2023.10.25
卸売とは?仕組み、小売との違い、成功のコツを解説!卸売業の始め方と戦略
卸売という言葉は聞いたことはあるものの、詳しい内容についてはよくわかっていない方も多いのではないでしょうか?ECサイトを立ち上げ、ネットショップを始めたい方はぜひ覚えておきたい言葉です。
本記事では、主に卸売業の仕組みについて簡単に解説します。また卸売業と小売業の違いや、卸売業が抱える課題についても触れています。卸売業の始め方についても説明しているので、これから卸売業を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 卸売業とは何か・課題
- 卸売業と小売業の違い
- 卸売業の始め方
目次
卸売業とは?
卸売業とは、メーカーから仕入れた商品を、店舗やECサイトなどの小売業者にまとめて販売する業態のことです。
普段、スーパーやコンビニでさまざまなメーカーの商品を目にしますが、それらはメーカーから直接ではなく、卸売業者を通じて商品を仕入れています。大量に仕入れた商品を店頭に並べ、消費者に向けて1個単位で販売しているのです。
総務省の定義では、以下のような産業用使用者に商品を大量・多額に販売するものとして定義されています。
- 建設業
- 製造業
- 運輸業
- 飲食店
- 宿泊業
- 病院
- 学校
- 官公庁
このように、卸売は一般消費者向けの食品や生活用品だけでなく、建設業や製造業など、企業が求める商品も扱っています。
具体例を上げると、以下は日本の代表的な卸売業の一例です。
- 伊藤忠商事
- 三菱商事
- 三井物産
- 住友商事
- 丸紅
- 豊田通商
- 日立ハイテク
- ミスミグループ本社
- 神戸物産
- メディパルホールディングス
卸売業と小売業の違いは?
卸売業とよく混同されがちなものが小売業です。卸売業と小売業では、以下3つの視点から異なっています。
卸売業 | 小売業 | |
---|---|---|
販売形態について | BtoB | BtoC |
販売する商品について | 幅広い商品 | 消費財 |
流通ルートについて | 製造業者から仕入れる | 卸売業者から仕入れる |
これらの違いについて知れば、より詳しく卸売業について理解できるでしょう。ここからは、それぞれの違いについて詳しく解説していきます。
販売形態について
卸売業と小売業では、販売形態が大きく異なっています。一般的に卸売業は小売業者を対象にしたBtoBビジネスであるのに対し、小売業は一般消費者を対象にしたBtoCビジネスです。
たとえば、スーパーやコンビニ、デパートなどの小売業者は、製造メーカーから商品を直接仕入れるのではなく、卸売業者から商品を買い付けることが多いです。卸売業者は小売業者に対して、どのように商品を販売するのかというノウハウが必要になります。
ただし、上記で示した販売形態とは異なる動きが見られることもあります。最近では、卸売業者が一般消費者に向けて直接販売したり、小売業者が卸売をすることも珍しくありません。
販売する商品について
卸売業と小売業では、販売形態だけでなく取り扱う商品にも違いがあります。
卸売業は、消費財や生産財などのような幅広い商品を取り扱っています。消費財とは、最終ユーザーが使用する全てのもののことで、具体的には以下のような商品です。
- 家電
- 衣服
- 食品
- 化粧品
また、生産財とは商品を製造するために必要な原材料や部品のことです。一例を挙げると、以下のような商品が含まれます。
- 燃料
- 部品
- 工具
- 装置
このように、卸売業が消費財や生産財など幅広い商品を扱っている一方で、小売業は主に、食料品や衣料品、家庭用品などの消費財を扱っています。
流通ルートについて
一般的な流通の流れは、以下のように流れていきます。
メーカー→卸売業→小売業→消費者
このように、消費財を扱っているか、生産財を扱っているかという違いから、基本的には卸売業者を経由して商品が小売業者へと流れます。
ただし、最近は流通の多様化が進んでいる傾向があり、卸売業を挟まないケースも増えていることも事実です。
たとえば、イオンのような大手小売チェーンは、メーカーとの直接取引によって商品を仕入れているケースがあります。このように卸売業を経由しないことにより、通常よりも安く商品を仕入れることができるのです。
卸売業と小売業を兼備えた業態
ここまで卸売業と小売業の違いについて説明しました。しかし、なかには卸売業と小売業の両方の機能を兼ね備えた業態も存在しています。その業態のことを「現金卸」と呼びます。
現金卸の例として、業務用スーパーのようなビジネス展開が挙げられるでしょう。業務用スーパーでは飲食店のような事業者に対して大容量の食品を販売していますが、一般消費者に対しても商品を販売しています。つまり、一般消費者が自分で商品を買いに来て、自分で持って帰るという仕組みです。
