません。
このように互換性が制限されてしまうため、場合によってはユーザーの環境に合わせて複数のexe化したファイルを用意する必要があります。
ファイルサイズが大きくなる場合がある
exeファイルにはコンパイルされたコードが含まれており、Pythonのインタプリターを必要としません。そのため、exeファイルは元のスクリプトより大きくなりがちです。
ファイルサイズが大きすぎると、ファイルの展開に時間がかかる、ストレージの容量を圧迫するなど、さまざまなトラブルをもたらします。exe化の際はimportするライブラリを必要最小限にするなど、ファイルサイズが肥大化しないような工夫が必要です。
起動速度が遅くなる場合がある
exe化によってファイルサイズが肥大化すると、ファイルそのものの起動速度が遅くなる場合があります。ファイルの動作が重くなると、本来exeファイルによってスムーズに進められるはずだった業務が滞ってしまい、作業効率が大幅に低下する可能性が高いです。
スクリプトから直接プログラムを実行する方式に戻すなど、状況に応じてファイルサイズが大きくなりすぎないようにしてください。
スクリプトを修正するたびにexe化する必要がある
exe化すると、ファイルを直接修正できなくなります。exeファイルはバイナリデータ、つまり0と1のみで表される二進数のデータのため、人間には理解できません。そのため、ファイルを修正したい場合はスクリプトから直接コードの修正をし、都度exe化する必要があります。
Pythonのexe化におすすめのツール
最後に、Pythonのexe化におすすめのツールを紹介します。それぞれのツールの特徴や入手方法も解説するため、ツールを探している人はぜひ参考にしてください。
PyInstaller
PyInstallerとは、Pythonのライブラリのひとつです。ライブラリとはPythonでプログラムを開発するにあたって、頻繁に使用される関数やパッケージがまとめられたものを指します。
導入の手順はシンプルで、最初にコマンドプロンプトを起動し、それからpipコマンドを実行すればインストール可能です。PyInstallerを使用すれば、コマンドひとつで任意のコードをexe化できます。比較的新しいPythonにも対応しているため、迷ったときはPyInstallerを選択すれば間違いありません。
Nuitka
Nuitkaとは、Pythonコンパイラのことです。PythonアプリケーションをCコードに変換し、Cコンパイラを使用することでexeファイルや拡張モジュールを生成できます。
Python 2.6から3.11までのバージョンとの互換性があり、英語のドキュメントやエラーメッセージに対応していることが特徴です。また、C言語への変換やコンパイル処理が必要なため、ビルドにやや時間がかかります。
インストールする際にコンパイルに必要なC言語コンパイラなども自動的にダウンロードしてくれるため、導入のハードルは比較的低いといえるでしょう。
py2exe
py2exeも、exe化におすすめのツールです。Python 3とPython 2向けのバージョンがそれぞれ公開されており、pipコマンドを実行してインストールします。使用する際は、事前にセットアップ用スクリプトを用意してください。
ファイル容量がそこまで大きくならないのが強みですが、作成したexeファイルはWindows以外では使用できません。ほかの環境でも使用できるexe ファイルを作成したい場合は、別のツールを使用してください。
py2app
py2appは、Pythonコードからアプリケーションを作成する際に使用するツールです。こちらはpy2exeと異なり、macOSで動かせる実行ファイルを作成できます。
インストールする際は、pipコマンドを利用してください。ただし、導入したもののエラーが発生し、上手く動作しなかった事例が多いツールです。そのため、ログからエラーの原因が読み取れる一定以上の技量を持った人以外は、特別な理由がない限りほかのツールを使用した方が良いでしょう。
開発現場において頻出する関数やパッケージをまとめたものをライブラリといいます。こちらの記事では、Pythonのライブラリのひとつであるrequestsを詳しく解説します。
まとめ
以上、Pythonをexe化するメリットとデメリット、そしておすすめのツールについて取り上げてきました。exeファイルを作成することで、プログラム自体が扱いやすくなり、セキュリティも高まります。
もちろん利点のみならず欠点もありますが、仕事全体の効率を向上させたい場合はおすすめです。今回紹介したツールを用いて、みなさんもぜひPythonのexe化に取り組んでください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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