2023.10.17
化粧品ECの市場規模は?伸び悩んでいる理由や売上を伸ばす方法8選も紹介
化粧品ECを始めようとしている方の中には、市場規模がわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
売上や運営の計画を考えるためにも、始める前に市場規模を理解しておきたいですよね。ただ、化粧品ECには伸び悩んでいる理由がいくつかあることも事実です。市場の現状を把握することで、より戦略的に運営できるようになります。
本記事では、化粧品業界とECの市場規模を紹介した上で、伸び悩んでいる理由を紹介します。最後に、売上を伸ばす方法を8選紹介していきます。
本記事を読むことで、自社でどのような対策を導入すればいいのかがわかるようになるでしょう。化粧品ECを始めようと考えている方や、始めようか迷っている方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 化粧品ECの市場規模
- 化粧品ECが伸び悩んでいる理由
- 化粧品のECで売上を伸ばす方法
目次
化粧品の市場規模
矢野経済研究所が実施した化粧品市場の調査データによると、2022年度の市場規模は前年度比103.5%の2兆3,700億円となっています。
参考:矢野経済研究所|化粧品市場に関する調査を実施(2023年)
コロナ渦の影響で落ち込んだ2020年度から徐々に回復してきていますが、まだ2019年度の2兆6,480億円ほどの市場規模には戻っていません。
また、化粧品市場のカテゴリー別構成比と市場規模は、以下の通りです。
化粧品市場 | 割合 |
---|---|
スキンケア市場 | 47.3% |
ヘアケア市場 | 20.3% |
メイクアップ市場 | 17.6% |
フレグランス市場 | 1.2% |
男性用化粧品市場 | 5.4% |
その他 | 8.2% |
出典:矢野経済研究所|化粧品市場に関する調査を実施(2023年)
各カテゴリーのうち、47.3%と半分近くを占めているのがスキンケア市場です。次に多いのが20.3%のヘアケア市場で、メイクアップ市場は全体の17.6%占めています。
このように、カテゴリーによっても市場規模が異なるため、自社で扱う商品の市場規模を事前に確認しておきましょう。
化粧品ECの市場規模やEC化率
続いて、物販系分野のBtoC-EC市場規模やEC化率を紹介していきます。
2021年 | 2022年 | |||
---|---|---|---|---|
市場規模 前年比 |
EC化率 | 市場規模 前年比 |
EC化率 | |
食品、飲料、酒類 | 25,199 (14.10%増) |
3.77% | 27,505 (9.15%増) |
4.16% |
生活家電、AV機器、PC・周辺機器等 | 24,584 (4.66%増) |
38.13% | 25,528 (3.84%増) |
42.01% |
書籍、映像・音楽ソフト | 17,518 (7.88%増) |
46.20% | 18,222 (4.02%増) |
52.16% |
化粧品、医薬品 | 8,552 (9.82%増) |
7.52% | 9,191 (7.48%増) |
8.24% |
生活雑貨、家具、インテリア | 22,752 (6.71%増) |
28.25% | 23,541 (3.47%増) |
29.59% |
衣類・服装雑貨等 | 24,279 (9.35%増) |
21.15% | 25,499 (5.02%増) |
21.56% |
自動車、自動二輪車、パーツ等 | 3,016 (8.33%増) |
3.86% | 3,183 (5.55%増) |
3.98% |
その他 | 6,964 (8.42%増) |
1.96% | 7,327 (5.22%増) |
1.89% |
合計 | 132,865 (8.61%増) |
8.78% | 139,997 (5.37 %増) |
9.13% |
出典:経済産業省|電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
経済産業省の市場調査で発表されている2022年における化粧品ECの市場規模は、9,191億円です。2021年よりも7.48%増となっているため、化粧品EC市場は成長していると言えます。
化粧品EC市場は成長しているものの、他の業界と比べるとEC化率は平均より低く、伸び悩んでいます。
化粧品ECが伸び悩んでいる理由
化粧品のEC化率は、2022年の時点で8.24%にまで伸びています。とはいえ、ほかのカテゴリーに比べて化粧品ECが伸び悩んでいるのは、以下のような3つの理由があるからだと考えられます。
- 手に取って試したいユーザーが多い
- 実店舗で手に入れやすい商品が多い
- マーケティングが難しい
これらの理由を理解することで、自社の化粧品ECで成功するためのヒントを得られるでしょう。ここからは、それぞれの理由について解説します。
手に取って試したいユーザーが多い
化粧品ECが伸びにくい大きな理由は、商品を実際に手に取って試したいユーザーが多いからです。
