2024.03.15
サーブレットとは?JSPとの違いを初心者向けに解説
Webサイトなどのシステムを開発する際、サーブレット(Java Servlet)を利用してみてはいかがでしょうか。サーブレットを取り入れることで、さまざまなメリットが得られ、結果的にユーザーの満足度向上にもつながります。
そこで本記事では、サーブレットについて、特徴や利用するメリットをご紹介します。そのほか、利用するデメリットやJSPとの違いもお伝えするので、これからシステム開発を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- サーブレットとは何か
- サーブレットを利用するメリット
- サーブレットを利用するデメリット
- サーブレットとJSPの違いとは何か
目次
サーブレットとは
サーブレット(Java Servlet)とは、Java言語を用いてWebアプリケーションを開発するためのプログラミング技術です。HTTPリクエストに対して動的なコンテンツを生成し、HTTPレスポンスを返すJavaクラスです。
たとえば、ユーザーが検索結果から気になる箇所をクリックした際、要求をサーブレットがデータ処理したり、動的なページを生成したりします。ビジネスロジックとWebプレゼンテーションの分離を促進し、クライアントとの対話を可能にします。
とくに、ECサイトや動画サイトなどで用いられることが多いです。具体的には、閲覧履歴や検索履歴、お気に入り情報などを加味してページを生成するときに利用されます。
サーブレットの特徴
はじめてサーブレットを取り入れる際、事前にサーブレットがどのようなものなのか、特徴を確認しておくことが大切です。ここでは、サーブレットの特徴を3つご紹介します。
ライフサイクル管理
サーブレットは、処理を開始してから終了するまでの一連の流れを管理する機能を持っています。処理が終わったあとは、データを保持して再利用できるので、効率的に稼働させることが可能です。
1度目の処理では時間がかかるものの、2度目以降の処理はスムーズに進められます。とくに、Webアプリケーションは、不特定多数の処理を頻繁に行う傾向があるので、サーブレットを取り入れるとデータを繰り返し使うと良いでしょう。
マルチスレッド対応
サーブレットは、同時に複数の処理を行うマルチスレッドに対応しています。通常は、ひとつのプログラムを実行すると、ほかのプログラムを実行するまでに処理を待つ必要があります。
サーブレットの場合は、複数のプログラムの実行が可能なので、効率よく処理できる点が特徴です。複数のユーザーからアクセスがあっても、必要に応じて複数の処理を実現できるので、結果的にユーザーの満足度向上にもつながるでしょう。
プラットフォーム非依存
サーブレットは、Javaの「1度書いたらどこでも動く」という理念を受け継いでおり、WindowsやMac、Linuxなどのプラットフォームに依存しない特徴を持っています。そのため、どのプラットフォームでも動作するメリットがあります。
また、各プラットフォームに応じて異なるプログラムを作成する必要がありません。サーブレットを使用すると、ユーザーの端末でアプリケーションをダウンロードさせる必要もなくなるので、ユーザーにとっても利用するうえで手間が省けるメリットもあります。
サーブレットのメリット
サーブレットを取り入れようか迷っている場合、まず利用するメリットを確認すると良いでしょう。ここでは、サーブレットのメリットを2つご紹介します。
モジュール化されている
サーブレットはモジュール化されており、1度実行された処理は2度目以降スムーズに進められるメリットがあります。新たにプロセスを生成する必要がなく、応答するスピードが早い点もメリットです。
また、機能を拡張させたい場合は、サーブレットの部分を追記するのみです。処理が終わるたびに初期化されるデータが保存されるので、効率化を図りたい場合に適しています。とくに、1度に負荷の高い処理を行う頻度が多い場合におすすめです。
Javaのメリットをそのまま得られる
サーブレットは、プラットフォームに依存しない、Javaでコーディングできるなど、Javaのメリットが適用されています。プラットフォームに依存しないので、端末を選ばず柔軟な活用を実現できるでしょう。
また、Javaでコーディングできるので、ほかの言語と比べると開発生産性が高いです。さまざまなシステム開発で利用されているJavaですが、なかでもサイクルが早いWebアプリケーションの開発に対し、柔軟に対応できるといわれています。
サーブレットのデメリット
サーブレットを取り入れる際、メリットだけではなく、デメリットも把握しておくことが大切です。ここでは、サーブレットのデメリットを3つご紹介します。
実行速度が遅い
サーブレットは、Javaを用いてコーディングできますが、CPUが直接実行できるプログラムコードと比べると実行速度が遅い傾向にあります。実行速度が遅いというJavaの課題は、サーブレットにも受け継がれているといえるでしょう。
実行速度が遅い場合、リアルタイム性を求められるシステムを運用するうえで、大きな課題となり影響を与えてしまうおそれがあります。とくに、はじめて実行する処理は、遅延する傾向にあるので把握しておくことがポイントです。
