2023.10.02
ECサイト運営に必要な物流倉庫とは?種類や特徴、適切な倉庫の選び方を紹介
ECサイトを運営している方の中には、商品を保管するための物流倉庫を探しているものの、選び方がわからずに困っている方もいるのではないでしょうか。
EC物流倉庫では、商品の保管だけでなく流通加工や発送、返品対応などの業務が委託できます。
本記事では、EC物流倉庫の概要を紹介した上で、倉庫の種類や特徴、メリット・デメリットなどを紹介していきます。EC物流倉庫の選び方も紹介するので、EC物流倉庫を選ぶ際の参考にしてみてください。
この記事でわかること
- EC物流倉庫の概要
- EC物流倉庫の種類
- EC物流倉庫の特徴やメリット・デメリット
- EC物流倉庫の選び方
目次
EC物流倉庫とは
EC物流倉庫とは、商品の保管や流通加工などを行う場所です。
EC物流倉庫で行う作業とその概要は以下の通りです。
業務内容 | 概要 |
---|---|
入庫 | 倉庫に届いた商品を搬入し、保管場所に移動させる作業 |
検品作業 | 商品の数や品質、傷などを確認する作業 |
保管 | 商品が劣化や破損しないように適切な方法で保管する作業 |
ピッキング | 出荷指示にしたがって商品ごとに適切な数を取り出す作業 |
出荷前検品 | ピッキング後に数量や品質を再度検品する作業 |
流通加工 | 商品に付加価値をつけるために行われるラッピングや詰め合わせなどの加工作業 |
梱包 | 商品を劣化や破損なく顧客に届けるための梱包作業 |
発送 | 商品の最終確認を行い、トラックに詰め込み発送する作業 |
すべての業務を自社で行うと、倉庫の維持費や人件費などのコストが多くかかるため、委託倉庫を利用して業務を代行してもらう企業が多いです。
EC物流の流れや課題などについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
EC物流倉庫の4つの種類
EC物流倉庫には以下の4種類があります。
- 販売主体の倉庫
- 業種特化の倉庫
- システム会社主体の倉庫
- 倉庫サービス主体の倉庫
それぞれのEC物流倉庫について詳しく紹介するので、商品やサービスにあわせて適切な倉庫を選んでみてください。
販売主体の倉庫
販売主体の倉庫は、商品の入庫から発送、顧客対応まで可能であり、ECサイト運営の販売サポートをしてくれる倉庫です。
販売主体のEC物流倉庫では、以下のような業務が依頼できます。
- 注文受付
- EC販売業務
- 発送手配
- 返品処理
注文から販売業務、配送まですべて対応してくれるので、自社で行う作業はほとんどなく、業務負担を大幅に軽減できます。販売後のカスタマーサポートまで対応してくれる倉庫もあるため、コア業務に集中したい企業におすすめです。
業種特化の倉庫
業界特化の倉庫は、取り扱う商品にあわせて適切な温度管理や流通加工ができる倉庫のことです。
たとえば食品を取り扱っている場合、種類によって常温・冷蔵・冷凍など適切な保管温度が異なります。温度管理が適切でないと、商品の品質低下や劣化の恐れがあります。
商品ごとに最適な流通加工も可能になるため、保管温度が重要な商品を扱っている方におすすめです。
システム会社主体の倉庫
EC物流倉庫の中にはシステム会社と連携し、運用をシステム化している倉庫もあります。
システム会社から自社にあった倉庫を紹介してもらえるため、自分で倉庫を探す手間が省けます。また、倉庫運用をシステム化することで、人員数を減らして業務を遂行できるので、コストを抑えられるのもメリットです。
出荷作業が自動になるぶん業務負担も削減できますが、形式的な業務にしか対応できず細かいカスタマイズは難しいこともあります。
コストが抑えられる倉庫を探しており、ルールに則って運用できる企業におすすめです。
倉庫サービス主体の倉庫
倉庫サービスが主体となっている倉庫は、取扱い商品に合わせてカスタマイズができ、最適な方法で保管ができます。物流会社が運営している倉庫が多く、同梱やカッティングなどの幅広い流通加工が行えます。
保管方法や温度管理の自由度は高いですが、細かくカスタマイズすると料金が高くなってしまう点には注意しましょう。
取扱い商品が多岐に渡る企業やカスタマイズをしたい企業におすすめです。
EC物流倉庫の特徴とメリット5選
EC物流倉庫の特徴や利用するメリットには以下の5つがあります。
- 在庫管理がしやすい
- 流通加工に対応している
- 注文から納品までスムーズに対応できる
- アフターフォローが整っている
