2024.03.18
ECサイトの分析方法は?分析手順と見るべき指標を解説
ECサイトの運営を行っている方には「どのようにECサイトを分析すればいいのか分からない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ほかにも、ECサイトを分析していて「ECサイトにある問題の原因を知りたい」と感じている方もいるかもしれません。
本記事では、ECサイトの分析方法について解説します。ほかにも、ECサイトの分析で見るべき指標とKPIやフレームワークについても触れていきます。ECサイトの分析方法について学びたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ECサイトの分析で見るべき指標とKPI
- ECサイトの分析方法
- ECサイト分析で役立つフレームワーク
目次
ECサイトを分析する目的と重要性
ECサイトを分析する目的は、売り上げ拡大につながるサイト改善を行うためです。その材料として、顧客の興味関心や行動にまつわるデータ収集が必要です。
分析によって得られたデータには、ECサイトの課題や問題に関するヒントがあります。課題の可視化や競合との差別化のためにも、ECサイトの分析は定期的に欠かさず実施することが重要です。
ECサイトの分析で見るべき指標とKPI
ECサイトの分析で見るべきKPIは、ECサイトの運営状況や顧客の行動を数値化した以下の指標です。
- 利益にかかわる指標
- 顧客数にかかわる指標
- 顧客単価にかかわる指標
- ユーザー行動にかかわる指標
- ユーザー属性にかかわる指標
ここからは、上記に関連するCPAやCVRなどの指標と分析方法を紹介していきます。
利益にかかわる指標
ECサイトの利益にかかわる指標として、以下の4つがあります。
- 売上
- ROI(投資利益率)
- ROAS(広告費用対効果)
- CPA
ここからは、それぞれの指標の重要性や分析方法について解説します。
売上
ECサイト分析においては、売上を単純に金額で判断するのではなく、要素分解して考えることが重要です。売上高の算出方法は、以下の通りです。
アクセス数×CVR×顧客単価=売上高
そのためには、各指標を正確に把握してどの指標を改善すれば売上が上がるのかを考えましょう。なお、上記算出方法の各指標については、追って解説します。
売上高を算出したら、支出を差し引いた「利益」もあわせて確認しましょう。売上高が上がっていても、利益が下がっていては赤字になってしまいます。
ROI(投資利益率)
ROIとは「Return On Investment」の略で、投資額に対する利益の割合を示す指標です。通常「利益÷投資コスト」で算出しますが、ECサイトにおいては主に広告費に対してどれくらい得られたかを算出します。
広告経由の利益÷広告費× 100=ROI
この計算により、広告費の費用対効果を明確にできるため、事業を継続すべきかどうかの判断材料になります。ROIが低い場合は、成約率や顧客単価を改善したり、コスト削減につながる施策を取り入れるようにしましょう。
ROAS(広告費用対効果)
ROASとは「Return On Advertising Spend」の略で、広告コストの回収率を示す指標です。具体的には、以下の方法で算出します。
売上高÷広告費用=ROAS
上記で紹介した「ROI」も広告の費用対効果を示す指標ですが、純粋な利益を算出する際はROIが最適です。
そのため、ROASはその広告に効果があったかどうかを判断する指標として役立ちます。なお、ROASがいくつになれば利益につながるかどうかは、商品によって異なります。
CPA
CPAとは「Cost Per Acquisition」の略で、コンバージョン1件あたりの広告費を示す指標です。ECサイトでは顧客獲得単価を示し、ROIと同様に重要な指標です。
CPAは、以下の方法で算出できます。
広告費用÷コンバージョン数=CPA
CPAが低い広告ほど、コストパフォーマンスが高いと考えられます。そのため、広告出稿を続けるべきかどうかを決める判断材料になるでしょう。
顧客数にかかわる指標
ECサイトの顧客数にかかわる指標には、以下のように3つの指標があります。
- 会員数
- アクセス数(PV数)
- CVR(コンバージョン率)
ここからは、それぞれの指標の重要性や分析方法について解説します。
会員数
会員数が増加すると、メルマガやDMでアプローチできるリストが増えます。その結果、ECサイトのリピート率向上につながるため、会員数は重要な指標です。
