2024.07.11
ロイヤルカスタマーとは?分析方法からメリット・戦略・育成まで徹底解説
これからマーケティングを始める方の中には「ロイヤルカスタマーって何?」と疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。ほかにも、「顧客ロイヤルティを向上させたい」と考えている担当者の方もいるかもしれません。
本記事では、 ロイヤルカスタマーについて解説します。ほかにも、現状の顧客ロイヤリティを分析する方法や育成方法についても触れていきます。本記事を読むことでロイヤルカスタマーについて理解が深まり、戦略や企画立案にも反映できるようになるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ロイヤルカスタマーとは何か
- 現状の顧客ロイヤリティを分析する方法
- 3つの戦略・育成方法
目次
ロイヤルカスタマーとは?
ロイヤルカスタマーとは、企業や商品、ブランドに対する愛着が強く売上にも貢献している顧客のことです。英語の「Loyal」には「忠実」や「忠誠心」といった意味があり、直訳すると堅苦しい印象がありますが、こうした単語から派生しています。
ロイヤルカスタマーには「たくさん商品を購入してくれる人」という印象があるかもしれません。しかし、正確な定義としては「継続的に商品やサービスを購入し、なおかつ商品やブランドに愛着を持っている」となります。単に商品をたくさん購入している顧客を指すわけではないため、注意しましょう。
ロイヤルカスタマーと類似する言葉に「リピーター」や「優良顧客」があります。この章では、ロイヤルカスタマーとリピーター、優良顧客の違いについて解説します。
ロイヤルカスタマーとリピーターの違い
ロイヤルカスタマーとリピーターの違いは、「愛着(ロイヤルティ)があるかどうか」という点にあります。リピーターには商品やブランドに対する愛着がなく、単に商品を継続している状態です。一方で、ロイヤルカスタマーは商品やブランドに対して愛着があるため、ほかの商品やブランドではいけない理由があって継続的に購入しています。
たとえばリピーターが商品を購入する動機は「店舗が近いから」「他店より安いから」といったものです。一方で、ロイヤルカスタマーには「この商品が好きだから」「このブランドを愛用しているから」といったゆるぎない動機があります。商品やブランドに愛着を持ってもらえると競合へ流れにくくなり、収益にもつながりやすくなります。
ロイヤルカスタマーと優良顧客の違い
ロイヤルカスタマーと優良顧客の違いも、「愛着(ロイヤルティ)があるかどうか」にあります。優良顧客は一度に多くの商品を購入してくれたり、継続して購入してくれたりします。しかし、その理由は商品やブランドが好きだからではなく「まとめて買うと安いから」「そのとき必要だったから」といったものです。一方で、ロイヤルカスタマーが一度に多くの商品を購入する場合、その動機は商品やブランドに対して愛着を持っているからです。
このように、ロイヤルカスタマーを獲得することで継続的に購入してもらえる可能性が高まります。そのためにも、単に商品を買ってもらうのではなく、商品やブランドを好きになってもらう工夫が大切です。
ロイヤルカスタマーがもたらすメリット
ロイヤルカスタマーがもたらすメリットは、以下の通りです。
ロイヤルカスタマーを獲得することで、単に売上になるだけでなく事業拡大へとつなげることができます。
これらのメリットを理解することで、ロイヤルカスタマーを獲得することの重要性がわかるでしょう。さらに、目的意識を持って施策に取り組めるようになります。
安定した収益源の確保
ロイヤルカスタマーを獲得するメリットは、安定した収益源を確保できることです。近年ではスマートフォンが普及し、多くの情報が手に入るようになりました。こうした背景から、競合との競争が激化しています。
企業が売上を安定させるには、ロイヤルカスタマーの獲得が必要です。ロイヤルカスタマーには商品やブランドに対する愛着があり、競合他社へ流れにくいからです。
イタリアの経済学者が提唱した「パレートの法則」では「ある数値の8割は、2割の要素が生みだしている」といった考えがあります。これに当てはめると、全ての顧客のうち2割がロイヤルカスタマーであれば、売上の8割を維持できると考えられます。
