2024.05.01
フルフィルメントとは?3PLとの違いやメリットデメリット
ECサイト運営者の中には、「フルフィルメントを導入した方がいいのか分からない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ほかにも「フルフィルメントを導入すべきタイミングはいつ?」と疑問を感じている方もいるかもしれません。
本記事では、フルフィルメントの業務内容について解説します。また、フルフィルメントサービスのメリットやデメリット、選び方についても触れています。本記事を読むことで、自社にどんなフルフィルメントサービスを導入すればいいのか、ヒントを得られるでしょう。ぜひチェックしてみてください。
この記事でわかること
- フルフィルメントの業務内容
- フルフィルメントサービスのメリット・デメリット
- フルフィルメントサービスの選び方
目次
フルフィルメントとは?
フルフィルメントとは、ECサイトで商品が注文されてからお客様に届くまでに発生する一連のプロセスのことです。たとえば、ECサイトにおいては以下のような業務が含まれます。
- 受注
- ピッキング
- 梱包
- 在庫管理
- 発送
- 受け渡し
- 代金回収
- 問い合わせ対応
- クレーム処理
- 返品対応
このように「フルフィルメント」という言葉には、ECサイトにおいて発生するあらゆる業務が含まれているのです。
フルフィルメントは英語では「fulfillment」と言い、「遂行」や「実行」などの意味があります。
フルフィルメントの業務内容一覧
フルフィルメントの業務内容一覧は、以下の通りです。
業務内容 | 業務詳細 |
---|---|
入荷管理 | 商品やその数量が正確に入荷されているかの確認 |
検品作業 | 注文商品を正しくピッキングできているかの確認 |
在庫管理 | 在庫品や在庫の関連情報の管理 |
ささげ業務 | 撮影・採寸・原稿の業務。各頭文字を取って「ささげ」 |
受注処理 | 商品の注文から配達、売上計上までのプロセス全体 |
ピッキング | 出荷指示に応じて在庫から対象商品を必要な数量取り出すこと |
梱包 | 発送するために商品を緩衝材で包んでダンボール箱に詰める業務 |
出荷手配 | 注文された商品を顧客へ届けるために現場へ指示を出すこと |
配送 | 商品が顧客に配達されるプロセス |
代金回収 | 注文商品の代金を回収する作業 |
クレーム処理 | 顧客から入ったクレームに対応する業務 |
返品対応・キャンセル対応 | 返品受付や受け取り、再発送が必要なものへの対応 |
問い合わせ・カスタマーサポート | 顧客からの問い合わせを受け疑問や要望に対応する業務 |
3PLとの違い
フルフィルメントと3PLの違いは、請け負う業務の範囲にあります。フルフィルメントの範囲は、物流だけでなく決済処理やカスタマーサービスも含まれています。フルフィルメントサービスを利用すれば、EC業務に関する業務全般を委託できるのです。
一方で、3PLは物流部門しか請け負っていません。3PLとは「3rd Party Logistics」の略称で、物流業務を第三者に委託して業務効率化を図ることを目的としています。
フルフィルメントサービスを利用するメリット
フルフィルメントサービスを利用するメリットは、以下の通りです。
メリットを理解することで、目的意識を持って導入できるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
業務効率化
フルフィルメントを利用するメリットは、業務をプロに任せることで業務効率化につながることです。
ECサイト運営では、物流業務や顧客対応などの煩雑な業務が発生します。ただ、ECサイト運営で肝となるのは商品開発やマーケティングです。全ての業務を行っていると、事業拡大についていけない可能性があります。
そこでフルフィルメントサービスを利用することで、こうしたコア業務に集中できるようになります。マーケティングに成功すれば、ECサイトの売り上げ拡大にも貢献できるでしょう。
コスト削減
フルフィルメントサービスには、コスト削減できるというメリットもあります。
その理由は、フルフィルメントサービスによって自社で倉庫や物流センターを持つ必要がなくなるからです。その結果、倉庫の賃料や設備の維持費、人件費などの固定販管費をカットできます。
削減できたコストは、商品開発やマーケティング施策などに回すことができるでしょう。
顧客満足度の向上
フルフィルメントサービスを導入することで配送業務がスムーズになり、顧客満足度の向上を期待できます。
配送業務を自社で対応すると、その他の業務も発生しているため、配送業務に集中できません。その結果、発送が遅れてしまう可能性があります。
一方で、フルフィルメントサービスなら迅速かつ正確な発送を行えるため、顧客の待ち時間を短縮できるでしょう。さらに返品・返金処理やカスタマーサポートなども行ってくれる場合は、顧客のクレームや問い合わせにも丁寧に対応してくれるため魅力的です。
フルフィルメントサービスを利用するデメリット
フルフィルメントサービスを利用するデメリットは、以下の通りです。
ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。
顧客の声やニーズを把握しにくくなる
フルフィルメントサービスのデメリットは、顧客の声やニーズを把握しにくくなることです。その理由は、商品の受注から発送、梱包に関する業務を全て任せきりにするため、顧客との接点がなくなってしまうからです。
これによりクレーム対応が遅れたり、対応の品質が低かったりすると、自社ブランドのイメージが悪くなる可能性もあるでしょう。
こうしたデメリットを補うために、まずはフルフィルメントサービスの顧客対応の質を確認しておきましょう。また、ユーザーの声を拾えるように体制を整えることも大切です。
バックヤードのノウハウの蓄積ができない
フルフィルメントサービスには、バックヤードのノウハウの蓄積ができないというデメリットがあります。それは、自社で物流業務や顧客対応などのバックヤード業務を行わなくなるからです。
万が一フルフィルメントサービスを解約することになった場合、社内でゼロから人材育成や体制構築をしなければなりません。その際ノウハウがないと、自社で対応するのが難しくなるでしょう。
フルフィルメントサービスを導入すべきタイミング
フルフィルメントサービスを導入すべきタイミングは、以下のように3つあります。
ここからは、それぞれのタイミングについて解説します。
ECサイトの立ち上げ初期
フルフィルメントサービスを導入すべきタイミングの1つ目は、ECサイトの立ち上げ初期です。立ち上げのタイミングで導入すれば、スムーズに業務を開始できるからです。
というのも、フルフィルメントを導入するにはある程度の準備期間が発生します。ECサイトリリース直後は慣れない環境の中、さまざまな対応に追われてしまい、準備に集中できないかもしれません。
こうした事情から、ECサイトの立ち上げ初期に導入すれば、スピーディに対応できるでしょう。
配送コストが負担になっているとき
フルフィルメントサービスを導入すべきタイミングの2つ目は、配送コストが負担になっているときです。
配送業務には、在庫管理のための人件費や、倉庫を利用するための管理費、そして配送料などのコストが発生します。フルフィルメントサービスによっては、これらのコストをよりも安く利用できるでしょう。
配送作業が煩雑になってきているとき
フルフィルメントサービスを導入すべきタイミングの3つ目は、配送作業が煩雑になってきているときです。
たとえば、現場で人手不足が発生しているときは、リソースが圧迫されて丁寧に作業できないことがあります。また、組織全体の業務が煩雑になっていると、自社だけで処理できないこともあるでしょう。
作業が煩雑になるとミスが発生する原因にもなり、クレームに転じるリスクがありますが、フルフィルメントを導入することで、こうしたリスクを回避できるでしょう。
フルフィルメントサービスの選び方
フルフィルメントサービスの選び方として、以下のポイントが挙げられます。
料金だけでなく、上記のような内容もチェックしておきましょう。
導入の目的を明確にする
フルフィルメントサービスを導入する際には、導入目的を明確にしておくことが重要です。フルフィルメントのサービス内容は会社によってさまざまで、目的が決まっていればどの会社を選べばいいのかがわかります。
導入目的の例は、以下の通りです。
- ECサイトの事業拡大のため
- 物流コスト削減のため
- 顧客体験向上のため
- 製品開発・マーケティング専念のため
フルフィルメントサービスの対応範囲を確認する
フルフィルメントサービスの対応範囲を確認することも、サービスを選ぶ際の重要なポイントです。
自社の目的を実現できる業務範囲や、任せたい業務に対応しているかを確認しておきましょう。たとえば、顧客体験向上のためにフルフィルメントサービスを導入するなら、チラシやクーポンを同梱してくれるサービスがあるといいでしょう。
中にはプロモーション・マーケティング支援やEC業務のトータル支援をしてくれるサービスもあるので、あわせて確認してみてください。
サポート体制を確認する
選び方のポイントとして、サポート体制を確認することも挙げられます。
確認しておくべき項目は、以下の通りです。
- 不良品が発生した際の返品・交換対応
- クレーム・問い合わせへの対応方法
サポート体制の質が高いほど、フルフィルメントサービスの利用において安心感や信頼感が高まります。
商品の保管場所を確認する
フルフィルメントサービスを導入する際には、商品が保管される場所を実際に視察できるかどうかも重要なポイントです。その理由は、商品を保管する倉庫や物流センターの環境は、商品の品質や安全性に影響を与えるからです。
そこで、商品の保管場所については以下のポイントを確認しましょう。
- 整理整頓されているか
- 清潔感はあるか
- セキュリティ対策が行われているか
- 温度・湿度が適切にコントロールされているか
- 作業の質は問題ないか
- 在庫管理システムは充実しているか
- 倉庫のロケーションが物流ネットワークに適しているか
また商品の種類や特性に応じて、保管場所の条件を変更できるかも確認しておくと安心です。
フルフィルメントサービスのおすすめ会社比較!
