2023.09.28
CRM施策とは?具体策や実施手順、企業事例について詳しく紹介
顧客満足度の向上やリピーター獲得には、CRM施策が欠かせません。CRM施策で顧客の属性に合わせて最適なアプローチをすれば、顧客が自社に対して興味を持つようになります。施策に成功すれば、定期的に商品を購入してくれるようになるでしょう。
本記事では、CRM施策について具体策や実施手順について詳しく解説します。記事の後半では、企業事例についても紹介しています。この記事を読めば、具体的なCRM施策について把握できるようになるため、自社でCRM施策を行えるようになるでしょう。
CRM施策の実施を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- CRM施策とは何か
- CRM施策の具体策・実施手順
- 企業事例
目次
CRM施策とは?
CRM施策とは、顧客満足度やリピーター率向上のために、顧客の属性ごとに実施する施策のことです。そもそもCRMとは「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」という意味があります。
近年では顧客を重点に置いたビジネスを展開するマネジメント手法として、マーケティング戦略に活用されています。
CRM施策の特徴は、顧客情報をもとに顧客の属性を分析することです。属性ごとのニーズを的確にとらえられるため、適切にアプローチできるようになり売上を向上できます。
最近では顧客のニーズが細分化しているため、CRMツールを利用して顧客情報を分析している企業も多いです。
なお、ECマーケティングについては以下の記事で解説しています。合わせてお読みください。
関連記事:ECマーケティングとは?おすすめの戦略や勉強方法を解説
CRM施策の具体策7選
CRM施策を用いた具体的な方法は以下のように7つあります。
- お問い合わせフォームの設置
- メルマガの配信
- ステップメールの配信
- レコメンドメールの配信
- チラシやサンプルの同梱
- LINE公式アカウントでの配信
- ポイントカード制度の策定
これらの施策を取り入れることで、より効果的なサイトになるでしょう。ここからは、それぞれの方法について解説します。
お問い合わせフォームの設置
CRMツールを活用すれば、サイトにお問い合わせフォームを設置できるようになります。
問い合わせフォームはユーザーからの疑問や悩みに応えられる窓口なので、満足度や信頼度の向上を期待できます。ほかにも、資料請求や無料相談などができるフォームを設置すれば、顧客との接点を増やせるでしょう。
またお問い合わせフォームは顧客情報や顧客の意見を収集する方法としても活用できます。収集した情報は顧客の理解を深めるための貴重なデータになります。
メルマガの配信
CRMツールを使って顧客にメルマガを配信できます。
CRMツールを使ったメルマガ配信の特徴は、性別や年齢など顧客の属性に合わせてメール内容を出し分けられることです。属性に合わせて商品情報やキャンペーン情報などの内容を変えることで、ターゲットが開封しやすいメルマガを配信できるでしょう。
メルマガを開封してもらえれば、最新情報やニュースを通じて自社への関心度を高められます。こうしたコミュニケーションにより、購入サイトへのアクセス数が増加する可能性も高くなります。
ステップメールの配信
マーケティング戦略の一環として、CRMツールを用いてステップメールを配信する方法があります。ステップメールとは、顧客のサービス利用状況に従って定期的に配信するメールのことです。
多くの人に馴染みのある例を挙げると、サービスを登録したばかりの顧客に配信するウェルカムメールもステップメールの一つです。
ステップメールには顧客との関係を強化し、購入につなげる効果があります。ステップメールのポイントは、顧客が必要としている情報を適切なタイミングで送ることです。タイミングの工夫により、メールを読む可能性が高くなり、顧客との関係を築きやすくなります。
レコメンドメールの配信
EC事業においては、CRMツールを用いたレコメンドメールの配信も欠かせません。
レコメンドメールとは、顧客情報や購入情報、商品の閲覧履歴をもとにおすすめ商品を紹介するメールのことです。レコメンドメールにより、クロスセル(閲覧した商品の関連商品の紹介)やアップセル(閲覧した商品の上位互換の商品の紹介)を狙えます。