こうした観点から、ロイヤルカスタマーを獲得することで単に売上を伸ばすのではなく、収益を安定化できると考えることが可能です。
口コミやリファラル(紹介)の増加
ロイヤルカスタマーを獲得するメリットとして、口コミやリファラルの増加が挙げられます。リファラルとは、「推薦」や「紹介」を意味するビジネス用語です。
ロイヤルカスタマーは商品やブランドに対する愛着が強く、自身のコミュニティで紹介することがあります。こうした口コミは企業が自ら広告を打つよりも信ぴょう性が高く、興味を持ってくれる可能性が高いです。うまく口コミが広がれば、やがて新規顧客を獲得できるでしょう。
最近では自分が購入した商品をSNSで紹介するユーザーが増えています。SNSで紹介したくなるような商品にしたり、SNSに投稿することで特典がもらえたりするような施策を取り入れることで、口コミやリファラルが広がりやすくなります。
サービス改善のためのフィードバック
サービス改善のためのフィードバックが得られることも、ロイヤルカスタマーがもたらすメリットのひとつです。
一般的な顧客は、多くの場合不満があると競合他社へ乗り換えてしまいます。そもそもフィードバックを得られず、何に対して不満があったのかすらわからないこともあるでしょう。
一方で、ロイヤルカスタマーが商品に対して不満があるからといって、簡単に競合他社へ乗り換えることは考えにくいです。商品やブランドに愛着があり、よく理解しているからこそ企業にフィードバックしてくれる場合があります。
ロイヤルカスタマーからフィードバックを獲得するには、顧客満足度アンケートが有効です。満足度や対応について質問することで、どのようなサービスが求められているのかわかります。
現状の顧客ロイヤリティを分析する方法
顧客ロイヤリティを分析する方法は、以下の通りです。
新たにロイヤルカスタマーを獲得することも重要ですが、既存顧客がどれほどロイヤリティを抱いているのかを知ることも大切です。現状の課題を知ることで、改善策が見えてくるでしょう。
既存のロイヤルカスタマーを大切にすることは、新たにロイヤルカスタマーを獲得することにつながります。ここからは、それぞれの方法について解説します。
RFM分析
RFM分析とは、以下3つの指標の頭文字を取ったマーケティング手法です。
- Recency(最終購入日)
- Frequency(購入頻度)
- Monetary(購入金額ボリューム)
上記3つの指標をもとに、「優良顧客」「新規顧客」「見込み客」「離反客」といったかたちでランク付けしていきます。
RFM分析を行うメリットは、3つの情報から直近で購入確率が高い顧客を割り出せることです。グループに分けられるため、各グループに応じて効果的な施策を実行できます。
具体的なやり方は、以下の通りです。
- 自社の課題を設定する
- 顧客データを収集する
- データの分類基準を決める
- 顧客データにランクを付けて分析する
- 施策実施後の効果を測定する
CPM分析
CPM分析とは、RFM分析の要素に「顧客の在籍期間」をプラスした4つの要素から顧客をグループにセグメントするマーケティング手法です。「Customer Portfolio Management(カスタマー・ポートフォリオ・マネジメント)」から頭文字を取って名付けられています。
CPM分析のメリットは、長期的な視点から売上に貢献する優良顧客を割り出せることです。長期的な視点でアプローチすることで、短期的な売上にしか貢献できないRFM分析のデメリットをカバーできます。
CPM分析のやり方は、以下の通りです。
- 顧客を10グループに分類する
- 顧客データ収集・分析を行う
- ナーチャリング戦略を立案して実行する
NPSの活用
NPSとは、顧客ロイヤリティを測る指標のことです。「Net Promoter Score」の略で、企業の商品やサービスについて「親しい人にどの程度おすすめするか?」といった質問を投げかけ、「0~10の11段階」で回答してもらい、数値化していきます。
NPSのメリットは、商品やサービスの今後の収益を予想する判断材料になることです。おすすめする人が多ければ、これから売れる可能性が高いと考えられます。また、自社の立ち位置も把握できるため、事業方針を決めたり、競合と比較したりできるでしょう。