このように、現金卸を行う事のメリットは、運賃がかからないことです。こうした仕組みから、商品を安く販売できるという特徴があります。業務用スーパーが一般的なスーパーに比べてさまざまな商品が販売されているのは、現金卸だからです。商品が安く販売できると消費者に喜ばれ、その分売上も確保できます。
卸売業の始め方
ここまで読んで、卸売業を始めたいと考えている担当者もいるでしょう。卸売業を始める場合は、以下の手順で進めていきます。
- 事前準備を行う
- 商品の仕入れ業者を探す
- 仕入れ値と卸値を考える
- 卸販売先を探す
- 取引先との情報交換を心がける
この手順で行うことで、後戻りなく効率的に進められます。ここからは、それぞれのステップについて解説していきます。
事前準備を行う
卸売業を始める前に、事前準備をしておくと安心です。具体的には、以下3つの準備をしておくことをおすすめします。
- 簡易的な契約書の作成
- Webサイトの開設
- SNSの開設
契約書は、悪質な業者と取引を停止する際に役立ちます。テンプレートを用いた簡易的なものでも構いません。
また、必須ではありませんが、WebサイトやSNSを開設するのも効果的です。これらを通じて、仕入れ先を見つける際のきっかけになるかもしれません。開設したばかりのWebサイトから直接問い合わせを集めるのは難しいので、SNSから発信していくとよいでしょう。
商品の仕入れ業者を探す
準備が整ったら、商品の仕入れ業者を探してきましょう。商品の仕入れ先を見つけないことには卸売業は成立しないので、必要なステップとなります。
仕入れ先とひと口に言っても、以下のようにさまざまなルートがあります。
- 他の卸業者
- 海外
- インターネット
- 個人
これだけさまざまなルートがあると、一体どの仕入れ先を見つければいいのか分からないでしょう。
仕入れ先を見つける際のポイントは、販売したい商品や利益率などを考慮することです。取り扱い商品が同じでも、ルートによって利益率が異なります。あらかじめシミュレーションすることで、自社に合う仕入れ先が見つかるでしょう。
仕入れ値と卸値を考える
仕入れ先が決まったら、仕入れ値と卸値を考えていきます。仕入れ値と卸値については、以下の通りです。
- 仕入れ値…商品を仕入れる側の購入価格
- 卸値…販売する側から見た販売価格
つまり、同じ商品を取り扱った場合、買い手側からすると仕入れ値と呼びますが、売り手側から見ると卸値と呼ぶことになります。
仕入れ値と卸値を考えるときの基本は、仕入れ値より卸値を高くすることです。この差額が大きいほど、利益率が高くなっていきます。
なお、卸値の一般的な価格はメーカーからの仕入れ値の2.5~3倍とされています。つまり、メーカーから1,000円で商品を仕入れた場合、2,500~3,000円で販売するイメージです。
卸販売先を探す
仕入れ値と卸値が決まったら、商品を販売する卸販売先を探しましょう。卸販売先の探し方には、以下3つの方法があります。
- 業界誌への広告出稿
- 展示会へのイベント参加
- 卸売サイトへの登録
業界誌に広告を出稿することで、業界に関係のある小売業者の目に留まりやすくなります。
また、展示会へのイベント参加すれば、直接小売業者とコミュニケーションを取るきっかけを得られるでしょう。
ほかにも、卸売サイトに登録してインターネット上で商品を販売することもできます。
それぞれやりやすい方法を利用するのもいいですが、それぞれの方法を組み合わせた方が探しやすいです。広告出稿やサイト登録などを利用しながらも、実際にイベントに参加すると言う風に、自ら足を運ぶ取り組みも大切です。
取引先との情報交換を心がける
卸販売先である小売業者が見つかったからといって、ただ販売するだけで良好な関係を築けるわけではありません。
そこで、卸売業で成功するためにも、取引先との情報交換を心がけましょう。たとえば、新商品を販売するにあたって、写真と価格を渡すだけでは小売業者が困ってしまいます。そこで、どうすれば消費者に注目されるのか、SNSやインターネットを通じて日々研究する必要があります。
卸売業の顧客となる小売業者を大切にすることは、信頼関係を築く上で重要なことです。卸売業者としても、小売り店や一般消費者の視点にも立ちながら、お互いのメリットを考えていくことが求められます。
卸売業が抱える課題
ここまで卸売業の進め方について解説しました。ただし、卸売業には以下のような課題があることも事実です。
- SDGsへの対応
- 人材の確保
- 他社との競争
これらの課題を知っておくことで、リスクを回避しながら戦略的に進められるでしょう。これから卸売業を始める方は必ず知っておきましょう。
ここからは、それぞれの課題について解説していきます。
SDGsへの対応