そこで会員数を増やすためには、以下のような施策に取り組みましょう。
- プレゼント・クーポン配布
- 会員紹介キャンペーン
- SNS発信
- ソーシャルログインの導入
プレゼントやクーポンの配布、会員紹介キャンペーンなど、メリットを提示することで会員登録に興味を持ってもらえます。また、SNS発信によってECサイトの認知拡大や、ユーザーとの交流を図れます。
会員登録のハードルを下げるには、ソーシャルログインの導入がおすすめです。GoogleやYahoo!などの登録情報を反映できるため、面倒な入力をスキップできます。
アクセス数(PV数)
アクセス数の計測方法は、以下のように複数あります。
アクセス数の計測方法 | 意味 |
---|---|
セッション数 | 一定期間内に訪問したユーザーの回数 (複数回の訪問も含める) |
ユニークユーザー数 | 一定期間内に訪問したユーザーの回数 (1ユーザーに対して1回とカウント) |
ページビュー数 | 一定期間内に閲覧されたページ数 (Webページごとに1カウント) |
それぞれ計測方法が異なるため、目的に応じて選択しましょう。計測の際は、「Google アナリティクス」や「Google サーチコンソール」のようなツールが役立ちます。
アクセス数の改善に役立つ施策は、以下の通りです。
- SEO対策
- コンテンツの充実
- Web広告の出稿
- SNSの活用
CVR(コンバージョン率)
CVRとは「コンバージョン率」とも呼ばれる、ECサイトに訪問したユーザーのうち、購入まで至ったユーザーの割合を示す指標です。CVRの算出方法は、以下の通りです。
コンバージョン数÷セッション数×100=CVR
一般的には、1〜3%程度が目安です。CVRが目安より低い場合、ECサイト内でユーザーが不満を抱いていたり、問題が起っていたりする可能性が高いです。
そこでCVR改善のために、以下のような施策に取り組みましょう。
- 商品の魅力が伝わるようにページを改善する
- サイト設計を見直して使いやすくする
- 発送・決済手続きを見直す
顧客単価にかかわる指標
ECサイトの顧客単価にかかわる指標には、以下の3つがあります。
- 商品単価
- 購入点数
- LTV(生涯顧客単価)
ここからは、それぞれの指標の重要性や分析方法を解説します。
商品単価
商品単価とは「一品単価」とも呼ばれ、1回に購入された商品の平均単価を示す指標です。商品単価は、以下の方法で算出します。
売上÷売上個数=商品単価
商品単価を改善するには、以下のような施策が効果的です。
- セール状況を見直す
- クーポンの発行状況を見直す
- 価格帯を広げる
- 商品ラインナップの変化をチェックする
セールやクーポン配布を実施すると、実際には商品単価が低下します。そのため、客数が減っていないかどうかなど、その他の指標もあわせて確認しましょう。
購入点数
購入点数とは、1回購入する際に平均して何点商品が購入されているかどうかを示す指標です。ECサイトの売り上げ拡大には、顧客単価の分析が重要です。
そのためにも、1人あたりの購入点数も重要なKPIとなります。購入点数は、以下のような方法で算出します。
客単価=商品単価×購入点数
ユーザーの購入点数が増えるようにするには、クロスセルやアップセルなどの施策が効果的です。
クロスセルとは、相性のいいほかの商品と合わせて購入してもらう手法です。そしてアップセルとは、検討中の商品よりも高額な商品を購入してもらう手法です。
LTV(生涯顧客単価)
LTVとは「生涯顧客単価」とも呼ばれ、1人の顧客が生涯の間に費やす金額を示す指標です。LTVは以下の方法で算出します。
平均購買単価×購買頻度×継続購買期間=LTV
LTVが高いと顧客がECサイトで購入する金額が大きくなるため、ECサイト全体の売り上げ拡大に繋がります。LTVを改善するためには、以下のような施策に取り組みましょう。
- 送料無料サービス
- クロスセル
- アップセル
- SNSの活用
ユーザー行動にかかわる指標
ECサイトのユーザー行動にかかわる指標は、以下の3つです。
- 滞在時間
- 離脱率
- 直帰率
- リピート率
ここからは、それぞれの指標の意味や改善施策を紹介します。
滞在時間
滞在時間とは、ユーザーが1回のセッションでどれくらいの時間ECサイトを閲覧しているかを示す指標です。滞在時間を分析するには、Googleアナリティクスなどのツールが効果的です。
一般的には滞在時間が長いと、ECサイトに興味関心があると考えられています。ただし、サイトがわかりづらく滞在時間が長くなっているだけの可能性もあるため、要注意です。
