2023.09.28
ECサイト制作の費用相場を構築方法別に紹介|内訳や注意点も詳しく解説
ECサイトは構築方法によって費用相場が大きく異なり、自社の予算や年商に適した構築方法を選ぶことが重要です。何も知らずにECサイトを構築してしまうと、自社が望んだサイトができなかったり、コストが膨大になったりするトラブルが起きる可能性もあります。
本記事では、ECサイトの費用相場を構築方法別に詳しく紹介します。この記事を読めば、ECサイトの構築費用の内訳や注意点についても理解できるため、効率的にECサイト制作をできるでしょう。予算内で高品質なECサイトを制作したいと考えている方は、ぜひお読みください。
この記事でわかること
- ECサイト制作の費用相場
- 年商ごとに最適な構築方法
- ECサイト制作費用の内訳
目次
【構築方法別】ECサイト構築にかかる費用相場
ECサイトの構築に発生する費用は、構築方法によって以下のように異なります。
構築方法 | 初期費用 | 月額費用 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
モール型 | 0円~10万円 | 0円~10万円+販売手数料 | 制作費用が安い | カスタマイズしにくい マージンが発生する |
ASP型 | 0円~10万円 | 0円~10万円 | 簡単に構築できる | カスタマイズしにくい 外部システムとの連携が難しい |
オープンソース型 | 10万円~ | 数十万円~ | カスタマイズしやすい | 構築スキルが必須 |
パッケージ型 | 100万円~ | 数十万円~ | カスタマイズ性が高い サポートが充実 |
比較的高額 定期的なアップデートが必要 |
フルスクラッチ型 | 数千万円~ | 数十万円~ | カスタマイズ性が高い 競合と差別化できる |
非常に高額 構築期間が長い |
ここからは、それぞれの構築方法にかかる費用について解説します。
なお、ECサイトの手数料については下記記事でも解説しています。ぜひお読みください。
モール型
モール型とは、プラットフォームに自社のショップを出店・出品する方法のことです。自社でECサイトを構築するのではなく、大手企業のECサイトを借りるというイメージです。有名なショッピングモールで例えると、Amazonや楽天市場がモール型にあたります。
モール型の費用相場は以下の通りです。
- 初期費用:0円~10万円
- 月額費用:0円~10万円+販売手数料
場合によっては初期費用・月額費用0円で始められるため、ほかの構築方法に比べて初期費用が安いといったメリットがあります。
ただし、既存のショッピングモールに出店するため、デザインのカスタマイズ性は低いです。また販売手数料が発生するため、マージンが支払わなければならない点がデメリットになります。
なおモール型のECサイトについては下記記事で詳しく解説しています。ぜひお読みください。
ASP型
ASP型とは、ECサイトに必要な機能を一通り取り揃えたインターネット上で利用できるサービスのことです。「Application Service Provider」の頭文字を取って「ASP型」と呼ばれています。代表的なサービスとしてはShopifyやBASEが上げられます。
ASP型の費用相場は以下の通りです。
- 初期費用:0円~10万円
- 月額費用:0円~10万円
上記のように、ほかの構築方法と比べて低価格で構築できます。
ASP型のメリットは、初心者でも自社ECサイトを簡単に構築できることです。ECサイトに必要な機能は既にそろっているため、ノウハウがなくても始められます。
ただし、ほかの構築方法と比べてカスタマイズ性には優れていません。またサービスによっては外部システムとの連携も難しいのもデメリットです。
オープンソース型
オープンソース型とは、無料で公開されているソースコードを利用して構築する方法のことです。構築スキルさえあれば、だれでもECサイトを構築できます。
外注費としてかかるオープンソース型の費用相場は以下の通りです。
- 初期費用(構築費用):10万円~
- 月額費用(運用費用):数十万~
