2024.03.26
【2024年最新】ECサイトに使える3つの補助金は?IT導入補助金2024は対象外に
ECサイトの立ち上げやリニューアルを検討している方の中には、「補助金を活用したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。ほかにも、「どのような補助金があるのかを知りたい」と探している方もいるかもしれません。
本記事では、ECサイトに使える補助金について紹介します。本記事を読むことで、自社のECサイトやホームページで利用できる補助金が見つけられるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
※本記事で提示する内容は2024年3月時点の情報です。申請条件やスケジュールが変更される可能性があるため、最新情報は必ず各補助金の公式サイトを確認してください。なお、対象となる事業者や経費の例は公募要領で細かく定められているので、そちらもあわせて確認するようにしましょう。
この記事でわかること
- ECサイトに使える3つの補助金
- 補助金の対象費用
- 補助金の対象要件
- 補助金の申請方法
目次
ECサイトの補助金に使える制度の一覧
ECサイトの補助金に使える制度の一覧は、以下の通りです。
- 事業再構築補助金(2024年からは中小企業省力化投資補助事業に再編)
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
これらの補助金を活用することで、ECサイトの構築やリニューアルにかかる費用を支援してもらえます。
ただし、補助金を利用するには書類作成や準備に手間がかかり、誰でも受け取れるわけではありません。そのため、あらかじめ自社が補助金を受け取れるのか、どのように申請するのかなどをあらかじめチェックしておきましょう。
ここからは、それぞれの補助金制度について解説します。
【注意】IT導入補助金2024からECサイト制作は対象外に
IT導入補助金2024ですが、ECサイトは対象外になっているため要注意です。
IT導入補助金とは、各事業のデジタル化を支援するために設けられた制度です。かつては「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠」と3つの枠がありました。これまではデジタル化基盤導入枠にてECサイト制作における申請が可能でした。
ところが、2024年からはデジタル化基盤導入枠が排除されるため、ECサイト制作が対象外となっています。そしてデジタル化基盤導入枠と入れ替わるかたちで、「インボイス枠」が新設されています。
事業再構築補助金(2024年からは中小企業省力化投資補助事業に大幅再編)
事業再構築補助金とは、日本経済の構造転換を促すことを目的に、中小企業等の事業再構築を支援するために設けられた制度です。新型コロナウイルスの影響で需要や売り上げの回復が期待しづらい状況で、こうした経済社会の変化に対応しようとした意図があります。
令和6年も継続予定ではありますが、「事業・業種転換、事業再編といった企業の思い切った事業再構築の支援については見直しを行う」とされています。
また、名称も「中小企業省力化投資補助事業」と変更になり、予算が令和5年の1/6程度になっています。こうした変化から、採択者数の減少が見込まれます。
なお、採択後も3か月に1回程度のモニタリングを実施されるなど、従来のものより厳格化する可能性が高いです。
2023年までの対象要件
参考までに、2023年の事業再構築補助金の必須申請要件を紹介します。申請要件には、下記の2つが含まれていました。
- 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
- 付加価値額を向上させること
1つ目については、事業再構築指針を元に事業計画を作成し、支援機関の確認を受けることを条件としています。
2つ目は、補助事業終了後に「3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%」または「従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%」以上増加させることが条件です。
なお、事業再構築補助金には「成長枠」や「グリーン成長枠」などいくつかの枠がありましたが、飲食料品小売EC業の場合は「成長枠」を、それ以外は「物価高騰対策・回復再生応援枠」にて申請を行う必要がありました。
成長枠
成長枠とは、成長分野に向けて大胆な事業再構築に取り組んでいる事業者を対象としたものです。こちらでは、最大7,000万円まで支援を受けられました。
成長枠では、対象となる業種・業態が決まっています。2023年2月末時点では、ECサイト事業で対象となっているのは飲食料品小売EC業(BtoC)のみでした。
なお、下記のように飲食料品小売EC業以外も対象になり得る可能性はありましたが、事業者からは申請できませんでした。
また、指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨データを提出し、認められた場合には、対象となり得ます。(過去の公募回で認められた業種・業態については、その後の公募回では指定業種として公表します。)
引用:成長枠の対象となる業種・業態の一覧|事業再構築補助金
上記の場合、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していることも条件になっていました。
物価高騰対策・回復再生応援枠
物価高騰対策・回復再生応援枠とは、コロナや物価高の影響を受けて業況が厳しい事業者に対する支援枠です。「回復・再生応援枠」と「緊急対策枠」を統合するかたちで新設されました。