滞在時間を伸ばすためには、ユーザーにとって有益な情報を提供することが大切です。商品説明だけでなく、画像や開発ストーリーなどを掲載するとコンテンツが充実するでしょう。
離脱率
離脱率とは、あるページにおいてWebサイトを離脱したユーザーの割合を示す指標のことです。ほかのページに比べて離脱率が高いページは、設計やコンテンツに問題があると考えられます。
離脱率の算出方法は、以下の通りです。
ページの離脱数÷ページのページビュー数×100=離脱率
離脱率を改善するためには、以下のような施策を試してみるといいでしょう。
- ファーストビューの変更
- ページの読み込み速度の改善
- 導線設計の見直し
直帰率
直帰率とは、1ページだけ閲覧してWebサイトを離脱した割合のことです。直帰率が高い場合、そのページがユーザーの期待に添っていなかったと考えられます。
ただし、Web広告からランディングページに流入してそのままコンバージョンに至ると、それも直帰としてカウントされます。そのため、ROIやROASもあわせて確認しましょう。
コンバージョンに繋がらず直帰率が高い場合は、以下のような施策を試してみましょう。
- ファーストビュー・見出しの変更
- レコメンド機能の導入
- 導線への設計の見直し
リピート率
リピート率とは商品を購入したユーザーのうち、再度購入したユーザーの割合を示す指標のことです。リピート率が向上すると売上が安定し、新規顧客獲得の施策に力を入れなくてもよくなるため、効率的です。
リピート率の計算方法は、以下の通りです。
一定期間のリピート客数÷累計新規顧客数×100=リピート率
リピート率を改善するためには、以下のような施策を取り入れましょう。
- アフターフォローを充実させる
- リピーター向けの特典を用意する
- Web広告を出稿する
- SNSを活用する
なお、ECサイトのリピート率については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてお読みください。
ユーザー属性にかかわる指標
ECサイトのユーザー属性にかかわる指標は、以下の3つです。
- 流入デバイス
- ユーザー属性
- 流入元
ここからは、それぞれの指標の意味や分析方法について解説します。
流入デバイス
ユーザーがどんなデバイスからECサイトに流入しているのか分析するのも重要です。
特に、近年ではスマートフォンで商品を検索し、そのまま購入するユーザーも増えています。こうした背景から、パソコンからだけではなくスマートフォンでの見え方や使いやすさが重要です。
そのためには、以下のようなポイントを意識しましょう。
- レスポンシブデザインを導入する
- 画像・動画を掲載する
- スマホで回遊しやすい導線設計にする
- スマホでのページ読み込み速度を改善する
ユーザー属性
ユーザー属性は「ユーザーセグメント」とも呼ばれ、以下のような要素を示す指標のことです。
- 年齢
- 性別
- 地域
- 収入
- 子供の有無
ユーザー属性は、ECサイトのメインターゲットやペルソナ像とマッチしているかを確認するために利用できる指標なので、必ず確認しましょう。
自社のECサイトにどのようなユーザーが流入しているのかを確認し、属性に応じてサイトの改善を行うことが重要です。
流入元
どこからアクセスしてきたかを示す流入元も、ECサイトにおいて重要な指標です。代表的な流入元として、以下が挙げられます。
- 自然検索
- 有料検索
- 参照サイト
- SNS
流入元を分析するメリットは、どのチャネルが売上につながっているのかが分かることです。こうしたデータを活用することで、集客に関するコスト配分を最適化できます。
各流入元でアクセスが少ない場合は、以下のような施策を行いましょう。
アクセスが少ない流入元 | 改善施策 |
---|---|
自然検索 | SEOコンテンツ制作 |
有料検索 | Web広告の改善 |
SNS | SNSによるお役立ち情報の発信 |
ECサイトの分析手順
ECサイト分析は、以下の4つのステップで行えます。
- アクセス解析
- データ分析
- 施策立案
- 効果検証
こうした流れで分析を行うためには、アクセス解析ツールやヒートマップツールを用いて各指標に関連する数値を洗い出します。そしてデータ分析により、どこが課題になっているのかを明確にしましょう。
課題が見つかったら、目的や改善したい指標ごとに仮説を考え施策を実施します。その後、必ず効果検証を行い、PDCAサイクルを回すことが重要です。PDCAサイクルによって、効率的にECサイト改善を行えます。
