2023.09.20
EC市場とは?ECの市場規模や動向・推移を分野別に解説
昨今、さまざまな業界でEC化が進み、EC市場の規模が拡大していることから「これからEC市場に参入しよう」と考えている方も多いかもしれません。
ただし、ビジネスで失敗しないためには各分野におけるEC市場の規模や動向を事前に確認しておくのがおすすめです。
今回はEC市場の市場規模や動向・推移を分野別に解説していきます。これからEC市場に参入しようと考えている方や、そもそもEC市場の定義がわからないといった方は本記事を最後までご覧ください。
なお、本記事ではECの作り方や運営方法については解説していないため、こちらに興味がある方は以下の記事をご覧ください。
ECサイトの作り方・構築方法を一覧表で比較|個人から法人まで選び方を紹介
この記事でわかること
- EC市場に関する基本的な知識
- 国内のEC市場に関する知識
- 海外のEC市場に関する知識
目次
EC市場とは?
EC市場とは「Electronic Commerce(電子商取引)」の略語で、一言でまとめるとインターネット上で商品やサービスを取引する市場を指します。
身近な例でいうとAmazonや楽天市場などがこれにあたり、消費者にとっては購入の便利さや商品の選択肢が広がるメリットがあります。
また、経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」ではECを「『インターネットを利用して、受発注がコンピュータネットワークシステム上で行われること』を要件とする」と定義。
そのため、見積りのみがコンピュータネットワークシステム上で行われ、受発注指示が口頭や書面、電話などを介して行われる取引はECに含まれない点に注意が必要です。
本調査では EC の定義を「インターネットを利用して、受発注がコンピュータネットワークシステム上で行われること」を要件とする。
引用:令和3年度 電子商取引に関する市場調査
なお、ECは販売元や販売対象の違いによって、3つの種類に分類されます。
▼ECの3つの種類
- BtoB-EC(Business to Business):企業同士の取引
- BtoC-EC(Business to Consumer):企業と消費者の取引
- CtoC-EC(Consumer to Consumer):消費者同士の取引
EC市場の動向をつかむ指標となるEC化率の意味や算出方法
EC市場の動向を把握する上で、EC化率と呼ばれる指標があります。
EC化率はすべての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を指し「EC化率 = ECの総額 ÷ 全商取引の総額」で算出が可能です。
EC化率 = ECの総額 ÷ 全商取引の総額
EC化率の割合を年度ごとに比較することで「EC化がどれだけ進んでいるのか?」が明確になり、市場の実態や動向が把握できます。
- EC化率が高い = EC市場が大きい
- EC化率が低い = EC市場が小さい
日本国内におけるEC市場の市場規模・推移について
ここからは経済産業省が2022年8月に発表した「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」をもとに日本国内におけるECの市場規模・推移を解説していきます。
「BtoC-EC」「BtoB-EC」「CtoC-EC」の順に見ていきましょう。
- 2021年のBtoC-EC市場規模
- 2021年のBtoB-EC市場規模
- 2021年のCtoC-EC市場規模
2021年のBtoC-EC市場規模
2021年のBtoC-EC市場は総額20兆6,950億円の市場規模となっており、前年と比べて11兆4,171億円増加しています。
2020年にはコロナウイルス感染症の影響で「サービス系分野」の市場規模が縮小したため、BtoC-EC市場全体としてはマイナス成長となりました。
ただし、同時期に「物販系分野」のBtoC-EC市場が大きく拡大したため、2021年には再びプラス成長に転じています。
以下では「物販系」「サービス系」「デジタル系」の市場規模をより詳しく紹介します。
物販系分野のBtoC-EC市場規模
物販系分野のBtoC-EC市場は総額13兆2,865億円の市場規模で、前年と比べて1兆532億円増加しています。
2019年から2020年にかけてEC化率が急激に大きくなっていますが、背景としてはコロナウイルス感染症の影響で多くの人々が自宅に留まり、オンラインショッピングを利用するようになったことが考えられます。
なお、物販系分野の商品毎の市場規模に関しては以下の通りです。
2021年でもっともBtoC-ECの市場規模が大きくなったのは「食品、飲料、酒類(14.10%)」で、その後ろに「化粧品、医薬品(9.82%)」「衣類・服装雑貨等(9.35%)」が続いています。
▼2021年にBtoC-ECの市場規模がもっとも拡大した物販系分野
- 食品、飲料、酒類:14.10%
- 化粧品、医薬品:9.82%
- 衣類・服装雑貨等:9.35%
食品関係はこれまでコンビニやスーパーなど実店舗で買い物をする方が多い業界でしたが、コロナウイルス感染症による外出自粛要請により自宅での食事需要が増加。
また、その他の分野においてもコロナ禍で通販需要が増えたため全体的に市場規模が拡大していることがわかります。
サービス系分野のBtoC-EC市場規模