物価高騰対策・回復再生応援枠に応募するには、「2023年までの対象要件」に加えて、下記の申請要件を満たす必要がありました。
- 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019~2021年と比較しての同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 中小企業活性化協議会等から支援を受け、再生計画等を策定していること
なお、対象者については以下の通りです。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 1,000万円 | 【中小企業】2/3 (従業員数5人以下の場合400万円 従業員数6~20人の場合600万円、 従業員数21~50人の場合は800万円 従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4) 【中堅企業】1/2 (従業員数5人以下の場合400万円 従業員数6~20人の場合600万円 従業員数21~50人の場合は800万円 従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3) |
6~20人 | 1,500万円 | |
21~50人 | 2,000万円 | |
51人以上 | 3,000万円 |
要件に当てはまる場合は、ECサイト構築で補助を受けられました。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、日本商工会議所が提供している補助金制度です。数人〜20人以下の小規模事業者に対して、販路開拓や生産性向上の取り組みを支援するために設けられました。
小規模事業者持続化補助金には、「通常枠」と「特別枠」が設けられていますが、ECサイト構築や更新費については「通常枠」での申請になります。
対象費用
補助対象経費科目には、下記の通り10種類あります。
補助対象経費科目 | 活用事例 |
---|---|
①機械装置等費 | 補助事業の遂行に必要な製造装置の購入等 |
②広報費 | 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等 |
③ウェブサイト関連費 | ウェブサイトやECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用に係る経費 |
④展示会等出展費 | 展示会・商談会の出展料等 |
⑤旅費 | 販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費 |
⑥新商品開発費 | 新商品の試作品開発等に伴う経費 |
⑦資料購入費 | 補助事業に関連する資料・図書の購入費用等 |
⑧借料 | 機器・設備等のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの) |
⑨設備処分費 | 新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等 |
⑩委託・外注費 | 店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼(契約必須) |
上記のうち、ECサイトの開発や構築は「③ウェブサイト関連費」に該当します。ただし、申請には、以下の条件があります。
- 補助金交付申請額及び交付すべき補助金の額の確定時に認められる補助金総額の1/4(最大50万円)を上限とする
- ウェブサイト関連費のみによる申請はできない
ウェブサイト関連費の対象になる経費とは、以下のような例です。
- 開発費
- 構築費
- 更新費
- 改修費
- 運用費
対象要件
小規模事業者持続化補助金の対象要件は、以下の通りです。
補助対象者
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数 5人以下 |
---|---|
宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数20人以下 |
出典:小規模事業者持続化補助金
対象要件
資本金・出資金 | 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ) |
---|---|
課税所得の年平均額 | 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと |
事業エリア | 商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること。 |
申請の受領 | 持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、原則本補助金の申請までに受領されたものであること。 |
事業者の対象 | 「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと。 |
出典:小規模事業者持続化補助金
申請方法
小規模事業者持続化補助金の申請時に必要な書類は、以下の通りです。
書類名 | 法人 | 個人 | NPO |
---|---|---|---|
小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書 (電子申請の場合は不要) |
〇 | 〇 | 〇 |
経営計画書兼補助事業計画書① | 〇 | 〇 | 〇 |
補助事業計画書② | 〇 | 〇 | 〇 |
事業支援計画書 | 〇 | 〇 | 〇 |
補助金交付申請書 (郵送による申請の場合は必要) |