構築費用は少なくても10万円かかります。運用後も費用がかかり、月額数十万以上かかると考えられます。
オープンソース型のメリットは、自社のニーズに合わせてカスタマイズできることです。拡張機能も多いので、フォームやシステムを自由に設計できるでしょう。
ただし、オープンソースのコードは無料で入手できるものの自社に構築スキルがない場合は外注する必要があります。外注費用を考慮すると、コストが高くつきやすいのも事実です。
パッケージ型
パッケージ型とは、ECサイトに必要な機能がパッケージ化されたシステムを導入して構築する方法のことです。
パッケージ型で構築した場合、以下のように費用がかかります。
- 初期費用:100万円~
- 月額費用:数十万円~
システムを購入するため、初期費用で100万円以上かかり他の構築方法と比べて効果的です。月額費用も数十万円以上必要なので、年間を通した予算計画が必要になるでしょう。
パッケージ型ECサイトのメリットは、カスタマイズ性が高いことです。外部システムと連携することにより、自社のニーズに合わせて構築できます。
その一方で、パッケージ型ではサーバーにソフトウェアをインストールして利用するという性質から、定期的なアップデートが必要です。社内に内装できる人がいない場合、EC運営代行サービスに委託することになるでしょう。
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型とは、自社で一からオリジナルのECサイトを開発する方法のことです。フルスクラッチ型でECサイトを開発すると、以下のように費用がかかります。
- 初期費用:数千万円~
- 月額費用:数十万円~
初期費用は数千万円以上かかり、ほかの構築方法を比較すると非常に高額になる傾向です。月額費用でも数十万円以上かかるので、予算の確保のためにプロジェクト関係者からの同意が必要になるでしょう。
フルスクラッチ型のメリットは、カスタマイズ性が高いことです。自社の使いたいシステムと連携し、セキュリティ対策を実施できるので競合サイトとの差別化もできます。
ただし、フルスクラッチ型の場合は一から開発するため、構築期間もその分長くなります。
【年商別】おすすめのECサイト構築方法
年商別にまとめると、それぞれおすすめのECサイト構築方法は以下の通りです。
年商 | おすすめのECサイト構築方法 | おすすめの企業 |
---|---|---|
年商1億円未満 | ECモール型 ASP型 |
小規模企業 スモールスタートで始めたい企業 |
1億円以上 | オープンソース型 パッケージ型 |
中規模~大規模の事業者 完全なオリジナルサイトを構築したい企業 |
10億円以上 | フルスクラッチ | 大規模のECサイトを構築したい企業 |
年商に合わせて構築方法を選ぶことにより、企業の成長段階に見合ったECサイトを構築できるでしょう。
ただし、ECサイトを構築する際は自社の年商だけでなく、自社の構築スキルや制作予算、開発期間も考慮することが重要です。
たとえば、中規模以上の事業者でも初めてECサイトを始めるのであれば、ECモールやASPを始めることも一つの方法です。ローリスクな方法でECサイトを構築することにより、運用を続けやすくなります。
ECサイトの構築・運用にかかる費用の内訳
ECサイトを構築・運用する際、以下のような費用が発生します。
- ECサイトのデザイン費
- サーバーのレンタル費
- 商品の製造コストや仕入れコスト
- 商品登録にかかる費用
- 集客コスト
- 物流コスト
ECサイトに必要な費用をあらかじめ把握することで、予算計画を立てやすくなるでしょう。以下では、それぞれの費用について解説します。
ECサイトのデザイン費
デザイン費用とは、ECサイトの各ページに必要なデザインを制作する際に発生する費用のことです。各ページのデザインは外注するか自社で制作するかによって作業内容が異なります。
外注する場合、デザイナーにデザイン制作を、コーダー(デザイン通りにサイトを構築するプログラマー)にはサイト構築を依頼します。その際、どんなページが必要なのかなどデザインイメージを共有しなくてはなりません。なお、実写写真をECサイトに取り入れる場合は、撮影費用も発生します。