最後に、フルフィルメントサービスを提供しているおすすめの会社を紹介していきます。本記事でおすすめする会社は、以下の通りです。
ここからは、それぞれの会社の特徴について解説します。
フルフィルメント by Amazon(FBA)
フルフィルメント by Amazonは、大手ECサイトAmazonが展開しているフルフィルメントサービスです。FBAの主な特徴は、以下の通りです。
- 商品がAmazonプライム対象になる
- カスタマーサービス・返品サービスを提供
- 注文数に応じて手数料が発生
FBAを利用すると、商品がAmazonプライム対象になります。Amazonプライム会員なら無料でお急ぎ便などを利用できるため、売上向上を期待できるでしょう。
また、問い合わせ管理や返品・返金対応も委託可能です。
ヤマト運輸のフルフィルメントサービス
出典:ヤマト運輸
ヤマト運輸のフルフィルメントサービスには、以下の特徴があります。
- 倉庫は24時間365日稼働
- 様々な流通加工に対応できる
ヤマト運輸の倉庫は、24時間365日稼働しています。さらに関東・関西の一部は当日配送ができるため、リードタイムの短縮化が可能です。
また、ヤマト運輸のサービスには様々なオプションがあります。海外輸入商品の国内向け流通加工や、FBA向け納品代行などがあるため、様々な流通加工に対応できるでしょう。
楽天スーパーロジスティクス(RSL)
楽天スーパーロジスティクスは、楽天市場で有名な楽天グループが展開しているフルフィルメントサービスです。主な特徴として、以下が挙げられます。
- 午後3時までの注文で翌日お届けが可能
- 他モール向けの出荷も同一料金にて対応
RSLなら、午後3時までの注文で翌日お届けが可能です。そのため、顧客満足度向上を期待できるでしょう。
さらに、他モール向けの出荷も同一料金にて対応しています。そのため、配送クオリティが均一化され、クレームにも繋がりにくくなると考えられます。
makeshopロジ
出典:makeshopロジ
makeshopロジは、ネットショップ構築サービスで知られるmakeshopが運営するフルフィルメントサービスです。主な特徴として、以下が挙げられます。
- 海外対応あり
- 大型商品の取り扱いが可能
makeshopロジでは、海外発送にも対応しています。そのため、越境ECを視野に入れているECサイトに最適です。
また、180サイズ~260サイズの大型商品の取り扱いが可能です。
物流業務のアウトソージング3PL(佐川急便)
出典:佐川急便
佐川急便では、「物流業務のアウトソージング3PL」というフルフィルメントサービスを展開しています。商品の特性に応じてあらゆる物流作業を依頼できるため、業務効率化やコスト削減の実現が可能です。
また、佐川急便には「通販フルフィルメント」というサービスもあります。このサービスでは、温度管理にも対応しているため、食品・飲料の対応も可能です。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
フルフィルメントサービスは、配送業務に限らずささげ業務や問い合わせ対応も委託できます。ただしサービス内容は会社によって異なるため、自社の導入目的と照らし合わせながら比較検討することが大切です。
ECサイトのフルフィルメント導入について悩んでいる方は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイト運営のサポートを行っています。事業内容にあわせてご提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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