2024.05.01
ECサイトに必要なセキュリティ対策は?目的や原因もわかりやすく解説
ECサイトを運営している方には「ECサイトにはどんなセキュリティ対策が必要なの?」といった疑問があるのではないでしょうか。また、自社ECサイトのセキュリティ強化を検討している方もいるかもしれません。
本記事では、ECサイトに必要なセキュリティ対策について解説します。ほかにも、セキュリティ事故の原因についても触れていきます。本記事を読むことで、ECサイトにセキュリティ対策が必要な理由や対策について理解できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ECサイトのセキュリティ対策の重要性
- ECサイトのセキュリティ対策の目的
- ECサイトに必要なセキュリティ対策
目次
ECサイトのセキュリティ対策の重要性と目的
ECサイトのセキュリティ対策が重要な理由は、ユーザーから信頼されるECサイトであるためには、セキュリティ対策が万全でなくてはならないからです。
ECサイトでは機密情報の漏洩や個人情報の流出などのトラブルに巻き込まれる危険性があります。もし、セキュリティ事故が発生すると、損害賠償やブランドイメージの低下、ECサイト自体の閉鎖につながってしまうでしょう。
ECサイトが狙われやすい理由
ECサイトが狙われやすい理由として、以下のように3つ挙げられます。
- 個人情報を大量に保持している
- セキュリティ対策が不十分なことが多い
- 多様なシステムと連携している
ECサイトでは大量の個人情報を取り扱っています。個人情報を悪用されると、特定されたり、クレジットカードを不正利用されたりする危険性があるでしょう。中にはセキュリティ対策が不十分なECサイトも存在するため、標的になることがあります。
また、ECサイトはほかのWebサイトに比べて、多様なシステムと連携しています。在庫管理や発送管理、決済システムなど別々のシステムを取り入れるほど、セキュリティの脆弱性が狙われるのです。
以上の理由から、ECサイトはほかのWebサイトに比べて狙われやすいです。
ECサイトのセキュリティ事故の原因
ECサイトのセキュリティ事故の原因として、主に以下が挙げられます。
セキュリティ事故の原因を知ることで、意識的に対策方法に取り組めるようになるでしょう。具体策を知る前に、必ずチェックしておくことが大切です。
ここからは、それぞれの原因について解説します。
外部からの攻撃
ECサイトでセキュリティ事故が起こる原因の一つとして、ウイルス感染や不正アクセスなどの外部からの攻撃があります。
ECサイトではさまざまな個人情報を取り扱っており、情報を盗んで悪用しようとする人がいます。外部からの攻撃を受けると、クレジットカード情報を含む個人情報の漏洩が起こることもあります。
人的ミス
ECサイトでセキュリティ事故が起こる原因の2つ目に、人的ミスによる情報漏洩が挙げられます。人的ミスとして、以下の事例が挙げられます。
- 誤って外部の人にデータを送信してしまう
- 誤操作でデータを削除してしまう
- 個人情報を含んだUSBを社外に持ち出して紛失してしまう
こうした人的ミスが発生する原因はさまざまです。たとえば、スキル不足や疲労によることもあれば、危機管理の甘さによって発生することがあるでしょう。
人為的ミスを防止するには、原因が発生しないような体制や仕組みが必要です。
内部不正
人的ミスではなく、内部からの悪意のある情報流出もセキュリティ事故につながってしまいます。内部不正には、以下のような事例があります。
- 社内から情報を持ち出して競合他社へ流出させる
- 転売目的で顧客情報を流出させる
内部不正を防止するには、個人情報の取り扱いに権限を付与したり、セキュリティポリシーを見直したりする工夫が必要です。
ECサイトのセキュリティ対策の方法
ECサイトのセキュリティ対策は、大きく構築時と運用時のものに分けられます。すでに構築済みの場合は運用でできる対策を優先し、リニューアルの際に構築時に行うセキュリティ対策を取り入れてみましょう。
ここからは、それぞれのセキュリティ対策について解説します。
脆弱性診断やセキュリティリスクの把握
ECサイトのセキュリティ対策で重要なことは、脆弱性診断やセキュリティリスクを把握しておくことです。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開しました。その上で、ECサイトの公開前とカスタマイズを行った際、そして定期的に脆弱性診断を実施すべきだと広めています。
さらに、経済産業省では2024年末を目処に脆弱性診断を義務化する方針を固めています。こうした背景から、脆弱性診断を実施して自社サイトのセキュリティリスクを知ることは重要です。
セキュリティ教育の実施と徹底
セキュリティ事故の要因を解消する方法として、セキュリティ教育があります。セキュリティ事故は現場のスタッフの知識不足や不注意によって発生することがあるからです。
そこでセキュリティ教育として、以下の項目があります。
- パスワード管理
- メール誤送信予防
- バックアップの実施
- ウイルス対策
- 内部不正による情報漏えいの防止
- Wi-Fiや公衆無線LANの利用
このように、内部対策を徹底することでセキュリティ事故のリスクを軽減できるため、必ず実施を徹底させましょう。
セキュリティポリシーの策定と周知
内部不正や外部攻撃を防ぐためには、セキュリティポリシーの策定と周知も有効な手段です。セキュリティポリシーとは、企業がセキュリティを向上させるために設けたルールや規定のことです。
社内でルールを作って従業員を教育することで内部不正や外部攻撃を防止できるでしょう。ルールを決める際は、個人情報の保管方法や取り扱い方や情報機器の使用制限についても触れると良いです。
セキュリティ対策のサービスの導入
セキュリティ対策の一環として、セキュリティ対策サービスの導入も検討しましょう。
従業員を教育したり社内で規定を設けたりすることも重要ですが、自社ですべてのセキュリティ脅威に対応するのは難しいです。そこで、以下のようなセキュリティ対策サービスを利用することで、精度を高められます。
- WAF
- ウイルス対策ソフト
- 侵入防御システム(IPS)
- 侵入検知システム(IDS)
- ログ管理システム
クレジットカード番号の非保持化