NPSのやり方は、以下の通りです。
- 0~10の11段階のNPSアンケートを実施する
- 0~6の「批判者」の数を集計して割合を算出する
- 9~10の「推奨者」の数を集計して割合を算出する
- 「推奨者の割合」-「批判者の割合」を引く
- 割合(%)表記を省略した数値がNPSスコアとなる
ロイヤルカスタマーを増やす!3つの戦略・育成方法
ロイヤルカスタマーを増やすための戦略・育成方法は、以下の通りです。
ここからは、それぞれのステップについて解説します。
顧客体験を向上させる
ロイヤルカスタマーを増やすには、顧客体験の向上が大切です。特別な顧客体験を提供することで、顧客ロイヤルティの醸成を期待できます。
そのためには、顧客との接点を増やすことが大切です。具体的には、Webサイトからサポートを行ったり、チャットBOTで24時間のサポート体制を整えたりする方法があります。
ロイヤルティプログラムを導入する
ロイヤルティプログラムとは、商品やサービスに愛着を感じてもらうためLTV(顧客生涯価値)を向上させる仕組みのことです。商品の購入金額やサービスの利用回数に応じて特典を与えることで、囲い込みによって競合へ流れにくくなります。
ロイヤルティプログラムは、以下のようにさまざまな方法で活用できます。
- ポイントプログラム
- 無料特典プログラム
- 友人紹介プログラム
収集したフィードバックを活用する
ロイヤルカスタマーから収集したフィードバックは、積極的に活用していきましょう。どんな情報が欲しいのかを明確にすることで、どのチャネルからどのように収集すればいいのかを決定できます。
フィードバックを収集するための方法は、以下のようにいくつかあります。
- コンタクトセンターから得た生の声を収集する
- アンケートやインタビューを実施する
- SNSで口コミを集める
収集したデータは、テキストから分析・抽出する方法が一般的です。ほかにも、インタビューデータを音声認識でテキスト化する方法もあります。
企業のロイヤルカスタマー戦略事例を分析
企業のロイヤルカスタマー育成の成功事例として、スターバックスの事例があります。成功事例を知っておくことで、戦略立案や分析の参考となるでしょう。ぜひ成功事例についても参考にしてみてください。
スターバックス
スターバックスは「スタバ」などで知られる喫茶店チェーンです。スターバックスでは、以下のようなミッションを抱えています。
この一杯から広がる、心かよわせる瞬間、それぞれのコミュニティとともに―人と人とのつながりが生みだす無限の可能性を信じ、育みます
引用:スターバックス会社案内
家でも職場でもない「サードプレイス」を提案しており、人と人とのつながりの場を大切にしているお店です。カップにサービスで絵を描いてもらったり、飲み物を倒してしまったお客様がドリンクを作り直してもらったりしたといった声もあります。
事業や分野にもよりますが、スターバックスのような施策を取り入れることで、ロイヤルカスタマー育成になるでしょう。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
ロイヤルカスタマーとは、企業や商品、ブランドに対する愛着が強く売上にも貢献している顧客のことです。ロイヤルカスタマーを獲得することで、安定した収益源を確保できるといったメリットを得られます。
ロイヤルカスタマーを増やすには、顧客体験を向上させる必要があります。ほかにもロイヤルティプログラムを導入したり、収集したフィードバックを活用したりする方法も効果的です。ロイヤルカスタマーを増やしたい場合は、ぜひ本記事で紹介したポイントを参考にしてみてください。
もしロイヤルカスタマー戦略に関して疑問や不安がある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイトのマーケティング立案をサポートしています。お客様の事業に合わせてご提案いたしますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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