一方、自社でデザイン・コーディングするなら費用は発生しません。ただし、デザインはユーザーに大きな印象を与える重要な要素であるため、プロに依頼することをおすすめします。
サーバーのレンタル費
外部サービスのサーバーを利用する場合は、サーバーのレンタル費が発生します。たとえば、パッケージ型やオープンソース型、フルスクラッチ型などを利用する場合は、サーバーの契約が必要です。
安いサーバー会社であれば、月額1,000円程度から利用できます。自社でサーバーを選ぶ場合、安定性やデータ転送量、通信回線などを考慮して選ぶことが大切です。
一方、モール型やオープンソース型など、必要な機能が初めからそろっている構築方法を選んだ場合は自社でサーバーを選ぶ必要はありません。
商品の製造コストや仕入れコスト
自社で商品を製造する場合、以下のような製造コストが発生します。
- 材料費
- 設備投資
- 製造スタッフの人件費
一方で、商品を仕入れる場合は卸売業者やメーカーに支払う必要があります。
商品にかかるコストをできるだけ安く抑えるためには、材料や商品の仕入れ先に価格交渉をしたり、仕入れルートを最適化したりすることが大切です。複数の会社から見積もりを取れば、最適な取引先を見つけられます。
また、在庫リスクを抱えないためにも、あらかじめ生産数や仕入れ数を決めておきましょう。
商品登録にかかる費用
ECサイトに商品を出品する際、商品登録の作業が発生します。商品登録とは、自社や外部のECサイトに出品する際、商品情報をシステムに登録する作業です。商品登録では、商品画像の撮影費用や商品情報の登録費用などが発生します。
外注先に依頼すれば社内のリソースをほかの業務に割り当てられて便利です。ただ商品登録自体は難しい作業ではないため、予算を確保できない場合は自社でまかなうこともできます。
ただし、SEOに強い商品ページを作成したい場合や、魅力的な商品画像を作成したい場合は外注することをおすすめします。
集客コスト
集客コストとは、より多くのユーザーにECサイトへアクセスしてもらえるようプロモーションするのに必要なコストのことです。
たとえば、Web広告やSNS広告を運用したり、最近ではインフルエンサーに宣伝してもらったりするケースがあります。こうしたプロモーションは拡散性が強いものの、その分多くの費用が発生します。
一方、SNSやSEO対策であれば自社スタッフの人件費のみで抑えられます。ノウハウさえあれば始められるため、コスト削減にもなるでしょう。
ただし、SNSやSEO対策には即効性がありません。短期間で集客したい場合は、広告運用やインフルエンサーによる宣伝の方が向いています。
なお、ECサイトの集客方法については下記記事で解説しています。こちらも合わせてお読みください。
物流コスト
物流コストとは、ECサイトで注文を受けた商品をお客様に発送する際のコストのことです。物流については外注に依頼するか、自社で行います。
商品の発送を外注に依頼する場合、外注費がかかります。自社で行う場合に比べてコストはかかりますが、事業が大きくなる場合は外注に依頼する方が効率的です。
自社で物流システムを構築する場合は、以下のようにいくつかの費用が発生します。
- 梱包材や配送料にかかるコスト
- 物流倉庫の手配にかかる費用
- 在庫管理システムの導入費
ECサイトの規模が小さい場合、外注費に比べて自社で行う方がコストを抑えられます。
ECにおける物流コストについては下記記事で解説しています。ぜひお読みください。
ECサイトの構築・運用費用に関する注意点5つ
ECサイトを構築し運用する際は、5つの注意点があります。
- 決済方法を決める
- ECサイトのリニューアルも考慮して構築方法を選ぶ
- 競合のECサイトを調査する
- 外注する範囲を決める
- 外注する場合は複数社に見積もりを依頼する
これらのポイントに注意することにより、費用対効果の高いECサイトになるでしょう。ここからは、それぞれの注意点について解説します。
なお、ECサイトの運営方法については下記記事で解説しています。こちらも合わせてお読みください。