ECサイト分析で役立つフレームワーク
ECサイト分析で役立つフレームワークとして、以下のものがあります。
- AIDMA(アイドマ)
- AISAS(アイサス)
- CPM分析
- CTB分析
- デシル分析
- RFM分析
ここからは、それぞれのフレームワークについて解説します。
AIDMA(アイドマ)
AIDMAとは「アイドマ」と読み、以下の頭文字を取ったフレームワークです。
- Attention(注意・認識)
- Interest(興味・関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(購買)
ECサイトに当てはめると、ユーザーが欲しい商品を見つけてもすぐに購入するわけではなく、一旦検討してから購入するという心理をイメージできます。こうした行動を想定し、ユーザー属性にあわせてECサイトを改善することが重要です。
AISAS(アイサス)
AISASとは「アイサス」と読み、以下の頭文字を取ったフレームワークです。
- 認知(Attention)
- 関心(Interest)
- 検索(Search)
- 購買(Action)
- 共有(Share)
ECサイトに当てはめると、ユーザーがある商品を認知して興味を持って調べ、実際に購入してからSNSにアップするという行動をイメージできます。
こうした傾向から、自然検索から流入できるようSEO対策を行ったり、共有してもらうためにSNS運用を行ったりする施策が必要だと考えられます。
CPM分析
CPM分析とは「Customer Portfolio Management」の略で、以下4つの指標によって分析するフレームワークです。
- 購入頻度
- 購入総額
- 在籍期間(初回購入日から直近の購入日までの日数)
- 離脱期間(直近の購入日から経過した日数)
ECサイトにおいては、購入回数が少ないユーザーをリピーターに育てるために利用されます。CPM分析は、ECサイトの売上を伸ばすために欠かせないリピーター獲得のための施策に最適です。
CTB分析
CTB分析とは、「Category Taste Brand」の略で、以下4つの指標によって分析するフレームワークです。
- カテゴリ(Category)
- テイスト(Taste)
- ブランド(Brand)
これらの指標からユーザー属性を分類することで、購買傾向が似ている顧客をグループ化できます。それぞれに対してマーケティング施策を立てることにより、効率的なアプローチができます。
デシル分析
デシル分析とは、購買履歴からユーザーの購入金額を10等分し、高い順からデシル1からデシル10までランク付けするフレームワークです。ランクごとに売上高構成比を算出することで、売上貢献度の高いデシルに対して優先的にアプローチができます。
ただし、ECサイトにおいては詳細な分析が難しいこともあるため、おおまかな分析にとどまることがあります。そこでほかのデータと紐づけることで、改善のヒントを得られるでしょう。
RFM分析
RFM分析とは、以下3つの指標によって分析するフレームワークです。
- 直近の購買日(Recency)
- 購買頻度(Frequency)
- 購買金額(Monetary)
これらの指標でユーザーを分類し、グループ化します。そして購入頻度が高く、購入金額が高いグループにアプローチすることで、効率的にマーケティングができます。
デシル分析も類似しているフレームワークですが、RFM分析では直近の購買日や購買頻度を考慮しているため、さらに詳細にランク付けができます。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
ECサイト分析によってどのようにサイト改善すればいいのかが分かるようになるため、売り上げ拡大につながる施策を実行できます。そのためにも、ツールを用いて顧客の興味関心や行動にまつわるデータ収集をおこないましょう。
もしECサイト分析に関して疑問や悩みがある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイト運営のサポートを行っています。事業内容にあわせてソリューション提案いたしますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
投稿者
-
システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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