顧客情報の収集・分析に手間がかかる手法ではありますが、顧客一人ひとりに合わせたメール配信ができるといった強みがあります。内容を出し分けられると開封率が高まるため、購入につながりやすいです。
チラシやサンプルの同梱
顧客に商品を配送する際、商品と一緒にチラシや商品サンプルを同梱することもCRM施策の一つです。顧客が商品を梱包材から開けた際に目を通す可能性が高いため、商品の認知につながりやすい手法だと言えます。
同梱するチラシやサンプルは、購入した商品と同時購入されやすい商品など、関連のあるものを選ぶことがポイントです。たとえばファンデーションを購入した顧客には、化粧品に関するチラシやサンプルを同梱すると良いでしょう。関連性が高いほど、顧客に興味を持ってもらいやすくなります。
LINE公式アカウントでの配信
近年ではLINE公式アカウントを用いたマーケティング戦略も効果的です。LINE公式アカウントで顧客に友達登録をしてもらえれば、顧客に対して定期的にアプローチできます。
たとえば、顧客に対して商品情報やクーポンを配信すれば、次回の購入につなげられるでしょう。
LINE公式アカウントの強みは、メールよりも開封率が高いことです。LINEによると、メッセージの開封率は以下の通りです。
- 受け取ってすぐに開封するユーザー…約2割
- 3~6時間以内に開封するユーザー…約5割
- その日のうちに開封するユーザー…約8割
参考:LINE for Business|メッセージ配信の特長や種類、効果的なメッセージとは
こうした特徴から、LINE公式アカウントで配信することにより、情報を見てもらいやすくなると言えます。
さらにLINEの利用者も9000万人以上いるため、多くの人にアプローチできます。
メールとは違い、LINEであれば双方向のコミュニケーションを取ることも可能です。
ポイントカード制度の策定
顧客情報の収集やリピーターの獲得には、ポイントカード制度も活用できます。CRMツールでシステムと連携させれば、「どこで誰が何を購入したのか」など商品の購入履歴を確認できるようになります。
このような情報の活用により、一人ひとりにあったクーポンの配信が可能です。たとえば関連のある商品の割引券を配布したり、特典付与を付与したりするのが効果的です。ユーザーにとってお得な制度があれば、リピーターになってくれるでしょう。
CRM施策の実施手順
CRM施策を進める際は、大きく分けて以下3つの手順で行います。
- 顧客情報の分析
- 施策の提案・実行
- 効果測定
業界やターゲットによって施策そのものが変わることはありますが、大まかな手順は共通しています。このサイクルを確立すれば、マーケティングが成功しやすくなるでしょう。ここからは、それぞれの手順について解説します。
関連記事:CRM戦略の立て方を7つのステップで解説!メリットや企業事例も詳しく紹介
顧客情報の分析
はじめに、収集した顧客情報を分析して顧客の属性を振り分けていきます。顧客情報の分析により、購買傾向や顧客ニーズが分かるようになります。
そこで分析の際は、以下の属性に着目しましょう。
- 性別
- 年齢
- 購入商品
- 購入金額
- 購入の時間帯
- 購入頻度
分析する際のポイントは、現状や課題を洗い出すことです。たとえば、顧客が離脱するタイミングが分かれば、離脱を回避するための施策を検討できるようになります。ほかにも、人気のある商品とのクロスセル商品をアピールするなど、売上アップが見込める余地がないか検討することも重要です。
施策の提案・実行
顧客情報の分析によって洗い出した課題をもとに、CRM施策につながるものがないかを探して行きます。
たとえば、化粧品を販売しているECサイトで高価格帯の消耗品の商品を購入した後にリピートがないという課題があったとします。この場合、顧客にとって価格の高さがハードルとなっている可能性があります。
この場合は、メールやLINE公式アカウント、チラシの同梱などでクーポンを配信するといった施策が立てられるでしょう。
このように顧客獲得につながる最適な施策を考え、実際に実行していきます。
効果測定
施策を実行した後は、定期的に効果測定を行いましょう。策定した施策に効果がない場合は、その原因を追求しそれに対する施策を立てて実行します。
ただし、CRM施策はそもそもすぐに効果が出る施策ではありません。効果測定の際は、長期的な視野で見ることが大切です。