サービス系分野のBtoC-EC市場は総額4兆6,424億円の市場規模で、前年と比べて592億円増加しています。
2020年にコロナウイルス感染症の影響により観光・旅行業界を中心に市場規模が大幅に縮小しましたが、徐々に回復傾向に転換。ただし、2015年の水準にも戻っておらず、依然としてコロナウイルス感染症の影響から完全には抜け出せていない印象です。
なお、サービス業界の市場規模の分類は以下の通りです。
2021年でもっともBtoC-ECの市場規模が大きくなったのは「チケット販売(67.01%)」で、その後ろに「フードデリバリー(37.48%)」「金融サービス(6.47%)」が続いています。
▼2021年にBtoC-ECの市場規模がもっとも拡大したサービス系分野
- チケット販売:67.01%
- フードデリバリー:37.48%
- 金融サービス:6.47%
チケット販売の市場が大きくなった原因としては、オンラインでのライブやイベントの開催が積極的に行われるようになったことが挙げられます。また、コロナ対策を講じた形でイベントの開催が再開されるようになったことも一因と考えられるでしょう。
一方で、サービス系分野においてもっとも市場規模が大きい「旅行サービス」は前年に続き市場規模が縮小しています。
日本では、訪日外国人の受け入れが2022年6月まで再開されずインバウンド需要を取り込めませんでした。加えて、コロナ禍による国内外の移動制限や感染拡大への不安もあったため、旅行需要の低迷につながった可能性が考えられます。
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模
デジタル系分野のBtoC-EC市場は総額2兆7,661億円の市場規模で、前年と比べると2,997億円増加しています。
なお、デジタル業界の市場規模の分類は以下の通りです。
コロナ禍で自宅で楽しめるエンタメに需要が集中したこともあり、すべての分野において市場規模が拡大しています。
▼2021年にBtoC-ECの市場規模がもっとも拡大したデジタル系分野
- 電子出版:24.23%
- 有料動画配信:18.47%
- 有料音楽配信:14.30%
2021年のBtoB-EC市場規模
2021年のBtoB-EC市場は372兆7,023億円の市場規模で、前年よりも総額37兆7,967億円増加しています。
BtoB-ECでもコロナウイルス感染症の影響が見られ2020年の市場規模は縮小しましたが、2021年には2019年の水準よりも拡大していることがわかります。
なお、BtoB-EC市場規模の業種別内訳は以下の通りです。
図を見ると、2019年から2021年にかけてすべての業種で市場規模が拡大しEC化率が増加していることがわかります。
理由としてはコロナウイルス感染症の影響により、多くの企業が従来の対面取引に制限を受け、オンラインでの取引に移行する必要があったことが考えられます。
2021年のCtoC-EC市場規模
2021年のCtoC-EC市場は2兆2,121億円の市場規模で、前年よりも総額2,535億円増加しています。
理由としては、多くの人々が外出自粛や在宅勤務を余儀なくされたため、家の中で過ごす時間が増加。これによって、家の整理や不要なものの処分が増加し、フリマアプリをはじめとするCtoC-EC市場の需要が高まったと考えられます。
なお、フリマアプリ「メルカリ」の商品カテゴリーの売れ筋を見ると、インドアで楽しむエンタメ・ホビー用品が増加していることがわかります。
ただし、今後コロナウイルス感染症による規制が緩和され消費者の外出機会が増加していけば、アパレルやアウトドア用品の消費が増加していくのではないかと考えられそうです。
世界のECの市場シェア・規模
2021年世界のBtoC-EC市場の規模は4.92兆ドル、EC化率は19.6%と推定されていますが、コロナウイルス感染症の拡大を背景に世界規模でEC需要が増加しており、2025年までに市場規模は7.39兆ドル、EC化率は24.5%にまで上昇すると考えられています。
また、国境を超えて取引が行われる越境ECの市場も拡大しており、2019年に7,800億ドルと推定されている市場規模は2026年までに4兆8,200億ドルに拡大すると予測されています。
日本においてもジェトロ(日本貿易振興機構)が行った日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査において、69.4%の企業が海外向け販売でECを活用、検討をしていると回答。
これには国内の市場が飽和状態になってきていることも背景にあり、今後日本において越境ECの需要が増大していくと考えられます。
なお、国別のBtoC-EC市場シェアを見ると、中国とアメリカがそれぞれ「52.1%」「19.0%」と圧倒的で、日本は「3.0%」で第4位にランクインしています。
中国とアメリカのシェアが多い理由は人口規模やデジタル化の進展などが挙げられますが、各国ともにEC市場の拡大は続いていくでしょう。
まとめ:国内・海外のEC市場規模・動向
インターネットの普及によりEC市場は拡大を続けてきましたが、コロナウイルス感染症の影響で需要がいっそう増大しています。
これに伴い、今後EC市場に参入してビジネスを展開したいと考えている方は多いと思いますが、まずは本記事で解説した各分野の市場規模や動向を把握しておくとよいでしょう。
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