2024.07.04
ECで重要な仕事「検品」とはどんな作業?メリットやデメリット、課題を解説
ECビジネスで商品をユーザーに届ける前に行われる検品は、シンプルながらも品質管理には欠かせない業務です。
しかし、検品について具体的なイメージが湧かない担当者の方もいるでしょう。
そこで今回は、検品についての作業フローや重要性について解説します。
検品の必要性や課題解決のポイントも紹介しているので、ぜひ自社の物流作業に活かしてみてください。
目次
検品とは?
検品は、商品や製品を納品する際に大きさや質、個数などが合っているかを確認する作業です。
入荷に限らず出荷の際も行われ、傷が付いていないか、数が合っているかなどを検査します。
検品の質が低かったり基準が曖昧になっていたりすると、破損しているものや個数が間違っているものなどが消費者の元に届いてしまうため、クレームの原因にもなってしまいます。
そのため、正確性が求められる作業です。
検品の具体的な仕事の種類
検品の仕事は主に以下のふたつがあります。
商品が送られてきたときに行う入荷検品と出庫するときの出荷検品は、どちらも非常に大切な作業になるため、特徴をしっかりとおさえておきましょう。
入荷検品
入荷検品は、商品が倉庫に入荷してきたときに行う作業です。
伝票に書かれている内容と納品書を照らし合わせながら、記載内容と商品の品番が間違っていないか、汚れや破損がないかなどをチェックしていきます。
また、製品がちゃんと機能するかどうかも合わせて確認します。
入荷検品で商品の欠陥や傷を見落とすと納品が遅れる原因になってしまうため、丁寧に行うことが重要です。
出荷検品
出荷検品は、商品を倉庫から出荷する前に実施する工程です。
注文書を見ながら、注文通りの数量になっているかや不良品がないかを確認していきます。
賞味期限や消費期限がある食品や医薬品などを扱う場合は、日付の確認も欠かさずに行う必要があります。
出荷の時点で間違いや見落としがあると搬送先に迷惑がかかるだけでなく、信頼を失うかもしれません。
そのため、カテゴリごとに分けたりルールを決めたりしておくなどの工夫がポイントです。
EC物流の具体的な作業フロー
EC物流における作業フローには、以下の工程が含まれます。
- 入荷
- 入荷検品
- 保管
- ピッキング
- 出荷検品
- 梱包
- 出荷
まず、商品が入荷されてきたら検品をして、発注書通りの物が正しい数量で入っているか、破損部分や汚れはないかなどを検査します。
検品が終わったら、商品を棚に入れて保管します。
扱う商材に合わせて倉庫は適切な温度や湿度に設定されており、出荷するまでは所定の位置で保管しておくことが大切です。
保管体制が適当だとピッキングがスムーズに行えなかったり商品が劣化したりするので、十分注意しましょう。
注文を受けたら出荷指示書を見ながらピッキング作業に移ります。このとき、指示書通りの商品で間違いないかなどをチェックします。
検品が完了したら、最後は梱包して発送です。配達先を確認したり伝票シールを貼ったりして最終確認を怠らないようにしましょう。
検品作業の重要性
検品作業が重要視される理由は、次の3点です。
どれもECサイトを運営していくうえで欠かせない要素になるため、検品を丁寧に行うことはファンの獲得やブランドのイメージアップにも繋がります。
品質管理の向上
流通の過程では、予期せぬ不具合が起こって商品が劣化したり異物混入が起きたりする可能性があります。
そのため、検品で製品を改めて検査するのが重要になるのです。
傷や汚れ、不良品などが混ざっていると商品のクオリティが下がってブランドのイメージ低下にも影響します。
いくらサイトやSNSでブランディングを行っていても、実際の商品の質が悪ければ意味がありません。
検品でチェックや管理体制をしっかりと整えておくことで品質の良し悪しをチェックできるだけでなく、自社製品であれば、万が一ミスがあった場合に出荷する前に発見できます。
会社全体で品質管理の向上に努めることが、製品のクオリティを保つことに繋がります。
顧客満足度の向上
会社にとっては数ある製品のうちのひとつでも、購入者にとっては「買った商品の状態=会社の評価」です。
仮に不良品や機能しない商品が消費者に届いてしまった場合、ユーザーが以後同じブランドで買い物をすることは、ほぼないでしょう。それほど、マイナスなイメージを払拭するのは難しく時間もかかるのです。
また、何かしら問題のある商品をユーザーから回収したり交換したりするのは、時間もコストもかかります。
そのため、商品が発送される前の検品の段階でミスや問題を発見しておくことが大切です。
常に品質の高いものを適切に発送することで、顧客満足度や会社の評判が向上し、新規顧客やリピーターの獲得に繋がります。
コストの削減
商品の個数がユーザーの注文内容と合っていなかったり発送ミスが起きたりすると、返品や交換などの対応にコストがかかってしまいます。
しかし、検品でミスを発見していると、エラーの回収にかかる費用が発生せずに済むため、徹底的に検査することが重要なのです。
また、2024年からはトラック事業の働き方改革によって、労働時間は制限されるようになりました。
1日の拘束時間や連続運転時間などの規定が変更されたことにより、全国で「約35%の荷物が運べなくなる」と言われています。
もし発送ミスが起きると新しい商品をユーザーに届けるまでにさらに時間がかかると見られるので、検品を通してエラーを防げるかどうかがポイントになるでしょう。
検品の課題
一方で検品には課題も存在します。
課題に対してどう対応しながら事業を進めていくかが、運営を左右するポイントになるでしょう。
人手や人件費がかかる
