2023.10.25
アパレルECの市場や仕事内容は?メリットや課題を含めてわかりやすく解説
「アパレルECを運営してみたいので仕事内容が知りたい」
「アパレルECにおける課題は?」
アパレルECを始めようとしている担当者には、このようなニーズや疑問があるのではないでしょうか。アパレルEC業界は伸び続けており、今後もさらなる課題が予想されます。
本記事では、アパレルECを運営してみたい方に向けて、アパレルECの市場規模や仕事内容、メリットや課題について解説します。アパレルECについて興味がある方は、ぜひご覧ください。
この記事でわかること
- アパレルECの市場規模
- アパレルECの仕事内容
- アパレルECのメリット
- アパレルECの課題
目次
アパレルECとは?
アパレルECとは、アパレル向けのインターネットショッピングのことです。ECは「Electronic Commerce」の略で、「電子商取引」というネット上の売買を指しています。
なかでもよく知られているのは「Amazon」や「楽天市場」です。これらは国内屈指のECモールですが、サイト上でアパレルを販売することもアパレルECのひとつとして考えられます。
アパレルECを始める際は、さまざまな業務が必要であることを知っておきましょう。サイトの設計やデザイン、在庫や売上管理などの作業が発生します。
なお、ECサイトの基礎知識については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてお読みください。
アパレルECの市場規模について
アパレルECの市場規模に関しては、以下の表の通りです。
市場規模 | EC化率 | |
---|---|---|
2019年 | 1兆9,100億円 | 13.87% |
2020年 | 2兆2,203億円 | 19.44% |
2021年 | 2兆4,279億円 | 21.15% |
2022年 | 2兆5,499億円 | 21.56% |
経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査によると、2022年の「衣類・服飾雑貨のEC市場規模」は、2兆5,499億円で、EC化率は21.56%であることが分かっています。
2019年の市場規模1兆9,100億円で、EC化率は13.87%であるため、アパレルECの市場規模は徐々に伸びていると考えられます。
その要因としては、感染症の流行による巣篭もり需要の増加が挙げられるでしょう。また、SNSによるシェアの拡大などが伸びていることも関係しています。
アパレルECの種類
アパレルECには、大きく分けて4つの種類が存在します。
- 個人経営型
- メーカー直営型
- モール型
- サブスク型
それぞれの特徴について知ることで、自社にとってどのタイプが向いているのかが分かるようになるでしょう。これからアパレルECを始めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ここからは、それぞれのタイプについて解説していきます。
個人経営型
個人経営型とは、個人でアパレルECショップを運営する方法のことです。
有名なECショップとしては、「BASE」や「Shopify」などが挙げられます。これらのECショップは気軽に始められることから、ECサイトの増加によって個人経営型も増加している傾向です。
個人経営型のECショップの特徴は、ニッチなニーズを満たすことで展開しやすくなることです。たとえば、大型メーカーでは難しいニッチなニーズを満たす商品を提供したり、大量生産が難しい商品づくりなどを展開したりすることで、ポジションを築いて行けるでしょう。
メーカー直営型
メーカー直営型とは、すでに実店舗を持っているメーカーやブランドが運営するECショップのことです。近年ではECサイトの需要が増加していることから、実店舗を持ちながらECショップを開設するお店も増えてきています。
メーカー直営型を展開するメリットは、より多くの人に商品を買ってもらえることです。店舗の数が少なく都会でしか買えない商品を、地方の人にも届けられます。
メーカー直営型を展開するポイントは、オムニチャネル化することです。SNS、メルマガなど顧客との接点を連携することにより、ユーザーの購買行動を促せるでしょう。
モール型
モール型とは、1つのサイトで複数のブランドを見ながら購入できるECサイトのことです。有名なECサイトには、「ZOZOTOWN」や「Rakuten Fashion」などが挙げられます。
モール型の特徴は、さまざまな年齢層に利用してもらえる可能性があることです。複数のブランドアイテムがあることで、ひとつのサイトで複数の商品を購入できます。そのため、ユーザーによっても効率のいい買い物が可能です。
なお、モール型の基本については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてお読みください。
サブスク型
サブスク型とは、毎月定額料金を支払って洋服やアクセサリーなどアパレルをレンタルするサービスのことです。サブスクサービスは動画視聴などのイメージが強いかも知れませんが、アパレルでも展開されています。