ただし、サーブレットに用いるJavaは、Javaのプログラムのパフォーマンスを向上させるJITコンパイラという技術により、実行速度が改善され続けています。1度処理を済ませれば、2度目以降はスピーディに実行が可能です。
対応したISPが少ない
サーブレットは、対応したISP(インターネット・サービス・プロバイダ)が限られています。ISPとは、インターネットに接続するためのサービスを提供している事業者です。ISPが限られると、個人で開発するシステムや小規模プログラムにとって障壁となるでしょう。
サーブレットを取り入れたシステムを公開する場合、サーブレットに対応したホスティングサービスを見つける、または自身でサーバー環境を構築する必要があります。サーバーを構築する際、技術やコストの面で負担がかかってしまうおそれがあります。
技術者が足りない
サーブレットを利用する場合、Javaでコーディングする必要があり、Javaが使える技術者が不足している点が課題です。JavaよりもPythonなどの言語が人気であり、サーブレットに特化した専門的な技術者が十分にいません。
そもそも、日本ではIT人材自体が不足しています。未経験から技術者になろうとする場合、言語の使い方や構成などを理解する必要があるので、技術を習得するには時間がかかってしまうことがほとんどです。
技術者が少ないのは事実ですが、専門的な知識を持った人材を新たに雇用したり、現在在籍している人材を育成したりすると、課題をカバーできる可能性があります。ただし、すぐに優秀な人材が見つかるとは限らないので、余裕を持った採用活動を行うことが大切です。
サーブレットとJSPの違い
動的なWebページを生成して送信する方法には、サーブレット以外にJSP(JavaServer Pages)というものがあります。ここでは、サーブレットとJSPの違いについて、5つの項目に分けてご紹介します。
主な用途
サーブレットの主な用途は、ビジネスロジックとデータ処理です。ユーザーからの要求にもとづいて動的なコンテンツを生成し、データ処理やビジネスロジックをサーバーサイドで実行します。
一方でJSPは、ユーザーインターフェースと表示ロジックが主な用途となっています。HTML内にJavaコードを埋め込んで動的なコンテンツを生成し、サーブレットと組み合わせてユーザーに対する動的なWebページを作成することが可能です。
コードの書きやすさ
サーブレットの場合、Javaでコーディングするので、技術者によっては難しく感じるケースがあります。Javaは従来のシステムで多く使用されていましたが、現在はAIを活用して利用できる言語が人気であるため、Javaに特化した技術者が不足しています。
JSPの場合、HTMLベースでコーディングでき、サーブレットよりも書きやすいです。Javaは埋め込みとなっており、サーブレットコンテナ内で処理し、最終的にHTMLのソースコードにレンダリングされて送信するので手軽に感じる方がいるでしょう。
処理の流れ
サーブレットは、実行を開始したら最初にロードされるときに呼び出します。ユーザーからの要求に対応したら、リクエストスレッド・ライフサイクルが終了し、実行が停止となります。
JSPの処理は、JSPページのコンパイルを行い、_jsp.javaから_jsp.classに変換します。生成したサーブレットのオブジェクトを作成したあと、メソッドがコンテナによって呼び出され、リクエスト処理を行うのが一連の流れです。
サーブレットの処理の流れは、シンプルでスムーズに進められる点が特徴です。一方でJSPは、ページごとにコンパイルが必要なので、処理を実行してから終了するまでの流れを複雑に感じる方もいるでしょう。
再利用性
サーブレットとJSPの再利用性を比較すると、サーブレットのほうが再利用性が高いといえます。JSPはページ単位で再利用が可能ですが、サーブレットはモジュール化されており、1度行った処理やデータを保管できる点が魅力です。
パフォーマンス
パフォーマンスの観点では、JSPよりもサーブレットのほうが高いです。JSPはページの要求ごとにコンパイルが必要ですが、サーブレットはすでにコンパイル済みのJavaクラスが使用されています。
次にこちらでは、システム開発の手法5種類を解説します。開発手法の選択はプロジェクトの成功に影響します。それぞれのメリットとデメリットを比較し、最適な手法を選ぶための参考にしてください。
まとめ
サーブレットは、ユーザーからの要求に応じて動的なページを生成し提供します。Javaのメリットを受け継いでいるので、プラットフォームに依存しない、Javaコードで完結するなどが特徴です。
また、モジュール化されており、1度処理したデータを保管することができるので、一連の流れをスムーズに進められるメリットがあります。複数の処理を同時に行う機能も備わっているので、効率性を重視したい場合におすすめです。
ただし、1度目の処理に時間がかかるケースがあります。技術者の不足により、サーブレットに特化した知識を持った方が減っているので、新規雇用や社員の育成などを検討しなければいけない場合もあるでしょう。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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