このように、CRM施策はPDCAサイクルを回すことで自社にとって最適なCRM施策を見つけられるようになります。好循環のスパイラルが生まれれば、売上増加につなげられるでしょう。
CRM施策を実施するメリット
CRM施策を行うことで、以下のようなメリットを得られます。
- リピーターを増加できる
- 差別化を図れる
- マーケティングを効率化できる
これらのメリットを理解することで、「効率的なマーケティングを行う」という目的意識をもってCRM施策に取り組めるようになるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
リピーターを増加できる
CRM施策は顧客との関係性を築く手法であるため、リピーターを獲得するのに有効です。リピーターが増加すれば新規顧客だけに依存しないビジネスモデルを構築できるようになるため、安定した収益を得られます。また、新規顧客にかける金額も抑えられるのも嬉しいメリットです。
昨今では少子高齢化が進み、顧客ニーズも細分化されているため、顧客獲得が難しくなっています。現代においては、CRM施策はリピーターを獲得するために重要な手段であると言えるでしょう。
差別化を図れる
CRM施策によって競合他社との差別化を図り、自社のブランド力が高まるのもメリットの一つです。
顧客に対して適切なアプローチをすることで、顧客にとって利便性の高い会社であると認識してもらえます。また、顧客の趣向に合う商品を紹介すれば、自社商品の魅力に気づいてもらうといった効果もあります。
特にD2Cで商品を売っている企業の場合、販売戦略において自社ブランドを高めていくことが重要です。顧客に対してプロモーションを行い、自社商品の価値を高める手段としてもCRM施策は有効です。
マーケティングを効率化できる
CRM施策はツールを活用する施策なので、データ収集や分析を自動化して業務を効率化できます。たとえば、ポイントカードと連携して収集した情報が自動的に蓄積されれば、必要な時すぐに情報を確認できます。
さらに顧客情報を一元管理できることにより、エクセルなどで管理するよりもファイルを紛失するリスクが下がることも大きなメリットです。
このように、ツールをうまく利用することで、顧客ごとの属性も簡単に分類でき、アプローチ方法を考えるのに注力できるでしょう。
CRM施策を実施するデメリット
CRM施策にはマーケティング戦略に役立つメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- 運用コストが発生する
- 効果が出るまでに時間がかかる
これらのデメリットを理解すれば、事業の成長段階に合わせてCRM施策が適切なのかどうか判断できるでしょう。ここからは、それぞれのデメリットについて解説します。
運用コストが発生する
CRM施策を実施すると、以下のようにさまざまな運用コストが発生します。
- 人件費
- 研修・採用コスト
- CRMツールの導入コスト
CRM施策を社内で行えるよう、社員の育成や採用による人材確保も必要になるため、人件費や研修・採用コストが発生します。さらに、CRMツールの導入にかかるコストも忘れてはいけません。
運用コストをできるだけ抑えるには、ツール導入の際に見積もり作成を依頼することがポイントです。複数社から見積もりをもらって比較し、自社にとって最低限必要な機能がそろっているものを選びましょう。
効果が出るまでに時間がかかる
CRM施策は短期間で効果が出るものではないことを理解しましょう。基本的にはPDCAサイクルを回してノウハウを蓄積することが前提となるため、効果を実感できるまでにしばらくかかります。
特に、ツールを導入した初期段階ではツールを使いこなせないといった問題も発生します。ツールを使いこなすには慣れも必要になるので、長期間かけて運用していきましょう。ツールの使い方に課題があればノウハウを取り入れ、改善していくことも大切です。
CRM施策の企業事例3選
最後に、企業が行っているCRM施策の事例を3つご紹介します。事例を参考にすることにより、自社の事業に導入してどのような効果を得られるのかイメージが湧きやすくなるでしょう。
同じ業界である場合はもちろん、そうでない場合もCRM施策をどのように実施すればいいのかが分かるはずです。ここからは、それぞれの事例について紹介します。
gf.P株式会社(旧ノース・モール株式会社)
gf.P株式会社はアパレル・ファッショングッズなどの通信販売事業を営む企業です。
