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物流倉庫を自動化する方法は?メリットや課題、企業の成功事例を紹介

物流倉庫を自動化する方法は?メリットや課題、企業の成功事例を紹介

業務の効率化を図るために、物流倉庫の自動化をしたいと考えている方は多いのではないでしょうか?物流倉庫の自動によるメリットや課題、成功させるポイントなどを知りたい方もいるでしょう。

本記事では、物流倉庫を自動化する方法やメリット、課題をメインに紹介します。また物流倉庫自動化の成功事例をもとに、成功させるためのポイントについても解説していきます。物流倉庫の自動化を成功させたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 物流倉庫の自動化とは何か
  • 物流倉庫を自動化するメリット・課題
  • 物流倉庫の自動化による成功事例

物流倉庫の自動化とは?

物流倉庫の自動化とは?

物流倉庫の自動化とは、倉庫内で必要な作業を自動化させることです。具体的には、以下のような作業をロボットやシステムに任せて自動化していきます。

  • 商品の入庫
  • 検品
  • ピッキング
  • 仕分けの作業
  • 梱包
  • 出庫

これらの作業が自動化される主な目的は、業務の効率化や生産性の向上です。近年では通販サイトの利用者が増えており、物流の需要は年々拡大しています。ところが、労働人口は減少傾向であることから、物流業界全体で人手不足が起こっているのです。

こうした課題を解決するためにも、物流倉庫における業務を自動化しようとする動きが見られています。自動化によって労働人口の不足を解消できるだけでなく、通販サイトのユーザーニーズも同時に満たすことが可能です。

物流倉庫を自動化する方法3選

物流倉庫を自動化する方法3選

物流倉庫を自動化する方法として、具体的には3つ挙げられます。

  • 1.倉庫管理システム
  • 2.自動ピッキングシステム
  • 3.自動搬送ロボット

これらの方法を取り入れることで、作業員の負担を軽減したり、人件費を削減したりできるようになります。どの方法を取り入れれば良いかは、事業内容や課題に合わせて導入するといいでしょう。ここからは、それぞれの方法について解説していきます。

1.倉庫管理システム

倉庫管理システムとは、入庫や出庫、在庫管理などをシステム側で一元管理するシステムのことです。英語では「Warehouse Management System」であることから、通称「WMS」とも呼ばれています。

倉庫管理システムを導入することで、倉庫内の入出荷をリアルタイムでチェックできるようになります。また、ロボットによって検品などの作業を自動化したり、帳票やラベルの発行をボタン一つで実行できたりできるようになるため、作業効率化が可能です。

このように、これまで人間に頼っていた単純作業を機械に任せることで、人件費削減の効果も見込めます。

2.自動ピッキングシステム

自動ピッキングシステムとは、出荷に必要な商品を自動で収集するシステムのことです。自動ピッキングシステムを活用すれば、出荷指示書のバーコードをもとに、指定場所にてピッキングし、バーコードを読み込み照合してくれます。

自動ピッキングシステムを導入するメリットは、ピッキング時間を短縮できることです。さらに、バーコードで管理を行うことから、人間がピッキングするよりも正確に行えることも大きなメリットとなります。

事業規模が大きい場合は、自動倉庫システムと連携させることにより、ケースやパレット単位でのピッキングも可能です。

3.自動搬送ロボット

自動搬送ロボットとは、商品の搬送をロボットに代行してもらうことで搬送作業を自動化させる仕組みのことです。

倉庫自動化で導入される自動搬送ロボットにはいくつか種類があります。たとえば、アームを使いパレットを作業場まで移動させるアーム型や、レールに沿って荷物を運ぶレール型などが代表的です。どの自動搬送ロボットを導入するかは、事業内容に合わせて選びましょう。

さらに、自動搬送ロボットのなかにはAIを活用した製品もあります。AIによってロボット自体が自動学習するので、より効率的に稼働できるようになります。学習が進めば進むほど、作業を自動で最適化することが可能です。

物流倉庫を自動化するメリット

物流倉庫を自動化するメリット

物流倉庫を自動化することによって、主に3つのメリットを得られるようになります。

  • 生産性アップ
  • 正確性アップ
  • 人件費の削減

上記の要素は、事業の売り上げ拡大に関わる重要なものです。

これらのメリットを確認することで、自社にとって物流倉庫の自動化が必要なのかどうか判断する材料になるでしょう。ここからは、それぞれのメリットについて解説していきます。

生産性アップ

これまで人間が行っていた作業を自動化することで、作業効率化によって生産性が向上します。

従来の方法では、業務を交代するのに手間がかかり、休憩時間も設けなくてはなりませんでした。さらに人員によってはフル稼働できなかったり、シフト調整を行う手間が発生したりと、負担が大きいという課題があります。