検品はミスができない作業であり、人手をかけて厳重にチェックする必要がありますが、その分多くの人数を確保しなければなりません。
近年はさまざまな業界で人手不足が問題になってきていることに加え、EC事業は多くの商品を取り扱っているサイトが多いので、商品の量や受注数に対して十分な従業員数を雇えていないケースもあります。
人手が少ないと一人ひとりにかかる負担が大きくなり、出荷が遅れたりミスが発生したりする懸念も発生します。
人員が不足している場合は外部に委託する方法もありますが、自社で雇うよりも人件費が高くなってしまうこともあり、デメリットになりかねません。
ヒューマンエラーが起こりやすい
人の手で作業をする以上、ミスは起こるものです。
特に目で行うチェックでは、見た目が似ている商品や数字の見間違いなどのミスが起こりやすいです。
新人であればミスは起きてしまいますし、慣れている人でも長時間労働や疲労からエラーを起こしてしまうことは避けられません。
機械ではなく人が行う際は「ミスは起きてしまうもの」と考え、エラーを最小限におさえるためにどのような対策を行うかが大切になります。
設備投資に費用がかかる
バーコードを読み取れる端末や倉庫を管理できるシステムなどは、作業の効率化だけでなくミスを減らすことにも繋がります。
しかし、こうした設備の投資にも費用はかかります。
事業の立ち上げ当初は経営がうまくいく保証もないため、赤字になる可能性もあり、設備にかかるコストが経営を圧迫することもあるでしょう。
また、設備投資は売り上げに直接関係する項目ではないため、導入されていない場合はどうしても後回しにされる可能性もあります。
そのため、最初は人による検品を行い、事業が軌道に乗ってきたら設備を導入していくなどの工夫が必要です。
検品の課題を解決するためのポイント
では、検品の課題を解決するためのポイントを4つご紹介します。
作業を効率よく進めたりコストを削減したりするためにも、色々な取り組みやアイデアを知って業務に活かしてみましょう。
ルールやマニュアルを作成する
業務時のルールや作業のマニュアルを作成することで、効率的に作業が進められるようになります。
現場の現状を確認したり社員に話を聞いたりしながら、「工程が複雑化していないか」「入荷から検品までがスムーズにできる導線になっているか」などをチェックしましょう。
工程数が多いと作業が複雑になってしまいがちなので、ひとつひとつの作業をシンプルにすることでわかりやすくなります。
また、チェックリストを作って作業中に確認できるリストがあると、ミスの削減にも繋がるでしょう。
マニュアルを作成したら社員全員が見れるように資料化するだけでなく、動画でいつでも確認しておけるようにするのもおすすめです。
人材の配置を見直す
人材の配置を見直すことは、コストの削減にも繋がります。
検品は同じ作業を繰り返すだけでなく、異変や不良品を見逃さないことが大事です。そのため、同じことを続けられる人や細かい作業ができる人、几帳面な人が向いています。
また、長時間の作業になることもあるので、集中力が持続できるかもポイントです。
それぞれの工程に適した人を配置することで、コストを抑えたり業務をスムーズにしたりできるため、面接でその人の特徴を見極められるかが大切になります。
得意なことを聞いたり性格診断テストなどを実施したりして、検品により適した人材の採用を目指していくことが重要です。
作業を外注化(アウトソーシング)する
検品の作業を外部に委託するのもひとつの方法です。
検品を請け負っている会社は検品に関するノウハウや起こりやすいミス、効率的な運用体制を熟知しているため、ミスを防げるだけでなく、検品のクオリティも上がります。
また、自社でやる場合は繁忙期に人材を多く確保したり閑散期には抑えたりと、人員の調整が難しいですが、外注することで担当者の育成をする手間も省けます。
設備導入に必要なコストも抑えられるので、浮いた費用や時間を他の業務に当てることも可能です。
ただし、外注する費用は高くなりがちなので、事前にしっかりと計算しておきましょう。自社にノウハウが蓄積されない点にも注意が必要です。
在庫管理のデジタル化を進める
紙の台帳で作業や在庫管理をしている場合は、デジタル化を進めることで作業効率をアップできます。
例えば、在庫管理にバーコードとそれを読み取るハンディターミナルを使用することで、目視で確認したり手書きで紙に書いたりするよりも確実に検品ができるようになります。
また、WMSと呼ばれる在庫管理システムは、倉庫にある在庫や入荷・出荷データ、ラベルの発行、返品などをまとめて管理できるシステムです。
リアルタイムで確認できるため、作業が効率良くなるだけでなく、管理者の負担も減らすことに繋がります。
システムを導入するには費用がかかりますが、長期的な目で見ればミスや業務にかかる時間を減らしたりできるので、ぜひ検討してみましょう。
ECサイトの運営に不安のある方はご相談ください
検品は、欠陥品や間違った商品が消費者に届いてしまうのを防ぐ大切な仕事です。
ECサイトの商品の質やブランドのイメージも左右するため、丁寧で質の高い検品が求められます。
ミスが起こると顧客満足度も下がってしまい、リピーターや新規ユーザーの獲得が難しくなってしまうので注意が必要です。
マニュアルを作成したりデジタルツールを活用したりして、スムーズな検品を目指していきましょう。
テクノデジタルでは、ECサイトの運営に関してさまざまなニーズに合わせたサポートをしております。
事業に関して何かお困りの方は、お気軽にお問合せください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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