クレジットカード情報の漏洩を防ぐには、クレジットカード番号の非保持化もぜひ行いたい対策です。クレジットカード番号の非保持化とは、自社ネットワーク内でカード情報を処理・保存しない仕組みのことです。
非保持化することにより、サーバーにデータが保持されません。根本的に仕組みを変えることにより、セキュリティリスクが低減します。
PCI DSSへの準拠
クレジットカード情報を取り扱うECサイトにとって、PCI DSSへの準拠も重要なセキュリティ対策です。
PCI DSSとは「Payment Card Industry Data Security Standard」の略称で、国際的なカードブランドが共同で策定した国際セキュリティ基準のことです。これは400の要求事項から成り立ち、取得には全ての条件をクリアする必要があります。
取得費用や取得難易度が高いため優先度は低い対策ですが、取得によってセキュリティ対策を行っていることをアピールできます。
クレジットカードの決済代行会社の利用
セキュリティ対策を含めて業務効率化したい場合は、クレジットカードの決済代行会社を利用することも考えましょう。
決済代行会社とは、ECサイト事業者の代わりに、決済機関との契約手続きや決済処理、入金を行ってくれる会社のことです。
決済代行会社に委託することにより、上記でも触れたクレジットカードの非保持化にも対応できます。
アクセス権限の厳格化
アクセス権限の管理やルールを徹底し、厳格化することもセキュリティ対策の一つです。誰でもアクセスできるようでは、機密情報が外部に漏れる可能性があるからです。
そこで具体策として、ログインできる人を制限することはもちろん、管理画面のアクセス権限を業務単位で割り振ることも効果的です。ほかにも、IPアドレス制限や端末制限なども有効な手段です。
ASPカートの利用
これからECサイトを構築する場合は、オープンソースや自社開発ではなくASPカートの利用も検討しましょう。ASPカートとは、ネットショップに必要な機能があらかじめ準備されているサービスのことです。
そのため、ECサイトにあるべきセキュリティ機能も備わっています。たとえば、サイト全体を暗号化する「常時SSL化」やクレジットカード番号を別の文字列に置き換えて決済する「トークン決済」などが採用されています。
ASPカートを導入すれば自社でシステム保守を行わなくてよいため、セキュリティ対策を実現できます。
定期的なシステムアップデート
セキュリティ対策のためにも、定期的なシステムアップデートも欠かさず行いましょう。
外部サービスを利用していると、セキュリティの脆弱性を解消するためにアップデートが行われます。アップデートしないまま利用していると、こうした脆弱性を狙って攻撃される可能性があります。
ほかにも、サーバーやOSを含めた周辺機器も定期的にアップデートすることが大切です。
インシデント発生時の対応フローの策定
セキュリティインシデントが発生した際の対応や、復旧のフローを策定しておくとスピーディに対応できるでしょう。情報処理推進機構 (IPA)では、以下6つのステップを推奨しています。
- 発見・報告
- 初動対応
- 調査
- 通知・報告・公表など
- 抑制措置と復旧
- 事後対応
上記のフローを参考にし、被害や影響範囲を軽減し、迅速な対応ができるようセキュリティ担当者や緊急連絡先を決めておくとよいでしょう。
フィッシング詐欺対策
セキュリティ対策の一環として、フィッシング詐欺への対策も必ず行っておきましょう。フィッシング詐欺とは、偽サイトによってユーザーのIDやパスワード、クレジットカード情報を入力させて盗む詐欺行為です。
フィッシング対策協議会によると、2023年下期におけるフィッシングメールの報告件数は2020年上期の約10倍になっていると報告されています。
出典:2023/10 フィッシング報告状況|フィッシング対策協議会
こうした事情から、フィッシング詐欺対策への対応も必要です。
サイバー保険への加入
万が一のトラブルに備えて、サイバー保険へ加入しておくと安心です。セキュリティ対策をしっかりと行っていても、完全に防げるとは限りません。
サイバー保険とは、サーバーリスクによって発生した事故に対して損害の補償をする保険のことです。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)も、被害発生前から加入することを推奨しています。
外部委託先のセキュリティレベルの確認
ECサイトの開発や構築を外部に委託している場合は、委託先のセキュリティレベルを確認しておきましょう。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定めた「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」にも、以下のように記載があると記載されています。
自社に人材がおらず、外部委託先の活用によりECサイトを自社構築する場合は、セキュリティ構築および運用に関する対策要件の実施を外部委託先に遵守させる
引用:ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン
(中略)
また、外部委託先に依頼する対策が、契約書に盛り込まれていることを必ず確認する
そして契約書には、委託先の責任や実施すべき対策などを含めたセキュリティ関連の内容を記載しましょう。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
顧客から信頼されるECサイトであるためには、セキュリティ対策は必須です。セキュリティ対策は外部からの攻撃から守るだけでなく、内部不正や人的ミスの発生を防ぐ役割もあります。セキュリティ対策を実施する際は、本記事で紹介したポイントを取り入れてください。
運営中のECサイトはもちろん、これから構築するECサイトに関するセキュリティ対策についても、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイトの構築や運営サポートを行っています。お気軽にお問い合わせください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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