そこで倉庫における業務をシステムやロボットに任せれば、業務交代や休憩がなくなるため、フルタイムでの稼働が可能です。また場所や商品を問わず、安定して作業を継続できます。

正確性アップ

物流倉庫の自動化によって、作業の正確性が上がることも大きなメリットです。

人間が作業を行うことで、必ずヒューマンエラーのリスクがつきまといます。ミスが発生しないために対策を行っても、さらに別のミスが発生してしまうでしょう。

一方で、自動化システムを導入すれば、一定のスキルで作業できるためヒューマンエラーが発生しません。同時に人間のようにミスに対して対策を考えたり、マニュアルを見直すといったことも不要なので、業務時間を短縮できます。

人件費の削減

システムやロボットを導入することで、人件費を削減することが可能です。売上が伸びずに悩んでいる場合でも、人件費を削減することで相対的に売上を伸ばすことが可能です。

また、ECサイトからの注文が増えたとしても、その分作業が増えれば必要な人員も増えるので、人件費は高騰します。場合によっては、人件費分の利益を回収できないかもしれません。

そこで、システムやロボットを活用すれば、人を雇わなくても業務を安定的に稼働させられます。さらに、人材育成のコストや求人に係るコストなども削減できるため、一石二鳥です。

物流倉庫の自動化における課題

物流倉庫の自動化における課題

ここまで物流倉庫の自動化によるメリットについて解説しましたが、その一方で以下のような課題があることも事実です。

  • 初期費用やランニングコストの負担
  • システムエラーに対するリスク
  • 体制構築や研修などの負担

これらの課題について知ることで、システムやロボットを導入する上で必要な対応が見えてくるでしょう。ここからは、それぞれの課題について解説していきます。

初期費用やランニングコストの負担

新たにシステムを導入するとなると、どうしても初期費用やランニングコストが発生します。なかでも、汎用性の高いロボットやシステムの場合は、相場より高額になる傾向です。

そこで導入する前に、実際に導入した際の費用をシミュレーションすることが大切です。シミュレーションによって赤字になるリスクを回避できます。

もし資金面でやりくりするのが難しい場合は、自動倉庫のレンタルを検討してみるのもいいでしょう。初期費用を抑えながら人手不足や人件費の問題を解消できます。

システムエラーに対するリスク

自動化によってヒューマンエラーを解消できる一方で、システムエラーが発生するという課題があります。万が一システムや設備にエラーが生じた場合、業務が止まるリスクがあるので注意が必要です。

そこで導入する際は、システムエラーが生じた場合、どの程度の影響があるのかを検証することで、リスクを回避できます。不具合が起きた際の対応をマニュアル化して共有することで、いざという時にスムーズに対応できるようになるでしょう。

体制構築や研修などの負担

物流倉庫の自動化にともなって人員配置や担当業務の変更が発生するため、新体制への構築が必要です。体制構築の規模によっては、通常業務とシステム導入と同時に行うことは厳しいかもしれません。難しい場合は、通常業務の稼働をストップしてもメリットを得られるのか、しっかり検討しておきましょう。

また、従業員にシステムについて研修もしなければいけないことも忘れてはなりません。実際に導入して、従業員が活用しながら上手く共存できるかが重要になります。

物流倉庫の自動化を成功させるためのポイント5つ

物流倉庫の自動化を成功させるためのポイント5つ

物流倉庫の自動化を成功させるには、以下5つのポイントを押さえることが重要です。

  • 1.導入目的と課題を明確にする
  • 2.自動化に関するサポートデスクを準備する
  • 3.業務フローの見直しを行う
  • 4.専門家にアドバイスをもらう
  • 5.PDCAサイクルによって業務を改善していく

ここからは、それぞれのポイントについて解説していきます。

1.導入目的と課題を明確にする

はじめに、どのような課題や目的があって物流倉庫を自動化するのか、社内で共有しておくことが大切です。目的や課題について事前に話し合うことで、余計なコストをかけずに済むといった効果を期待できます。

たとえば、人員不足を解消するには、「人が行う作業を減らしたい」「ヒューマンエラーを減らし、作業の正確性を上げたい」などと導入目的を明確にしておきましょう。言語化することで、社内で共通認識を持ちやすくなります。

2.自動化に関するサポートデスクを準備する

業務を自動化するにあたって、自動化に関するサポートデスクを準備しておきましょう。

これまでにないシステムを導入することで、従業員にとって新しく覚えないといけない業務が増えることになります。すると、その都度不明点や疑問点が発生するでしょう。その際、従業員が気軽に疑問を解決できる環境が整っていれば、スムーズに業務を進められます。

そこで、いつでも従業員の疑問に答えられるサポート体制を準備しましょう。実際の問い合わせをマニュアルに反映することで、組織全体の作業パフォーマンスが向上します。

3.業務フローの見直しを行う

システム導入の前に、業務フローの見直しを行なう必要があります。というのも、システムを導入しても、従業員が変化に対応しないと自動化の実現は難しいからです。

また、導入当初は従業員がどのように対応すれば良いのか分からず、混乱する可能性も考えられます。そのために、事前に業務フローを変更し、最大限倉庫の自動化を活かせるようにしておくことが大切です。