決済方法を決める
ECサイトを制作する前に、どの決済方法が必要なのか検討することが大切です。ユーザーがよく使用している決済方法を活用できないと、離脱されてしまう可能性があります。
一度アクセスしたユーザーに決済まで進んでもらうためには、ユーザーが好む決済機能を追加することが望ましいです。ターゲットが普段どんな決済方法を利用しているのか、事前に調査が必要です。
クレジットカードはもちろん、それ以外にも以下のような決済方法を検討しましょう。
- 銀行・コンビニ振込み
- 後払い決済
- 電子マネー決済
ECサイトのリニューアルも考慮して構築方法を選ぶ
ECサイトを制作する段階で、リニューアルすることを考慮して構築方法を選ぶと運用しやすくなります。
ECサイトは3年~5年程度で機能が古くなり、セキュリティ対策が不十分になってしまいます。また機能面で問題がなくても、デザインで飽きられてしまうこともあるでしょう。こうした特徴から、「最初に良いサイトを作って長期間そのサイトを運用する」という考えは危険です。
とはいえリニューアルにはそれなりに費用がかかるため、初期段階から長期的に運用できるような構築方法を選ぶことがポイントです。
リニューアルのタイミングについては、業務効率化や商品数の増加、年商の増加などを考慮して決めるといいでしょう。
競合のECサイトを調査する
どのようなECサイトが売れるのかを把握するには、競合のECサイトを調査することが効果的です。競合サイトを分析することで、どの商品が売れていて、なぜ人気なのかが見えてきます。
競合サイトの戦略によっては、自社ECサイトに取り入れられる場合もあるでしょう。そこで競合サイトを分析する際は、以下のポイントに着目してみてください。
- 商品の内容
- サイトの利便性
- サービスの充実性
- 集客方法
いくつかの競合サイトの戦略を把握してから構築することで、より効果的なECサイトになります。
外注する範囲を決める
ECサイトの構築や運用に関す業務のうち、どの工程を外注するのかその範囲をあらかじめ決めておきましょう。一般的に外注できる業務は以下の通りです。
- ECサイトの構築
- ECサイトの運用
- ささげ業務(撮影・採寸・原稿)
- 物流
- 集客
外注範囲を決める際のポイントは、自社の予算を考慮することです。自社でできることとできないことを洗い出し、できないことだけを外注することで、外注費を抑えられます。
また、上記の業務も自社でできることを増やせば外注費を抑えられるため、将来的にはECサイトの構築・運用にかかる費用を大きく抑えられるでしょう。
外注する場合は複数社に見積もりを依頼する
外注先は一社目の見積もりで決めるのではなく、複数社に依頼してから決めましょう。外注先によって見積もりの書き方や内訳が異なるため、複数社比較して自社に最適な企業を選ぶことが重要です。
また見積もりをもらった際は、必要な機能がそろっているか確認しましょう。構築後に追加で依頼すると開発期間やコストが増えてしまうので、内訳の内容を把握して選ぶことがポイントです。
もし見積もりの内訳でわからないことがあれば、必ず問い合わせるようにしましょう。場合によっては、不要な項目が見つかり費用を削れる余地があるかもしれません。
ECサイトの費用相場を把握して構築方法を決めよう
ECサイトの費用相場は構築方法によって異なります。それぞれのメリットやデメリットを理解したうえで、自社の年商や成長段階に応じて構築方法を選ぶといいでしょう。
自社でECサイトを制作すればコスト削減になりますが、デザインや機能面などが充実しない場合があります。競合他社よりも優れたECサイトにするには、プロの制作会社に依頼することをおすすめします。
テクノデジタルでは、お客様の事業に合わせたECサイトの構築を行っています。戦略策定やサイト分析など運用サポートもできるので、ECサイト制作を検討している方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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