2024.03.26
オムニチャネルとは?注目される理由やメリットデメリットをわかりやすく解説
ECサイト運営者・担当者の中には、「オムニチャネルの意味や他の類似の違いが分からない」と考えている方もいるのではないでしょうか。ほかにも、オムニチャネル化のメリットやデメリットについて知りたい方もいるかもしれません。
本記事では、オムニチャネルの意味や類語との違いについて解説します。後半では、メリット・デメリット、オムニチャネルの成功事例についても触れていきます。本記事を読むことで、オムニチャネルをどのように販売戦略に取り入れればいいのかが分かるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- オムニチャネルの意味・類語との違い
- メリット・デメリット
- オムニチャネルの成功事例
目次
オムニチャネルとは
オムニチャネルとは、販売経路や企業とユーザーの接点となるチャネルを連携させることで、効果的にユーザーにアプローチする方法のことです。
オムニチャネルはラテン語の「オムニ」を語源としていて、「すべてのチャネルを統合する」といった意味を持ちます。つまり、複数のチャネルを繋げるのではなく、すべてのチャネルを網羅することを目指しているのが、オムニチャネルの特徴です。
オムニチャネルに含まれるチャネルとして、以下のようなものが挙げられます。
- 実店舗
- ECサイト
- メールマガジン
- テレアポ
- SNS
たとえば、ある顧客が店舗で商品を購入しようとしましたが、自分が欲しい色がなかったとします。そこで店員にタブレットでネットショップの在庫を確認し、その場で決済して後日自宅に商品が届くように対応します。
このように、オムニチャネルではチャネルを問わず一貫したサービスを受けられます。
オムニチャネルとマルチチャネルの違い
オムニチャネルとマルチチャネルの違いは、「実店舗とECサイトを連携するかどうか」にあります。
オムニチャネルは、ECサイトを含めた全てのチャネルを繋ぐ施策です。そのため、品質の高い購買体験を提供するため、実店舗とECサイトを連携させます。
一方で、マルチチャネルは販売経路が複数存在しているだけで、連携している訳ではありません。そのため、店舗で商品を探しても欲しい色味がないため、ECサイトで購入するなどの購買体験が発生します。
オムニチャネルとクロスチャネルの違い
オムニチャネルとクロスチャネルの違いは、「サービスに一貫性があるかどうか」にあります。
オムニチャネルの特徴は、複数のチャネルを統合し、かつ一貫したサービスになっていることです。そのため、店舗に行ってその場で購入できない商品があったとしても、ECサイトから購入して後日店舗で受け取るなどの体験ができます。
一方で、クロスチャネルとは、複数のチャネルを統合し顧客情報を一元管理したものです。ただ、複数のチャネルが統合してはいるものの、一貫性があるとは限りません。そのため、店舗に無い商品は、ECサイトで購入することとなります。
オムニチャネルとO2Oの違い
オムニチャネルとO2Oの違いは、「誘導があるかどうか」にあります。
O2Oとは「Online to Offline」という施策で、オンラインからオフライン、またはその逆へ誘導する施策です。そのため、SNSで実店舗へと誘導する施策を行ったり、投稿を共有することで実店舗で使えるクーポンを配布したりします。
一方で、オムニチャネルはオンラインとオフラインは繋がっていますが、誘導はしません。つまり、どのチャネルを利用するのかは、顧客に委ねています。
オムニチャネルとOMOの違い
オムニチャネルとOMOの違いは、「オンラインとオフラインを区別するかどうか」にあります。
OMOとは「Online Merges with Offline」と言い、オンラインとオフラインを統合する施策のことです。その例として、中国の無人コンビニが挙げられます。OMOでは商品を購入した情報が、個人IDに紐づいてオフラインの情報とオンラインの情報が繋げられます。
ただ、OMOではオンラインとオフラインを統合することが目的にあるため、このデータが区別されないことがあります。
一方で、オムニチャネルはオンラインとオフラインのデータを統合しつつ、それぞれの体験を区別しています。
オムニチャネルが注目される理由
オムニチャネルが注目される理由は、スマートフォンの登場によって消費者行動が変化したからです。
スマートフォンが普及したことにより、気になる情報はすぐに調べられるようになりました。その結果、スマートフォンから商品を検索し、値段を比較しながら購入することが一般的になりました。
また、SNSの普及によってブランディングや認知拡大の方法が多様化し、ECサイトから購入する人が増えたという背景もあります。
こうした背景から、消費者の行動に合わせて販売ルートを用意することが、顧客満足度の向上につながります。オムニチャネルを取り入れることによって、こうした販売戦略が可能になるのです。
オムニチャネルのメリット
オムニチャネルには、以下のようなメリットがあります。
- 顧客満足度の向上
- 顧客データの分析がしやすい
- コスト削減や業務効率化
ここからは、それぞれのメリットについて解説します。
顧客満足度の向上
オムニチャネル化のメリットは、オンライン(ネットショップ)とオフライン(実店舗)を連携することで顧客側の利便性が高まり顧客満足度につながることです。
実店舗に在庫を取り寄せたり、実店舗で見た商品をネットショップで購入したりできることにより、顧客体験が向上します。
顧客満足度が高まれば、リピーターを獲得しやすくなります。さらに売上が安定したり、向上したりするため、効果的な施策です。
顧客データの分析がしやすい
オムニチャネルのメリットとして、顧客データ分析が充実することが挙げられます。その理由は、チャネルごとにデータを統合して管理できるからです。
たとえば、ECサイトには顧客情報と購入履歴があります。こうした情報を活用することで、ユーザー属性ごとにどのような商品を購入しているのか、傾向を掴めるでしょう。
このようなデータを活用することで、どのチャネルでも顧客ごとに一貫したマーケティングを行えるため、機会損失を防げるようになるのです。
コスト削減や業務効率化
オムニチャネルのメリットとして、コスト削減や業務効率化を実現できることがあります。店舗やECサイトなど、チャネル全体で適切な在庫管理ができることでコスト削減につながります。