たとえば、好きなファッションを登録しておくことで、スタイリストが厳選してくれたアイテムが届くようなサービスもあります。ファッションに自信がない方でも、スタイリッシュなコーディネートを楽しめます。
ほかにも、入学や卒業式、結婚式などのイベントで利用できるサービスも存在します。その日だけ正装が必要な場合に活用できるので、大変便利です。
アパレルECの仕事内容
アパレルECには、以下のような仕事があります。
- 予算の設定
- 商品の仕入れ作業
- ささげ作業
- 在庫や売上の管理
- サイト分析と販促施策
- LP・メルマガ・SNSなど
これらの仕事について知ることで、アパレルEC開設後のイメージを掴みやすくなるでしょう。事前準備もしやすくなるので、確認しておきましょう。
ここからは、それぞれの業務内容について解説していきます。
予算の設定
まずは、実店舗と同じようにサイトの売上目標から予算を組んでいきます。はじめに予算を設定する理由は、赤字にならないためです。予算を決めておけば、それに合わせて仕入れ量を定められます。
予算設定については、ECサイトの規模に合わせて考えることがポイントです。個人でECサイトをするのか、大規模なECモールに出店するのかで、売上目標も変わってきます。もし、まだサイトの規模が決まっていない場合は、予算に応じて考えてみるといいでしょう。
商品の仕入れ作業
予算が決まったら、売上目標と予算から、必要な商品の量を仕入れていきます。
仕入れ作業のポイントは、いかに人気のある商品を多く仕入れるかどうかです。決して簡単なことではありませんが、ECサイト運営において重要なポイントとなります。
そこで企業で行う場合は、チーム会議を開く必要があります。予算や目標売上などを分析することで、商品を仕入れすぎて在庫を余らせるリスクを回避しながら、慎重に進められるでしょう。
ささげ作業
ささげ作業とは、「撮影」「採寸」「原稿」の頭文字をとったアパレル用語のことです。
ECサイトで買い物する場合、実店舗とは違って実物を見たり試着したりすることはできません。そのため、ユーザーにとって良心的なECサイトにするためには、ささげ業務が非常に重要となります。
ささげ作業のなかでも、とくに撮影が大切です。実物を少しでも伝えられるように写真の質を高めたり、さまざまな角度から撮影し掲載する工夫が必要となります。
在庫や売上の管理
ささげ業務によって得られた商品情報を、ECサイトに登録して在庫管理を行っていきます。在庫や売上の管理は地道な事務作業となりますが、ECサイトを運営する上では欠かせない業務です。
この業務では、どの商品がどれくらい売れているかといった売上の管理も重要となります。売れ行きの傾向を掴むことで、戦略的に商品を仕入れられるようになるからです。
特に複数のECサイトを運営している場合は、サイトごとの売上の違いを分析し新たな販売戦略につなげられるでしょう。
サイト分析と販促施策
ECサイトでは商品を出品するだけでなく、サイト分析や販促施策の取り組みも重要となります。
サイト分析においては、サイトが何人に見られているか、どのページがクリック率が高いか、コンバージョン率はどうかなどを分析していきます。その分析結果に応じて、サイト環境を改善したり、販促施策を考えることが重要です。
また、ECサイトではキャンペーンなどの販促活動も行います。どの時期にどのようなキャンペーンやセールを実施すればいいか、チーム内で話し合っていきましょう。
LP・メルマガ・SNSなど
ECサイトの流入を増やすには、以下のような取り組みが効果的です。
- LP作成
- メルマガ配信
- SNS運用
アパレルECを運営する上で、ランディングページ(LP)やバナーの作成は必須です。LPは広告の受け皿となり、ECサイトへの流入を促すことができます。
また、販促施策としてメルマガの作成や配信も重要な取り組みです。顧客情報としてメールアドレスを取得し、キャンペーン情報をお知らせすることで、興味を持ってもらうきっかけを生み出せます。
さらに、SNSでの発信も欠かせません。SNSによって商品の認知の拡大や、ECサイトへの直接的な誘導にもつなげられます。企業によってはSNS担当者を設けて、専属で任せている場合もあるので、運用体制を整えていきましょう。
ECサイトとSNSを連携させる方法については、以下の記事で解説しているのでご確認ください。
アパレルECを運営するメリット
アパレルECを運営することで、以下のような3つのメリットを得られます。
- 商品情報を詳しく伝えられる
- 時間や場所関係なく商品を提供できる
- ECショップ独自のキャンペーンを展開できる
これらのメリットを知ることで、より戦略的にECサイトを運営できるようになるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説していきます。
商品情報を詳しく伝えられる
ECサイトを利用することで、ターゲットユーザーに対して商品情報を詳しく記載できるというメリットを得られます。
実店舗では商品のサイズや素材を確認し、買うかどうかを決めるケースがほとんどです。一方で、アパレルECなら商品への想いや制作までのストーリーなども伝えられます。こうしたストーリーを知ってもらうことで、ブランドに親しみやすさを持ってもらえるのです。