特に、大規模な企業の場合は見直しが必要な部分も大きくなることが考えられます。通常業務に支障をきたす可能性もあるので、スケジュールを整えておきましょう。

4.専門家にアドバイスをもらう

システム導入にあたり、各分野の専門家にアドバイスをもらいましょう。導入するシステムの専門家はもちろん、物流に関する専門家からのアドバイスも貴重です。

自社だけで行うのではなく、プロの知見を取り入れることで、適切なシステムの選定や運用につながります。

さらに、導入後も継続的に研修やセミナーを実施しましょう。定期的に専門知識を取り入れることで、従業員育成の強化につながります。今後何か課題が発生した際に、各現場で対応できるようになると理想です。

5.PDCAサイクルによって業務を改善していく

システム導入後も、具体的な数値を記録し、分析していきましょう。実際に自動化システムを導入した効果を検証することで、今後の方針が見えてきます。

もし設定していた目的を果たし、課題が改善された場合は、作業時間はどれくらい減ったか、業務品質は向上したかなどを明らかにしていきましょう。データ化することで、さらなる業務効率化に取り組めます。

反対に問題を改善できなかった場合は、その原因を追求しましょう。課題の明確化を図ることで、次の施策が見えてきます。

物流倉庫を自動化した企業の事例を紹介

物流倉庫を自動化した企業の事例を紹介

新しい取り組みを行う際は、成功事例を参考にすることが大切です。最後に、物流倉庫を自動化した企業の事例を紹介します。この記事で取り上げる成功事例は、以下の3社です。

  • ヤマト運輸
  • アスクル
  • Amazon

成功事例を知ることで、自社でシステムやロボットを導入した際のイメージが掴めるでしょう。ここからは、それぞれの成功事例について解説していきます。

ヤマト運輸

ヤマト運輸

出典:ヤマト運輸

ヤマト運輸は、「クロネコヤマトの宅急便」で知られる国内大手の配送会社です。

課題 安定した出荷のニーズ
取り組み 物流支援ロボットを導入
効果 人的コストの削減
業務負担の軽減
安全性の向上

ヤマト運輸には、ユーザーから安定した出荷が求められてるという課題がありました。そこで、仕分けターミナルでロールボックスパレットの自動搬送をしてくれる物流支援ロボットを導入したのです。

その結果、倉庫内の搬送業務をロボットの自動搬送に切り替えることで、人的コストの削減や業務負担の軽減に繋がりました。

また、搬送ルートが明確になったことで、作業導線を整備することができ安全性の向上にも成功しています。

アスクル

アスクル

出典:アスクル

アスクルはオフィス用品を中心に取り扱う通販会社です。

課題 EC事業の拡大に伴う慢性的な人手不足
取り組み 自動ピッキングシステムを導入
効果 省人化を大幅に推進

アスクルでは慢性的な人手不足が課題として上がっていました。倉庫内のスタッフは10人しかおらず、EC事業の拡大に追いつけない状況でした。

そこで、物流倉庫において省人化を可能にする自動搬送ロボットが導入されました。同時に、ロボットアームによる自動ピッキングシステムも取り入れられています。

この取り組みにより、これまで倉庫内スタッフ10人で行っていた倉庫業務を、ロボットに任せることで省人化を大幅に推進できました。

Amazon

Amazon

出典:Amazon

Amazonは国内でも多くのユーザーから利用されている大手ECモールです。

取り組み 自動搬送ロボットを導入
効果 ヒューマンエラーが大幅に減少

Amazonでは、同社が買収したロボットメーカー「Kiva Systems」によって開発された、「Amazon Robotics Kiva」という自動搬送ロボットを導入しました。

このロボットは、倉庫業務に必要な仕分け、ピッキング、運搬、スキャンなどさまざまな業務の自動化を可能にします。こうした取り組みにより、従業員の業務負担が減り、ヒューマンエラーが大幅に減少しました。

なお、YouTubeでは「Meet the Amazon robot improving safety」というタイトルでその様子が公開されていますので、参考にしてみてください。

物流倉庫を自動化して業務を効率化しよう

物流倉庫を自動化して業務を効率化しよう

物流倉庫を自動化することにより、業務効率化や人件費の削減につなげられます。EC

事業の需要は拡大するなか、物流業界における人手不足は深刻化しています。そこで業務を自動化することで、これらの問題を解決できるでしょう。

もし、倉庫の自動化でお困りごとや不明点がある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社は物流ECに関するサポートやマーケティング支援を行なっています。お客様の事業に合わせて提案いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者

  • デジタルトレンドナビ編集部

    システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。