また、オムニチャネルによって在庫の一元管理ができるため、受注から発送までの業務を効率化できるのも魅力です。
オムニチャネルのデメリット
オムニチャネルのデメリットは、導入段階で大きなコストがかかることです。導入前はオンラインとオフラインでデータベースが独立しているため、整備するのにそれなりに費用がかかります。
また、オムニチャネル化したからといって、すぐに成果が出るわけではありません。データ分析とそれを反映した施策を実施し、改善を行うなどのサイクルが発生します。
オムニチャネルを成功させる近道は、顧客満足度やブランドのロイヤリティを向上させることです。これにより、顧客との関係性を構築できるようになります。
オムニチャネルの成功事例
オムニチャネルの成功事例として、以下企業の取り組みがあります。
- ユニクロ(UNIQLO)
- 無印良品
- IKEA
- 資生堂
ここからは、それぞれの成功事例について解説します。オムニチャネル戦略を導入する際は、ぜひ参考にしてみてください。
ユニクロ(UNIQLO)
出典:ユニクロ
ユニクロではオムニチャネル戦略として、スマホアプリに「UNIQLO IQ」というアシスタントAIを導入しています。これはAIによるチャットボットで、以下のような購買体験を可能にしています。
- 注文やキャンセル、配送、返品の自動回答
- 実店舗の在庫確認
- コーディネートの相談
これにより、アプリが使いやすくなるだけでなく、店舗スタッフの対応と同じような体験が可能です。
ほかにも、500円クーポンを利用できたり、アプリ限定の販売価格を提示したりすることで、アプリのダウンロードを促す施策をしています。
無印良品
出典:無印良品
無印良品では、「MUJI passport」というスマホアプリを提供しています。このアプリには、以下のような機能が用意されています。
- アプリ内での買い物機能
- ネット注文店舗受け取りサービス
- 商品や店舗の検索
- お気に入り商品リスト
- 配送リストの作成
アプリで表示されるバーコードをスキャンするだけでポイントを貯められるという簡単さが、店舗へと誘導するきっかけとなっています。
さらに、店舗600m以内に入ればポイントをプレゼントしてもらえるため、アプリを開いてもらうきっかけとなっているのも工夫の一つです。
IKEA
出典:IKEA
IKEAアプリには、「IKEA Scan & Pay」という機能があります。これは商品をスキャンして買い物バッグに入れ、レジでコードをスキャンするだけで支払いが完了する機能です。これにより、ユーザーは財布を取り出すことなくスピーディーに買い物ができます。
さらに原宿での店舗オープンに合わせてリリースされた「IKEA原宿」というアプリでは、IKEAの商品を現実空間に再現できる機能があります。これにより、サイズやカラーの確認が可能です。
資生堂
出典:資生堂
資生堂では、「どの化粧品が自分に合うのか分からない」という悩みを解消するために、オンラインでのコンテンツ発信に力を入れています。
たとえば、「watashi+」では美容診断によって、パーソナライズされた情報の受け取りが可能です。ほかにも、「Beauty & Co.」では、美容や健康に関するコンテンツを発信して、女性の悩みを解決しています。
こうした取り組みにより、実店舗で個別対応しているような体験がオンライン上で可能となり、潜在顧客を取り込むことに成功しています。
オムニチャネル化する際のコツ・ポイント
オムニチャネル化する際は、以下3つのポイントを意識しましょう。
- チャネル全体で顧客の囲い込みをする
- ブランドイメージを統一する
- 全社的に取り組む
ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
チャネル全体で顧客の囲い込みをする
オムニチャネル化する際には、個別のチャネルではなくチャネル全体で顧客を囲い込む戦略を取りましょう。
そのためには、チャネルごとの位置付けや役割分担を決めておくと効率的です。各チャネルで相互送客できるようになれば、チャネル同士をシームレスに連携できるようになるでしょう。
このように、チャネル全体で顧客の囲い込みをすることで、オムニチャネル化したことの恩恵を最大限に受けられます。
ブランドイメージを統一する
オムニチャネル化を成功させるポイントとして、ブランドイメージを統一して、顧客に認識してもらうことが挙げられます。その理由は、チャネルごとに印象が異なっていると、同じブランドであることを認識してもらえないからです。
そのためには、まず統合にあたってコンセプトやブランドのイメージをすり合わせることが大切です。チャネルごとの印象を統一できれば、ブランド認知だけでなく、各チャネルでの最適な購買体験につながります。
全社的に取り組む
オムニチャネル化する際には、各チャネルが別々に施策を実施するのではなく、全社的に取り組むことがポイントです。別々に施策を実施してしまうと、連携が取れなくなり、結果的にオムニチャネルを実現できません。
そこで、初期段階でオムニチャネル化の責任者を決めておきましょう。各チャネルの連携方法や役割を決めることで、施策を進めやすくなります。
ECサイトについて不安がある方はぜひご相談ください
スマートフォンの普及により、今ではインターネットでの購買体験が当たり前となりました。オムニチャネル化によって、実店舗へ誘導したり、ECサイトでのより良い顧客体験を提供したりできます。
もしオムニチャネル化について疑問や悩みがある場合は、テクノデジタルにご相談ください。弊社ではECサイトやSNSを含めたマーケティング戦略の立案を行っています。事業に合わせてソリューション提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
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システム開発、Webサイト制作、ECサイトの構築・運用、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、デジタルビジネスに関わる多岐の領域において、最新のトレンド情報や実践的なノウハウを発信してまいります。
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