卸売業の課題のひとつとして、SDGsへの対応が挙げられます。SDGsとは、持続可能な社会の実現に向けて掲げられた目標のことです。
SDGsの重要性は年々増しており、企業にも貢献が求められています。そこで、卸売業としてSDGsに貢献するには、物流の最適化や効率化を行い無駄を省いて行くことが重要です。
ほかにも、ただ商品を大量に卸すという姿勢を見直すことも必要です。必要な量を必要な時に必要な場所に届けることが店舗ロス削減となり、SDGsにつながります。
人材の確保
日本では少子高齢化が加速していることから、現役世代の減少によって卸売業でも人材確保に困っています。事業が拡大するにつれて人員が必要になる中、多くの人数を集めることは、これまで以上に難しくなっているのが現状です。
そこで対策としては、部分的にAIやロボットに任せることも必要です。たとえば、販売管理システムを導入することで、日々の事務作業を自動化できる場合があります。
このように、自動化する部分と手動でしかできない部分を考え、業務フローを見直してみましょう。
他社との競争
卸売業では基本的に自社商品を生産しているわけではありません。そのため、競合と差をつけるには、商品や価格以外の面で付加価値をつける必要があります。
そこで付加価値の例として最も分かりやすいのが、サービスの強化です。たとえば、物流コストを削減することで、他社よりも安く提供できるようになるでしょう。また、AI技術を取り入れて業務効率化に取り組むことで、より迅速な対応ができます。
このように、他社との競争に勝つためには、さまざまな工夫が必要になってきます。
卸売業に関するよくある質問
最後に、卸売業に関するよくある以下3つの質問にお答えしていきます。
- 卸売業にはどのような業種がありますか?
- 商社と卸売の違いは何ですか?
- 卸売業の主な仕事内容は何ですか?
あらかじめ疑問を解消しておくことで、スムーズに進められるでしょう。気になる疑問があった場合は、ぜひチェックしておいてください。
ここからは、それぞれの質問にお答えしていきます。
卸売業にはどのような業種がありますか?
卸売業には、以下のようなさまざまな業種があります。
繊維・衣服等卸売業 | 生糸問屋、和服卸売業など |
---|---|
飲食料品卸売業 | 酒問屋、清涼飲料卸売業など |
建築材料,鉱物・金属材料等卸売業 | 金属材料等卸売業:木材卸売業、セメント卸売業など |
機械器具卸売業 | 事務用機械器具卸売業、自動車卸売業など |
その他の卸売業 | 紙問屋、医薬品卸売業など |
卸売業には食料品のイメージが強いかもしれませんが、実際には上記のようにさまざまな業種が存在します。
商社と卸売の違いは何ですか?
商社と卸売の違いは、販売経路にあります。
卸売業は、実際に販売する商品を仕入れて小売業に販売します。そのため、消費者寄りのビジネスだと考えられます。
一方で、商社は商品を製造するための原料を、メーカーに販売する形態です。こうした特徴から、メーカー寄りの業種だと言えます。
また、ビジネス形態にもちがいがあります。卸売業は商品の在庫管理も行うが、商社は基本的に商品原料の買い付けが中心です。
このように、商社と卸売は混同されやすいですが、販売経路や形態に違いがあります。
卸売業の主な仕事内容は何ですか?
卸売業の仕事内容は、以下のとおりです。
- メーカーや販売元から商品を仕入れる
- 仕入れる商品の適正価格を検討し仕入れる
- 商品を販売してくれる(買ってくれる)提携業者を探す
- 提携業者と販売価格の交渉をする
このように、卸売業はメーカーと小売業の間に入り、商品の仲介を行うことが主な仕事です。
商品を安く仕入れて利益率を考えて販売することが大切です。ただし、自社の利益ばかり考えるのではなく、小売業者や消費者にとってのメリットを考えることも重要です。
卸売業の仕組みや課題を理解して始めよう。
卸売業はメーカーから商品を仕入れ、小売業者に販売する仕事です。ただし、今では卸売業者が消費者に直接販売するケースや、現金卸として卸売業と小売業者の両方を行うケースもあります。
卸売業を行う際は、事前準備を行い、仕入れ値と卸値を考慮しながら卸販売先を探していきましょう。情報交換を行うことで、取引先や一般消費者にとってメリットのあるビジネスができるようになります。
もし卸売りについて疑問や課題がある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイト制作をはじめ、ECマーケティングのコンサルティングなどを行っています。お客様の事業を反映して提案しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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