さらに、口コミ機能があれば実際に購入した人のリアルな意見も参考にできます。モデルが着用している写真や、色々な活用場面の写真も掲載することで、購買意欲を刺激できるでしょう。
時間や場所関係なく商品を提供できる
アパレルECがあることで、ユーザーにとって時間や場所関係なく買い物ができることも大きなメリットです。
ECサイトは実店舗とは異なり、試着ができません。これに関しては、自分にピッタリのサイズを見つけにくい点が難点となります。ただし、実際に着用しているモデルの写真を見てサイズ感を確認できれば、安心して商品を購入してもらえるでしょう。ゆっくりと時間を掛けて検討できるため、こうした工夫がポイントとなります。
その一例として、ユーザーに最適なサイズをすすめてくれるアプリの活用があります。ユーザー情報を入力すれば自動で判定してもらえるので、ユーザーにとって買い物しやすくなるシステムです。
ECショップ独自のキャンペーンを展開できる
ポイントやクーポンなど実店舗と同じような特典だけでなく、ECサイト経由の購入者のみの取り組みを行えます。たとえば、ECサイトで購入してくれた方限定で、クーポンコードを発行したり、購入回数に応じた割引率アップなどの施策もできるでしょう。
このように独自のサービスを導入することで、お得に購入できるようになります。
また、ECモールの場合は、アパレル購入で貯まったポイントを活用することができます。次回の購入で利用できるようにすることで、リピーター獲得につなげられるでしょう。
このように、ECショップ独自のキャンペーンを展開することで、リピーターやファンとして育成できることも強みです。
アパレルEC運営の課題
ここまでアパレルECのメリットについて解説しました。ただし、アパレルECには以下のような課題があることも事実です。
- 試着ができない
- ECへの参入者が増えている
- 在庫管理が難しい
これらの課題を知っておくことで、あらかじめ対策を立てながらアパレルECを運営できるようになります。ここからは、それぞれの課題について解説していきます。
試着ができない
アパレルECでは、ECサイトは実店舗とは異なり試着ができません。そのため、ユーザーが自分にとってフィットする洋服を見つけることが難しいです。
そこで、サイズ感を少しでも確かめられるように、さまざまな工夫が必要です。たとえば、実際に着用しているモデルの写真を掲載し、身長とサイズを記載することでひとつの目安となるでしょう。
ほかにも、アプリを使って自分に最適なサイズをすすめてくれたりするサービスも効果的です。
このように、ECサイト上でサイズ感が分かるようになれば、「サイズが分からないからいいや」と見送ってしまうことが少なくなります。
ECへの参入者が増えている
記事内のデータからもわかるように、アパレルECの需要は増加中です。需要が増えることはいいことですが、同時に競合も増えていることも事実です。
そこで、成果を出すためには他サイトとの差別化が必須となります。具体的な対策としては、SNSの活用や独自のキャンペーンの開催が挙げられます。SNSがあればECサイト自体の知名度が低くても、認知拡大につなげられるでしょう。
また、サイトの利便性を高めることでユーザーの満足度を高める方法も例のひとつです。絞り込み機能を充実させたり、欲しいものが見つかりやすい工夫を取り入れたりすることで、購入に至りやすくなります。
在庫管理が難しい
アパレルECには、在庫管理が難しいという大きな課題があります。その理由は、以下のように3つあります。
- サイズやデザインの違いなどによる返品率が高い
- トレンド予測が難しく移り変わりが早い
- 実店舗との同時運営の場合は、在庫倉庫を分けないと複雑化しやすい
業界の中でも、アパレルはアイテム数が多い傾向です。そのため、検品ミスが発生しやすいという問題があります。ミスが増えると顧客満足度が低下するため、対策が必要です。
また、トレンド予測が難しく移り変わりが早いことによって在庫が余ることがあります。これについては、商品の売れ行きを分析して仕入れることが重要となります。
さらに、実店舗との同時にECサイトを運営する際は、在庫管理が複雑化しやすいです。在庫管理に誤りが出ないよう、倉庫を分けるなどの工夫が必要です。
アパレルEC市場のさらなる成長に期待しよう
アパレルECの需要は増加傾向にあるため、その分競合も多いです。競合他社と差をつけるには、ブランドの特色やストーリーを発信してファンを育てていくことが大切です。ECサイトはもちろん、SNSも併用するとより効果を期待できます。
もしアパレルECについてお困りごとがございましたら、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイト制作から運営まで幅広く行っています。お客様の事業に合わせてソリューション提案いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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