- 従業員の負担を軽減できる
特徴やメリットを詳しく紹介していくので、EC物流倉庫の導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
1.在庫管理がしやすい
EC物流倉庫を利用すると、在庫管理がしやすくなるという特徴があります。多くのECサイトでは、複数種類の商品を抱えながら小ロットで出荷していくため、適切な在庫管理が重要です。
また、EC物流倉庫を利用することで、プロに在庫管理や発送などの業務を任せられるため、ミスを減らせます。
物流業務に慣れていない従業員が対応する場合、入出庫の管理漏れやピッキング作業中のミス、梱包間違いなどが発生し、顧客に迷惑をかける可能性があります。
しかし、プロに任せれば適切な方法でミスなく在庫管理ができ、商品の品質が高い状態を保てるため、顧客満足度の向上も可能です。
2.流通加工に対応している
EC物流倉庫では発送だけでなく流通加工も対応しているため、顧客満足度が高められます。
EC物流倉庫では以下のような流通加工対応が可能です。
- 試供品の同梱
- プレゼント用をはじめとした特別なラッピング
- 材料のカット
たとえば、顧客が興味を持っている商品を同梱すれば、顧客満足度が向上し長期的な売上アップにも繋がります。
ECサイト運営では、リピーターの獲得が売上アップや安定性の重要なポイントとなるため、顧客満足度が高まる流通加工を行うことが大切です。
3.注文から納品までスムーズに対応できる
EC物流倉庫を利用することで受注から納品までスムーズな対応が可能です。EC物流倉庫では、商品の管理や倉庫作業のルール化が行われていることに加え、トラックの配送時間も調整してもらえます。
また、多くのEC物流倉庫では商品の保管場所を番号化し、倉庫のどこに保管されているかをわかりやすくするロケーション管理を行っています。
ロケーション管理をしていれば、多くの商品を扱っていても保管場所がすぐにわかるので、受注から発送までの時間短縮が可能です。
注文後、迅速に商品が届くことで顧客満足度が高まり自社の評判も良くなるため、商品管理や対応にかかる時間の短縮が重要です。
4.アフターフォローが整っている
EC物流倉庫によってはアフターフォロー体制が整っており、商品購入後の返品や交換などの対応をしてくれます。
ECサイトで商品を購入した方の中には、商品が届いた際に「思っていたものと違った」「間違えて買った」などの理由で返品や交換を求めてくる方もいます。
小規模企業の場合、対応が遅くなってしまい、顧客満足度やリピート率が低下する恐れがありますが、EC物流倉庫を利用していればアフターフォロー対応してくれるので安心です。
EC物流倉庫によっては、返品依頼の連絡から対応してくれるため、返品・返金対応で通常業務が圧迫されてしまうことはありません。
自社にアフターフォローの専任担当者がいない場合には、対応依頼ができるEC物流倉庫の利用がおすすめです。
5.従業員の負担を軽減できる
EC物流倉庫を利用すると従業員の業務負担を軽減でき、ECサイトのデータベースや入金対応などのコア業務に集中できる環境を作れます。
自社で倉庫を保有して管理する場合、社員のリソースを物流業務に割かなければならず、コア業務に支障が出る恐れがあります。物流部門がある規模であれば問題ないですが、立ち上げ当初は業務分担がうまくできず、みんなで対応しなければなりません。
しかし、EC物流倉庫を利用すれば在庫管理や流通加工などを任せられるため、従業員がコア業務に集中でき、負担を軽減できます。
また、システムを用いて商品を管理しているEC物流倉庫であれば、リアルタイムで商品情報を確認できます。
商品管理や倉庫内業務をまかせられるため、従業員の負担を軽減したい企業はEC物流倉庫の利用がおすすめです。
EC物流倉庫を利用する際の2つの注意点
EC物流倉庫を利用する際の注意点には、以下の2つがあります。
- コストが発生する
- 商品ごとに適した環境が異なる
それぞれの注意点について詳しく紹介するので、導入後に問題が起きないようにあらかじめ確認しておきましょう。
コストが発生する
EC物流倉庫を利用する場合、固定費と変動費の2つのコストが発生するため注意しましょう。
固定費には、以下のような費用が含まれます。
- 保管料
- システム利用料
- 管理料
固定費は倉庫に保管する商品数によって異なり、基本的には坪単価数千円の料金が発生します。システム管理をするEC物流倉庫を利用する場合には、システム使用料もかかるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