〇 | 〇 | 〇 |
宣誓・同意書 | 〇 | 〇 | 〇 |
電子媒体 | 〇 | 〇 | 〇 |
貸借対照表および損益計算書(直近1期分) | 〇 | ー | ー |
株主名簿(該当者のみ) | 〇 | ー | ー |
直近の確定申告書 【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)または第一表及び第二表及び所得税青色申告決算書(1~4面)】(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの) |
ー | 〇 | ー |
貸借対照表および活動計算書(直近1期分) | ー | ー | 〇 |
現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書 (申請書の提出日から3か月以内の日付のもの(原本)) |
ー | ー | 〇 |
法人税確定申告書 (別表一(受付印のある用紙)および別表四(所得の簡易計算))(直近1期分) |
ー | ー | 〇 |
出典:小規模事業者持続化補助金<一般型> 第15回公募 応募時提出資料・様式集
申請方法は、以下の通りです。
- 申請手続き
- 採択・交付決定
- 補助事業の実施
- 実績報告書の提出
- 確定検査・補助金額の確定
- 補助金の請求・入金
- 事業効果報告
なお、スケジュールが公開されている第15回公募は受付が締め切られています(2024年3月18日時点)。次回は第16回公募であり、公開され次第スケジュールを確認しましょう。
なお、小規模事業者持続化補助金は電子申請も可能ですが、その際には発行まで2週間程度かかる「GビズIDアカウント」が必要になる点に注意しましょう。申請はパソコンからだけでなく、スマートフォンからも可能です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者を対象に革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を支援する制度です。働き方改革などの変化に対応できるよう、設けられました。
対象費用
ECサイトで補助を受ける場合は、以下のものがに当てはまるものが対象となります。
- 機械装置・システム構築費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
ECサイトでものづくり補助金が採択された例として、以下が挙げられます。
事業者名 | 事業計画名 |
---|---|
株式会社ONE CRUISE | 北海道の食に関わる中小企業の海外展開を実現する面的支援プログラム |
株式会社プレイノベーション | 中小企業群の生産性向上に向けた面的DX推進プログラム構築・提供事業 |
株式会社ケイズデザインラボ | 3Dプリント製造による小ロット生産の確立と普及支援事業 |
出典:令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 〔ビジネスモデル構築型4次公募〕採択案件一覧
対象要件
ものづくり補助金の補助対象者は、以下の通りです。
- 中小企業者(組合関連以外)
- 中小企業者(組合・法人関連)
- 小規模企業者・小規模事業者
- 特定事業者の一部
- 特定非営利活動法人
- 社会福祉法人
なお、公募要領には補助対象外になる事業者についても詳しく記載されています。詳細については、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版」をご確認ください。
申請方法
申請時に必要な書類は、以下の通りです。
- 事業計画書
- 補助経費に関する誓約書【様式1】
- 賃金引上げ計画の誓約書【様式2】
- 決算書等
- 従業員数の確認資料
- 労働者名簿
- その他
申請の流れは、以下のようになります。
- GビズIDプライムアカウントの取得
- 交付申請
- 補助事業実施
- 確定検査
- 補助金の請求
- 補助金の支払い
- 事業化状況報告
最新の公募スケジュールは、以下の通りです。
公募開始日 | 令和6年1月31日(水) 17時 |
---|---|
申請開始日 | 令和6年3月11日(月) 17時 |
申請締切日 | 令和6年3月27日(水) 17時 |
なお申請に際して、小規模事業者持続化補助金と同様に事前に「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要になります。
各自治体の補助金を活用する方法も
自治体の中には、ECサイト構築に活用できる補助金制度を展開しているところもあります。
中にはECサイトに特化したものもあるので、対象事業者と要件を確認して活用しましょう。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
ECサイト立ち上げやリニューアルはコストがかかる施策です。補助金を活用することで、コストを抑えながら取り組むことができます。
ただし、IT導入補助金2024からECサイト制作は対象外になりました。補助金制度は随時条件や内容が変更されるため、申請の際は必ず公式サイトを確認しましょう。
もしECサイト制作やリニューアルについてお悩みがある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイト開発からECモール出店、またリリース後の運用サポートを行っています。ぜひお気軽にご連絡ください。
投稿者
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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