化粧品の性質上、商品によっては肌に合わない場合があります。わからないまま購入してしまうと無駄になってしまうので、購入前に1度試したいというニーズから、ECよりも実店舗が好まれる傾向にあります。
また、オンラインでは化粧品の色味や香りがわかりにくいことも課題です。ECサイトで紹介されている商品に魅力を感じても、自分の肌の色に合わせて見ると、イメージとのギャップがあり後悔するケースもあります。
このような性質から、化粧品はECで商品を検索していくつか候補をピックアップし、実店舗に行って購入するかどうかを決めるという方もいます。
実店舗で手に入れやすい商品が多い
化粧品の多くが実店舗で手に入れやすいこともECが伸び悩んでいる理由の一つです。
デパート以外にもコンビニやドラッグストアなどでも販売されていて、これらの店舗はより手軽に購入できます。ブランドの取り揃えや商品数も多く、手に入れやすくなっていることから、なかなかECで購入してくれる人も少ないです。
ほかの食品や家電など、業界の商品ではECを利用すると買いに行く必要がないという手軽さが手に入ります。商品によっては持ち運びが大変なので、送料を払って購入してもメリットを得られるのです。
しかし一方で、化粧品の場合は商品を自宅に届けてくれる便利さよりも、届くまでの期間が空いてしまうことがデメリットととして際立っています。こうした事情から、実店舗が好まれる傾向にあります。
マーケティングが難しい
化粧品ECにはマーケティングが難しいという側面があることも事実です。競合となる企業が多く、ライバルが多いことからユーザーの取り合いが発生してしまい、マーケティングが上手くいかないことがあります。
実際に、化粧品のECでは、化粧品メーカーのKOSÉが運営している「Maison KOSÉ」や、大丸松坂屋百貨店が運営している「DEPACO」などのECサイトが競合となります。
以前は、口コミを交えながらSEO対策をしていた企業が多くありました。ところが近年ではGoogleのアルゴリズムが変わり、Amazonや楽天市場などが上位表示されやすくなっています。これら大手のECモールは大規模でユーザー数が多いことから、なかなか勝てなくなっているのです。
化粧品のECで売上を伸ばす方法8選
売上に繋がりにくい化粧品ECについては、以下のような施策を取り入れると効果的です。
- 1.オンラインカウンセリング
- 2.オンライン接客
- 3.SNSの活用
- 4.口コミの充実
- 5.インフルエンサーの活用
- 6.無料モニターや初回割引などのキャンペーン
- 7.定期購入への誘導
- 8.リピーターの育成
これらの方法を取り入れることで、ECサイトからの購入を促せるようになるでしょう。これから化粧品ECを始める場合は、ぜひ導入してみてください。
ここからは、それぞれの方法について解説します。
1.オンラインカウンセリング
ユーザーがECサイト上で自分に合う化粧品を選べるようにするには、ARやAI技術を使ったオンラインカウンセリングも売上を伸ばすためにおすすめの方法です。
オンラインカウンセリングでは、どの商品が自分に適しているのか分からないユーザーに対して提案できます。
たとえば、ユーザーごとに肌年齢や質を測定し、その結果に基づいて提案すれば説得力が増します。実店舗で肌診断を行う企業が増えていますが、オンラインで行うことで、ECの売上アップが期待できるでしょう。
さらに、オンライン上でメイクを行うことで購入後のイメージが湧き、ギャップが生まれにくくなります。
このように、オンライン上で提案したり、使用感を確認できたりすれば、購入するきっかけを生み出せます。
2.オンライン接客
オンライン接客をすれば、オンライン上でも実店舗と同じように接客できるようになり、アドバイスを行いながら購入に繋げられるのでおすすめです。
ユーザーの中には、店員さんに相談しながら自分に合う化粧品を探したいという理由で実店舗を利用する方が多くいます。店員さんの方がコスメに関する知識が豊富なので、納得感を持って購入できるのです。
そこでECでも実店舗と同じような接客ができれば、実店舗と同じサービスを受けられるようになります。生配信をおこなったり、独自のシステムを開発したりすることで、オンライン上でアドバイスできるようになります。実際にコロナ禍で外出できない期間に利用するユーザーもいました。
アドバイスをもらいながら考えたいユーザーを取り込めるので、ECからの売上アップも期待できます。
3.SNSの活用
化粧品ECと並行して、SNSも活用することも効果的です。化粧品の使い方や特徴などを紹介することで、EC利用者を増やせる可能性があります。
SNSなかでも、画像や動画がメインになるInstagramとの相性は抜群です。Instagramを開設することでブランディングになるだけでなく、そのままECサイトに誘導することも可能です。
たとえば、実際に商品を用いて化粧をしている動画をアップすることで、使い方や実際の色合いなども伝えられます。