変動費には以下のような費用が含まれます。
- 入庫料
- デバンニング料
- 出荷料
- 梱包料
- 流通加工料
- ピッキング料
- 検品料
- 配送料
変動費は商品の入庫〜発送までの業務で発生する費用であり、商品の種類やサイズ、数によって料金が異なります。
1つのEC物流倉庫を利用していても商品が異なれば料金が変わることもあるため、利用前には必ず確認しておきましょう。
商品ごとに適した環境が異なる
食品・化粧品・アパレルなど、扱う商品によって保管に適した環境や流通加工が異なるため注意が必要です。
たとえば、食品を扱う場合には冷凍や冷蔵機能が備わっている倉庫が必要であり、保管温度を間違えると品質が低下し、販売ができなくなる恐れがあります。
また、食品や化粧品は長期間保管していると商品が劣化し、品質が低下してしまうため、先入れ先出しをはじめとした管理方法の徹底が重要です。
賞味期限や使用期限も管理しておかなければ、本来販売できない商品を発送してしまい、トラブルが発生してしまう恐れもあります。
EC物流倉庫によって対応可能な商品が異なる場合があるため、契約前には必ず取扱い商品に適した環境があるかを確認しておきましょう。
EC物流倉庫の選び方3選
EC物流倉庫を選ぶ際のポイントには、以下の3つが挙げられます。
- 倉庫の立地
- 連携の取りやすさ
- サービス内容
それぞれのポイントについて詳しく紹介するので、EC物流倉庫が選べずに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
倉庫の立地
倉庫の立地は、商品の注文から到着までの時間や利用する際のコストに大きな影響を与えるので、EC物流倉庫を選ぶ際の重要なポイントです。
たとえば、地方にある倉庫ほどコストを抑えて利用できますが、配送に必要な日数が増えてしまいます。渋滞や天候などの影響で配送が大幅に遅れてしまうリスクも抱えていることを理解しておきましょう。
一方、都心に近い倉庫であれば短い期間で配送が可能ですが、コストが高くなってしまいます。コストは高くなりますが、高速道路や主要な幹線道路に近い倉庫であれば、短期間での配送が可能であり、顧客満足度の向上も期待できます。
都心部、地方のどちらにもメリットとデメリットがあるため、取扱い商品やコストを比べつつ、自社に適した立地の倉庫を選びましょう。
連携の取りやすさ
EC物流倉庫を利用する場合、倉庫との連携が取りやすいかどうかも重要なポイントです。
たとえば、利用中のECサイトと在庫管理システムを連携してリアルタイムに在庫を把握できるかは重要なポイントです。
誤発送を防ぐためにも、倉庫内との連絡を密にとり、トラブルが発生しないようにできるかも確認しておきましょう。
サービス内容
EC物流倉庫によって依頼できるサービス内容が異なるため、適切なサービスを利用できるか確認しておきましょう。
たとえば、入庫や発送業務は依頼できるものの流通加工は依頼できず、自社で対応しなければならないこともあります。
また、化粧品や医薬部外品などの商品を取り扱っている場合は、免許を保有している方でなければ流通加工ができないという制限があるため、注意が必要です。
利用する倉庫を選ぶ際には、あらかじめサービス内容や免許を保有している作業員の有無も確認しておきましょう。
取扱商品に適したEC物流倉庫を利用しよう
EC物流倉庫を利用すると、商品の入庫から発送までの業務を委託できます。商品の保管や流通加工のプロに依頼できるため、品質を保ち短期間で配送が可能です。
自社で行うよりも商品の在庫管理がしやすく、注文から納品までスムーズに対応できるので、顧客満足度の向上も期待できます。
ただし、商品ごとに保管に適した環境が異なる点、EC物流倉庫の利用には多くのコストがかかる点には注意が必要です。
EC物流倉庫を選ぶ際には、倉庫の立地や連携の取りやすさ、サービスの内容を確認し、商品に適した環境を選びましょう。1
「適切なEC物流倉庫の選び方がわからない」と不安を抱えている方は、ぜひテクノデジタルにご相談ください。
取扱い商品にあわせて適切な提案をし、業務効率向上や売上アップのサポートを行いますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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