課題 | コミュニケーターがユーザーへの対応履歴が分からずゼロヒアリングしていた |
---|---|
CRM施策 | Salesforce Commerce Cloudを導入 |
効果 | 顧客情報を一元管理できるようになった コールからすぐに顧客情報がわかるように |
gf.P株式会社にはECサイト「Northmall」がありますが、ほかにも電話やFAX、ハガキなどチャネルが複数存在していたため、顧客情報が統合されていないといった課題がありました。そのため、コミュニケーターはユーザーへの対応履歴が分からずゼロヒアリングしていたそうです。
そこで一貫したコミュニケーションを取るため、gf.P株式会社では「Salesforce Commerce Cloud」を導入しました。このツールにより顧客情報を一元管理できるようになり、コールからすぐに顧客情報がわかるようになりました。
問い合わせた顧客に対して期待値を超える対応をすることにより、リピーター育成や売上の向上にも繋がったそうです。
日本ピザハット・コーポレーション株式会社
日本ピザハット・コーポレーション株式会社は「ピザハット」で有名なデリバリーサービスを提供している会社です。
課題 | メール1通の準備に3時間かかっていた |
---|---|
CRM施策 | Marketing Cloudを導入 |
効果 | メール作成が1時間未満になった ABテストの実施でコンテンツの最適化 メール経由の売上は前年比115%に向上 |
日本ピザハット・コーポレーション株式会社では以前からメルマガ配信を行っていましたが、メール1通の準備に3時間かかるといった課題がありました。メールマーケティングに限界を感じ、メール以外のチャネル開発にも取り組んだそうです。
そんな中、CRMツール「Marketing Cloud」を導入したことにより意外にもメールマーケティングで劇的な効果が現れました。
1つ目の効果は、メール作成にかかる時間が1時間未満になったことです。以前は管理画面を個別に開く必要がありましたが、Marketing Cloudの管理画面に一括されたことにより、業務効率化につながりました。
2つ目の効果は、ABテストの実施でコンテンツが最適化されたことです。Marketing Cloudによって気軽にABテストを実施できるため、ユーザーに最適なコンテンツを提供できます。そして最終的に、メール経由での売上が前年比115%に向上したそうです。
日本ピザハット・コーポレーション株式会社のECサイトはこちら
株式会社J-オイルミルズ
株式会社J-オイルミルズはサラダ油やオリーブオイルなどの商品を製造・販売しているメーカーです。
課題 | 顧客との接点が少なくリアルな声が分からない |
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CRM施策 | カスタマーリングスの導入 |
効果 | 顧客一人ひとりの行動が見えるように CPOが約33%改善した |
株式会社J-オイルミルズはECサイト開設以前から、「顧客との接点が少なくリアルな声が分からない」という課題がありました。さらにECサイト開設後は少人数による運用に追われ、お客様アンケートにも手が付かない状態でした。
そこで株式会社J-オイルミルズでは、「カスタマーリングス」を導入することで課題解決に成功します。カスタマーリングスではダッシュボードによって顧客一人ひとりの行動が見えるようになりました。
また以前使用していたGoogle Analyticsとは違い、データとデータをかけ合わせるといった作業ができるようになり、最終的にはCPOが約33%改善したそうです。
CRM施策を実施して顧客との関係を深めよう
CRM施策を取り入れることにより、顧客情報を収集できるようになります。獲得した情報を分析して課題を見つけ、施策を立てれば顧客との関係が改善されるでしょう。リピーターを獲得できれば売上の向上も期待できます。
この記事ではCRM施策の具体的な施策についてご紹介しましたが、いざ実践するとなると課題や不安がある担当者も多いのではないでしょうか。
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投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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