なお、ECサイトとSNSを連携させる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてお読みください。
4.口コミの充実
化粧品ECを行う場合、購入者・利用者からの口コミを充実させると売上アップに繋がります。近年、多くのユーザーは購入前に口コミを確認し、購入者の満足度や評価を見ています。
そこで、ユーザーが安心して購入できるように、より多くのユーザーに口コミを投稿してもらいましょう。「色合いはどうか」「質感はどうか」など商品のディテールが確認できるようになれば、オンラインで購入した際に気を付けたいポイントをチェックして購入してもらえるようになります。
口コミを増やすためには、商品購入者に対してに口コミの記載を依頼することが大切です。とはいえ口コミの書き込みには手間がかかるため、口コミ回答者にクーポンを配るなどの工夫をすることで記載してもらいやすくなります。
5.インフルエンサーの活用
化粧品のECではインフルエンサーの影響力が多いため、積極的に活用すると売上向上に繋げられます。
近年では、インフルエンサーが使用感やコスパなどを紹介し、高評価を得ている化粧品は大きな反響を得られています。そこで、Instagramerや化粧品系のYouTuberに案件を依頼して紹介してもらうことで、売上アップが期待できるでしょう。また、広告に出てもらうことで認知拡大につなげられます。
インフルエンサーを選ぶ際のポイントは、ブランドや商品のターゲットユーザーが興味のある人を選ぶことです。ターゲットが普段見ているSNSやアカウントをチェックすることで、どんなインフルエンサーが向いているかが分かるでしょう。
6.無料モニターや初回割引などのキャンペーン
化粧品はひとつひとつの量が多く、お試しで買いにくい傾向があります。そこで、無料モニターや初回割引などのキャンペーンを行うと新規顧客を獲得できるでしょう。
無料サンプルであれば、もともと商品やブランドについて知らなくても「使ってみよう」と興味を持ってもらえます。そして試供品を試してみて使い心地が良ければ、「買ってみよう」とアクションを起こしてもらえます。
サンプル以外にも、初回割引など試しやすいキャンペーンの実施も効果的です。キャンペーンを広告などで打ち出せば、ブランドの認知度も上がるでしょう。
このように、無料モニターや初回割引などのキャンペーンを導入することで、将来的な売上への種まきにもなります。
7.定期購入への誘導
化粧品は消耗品であるため、定期購入への誘導を行うことで安定した売上を確保できます。定期購入がない場合、利用中の化粧品がなくなるタイミングで他社製品に乗り換えてしまう可能性もあります。
そこで定期購入へ誘導する際は、割引価格や送料無料などのメリットを提示してみましょう。定期購入でしか得られないメリットがあれば、導入してくれるユーザーを増やせます。
定期購入のハードルを下げるために、手続きは簡単にすることが大切です。ECサイト上から簡単に申し込めるようにすれば、思い立ったときに手続きできるようになります。
また、化粧品がなくなりそうなタイミングでDMを配信するのもいいでしょう。定期購入のリンクを設置すれば、ユーザーにとってストレスなく手続きできます。
8.リピーターの育成
新規顧客を増やすことも大切ですが、リピーターを育成し長期的な売上を確保することも重要です。新規顧客の獲得には広告費がかかりますが、リピーター獲得はそれがかからないため、効率的に売り上げ拡大につなげられます。
そこでリピーターを育てるには、顧客管理を丁寧に行いましょう。顧客のタイプに合わせてメルマガやチャットなどを活用することで、ユーザーの状況に合わせたアプローチができます。
たとえば、購入回数や誕生日にあわせて特別割引を行う方法があります。また定期的に新商品の試供品を提供するなどの対応を行うと、新商品に興味を持ち、購入するきっかけになります。その結果、満足度が高まりリピーターとなっていくでしょう。
化粧品ECの市場を理解して売上アップを目指そう
化粧品は実際に手に取って確認したいというユーザーニーズが多いことから、そのほかの業界に比べてEC化率が低いです。また化粧品ECには競合サイトが多く、Amazonや楽天市場のような大手ECモールのほうが利用されるため、売上に繋がりにくいことも事実です。
そこで化粧品ECに参入する場合は、オンラインカウンセリングやオンライン接客などを活用することが大切です。また、SNSやインフルエンサーマーケティングを導入することで、より多くのユーザーにアプローチできるようになるでしょう。
もし化粧品ECについてお悩みや疑問がある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイト制作からECマーケティングの施策立案をおこなっています。クライアント様の事業スタイルやラインナップに合わせて提案いたします。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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